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アノニマスターオンライン  作者: 超電撃豚豚丸
第4章「人間の大陸」
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第276話「ブッチVSサハギン」

 のたうち回る巨大サハギン。ブッチは、なおも腕で巨大サハギンの首を絞めつけ

ていた。だが、このまま倒せるのだろうか。首絞めで窒息させるなんて上手くいく

とは思えない。相手は人間じゃないわけだし。

「んぎぎぎぎ!」

「うぉおおおお! 無駄な抵抗はやめろ! こんにゃろ!」

 たまに、片手で巨大サハギンの頭を殴りつけるブッチだった。巨大サハギンは一

瞬よろめき、また少しすると暴れだそうとする。

「動くな! 動くんじゃない! あっこいつっ!? オラッ!」

拘束されている中で無理矢理動こうとすると体力をごっそりと持っていかれことだ

ろう。だが、巨大サハギンはそれでも暴れるのをやめようとしなかった。

「グォオオオオ!!」

「うるせえええええ!」

 頭を起こそうとした巨大サハギンに思いっきり張り手を食らわせるブッチだった。


「こっちはなぁ。長期戦を覚悟しているんだぞ。お前、あっさりと俺から逃げられ

ると思うなよ! たっぷり可愛がってやるんだからよぉ! ぐへへ。」

 悪人だ。どっからどう見ても悪人だろう、その台詞は。じわじわと苦しめながら

倒すとでもいうのか。

「ブッチ殿。大丈夫なのでしょうか。マスターとガーゴイルの後に、あのようなサ

ハギンと戦って、大分消耗しているのでは。」

 ここでみんなが黙って観戦しているような状態になっていたところで、くろごま

が口を開いた。なるほど。確かにそうだよ。今日は結構戦っているはずだ。ブッチ

と言えど無尽蔵に元気ってわけにはいかないのではないか。実は無理をしているの

ではないだろうか。


「ありえるけど、ここで邪魔するわけにはいかないね。」

「そうですよね。すごい楽しそうですし。この間までは退屈そうだったのが嘘みた

いです。」

 ずっと神殿で面白くない戦いをしていたのだろうから、ここで発散させてあげな

いといけないだろう。ここで私達が手を出したら、不完全燃焼になりそうだし、余

計な事をせずに見守るのが良さそうだ。とはいえ、どうにもならない状態になった

のなら素直に助け船は出すつもりだ。

 それよりも、警戒しなきゃいけないのが、黒騎士だ。前回来た時に突然出てきた

あいつが何者なのかは分かっていないわけだし、今回もここで現れたりしたら、大

惨事になりかねない。


「余計な手出しをしてくる奴がいたら制裁するけどね。」

あいつがどこの誰かは分かっていないが、舐めた真似をしてくるのなら容赦はしな

い。私も多少、本当に多少強くなってきているはずだからなんとかなると思うし。

あっ、でもブッチが黒騎士と戦いたいとか言い出したらやばいだろうから、そこは

なんとかしたいないといけないかな。なんて考えていると。


「ウッォオオオオオオオオ!」

咆哮を上げ、巨大サハギンはついに、ブッチの拘束から逃れ、立ち上がった。おい

おい、ブッチやっぱり疲れてきているんじゃないのか。大丈夫なのか。

「デメェ! ジネエエエエ!」

巨大サハギンは口と両手から猛烈な勢いの水をブッチに向かって飛ばし始めた。あ

あなんだ、こいつそういう事もできたのかと思ったのだが、それをまたしてもブッ

チはかわし、巨大サハギンに向かってスライディングをした。

「懲りない奴だな!」

 股下で頭突きを食らわせる。これまたワンパターンだ。何回繰り返すんだと思っ

たが、粘り強くしつこく攻撃を仕掛けていくのがブッチなので、いつものことだっ

た。そして、背中に周り再度攻撃を繰り出そうとするブッチだったが。


「ジネエエエ!」

突然振り返り回し蹴りを放つ巨大サハギンだった。これはブッチも直撃を食らって

しまったんじゃないかと思ったが、そのまま巨大サハギンの足を掴み取った。

「グヌアア!?」

「くらええええ! これがああああ、ジャイアントスウィングだぁああああ!」

姿勢を崩した巨大サハギンの足を持ち、そのまま回りだすブッチ。更に、もう片方

の足も掴み取り、ぐるぐると回りだした。

「ウォッ!? ギザマッ!?」

「飛んでけえええええ!」

そのまま、巨大サハギンを壁に向かって放り投げたのだが、投げ終わった直後には

もう走り出していた。追撃するつもりだろう。


「うぉあああ。ズアッ!」

 飛ばされながらも、手から水流を発射する巨大サハギン。吹き飛ばされた勢いが

低下し、壁への激突を避けることに成功した、ところでブッチが追い付き、腹に張

り手を何発も放っていた。

「オラオラオラ!」

「ナゼダァ!? ゴンナヤヅニ、オレガアアアア!?」

 本当になんでなんだろうと思う。私と戦っていた時は手加減してくれていたとし

か思えない。なんで攻撃を当てられないんだろう。おかしくないか。一回も攻撃が

当たらないっておかしいだろう。というか最初にブッチに出会った頃は、まさかこ

こまで出来るようになるなんて思わなかったのだが、すごい成長していないか。こ

んなに強くなるなんておかしいだろう。


「ユ。ルザン! ジンノズガタヲ! ミゼデヤルウウ!」

「やっと本気かぁ。遅かったなぁ。早くしてくれ。」

そういえば、このゲームのボスって体力が落ちてくると強化されるタイプが多いの

で、ブッチもそれを見越していたということか。ここからあの巨大サハギンの本気

が見られるという事か。


「ギアアアアア!」

巨大サハギンが、縮んでいく。より大きくなるのではなく、縮んでいく。そして、

体の色が赤黒く変色していった。見た目としては、普通のサハギンサイズになった

が、巨大化したというのに、最後は小型化するというのはなんとも言えなかった。

だけど、最終的に小型化した奴って動きがものすごい素早くなったり、物凄い強化

されるんだよな。

「スイホウ!」

「やっべっ!?」

小型化したサハギンは指先から水鉄砲を飛ばしたのだが、それがものすごい小さい

ものだった。そしてそれは、ブッチのサイコロ顔の頬をかすめると、血が噴き出し

ていた。

「うわー! くっそ! 攻撃が当たっちゃった! 油断しちまったー! あぁああ

すっげー悔しいい! うあああああ! マジかよ! うあああああ!」

若干それに苛ついているような声を上げるブッチだった。かすったくらいでそこま

で騒がなくてもいいじゃないか。私の攻撃だって当たってくらいなんだし。


「俺も、ちぃとばかし怒ったぜ。へっへ。マジで行くか。」

 あ、小学生男子が本気出すとか言い出すときと同じようなノリだ。別にどこも変

化していないし、ただの強がりだな。さっき攻撃が当たってしまった事が悔しくて、

絶対叩き潰すという意志の表れなんだろうが、わざわざそこまで宣言しなくても良

かったのではないだろうか。

「ギギ!!」

ブッチが騒いでいる間も、サハギンは攻撃を仕掛けていた。先ほどと同じ水鉄砲だ

が、これはあれだ。ウォーターカッターとか言う奴だな多分。水を高圧縮して放つ

と、鋼鉄さえ切れてしまうっていうあれを、このサハギンはやってきたのだろう。

かなりの勢いで飛ばしてくるので、先ほどは当たってしまったということなのだろ

う。だが、今度はその攻撃を避けることができたみたいだ。ブッチはウォーターカ

ッターを放ってくるサハギンの動きを見切っているかのように近づいていく。


「おいおい、もっと早く仕掛けて来いよ! こっちは本気になっているんだからも

うあたりやしないぞ! 早く! もっと早くだ! 遅すぎる! 遅いぞ!」

その宣言通りというか、サハギンがウォーターカッターを連発してきても今度はそ

れを普段通り容易く回避するようになった。え、本当に本気を出している状態って

ことなんだろうか。あんな本気を出すなんて、私との戦いの時はそこまでじゃなか

ったんじゃないのか。結構真剣に戦っていたと思っていた私が馬鹿だったのか!

こんな素早い動きができるなら、私と戦っている時も、ってあれ、この動きだった

ら私も見たような気がする。ということはええいもういいや。


「というわけで張り手っと。アブね。」

張り手を食らわせようとするブッチに、サハギンがいつも持っている三又の槍で反

撃をしかけてきていた。それを咄嗟の動きでかわすブッチ。あれぇやっぱりこれま

では舐めたプレイでもしていたんじゃないのか。

「なかなか面白いことをしてくれるな。今日は本当に楽しいな!」

うん、楽しそうなのは良いけれど、絶対勝ってくれよブッチ。

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