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アノニマスターオンライン  作者: 超電撃豚豚丸
第4章「人間の大陸」
289/473

第289話「キれる般若レディ」

明日追記します。

9/7追記しました。

 バトルコンベアは、本気を出していないのに、私とブッチの攻撃を何度もかわし

続けた。私だけならまだしもブッチの攻撃を回避できるのはおかしいと思った。サ

イコロの目で攻撃を当てることに長けているのに、それをまともに回避できている

のはこれまでのモンスターではできなかった芸当だ。

 ブッチはそれを悔しそうにしているかと思ったらむしろ喜んでいた。自分の攻撃

をかわすバトルコンベアに。そして攻撃を当てることに夢中になっていた。自分よ

り上の存在がいるということに喜びを感じているのだろうか。

 私は私で苦労していた。ブッチではなく私を優先的に狙ってくるからだ。少しで

も気を抜けば、鋭い爪の餌食になってしまう。ブッチに戦いを任せる様な感じでい

たのだが、それは頓挫してしまった。これは私が主軸となって戦い、ブッチには私

の補佐を頼んでいると言った感じだ。


 私がなんとか持ちこたえている所で、たけのこを含んだ他のみんなが、熊の集団

をかいくぐって現れた。しかしここで下手に攻撃をさせて狙われてもたまったもん

じゃなかったので、ここではプレイヤーであるエリーちゃんを参加させるだけに留

めて、他のみんなには周囲を警戒するように指示を出した。おっと違った。だいこ

んだけは忍術を使わせてもらう範囲に含めるために私のリュックの中に入ってもら

うことにした。命がけでもあるが、それはそれだ。

「ねこますさん! ブッチさん! 私は後方支援に徹しますからね!」

「あいよー! よろしく!」

「っぶなっ! よろしくうう!」


 こちらの事情なんてお構いなしに攻めてくるバトルコンベア。くっそう。また一

発貰った。がんがん薬草が減っていくじゃないか。私から薬草を奪っていく悪魔の

ような奴だな! って悪魔はエリーちゃんじゃないかということで頼むよ!

「ライトニングスピアー!」

 無数の雷の槍がバトルコンベアに飛んでいくが、それは簡単にかわされる。が、

それを見越して、エリーちゃんは次の魔法を唱えていた。

「アイスアックス!」

 雷の槍を使って動きを限定させたところで氷の斧の魔法を使い。それはバトルコ

ンベアに直撃した。


「グアっ!」

おおっ!? なんか効いているっぽい悲鳴のような叫びを上げたぞ。こいつはもし

かして氷属性が弱点だったのかな! となると、私もブッチも氷系なんて使えない

し、ここで一番頑張って貰わないといけないのはエリーちゃんかもしれない。

「効いてる! エリーちゃんよろしくね!」

「は、はいっ!」

 あ、硬くなっているな。エリーちゃんは責任に弱いタイプかもしれない。ってい

うか私もこんな敵のボスを倒すなんて大それたことをしなきゃいけない責任に押し

潰されそうになるよ全く!


「で、ねっこちゃん! でかい石になる技は使えないの!?」

「使えない! 動きが早すぎるし多分当たっても逃げられてしまいそうな感じ!

途中で回避されたら私が無防備になるから使えな、この野郎! 黙れ!」

「グアアアア!」

 なんだかバトルコンベアの雰囲気が変わってきたような気がした。もしや先ほど

の攻撃でキれたんだろうか。だから今こうしてひたすら攻撃を仕掛けてきたのか?

「グググ! グオオオオオオ!」

バトルコンベアの目が赤く光った。あ、やべえこれ、また威圧か。すげぇ恐怖心を

感じる。でも最初ほどじゃないな。私も昂ってきているからだろうか。確かに目の

前のただの一匹の子熊は手強い。が、今の私には仲間もいるし、負ける要素など一

切無かった。」


「グアッ!」

消えたっ!? 見えない全然見えない!

「土潜り!」

 私も消えた。というか隠れただな、私の場合は。熊の攻撃が全く見えなかった。

となれば今の一瞬で逃げるが勝ちだった。致命傷になったかもしれないし。だがこ

のまま浮上しないと言うわけにもいなかった。逃げるだけ逃げてどうにかなる相手

じゃないだろうし。すぐに浮上することに決めた。すると。


「ね、こますさん。」

肩からだらだら血を流すエリーちゃんがいた。え、どうなってるのこれ。まさか私

がいなかったからエリーちゃんを狙ったって言うのか。え、これ。何だよ。

「グア!!!!!」

は? 何だこいつ、ふざけているのか。何で私の仲間を狙っているんだよ。マジで

ふざけているのか。私の大事な仲間を傷つけているんじゃねえよモンスターが。そ

れが全速力か? あ? コラ。やるのかコラ。私を舐めているのか。

「ねっこちゃん。とりあえず薬草は沢山食って貰っているよ!」

「ありがとう。ちょっと、これはないわ。」


マジ切れというか、なんかすごい腹が立ったな。自分がぼこぼこにされるのはまあ

いいんだけれど、こうやってエリーちゃんとか仲間がやられるのは見過ごせない。

怒りで頭が爆発しそうだ。ゲームでブチ切れる事なんてまぁそこそこあったと思う

けれど、この熊野郎は絶対に生かして帰さんぞ。

「グアアア!」

見えない? 消える? そうだな、きっと私よりこいつは早いんだろうな。だった

らどうすればいい。そうだな。慣れればいいってことだよな。うんうん分かる。こ

れまで色んな敵の攻撃が見えなくて困ってきた。じゃあそれをどうしてきたって。

敵が仕掛けてくる攻撃の全パターンを覚えればいいんだよね。それは分かっている。

それと、後は敵の攻撃のタイミングを理解すればいいんだよな。それを読み切れば

反撃も簡単になる。いやぁ分かりやすいな。


「グアアア!」

「おい。」

バトルコンベアは一瞬、確かに消えた。超速度で動いているのかどうかは知らない

しそれがこいつのスキルなのかどうかも分からない。が、そんなのは今はどうでも

いい。まず私は、こいつが消えたので攻撃を当てた。それだけの話だった。消えた

からどうだって言うんだ。消えようが消えまいが、そこにいることが確かなら、攻

撃を当てればいいだけの話じゃないか。こいつは私をここまで見下しているのか。


「すっげ…。簡単に回避するとか。」

ブッチが何か感嘆の声を上げた気がするが、それはここでは置いておく。今の私は

この熊野郎に地獄を見せなければ気が済まない。ただひたすらに攻撃をしたい。自

分が情けない。こんな奴にビビっていたなんて。いつもそうだ私は。臆病な面があ

って安全な状態のみに逃げようとする。それがこの事態を招いてしまった。こんな

の納得できるか。というかそこはブッチを狙うべきタイミングだっただろ。何でそ

こでエリーちゃんを狙ってやがるんだ。


「グアアア! グアアアア!」

本気になったバトルコンベアが私に襲い掛かってきている。いや、こんなの襲って

きたなんて言わないな。ただじゃれついてきているだけだな。なぁそうだろ。

「うるせぇ!」

じゃれついてくるバトルコンベアの顔を思いっきり鎌で斬り裂いてやった。そうだ

こんな簡単に斬り裂けるじゃないか。なぁんだ。大して強くないじゃないか。

「グアアアアアアアアア!?」

「何驚いた声上げているんだよ。お前がさっきエリーちゃんにやったことだろ。」

そう言って、私は更にバトルコンベアの顔を斬り裂く。顔面にバツ印の切り傷がで

きあがった。そしてその切り口から真っ赤な液体が飛び散った。おお。グロいな。

「グアアアアアアアアアアアアア!?」


「まだこんなもんで終わると思うなよ!」

 私はブチ切れている。自分にブチ切れている。許しがたい事をされたのだから、

ここまでなってもおかしくない。ああ、私は今からこいつを叩き潰す。やってやる!

「グアアアアア!」

 バトルコンベアが突進する動きを見せた瞬間、全身に力が抜け落ちたような感覚

が広がった。そして、次の瞬間には、目の前から迫ってこようとしているバトルコ

ンベアの動きがスローモーションのように見えた。これは、危機が迫った時に発生

する超感覚的なものだろうか。周りの動きは、とてもゆっくりしていた。


 私は、その感覚を持ったまま動き出す。すると私自身もゆっくりと動いているの

がよく分かった。実際の速度は分からないが、とにかくこのようにスローモーショ

ンであれば、バトルコンベアの動きに合わせて攻撃を当てることができるだろう。

だがこの感覚がいつまで続くかも分からないので油断はしない。この子熊には、エ

リーちゃんやたけのこがやられているんだ。絶対に許さん。

「グ…ア…ァ!」

 雄叫びまでゆっくりと聞こえる。不気味な感覚だが、こいつを倒せるのなら何で

もいい。今はやれることをとことんやる。鎌を強く握る。この鎌があれば私にでき

無い事なんてない。そう強く思い込む。

 バトルコンベアが口を大きく開けていく。そのまま私に噛みつこうとしてきてい

るようだ。馬鹿め。そんな攻撃をくらうと思っているのか。私は両手で鎌を持つ。

いつもは片手なのだが、それは、もう片方の手でアイテムを使うために必ず開けて

おきたかったからだ。だけどもういい。ここは鎌に全力をかける。


(絶対に…斬る!)

私はその想いを鎌に込める。目の前には顔にバツ印の傷がついた子熊が迫ってくる。

ゆっくりだ。こんなゆっくり動いてくる奴なんかに私の仲間はやられたのか。本当

にふざけているな。

「グ・ォ・ア・ア・ア・ア!」

そしてバトルコンベアは私に飛び掛かってきた。私は全力で、本当に全部出し尽く

す勢いで、鎌を真正面から振るった。


「グエアアアアアアアアアア!?」

 一瞬、何が起こったのか分からなかったが、スローモーションが解けたようだ。

後方に吹っ飛ぶバトルコンベアが見えた。どうやら私はこいつをぶった斬ったとい

うのが分かった。だが、まだ終わっていないだろう。そう思ってすぐに後ろを振り

向き、攻撃を仕掛けようとした。どうせ反撃を仕掛けられているだろうと思ったか

らだ。だがそこで、私は意外な光景を目の当たりにした。


「ま、っぷたつ?」

 バトルコンベアが、一刀両断されて倒れていた。これは、私がやったってことな

んだろうか。いやそうだよな。真っ二つ。いや、これ、倒したってことなのか。

 途端に冷静になる私だった。怒りで我を忘れていたような気がするが、いやまあ

今も怒っているが、この光景は異常だった。


 冷静になって考えてみるが、私は恐竜力とかのスキルは使っていなかった。ただ

全神経をこいつを倒すことに集中していただけだ。それなのに、この有様はどうい

うことなんだ。いや、これが般若レディの持っている潜在能力が解放されたとかそ

ういうのなんだろうか? だけど、なんか、すっごい疲れた。こんな集中して戦っ

たなんて久々な気がする。あぁもう休みたい。

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