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アノニマスターオンライン  作者: 超電撃豚豚丸
第5章「般若レディは備えたい」
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第292話「この鎌が凄い。そして草刈り。」

 草刈りを始めようと、鎌を取り出した瞬間に、メッセージが表示された。


メッセージ:武器「鎌」の強化が可能です。実行しますか?


 久々の鎌の強化メッセージだ。さて、これはいつまで無視をし続けることができ

るのだろうか。そして、これを無視し続けると今度どうなるのだろうか。そして、

この鎌の強化とは一体どういうことなのだろうか。敵を倒してきた数、あるいは戦

ってきた数が関係しているとは思うのだが、そのあたりは不明だ。

 これまで、ずっと強化を見送ってきたが、その理由としては、すぐに強化をして

しまうと、後で強化ができなくなってしまうことも考慮していたからだ。私として

は、もうそろそろいいんじゃないかと思い始めてきてはいるのだが、やはりここは

見送ることにした。


メッセージ:武器「鎌」の強化をキャンセルしました。


 確か今回で5回目だったはずだが、もう強化をしたくないという気持ちの方が強く

なってきてしまっていた。今更強化して強い鎌になりましたというのが、どこか悔

しくなってしまいそうだし。この強化がいつでもできるわけじゃないのは分かって

いるが、今後は勝手に強化されるまで放置するつもりだ。それくらいこの鎌には愛

着が湧いてしまったしなあ。


「さぁて、それじゃあ刈るか!」


まずは、たけのこやだいこんにも乗らずに、自分自身で歩いて草原にある草を鎌で

刈っていくことにした。そりゃああああ!


メッセージ:「薬草」を手に入れました。


「きたぁああ!!」

 そうだよ、これだよこれ。あぁぁ久々過ぎて感動してしまうなあ。すごい嬉しい。

薬草が手に入っただけなのに、これほどうれしくなれるなんて。やっぱりこれが私

がやりたかった事なんだよ。ふふふ。ははは。草刈りはいいなぁ。このまま刈り続

けていこう。

「あははははー! 薬草万歳! 草刈り万歳!」

 これが私だって気分になれる。いやぁ、私もうずっとここで草刈りだけやってい

ればいいんじゃないだろうか。現実にも帰らずにここで草刈りだけやっていれば幸

せな気もしてきた。現実で農家をやったとしても、コンバインとかの稲刈り機でや

ってしまうだろうから、私が直接鎌で草刈りをしたいという希望を満たせそうにな

いしな。ああ、でも、そういう体験もやってみたくなってきたかも。


「ねっこちゃん。盛り上がっているところ悪いけれど、その鎌、なんかいつもと違

うみたいだけど大丈夫?」

 ん? ブッチが何か言ってるな。どういうことだろうと、鎌を見てみたら、なん

か赤黒く光っている。どこか禍々しい雰囲気を漂わせている。おい、なんだこれは。

まるで今まで倒してきた敵の命を吸い取っていましたと言わんばかりに赤黒く、輝

いているじゃないか。え、これむしろ私の命を吸い取ったりとかしていないよね。

大丈夫か? いやいや、なんだよこれ。折角草刈りを楽しんでいたのに、何がどう

したっていうんだ。


「ええい! 静まれい!」

強く念じてみる。すると、赤黒かった鎌が普通の鎌に戻った。おお、なんだ意識的

に戻すことができるんじゃないか。もしかして、赤黒い時は、威力が上がっていた

りするんだろうか。今度は、意識的に赤黒くしてみようとする。おおっ! 上手く

いった。それじゃあちょっとこれで、草刈りをやってみるか。

「よいしょっと!」


そして、目の前から一直線。100メートル程度先まで、草が視界から消滅した。え

え。何だ今の。どういうこと?


メッセージ:「薬草」を100個手に入れました。


す、凄いいいいいい!? 何これ、何なのこれ!? マジでやばい! 鎌を強化も

何もしてきていないのに、なんか急に強くなっているし! これマジで凄くないだ

ろうか! も、もしかして隠し属性というか、隠し要素的なものがあったってこと

じゃないのかな! 鎌を強化しないでいると、なんかそのエネルギーが蓄積されて

通常とは違う強化がされるみたいな! そういえば真空波も使えるようになったの

はこれが理由かもしれないし。強化してこなくてよかったあ。


「マスター。今のは一体なんでござるか?」

「この鎌の力らしい。ずっと使ってきたからなのか、こんな凄い事ができるように

なったみたい。」

「ねこますサマ。スゴイデス! スゴスギマス!」

「カマヲカルクフルッタダケニミエタガ、ねこますドノ。スゴイ。」

あれ、なんかみんなビビっているな。そういうことをするためにやったわけじゃな

いんだけど。あっ、でもこれ、下手に使うとみんなにぶつかったりしたら危ないな。

それにこれ、沢山撃ったらあっという間に使えなくなりそうだし、草刈りではあま

り使わないようにしよう。今は、たけのこもだいこんも一緒にいるしね。


「ねっこちゃんがどんどん強くなっていくぅうう! 俺の存在意義がぁあ!」

「はぁっ!? 何言ってるの! 私なんて全然強くないっての! ブッチの方が私

よりも圧倒的に強いんだからそんなこと言わないの!」

「ああ! ご期待に応えらるように、今の100倍は強くなってやるよ!」

 それはとても怖いんだが。今の100倍かぁ。でもそうだよなあ。これから襲い掛か

ってくる敵は強敵ぞろいだろうから、強くならないといけないな。


「私は、ここで草刈りだけやっているわけにはいかないんだろうか。」

「ねこますさんは魔者ですから、クロウニンとの激突は避けられないんじゃないで

すか?」

 もうここでずっと草刈ってたい。もう現実逃避したい。ってここVRだし、ゲーム

だし、既に現実逃避しているじゃないか。ああ、だけどなぁ、なんかこう決められ

た方向に行かなきゃいけないって思うとすごい面倒くさくなってくるんだよなあ。

 RPGなんかしていると、自由度の高いゲームじゃなくて一本道に進んでいくだけ

のゲームだと、途中で飽きてくるっていうのがあるけれど、それを思い出す。その

決められた道から外れることができるRPGは大好きなんだけれどなあ。

 クロウニンを倒さなきゃいけないとか魔者として何々をしなきゃいけないって義

務でゲームをやらされたくないなあ。なんかこうやって草刈りをしている方が楽し

くなってきたし。


「私は、ここで草刈りがしたい。そんでもって森にいる黒豚でも狩って食べて入れ

ば十分な気もしている。あぁー! なんで魔者になんてなっちゃんたんだ!」

「ねこます様こそが魔者だから、自然となっただけですよきっと。」

 サンショウが笑いながら答えてくれるが、そんな生まれながらに魔者だったみた

いなことは言わないで欲しい。なりたくてなったわけじゃないからなあ。はぁ、そ

れにしても、<アノニマスターオンライン>での魔者の扱いは今後どうなっていく

のやら。

 どこかのタイミングで、沢山のプレイヤーが魔者になれるようになるのではない

かと思っているが、それともずっと私だけが魔者ってことになるんだろうか。それ

はちょっと考えにくいけれど。だって、例えばここで私がこのゲームを辞めてしま

ったら、魔者の存在っていうのは完全に消えてしまうことになるし。あるいは、私

が長期間このゲームをプレイしなくなった時点で、魔者の資格が失われて、他のプ

レイヤーが魔者になれるようになるとかいう設定だったらいいんだろうけれど。


「魔者じゃなくて、草刈りばかりしている草刈り者とかのがいいよ私は。」

「くさかりものとかすごい田舎臭さがあるね。」

 それがいいんじゃないか。都会は怖いよ。いや他のプレイヤーはこのゲームの知

識が豊富だろうから、私みたいにそれがないプレイヤーは、ここでゆったりと、田

舎暮らしをしていたほうがいいんだよ多分。やれやれってあれ?

「なんか草の復活が前よりも早くなったような!?」


 私が先ほど刈り取ったはずの草があっという間にぼうぼうと生えていた。なんで

こんなに復活が早いんだ。早すぎるだろう。なんだこの勢いは!?

「よっし、それじゃあだいこん、一緒に草刈りするとしよう。」

「エッ!? ワイなんか!? わんころやないんか!?」

「たけのこはまだ、疲れていそうだし。ねぇ?」

たけのこに聞いてみた。


「ハイ! ワタシハマダスコシヤスンデイマス!」

「なっ!? わんころ!? くっ! わ、分かったやで! 姉御! ワイに乗っか

ってくれやで! 草を刈りつくそうやで!」

「おうよ! 頑張ろう!」

 こうして、がっつりとした草刈りが始まるのであった。

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