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アノニマスターオンライン  作者: 超電撃豚豚丸
第5章「般若レディは備えたい」
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第293話「行先を決めた!」

 魔者の大陸に帰ってきてから、一か月が経過した。私は、たけのこやだいこんに

乗りながら、ひたすら草刈りを続けて、薬草を集めていた。前よりも格段に入手確

率が上がったので集めやすくなったのが良かった。なんで上がったのかは不明なの

が気になったが、収穫期みたいな設定があるんじゃないかと推定した。

 生体調合をして、火薬草も大量に作った。この結果、現在薬草は現在107万3200個

になり、火薬草は20万3000個になった。ひとまずこれだけ集まれば、十分だろう。

この後は、ドラゴンフルーツ集めに、密林に行く必要があるが、ここでずっと草刈

りだけしていたい気分になってしまった。


「ねっこちゃん。そろそろでかけなーい?」

 サイコロプスのブッチが草原にいるのが飽きてきたのか、何度も出かけようと誘

ってきた。しかし私はその誘いに乗ることなく、ひたすら草刈りを続けた。ここ最

近ずっと草刈り出来なかった反動もあるが、私はこういう単純作業が好きなので、

ついうっかりとひたすら草刈りをやってしまったというわけだ。

「そうだね。そろそろいいかな。ここでは十分集めたし、これからは密林の方へ行

ってドラゴンフルーツ狩りをしたいしね。」

 ドラゴンフルーツも大量に集めたい。薬草は体力を回復できるが、ドラゴンフル

ーツには、スキルを使うためのポイント、ここではスキルポイントと暫定的に命名

しておく。これを回復することができるようだ。また、魔力というか魔法を使う時

のマジックポイントについても回復するらしい。


 大量に集めておけば、スキルを沢山使ってしまった時でも回復できるようになる。

つまり、備えあれば憂いなしと言う状態になる。私は、特に戦闘に関してはド素人

のようなものなので、いざと言う時の為に回復手段を持っておきたい。

「おお!? ついにお出かけの時間がやってきたか! もうねっこちゃんってば、

まさかここまで草刈りを続けると思わなかったよ!」

「薬草なんてすぐなくなってしまいそうだし、ここまで徹底的に集めないと、不安

になったからね。使っても」

「姉御。疑心暗鬼になりすぎるのは良くない事やと思うやで! そもそも姉御は結

構、強いんやから、ここでひたすら草刈りだけするのは勿体ないと思うで。」

 あぁ、何だか前もこういうやりとりをしていたなあ。私は、強さとは無縁なので

薬草を大量に集めておくことで安心感を得ている。


「だいこんちゃん。ねこますさんは、お金のこともじっくりと考えているから、こ

こで草刈りもしていたんだよ。そうですよね、ねこますさん?」

「その通り! お金は大事!」

 人間の大陸に行けば高値の売れるのだから、集めておくことは大事だ。まぁ流石

にまとめて売るつもりはないんだけれどね。今、私が所有している薬草全部を売り

払ったらそれこそ、暴落してしまうだろう。だから少しずつ、小出しで売っていく

ことに意味がある。とはいえ、他のゲームでは薬草は、簡単に入手しやすいアイテ

ムの定番になっているし、私が何をしていなくても、大量に手に入れられる場所が

出来てしまえば、その時点で暴落してしまうだろう。


「エリーちゃんも草刈り頑張っていたけれど、街に行ってみるのかな?」

「うっ。初めはそのつもりだったんですけれど、悩んでいます。」

「え? どうして? 別に私に遠慮しなくても行っていいんだよ?」

「一人で行くのがちょっと。というよりも、私は、ねこますさんやブッチさんみた

いに強いわけではないので、強敵が出てきたらゲームオーバーだからですね。」

 エリーちゃんの方が私よりもずっと強いと思うのに、なぜそこまで謙遜している

のだろうか。私なんかいつも、辛くも勝利を掴んでいるって状態なのに。エリーち

ゃんだったら、もっと楽に敵を倒せると思う。うーん。でも一人だと行きたくない

のであれば、そうだ。


「じゃあもう、私、たけのこ、イッピキメ、ニヒキメの4名でパーティを組むから

残ったみんなでパーティを組めばいいんじゃないかな。」

 エリーちゃんもお金が欲しいのと街に行きたいという気持ちがあると思うが、私

は前回行っているのでまた行こうとは思っていない。それよりも今はドラゴンフル

ーつ集めと、たけのことリザードマン達の親睦を深めることだ。後はおまけで、毒

狸の母を倒すかどうかってところかな。私は、あの時よりも大分強くなっていると

思うので、今なら密林でもいい感じでやっていける気がしている。


「えぇ。ねこますさんは付いてきてくれないんですか?」

「いや、私は戦力になっていないし、今はドラゴンフルーツを集めたいんだ。」

「ねっこちゃんは心配性だからなあ。そんなに集めなくても大丈夫だと思うよ。今

のねっこちゃんの強さならちょっと集めればいいだけだと思うし。」

 なぜこの二人といい、みんな私を過大評価するのか。今まで楽に敵を倒せたこと

がないというのに、そんなに私を信頼するようなことを言ってしまっていいのか。

私は、ブッチみたいに敵を倒すと宣言して本当に倒しているというようなわけでも

ないし、いつも勝てるかどうか分からないなあという気持ちが強い。


「あー。評価してくれるのはありがたいんだけれどさ、他にも理由があるよ。クロ

ウニンがいるよね。確か私はゴーストロガノフに目をつけられていたし、次はそい

つと戦わないといけなくなるのが嫌なんだよね。」

そしてそれが終われば今度はジャガーコートことジャガーちゃんが相手だ。この二

匹の相手をしなければいけない。この魔者の大陸に戻ってきてからは、一向に襲わ

れていないので、恐らくクロウニンは、基本的にこの魔者の大陸には入ってこられ

ないのではないかと思う。だとすれば、ここは結構安全な場所ということになる。


 そして今から、人間の大陸に行くと、ここに戻ってこれるのもかなり時間が経っ

てしまうので、今回は別行動しておきたいというわけだ。もうしばらくは、魔者の

大陸に残っていたい。

「俺も極力、ねっこちゃんと一緒にいたいっていうのはあるんだよね。」

「それは。私が強敵ホイホイになっているからと言いたいんだろう!」

「その通り! そんなホイホイがいなくなったらきっと張り合いがなさそう!」

「ブッチさんは、実はあたしが苦手とかだったりします?」

「はっはっは。エリーちゃん。今更だな。俺に、苦手なものは無い!」


 オンラインゲームでは同じチー内でも苦手意識を持つ相手がいる場合が結構ある。

あの人がいるところでは一緒にいたくないだとか、同じチームだけれど疎遠なので

少し話しかけにくいとかそういうのだ。エリーちゃんはそれをブッチが思っている

かもしれないと察したのだろう。杞憂だったようだけれど。だけどそれを言うなら

むしろ私の方がみんなから遠慮されそうな気がするんだけどな。ちょっと聞いてみ

ようかな。


「みんな、実は私のことが苦手でしょ!?」


 少し大きめの声でみんなに声掛けをしてみたら、一瞬沈黙した。え、まさかの図

星だったのだろうか。これは、ショックかもしれない。立ち直れない。あまりに悲

しい事実が発覚したということか。

「ねこますサマニ、ニガテイシキナンテアリマセンヨ!」

「そうやで。姉御は話しかけやすいやで。」

「マスターは、気さくなので、話をするのが楽しいでござる。」

「デアッタトウジハ、ソノヨウナコトモアッタガ、イマデハソウデモナイ。」

「ミギニオナジダ。」

「第一ご主人は、何言っても許してくれそうだチウ。」

「我にとってねこます様は尊敬するお方です。」

というのがモンスターのみんなの意見。で、そこのプレイヤー二人はどうなんだ。


「俺たちはマブダチじゃないか! 何言ってるんだよねっこちゃん! あの日、洞

窟で交わした熱い友情を忘れてしまったのか!?」

 そんなものを交わした記憶が一切ないんだが、私は、何者かに催眠術でもかけら

れているということなんだろうか。うーん、記憶にございません。一体どんな熱い

友情だったのだろうか。

「私は塔で一緒になったときに出会えた人なので、すごい仲良くなれたって気がし

ていますよ。苦手なんてそんなこと一切ないです!」

 おーっとこっちは結構赤面したくなるようなことをカミソリのような切れ味で言

うなあ。私はこういうストレートに言われる方が弱いんだよなあ。なぁブッチ。

「当然私は、みんな親愛なる友と思っているから安心してね。」

「俺に恋してもいいんだぜ。」


 ウインクしてくるブッチだったが、ここはスルーした。ええい、というか話が何も

進んでいないぞ、脱線し過ぎだ。

「私は、まだ人間の大陸に行きたくないんだよ。ドラゴンフルーツを集め終わってか

らならいくから、先に行っててもいいんだよ?」

「だってよ。エリーちゃんどうする? 俺は別にどっちでもいいんだけど。」

「ねこますさんがいたほうが心強いので、じゃあそんなに急いでないですし、私達も

一緒にドラゴンフルーツ集めに行きましょうか。」


 あれま、結局全員で行動するってことになるのか。これはちょっと計算外だ。でき

れば止めて欲しかったところなんだけれどなあ。ちょっとお願いしてみるか。


「えーっとね。私としては、最初に決めたグループでやっていきたいんだよ。特に

そこの二匹。イッピキメとニヒキメともうちょっと仲良くなろうと思ってね。」

「…ねこますドノ。ソレハドウイウコトナノダロウカ?」

「ワレワレトハマダキョリガアルトイウコトカ?」

「そう! もっと親密度を高めるために少数で行動しようって目論見があるの! 私

は君ら二匹と仲良くなっておきたいというのがあるの!」

「なんてことだ。ねっこちゃんが俺じゃない別の奴に惚れちまうなんて!」

「ええい! ややこしくなるから黙っててブッチ!」

ここは怒鳴りつけておく。


「あとはね、最近たけのことは離れがちになっていたのが嫌だったからね。しばらく

は一緒にいたい。街に行けばたけのこが入れないから、また行くのは控えておきたい

し。という私なりの理由があるんだよね。」

「つまり、大人数で活動している限り、特定の誰かとしか仲良くなれない状況を打破

したいってことだね!」

「そういうこと。私が誰とでも仲良くなれるブッチみたいな奴だったらそんな風にな

らなかったんだけどね。」

「褒められて照れるぜ。」

「褒めてな…褒めてる。」

 何を言ってるんだろうか。まぁ、私の考えはやはり少数で行動をして仲良くなると

いうのが伝わってくれたと思うので、ここはエリーちゃん達が一緒に行動してくれる

はずだ。


「ねこますサマ。ワタシモ、シバラクハゴイッショシタイデス。」

 おお、たけのこが甘えてくる。そうだよなあ。初めに会って仲間になったのがたけ

のこなのに、ここ最近は距離が出来上がってしまった気がするし。ろくにたけのこの

成長が見れなかったのもあるんだよね。それが悲しいので、なんとか一緒にいられな

いかなあと思っていた。

「分かりました。では私とブッチさんとみんなが街に行きます。ねこますさん達は、

密林へお願いしますね。でも早く終わったらこちらにも来てください。」

「オーケイ。それと、そんなに心配しなくても大丈夫だよ。私なんかこのゲームでは

雑魚みたいなものだし、エリーちゃん達なら余裕だよ!」


「えーと。ここで素直に言うと、ねこますさんってなんか、何でも解決しちゃいそう

な雰囲気があるので、すごい安心するんですよね。」

え、何それ、そんな何でもできるような奴じゃないよ私。苦手なことばかりだし。

「あー! それはあるな! なんかこう、何をしでかすか分からないんだけれど、い

つの間にか、やることやってましたって感じ!」

「お褒めの言葉ありがとうって、そんなの全然ないんだけどねえ。」

一応リーダーをやっているで、そう言われて悪い気がしなかった。だけどなあ、何で

もは言いすぎだな。


「あー。それじゃあそんな私から離れての活動なわけだね。だけど今までも何度もあ

るんだし、今回も行けるって! 張り切って頑張ろう!」

「そしてこれが、後悔の始まりだったのです!」

「不穏なナレーションいれるんじゃないブッチ!」


はぁ。やっとパーティ編成と行き先が決まったよ。前に決めておいたはずなのにな。

まぁいいか。それじゃあ私達は密林に出発するとしよう!

今回遂に、薬草の数を書いてみました。普通のゲームだと持てる数に限りがありますが

このゲームではいくらまで持てるかは今の所不明です。


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