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アノニマスターオンライン  作者: 超電撃豚豚丸
第4章「人間の大陸」
283/473

第283話「熊と採取と」

現在執筆作業中ですが投稿します。いつも通り後で加筆します。

9/1 加筆しました。


 バグと思われる現象に巻き込まれた次の日にログインしたら、祠の前に立ってい

た。湿地帯とたけのこ森林をつなぐ祠。それが今、目の前にあるのだが、どうも腑

に落ちない。

「よりもよってなぜここなのか。まぁ後は戻ればいいだけと考えると楽だけれど、

えーっと。体は動くな。」

 雷獣隕石拳を使ったのだから、動けなくなっていてもおかしくなかったと思った

のだけれど、普通に動かせる。バグの影響を受けたことの補償か何かがあったのか

もしれない。そういえば、後日メッセージが届くとの話だけれどまだ届いてはいな

いな。そんなすぐにはないってことなんだろうか。


「そうだ。ブッチ達に何も連絡入れずにログアウトしちゃったし、メッセージを送

っておかないといけないな。」

もしかしたら一足先にねこます草原まで戻っているかもしれない。はっ!? みん

な抜け駆けして草刈りをしているなじゃないだろうな! それは許せんぞ。私が、

今一番やりたいことを先にされるなんて! これはさっさと戻らなければ。そう思

って私は、祠に触れる。そして次の瞬間、たけのこ森林へと移動していた。相変わ

らず鬱蒼とした森だ。ここは結構奥深くにあるので、なんだかじめじめしている感

じも強いなあ。


エリーからのメッセージ:ねこますさん! 私達もいま森林まで戻ってきたんです

が、そこで巨大な熊が出てきて、戦っています! ねこますさんも早く戻ってきて

下さい!


マブダチからのメッセージ:やあねっこちゃん! 俺は今、森の中ですげぇタフな

熊と戦っているよ! マジ楽しいから早く戻ってきなよ!


 熊か。熊が森にいると言うのは別におかしいことでもなんでもないと思うのだけ

れどたけのこ森林の入り口あたりでだらだらやっていた頃には一度も出くわさなか

ったな。もしかして運が良かったってことなのかもしれないなあ。ブッチがタフと

か言ってるくらいだし。ああ、でも奥の方というかこのあたりで遭遇したかもしれ

ないのか。


「…また出遅れた感がある!」

主役は遅れてやってくるとか言う典型的なパターンにはまってきている。これはす

ごい嫌だ。こういうありきたりな展開にさせられるとか腹が立ってくるな。よし、

これはもういっそブッチに任せてしまうとするか。私は先に草原まで戻っておくと

しよう。そして草刈りを堪能するんだ。

「よし! 善は急げだ! このまま走って帰ろう。」

 そう思ってまっすぐ走り出したのだが、10分くらいして、ここまで来るのに結構

遠かったことを思い出した。ひたすら走っているとVRとはいえ、それはそれで疲れ

そうだったので、途中から歩くことにした。


「何か変わった物は、いつも通りないかあ。」

 草が生い茂っているだけであとは何かありそうにない。だけど本当は何かあるの

ではないかと勘繰ってしまう。ドーラ先生をここに連れて来たら、何か分かるかも

しれないけれど、勝手に連れ出すこともできないだろうしなあ。

「そうだ。リュックも手に入ったことだし、一応色々採取してみようかな。」

 よく分からない物でも取っておけば何かの役に立つかもしれないし。もしかする

と前よりもなんとなく使えそうなものが分かるようになったかもしれないし。とい

うわけで採取タイムを開始した。 ああ、ブッチが熊と戦っているんだっけ。それ

はまぁなんとかなるんじゃないだろうか。強いし。


 どこにいるかもよく分かっていない中、ひたすら動き回るのは危険だし、いざと

なれば、みんなこの森を燃やして解決すると思うから、あまり問題にはしていない。

たけのこ達も多少心配だけれど、ここは慣れ親しんだ場所だしなんとかなるだろう。

ってあれ、今自然と森を燃やして解決なんて考えていたのか私は。前に燃やした時

は元通りになったから別にいいかと思ってしまっていたか。

 森が燃えた場合のデメリット、ここまでは確認していなかったな。ここでは何か

アイテムが手に入ったことはないけれど、それは森が燃えたりして入手ができなく

なってしまったという可能性も捨てきれない。となると、安易に森を破壊し過ぎる

のも得策じゃないだろう。まぁ最後の手段的な策としては覚えておくけれど。


「そういえば、木の実とかないのかなー。」

 木に何か実が生っている可能性はあるけれど、暗いのでよく見えない。ここで照

眼を使ってもいいのだけれど、熊とか何かいたら狙われるかもしれないので迂闊に

使わないようにしないといけない。だけど、気になるなあ。よし、一回だけ真空波

を使ってみて、何か落ちてこないか見ることにしよう。


「真空波!」

鎌を取り出し、私の頭上にある木にめがけて、真空波を放った。樹の枝が切れる鋭

い音が聞こえたと同時に、何かが落ちてきた。なんだろうこれ。りんごか何かのよ

うに見えるけれど。拾って大丈夫だろうか。


メッセージ:ファイアップルを手に入れました。


反応に困る。りんごかと思ったらパイナップルみたいな形をしている。だけどパイ

ナップルとは色が違うように見える。周りが暗いからはっきりとは言えないけれど

これは明らかに赤い。そしてファイアと言えば火だろう。火のりんごなのか、それ

とも火のパイナップルなのかよく分からないけれど、また火属性か。

 スキルは狐火とアリボール。アイテムだと火薬草がある。火系統はもう十分ある

のに、ここでまた火属性が手に入っても微妙だろう。


「はぁぁあ。できれば氷系がよかったんだけどなあ。」

 忍術で一応水遁として水が出せるけれど、氷は出せない。なので冷気系や、ある

いは雷だとかを遠距離から使えそうなアイテムが欲しかった。このファイアップル

とやらがそういう風になるとは到底思えないし。いやもしかしたら違うかもしれな

いし、一応期待だけしておこう。

「あ。」

でもあんまり集められないな。ここらで真空波を無駄打ちし過ぎは良くない。まぁ

今落ちてきた分だけとりあえず拾っておいて、続きはまたこのあたりにでも来た時

にでもやるか。


 この森林の状況は前までと、特に変わってないと思うけれど、不思議な森林であ

ることは確かだ。まるで、入るたびに地形が変わるダンジョンのような感じだ。ロ

ーグライクゲームとまでは言わないが、それに近い何かがあるような気がしている。


「豚にシマウマに蜂に熊に、本当に色々でてるもんな。」

 多種多様な生物がいるようだが、よく分からない生態系だなあと思う。なんだか

ただ雑にモンスターを配置しましたみたいなノリを感じる。レトロゲームなんかだ

と、いきなり強い敵が出てきたりすると思ったら何故か最弱モンスターがいるよう

な場所があったけれど、近年のゲームは、バランス調整がしっかりされているし、

そういうおかしなことになるのは少ない。


「ゴアアアー!」

そうそう、いきなりこういう鳴き声が聞こえてきたりとかおかしなことが。え。

「ゴアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!」


 熊が叫んでいる。しかも目の前で。ブッチくらい、つまり2メートルサイズの熊

だ。やばい。結構強そうだ。そう、シンプルに熊だ。モンスターっぽい要素は一切

なく、ただの普通の熊が私の前にいる。私を睨みつけている。今にも襲い掛かって

きそうだ。

「こういう近接パワー系が一番苦手なんだよな私は…!」

武器は電撃の鞭に持ち替えた。こっちのほうがコイツ相手には戦いやすいだろう。

でも、こうして熊を前に鞭を持っているとまるで、調教師にでもなったかのようだ。


「ゴアア。ゴアア。ゴアアアア。」

 熊が威嚇しながら少しずつ近寄ってくる。嫌だなあ。この一触即発の状態。少し

の油断が命取りになりそうだし。あ、というかまた気配感知が役に立ってなかった

じゃないか。練習するって言っておきながら使ってない私が悪いのかもしれないけ

れどって今は…。ん。周囲にもう一匹いるだと。運が悪いなあ。こっちに近づいて

きているような感じだし。早くこいつをなんとかしないと。もういっそ雷獣破でも

使ってしまうべきか。


「ゴア! ゴアゴア!」

こいつも。威嚇ばかりしてきやがってもう。さっさと倒すか。よし、こっちから攻

撃をしかける!


「オラァ!」

「ゴアァアアア!」

電撃の鞭がかわされたっ! そんでもってそのまま突進かよ! くそっ! これだ

から近接系は嫌いだ! なら次は

「ゴアアアアア!」

「狐火!」

口から火を吐く私だった。ああっ、結局やってしまったじゃないか。またしても森

林火災を起こすかもしれないのに。デメリットがあるかもしれないって事で使いた

くなかったのに、咄嗟の反応で使ってしまったじゃないか。こいつめ!


「ゴウォアアアア!?」

全身に火を浴びてのたうち回る熊。その隙を見逃さず、電撃の鞭で追撃する。これ

を何発か当てればこいつも大人しくなるだろう。そのまま何度も叩きつけていく。

「ゴッゴッ!?」

「さっさと! くたばれっ!」

そういえばブッチがタフだとか言ってたし、もしかして、このまま何度も何度も叩

きつけないと倒せないんだろうか。うわぁ面倒くさいなあ。こんな奴らの相手をし

ていたら時間がなくなってしまうじゃないか。


「おい、さっさとくたばれ! くたばらんか!」

「ゴォオ! ゴオオ! ゴッゴッ!」

 これ、全然効いてないないんじゃないのか。まずいぞ。もう一匹がこっちに来て

いるのに、まず最初の一匹も倒せていないなんて。しょうがない。ここは雷獣破を

使ってとどめを刺すか。


「雷獣破!」


 私は熊に近寄り、電撃を発生させた右手を熊の腹部に押し当てた。これなら沈む

はずだ。さっさと倒れろ!

「ゴッ!? ゴアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!」

ひときわ強い絶叫が森に響き渡った。そして、熊はそのままぴくりとも動かなくな

った。よし、なんとか一匹を倒したけれど、なんかもう一匹がこっちにすごい勢い

で向かってきている。さっさと逃げよう!

 こうして、私は一目散でその場を逃げ出した。あ、アイテムが手に入るかもしれ

なかったけれど、身の危険を感じたので、しょうがないと諦めた。あぁ勿体ない事

をしてしまったかもしれないなあ。はぁ。

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