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アノニマスターオンライン  作者: 超電撃豚豚丸
第4章「人間の大陸」
277/473

第277話「サハギン戦決着」

明日追記します!

「狂戦士!」

 ブッチの全身が、赤黒く変色した。まるでさっきのサハギンのようだが、さっき

サハギンは狂戦士状態だったということか。それなら、スタミナ切れが起きたりし

そうな気がするのだが、どうなのだろうか。

 ブッチがここで狂戦士を使ったという事は、決着をつけにいくためだろうが、本

当にそれで倒せるだけ、相手を追い詰めているのか気になった。私は、自分がメリ

ケンサックを持って狂戦士を使ったことはほとんどなかったのだが、使うタイミン

グを間違えば、危うい状態になるというのは常に意識していたので、ここぞという

時しか使えないスキルだと思っていた。


 ボスを倒した後に新しいボスが出現するかもしれないという考えが私にはあるの

で、一切余力を残さないというのが不安になってしまうからだ。これも他のゲーム

をプレイしていたときの苦い思い出が理由なのだが、二連戦して勝利した後、これ

でもう終わりだと思って三戦目で全力を出し切ったら、まさかの四戦目が始まり、

そこでもう本当にボロクソに敗北してしまったことがある。なので、どうしても、

次の戦いに備えてしまうという状況になりやすいので、狂戦士というスキルは私に

はあまりあっていないと思った。だけど、ブッチなら、狂戦士はあっているんだと

思う。なんとなくだけれど、狂戦士を使っても、無理矢理動こうとするようなタイ

プだろうから。後先考えずに今戦っている相手に全力で向かっていこうとするから

そういうのにはぴったりだと思う。

 まぁこれは、私が慎重というか臆病というのもあると思うんだけれどね。


「うぉおおおお! 張り手! 張り手! 張り手! 張り手!」

「ブッ!? ガッ!? ギザマアアアア! ジネエエ!」

「邪魔! オラぁあああ! もっと反撃してこいやああああああ!」

 戦いそのものはとても地味だった。ブッチは張り手て攻撃し、サハギンは、三又

の槍と水鉄砲で攻撃する。ただそれだけだった。だが、その動きはかなり素早く、

私だったら何発も食らっていたと思う。それをブッチはぎりぎりのところで回避し

ていた。そう思っていたのだが、実際はかすったりしていたみたいで、血が飛んだ

りしているのが見えた。流石のブッチも全ての攻撃を回避できるわけじゃないんだ

と少しだけ安心したのだが、ブッチも反撃をくらってまずい状況でもあるんじゃな

いかと不安も感じた。


「ブッチ! 負けるな! いけえ!」

 ここは応援するようなところじゃないだろうと思ったが、ここでブッチが負ける

のも嫌だったので、なんとなく応援することにした。応援で勝利の行方が変わるの

かどうかなんて知らないが、それでもここは仲間として応援しようと思った。ここ

でサハギンが私達に襲い掛かってくるかもしれないと言うのがあったけれど、それ

はブッチが許さないだろうと言う自信もあったし。

「ねっこちゃんに応援してもらったからには絶対勝たないといけないな! よし、

ここは俺の必殺技を見せてやるとしようか!!!」

「アァアア!? ブザゲルナァアア!」

 ブッチがよく分からない謎の構えをとった。腰を深く落とし、真っ直ぐにサハギ

ンを睨みつけ、そして…。


「体当たりだああああああああああ!」

「グウォオオ!?」

 体当たり、それはとても単純な攻撃。体当たり、それは誰でもできるような攻撃

なのだが、それをただブッチはサハギン目掛けて放った。体当たりというのは、確

かに必殺技の一種だなあと私も思っている。漫画とかアニメでも必殺技としては定

番だし。

「オラァアアア!」

 全身でサハギンにぶつかるブッチだった。だけど、今の一発だけで倒せるような

威力だったのかは疑問を感じる。必殺技なんて言ってたけれど、本当にそんな威力

があったのだろうか。


「ブッガッ!?」

そんな私の疑問はすぐに解決した。サハギンはそのまま倒れてしまったからだ。そ

して全く動かなくなった。ブッチもその場に倒れ込んだ。どちらも全力を出し切っ

たいい戦いだった。うんうんってそんなんで終わるか。こういう時が一番危ないん

だっていうのは私は良く知っているので、すぐにブッチに駆け寄った。サハギンが

動き出してもすぐ止められるようにと、たけのこ達にはそちらへ向かわせた。さて

ブッチは狂戦士を使ったから動けないだろう。だけど、それも危険な状態だと思っ

たので、まずは薬草を口の中にねじ込んでいく。口小さいなあ。サイコロの顔のせ

いなのか知らないけれど。


「か、かっふぁよ。」

「分かってるって。先に薬草を食べきってから言いなよ。」

「がっっふぁよっ!」

「分かってるって。食べながら話すんじゃない。」

「勝ったよ!」

「分かってるって! もう話さなくていいから!」

 本当に子供みたいな奴だよなあ。実年齢が何歳なのかは知らないけれど、こうし

てただゲームを楽しんでいるところを見ると、無邪気な子供の用に見えてくる。本

当に子供だったらと考えたけれど、別にそれが何か問題になるわけじゃないから、

いいいんだけどね。

 

 <アノニマスターオンライン>だけじゃなく、オンラインゲームをプレイする年

齢層は本当に幅広い。高齢層では80歳以上というか90歳にもなる人がプレイしてい

たというのも聞いたことがある。子供は子供で3歳くらいからプレイしたとか聞いた

ことがあるけれど、実際はどうだったかは分からない。だけど、それだけ皆、ゲーム

に夢中になっているんだろう。

「今日は、強い奴らと戦えて満足した?」

「あー。うん。やっぱりねっこちゃんと一緒にいる時が一番面白いかも。んでさぁ、

やっぱりねっこちゃんって、強敵を呼び寄せてくるスキルとか持っているんじゃな

い?」

 そんなスキルは持っていない。というか持ちたくないスキルだ。敵を集めてくると

か最悪だ。経験値を稼ぐとかいう目的などがあるならまだしも、そうでもなく、単純

に強い敵が集まってくるなら、ろくなことにならないスキルだろう。隠しスキル的な

物として備わっていると言うのなら、とても迷惑な話だ。私にはそんなもの必要ない。


「そんなスキルがあったら譲りたいよブッチに。」

「くれ!」

「無いって言ってるでしょ! ほらもっと薬草をお食べ!」

更に口の中にねじ込んでいく。狂戦士をした後に薬草って意味があるのかどうかは分

からないけれど、とにかく食わせておけばなんとかなるだろうと思ったので、やるべ

きことはやっておくのが私だった。


「それにしても、帰り道で結構な頻度でモンスターに絡まれる気がする。」

 不運続きだとしか思えない。毎回強くて面倒くさいモンスターが出てくるのも、運

が悪い気がする。もう少し弱い敵が出てきてくれればいいのになあ。

「行きも帰りもでているからあんまり変わらない気がしますよ。」

 エリーちゃんから指摘される。確かに最初にここに来た時もエイだの蜘蛛だのに襲

われているな。そしてあの黒騎士。あいつはひょっとしたら今もどこかで私達を監視

しているのかもしれないな。そう考えると腹が立ってくる。

 多分、プレイヤーではないと思うが、ああいう奴の正体が判明したりすると、結構

しょぼかったりすることが多い。初めて対峙した時はこいつは強いだろうなと思って

いたが後になると、どんどん微妙な強さになっていくというモンスターもいるので、

将来的には簡単に倒せるようになるのではないか、とも思っている。


「湿地帯でも何か出てくるのかなあ。嫌だなあ。」

「何も出ない時の方がかえって怖い気がしますよ。最後の最後に凶悪なモンスターが

出てきて全滅なんてなるとトラウマものです。」

「分かる分かる! 帰り道に何も出て来なくて安心しきったところに、いきなり襲い

掛かってくる奴は最悪だった!」

なんでこのタイミングで出てくるんだっていうのをされるのが嫌なのはよく分かって

いるんだけれど、こんなサハギンなんて序の口だったりするのかもしれないな。湿地

帯や、たけのこ森林でまた強い敵が出てきたりするのだろうか。


「姉御にみんな、とりあえずここから出たほうがええんやないか? 時間が経って、

さっきみたいなのが現れたら敵わんし。」

「何を言ってるんだ! そんな面白そうな連戦だったら、ここにいる全員が大歓迎に

決まっているよ! ねぇねっこちゃん? ここは空気を読むところだよ!」

「さあて、ブッチが寝言を言い始めたし、だいこんに乗って、この洞窟からさっさと

出ようじゃないか。」

 ここは、ブッチを無視するのが正解だろう。というか今は構っている場合じゃない

し。

「ねこますサマ。ワタシモヒサビサニブタニクガタベタイデス。」

「おっ。そうだねたけのこ。いいこと言うね。」

当然生肉じゃなくて火を通した肉でね。もう始めた時のようにモンスターっぽく生肉

を食べなくてよくなったことだし、人間らしくなったんだなあ私としみじみ思う。

「むかーしむかし、ありところに、豚を生で…。」

「はい! みんな急ごう! だいこんに乗り込もう!」

そして、私達はだいこんに乗り込み、青く輝く海底洞窟をじっくりを眺めるのだった。

意外に呆気なく、その鑑賞時間は終わりを告げた。出口が目の前に出てきたので、や

っとこさ、外に出られるのであった。久々の湿地帯だなあ。よし、それじゃあ行くか

と一歩を踏み出す。


ザアアア…。外に一歩出ると、雨雲からは大粒の雨が地上に大量に降り注いでいた。

そして時折雷鳴が唸りを上げていた。えっ。何だよこの悪天候。湿地帯だからそりゃ

あ雨なんて降ってもおかしくないだろうけれど、なぜこのタイミングなんだ。ふざけ

ないでくれ。私は洞窟に後戻りした。

「なんだか、楽しみにしていた遠足の日が雨天になってクラス全員がどんよりしたと

きのような気分だね!」

「折角の楽しい気分が台無しだよチクショー!」

この悪天候の中で突っ切るのは危険だ。ということは、この雨が止むまで、私達は、

ここで足止めされなきゃいけないというわけだ。なーんでまた順調にいかないんだろ

うなぁ。

「俺の日頃の行いは、とてもいいから晴れて欲しいもんだなあ。」

「あたしも、日頃の行いは、とてもいいと思うので晴れて欲しいです。」


私だって晴れて欲しかったっての! なんでこんな悪天候なんだよっ! くそぉ!

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