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アノニマスターオンライン  作者: 超電撃豚豚丸
第4章「人間の大陸」
272/473

第272話「我慢」

いつもありがとうございます。誤字報告をしていただきありがとうございます。

遅れましたが本日適用させていただきました。

今回の分ですが、明日、追記します。よろしくお願いいたします。

8/21 追記しました。



 オンラインゲームで人間関係の揉め事というのを何度も経験してきた。オンライ

ンゲームは、その性質上、時間を要するものが当然で、それにはまるプレイヤーは

ログイン率が高くなるから。その結果、ログイン率が高くなる者同士は必然的に顔

合わせすることも多くなるので、一度いざこざを起こしてしまえば、何度でも衝突

する結果になる。

 私も特に何かしたわけでもないのに、延々と過去の事をほくじり返されて、ねち

ねちと言われ続けたことがある。そういう面倒くさい事を言うのが、さっきのよう

な連中だ。


「ふぅ。」

正直ああいうのは終わってしまえばどうということではない。よくある事だったの

で、今さら同じような事があっても平気だ。襲い掛かってきたらどうしようかと心

配だったが、ちょっとした攻撃を食らった程度だったら別に問題にするまでもない。

が、念のため薬草は食べておくことにした。あっ、でも薬草は消費することになっ

たじゃないか。ここは腹が立つな。

「…なんか悔しいです。」

エリーちゃんは起き上がると悔しそうにしていた。気持ちは分かる。私もオンライ

ンゲームをプレイし始めたころは、同じように思ったし。


「あー。えーっと。」

ここで、私は、エリーちゃんにメッセージを送ることにした。ここで声に出したく

無かったというのがあったからだ。あいつらはこの場から消えたが、本当に別な場

所に転移したのかどうかは分からない。ここで私達があいつらの愚痴を言ったりす

るのをこそこそ隠れて聞いているかもしれない。なので、ここでは話さないように

ということを伝えた。


エリーからのメッセージ:あの人たち。何を言ってるのかさっぱり分かりませんで

した。話が通じないと言うのがこれほどまでに困ることだと思いませんでした。こ

れならNPCの方がよっぽど人間らしいと思いますよ。


 私もそう思う。会話が成立しないというのがそもそもおかしいし、何をどうした

いのかを言わずに、ただ相手に自分の考えを理解しろと押し付けてくるそのやり方

はまるで共感できなかった。私生活ではどんななのかがすごい気になる。ゲーム内

だけでああいう態度なのかは分からないけれど、現実に同じような事をやったら、

まず間違いなく無視されるだろう。いや、なんでわざわざあんな事するのかは本当

に分からないんだけれどね。


マブダチからのメッセージ:終わったー! よっしゃー! 今からそっちに行く!


なんてブッチから丁度よく連絡が来たのだが、今のタイミングで来ても大丈夫なん

だろうか。あいつら潜伏していたりしないんだろうか。というのが気になったので

このあたり一体に隠れていないか探してみることにした。透明な何かがあったり、

何か変な現象が起きないかだけ確認する。


エリーからのメッセージ:あたし達は先に樹海に行きませんか? ブッチさん達と

合流するよりもいいと思うんですが。盗聴器みたいなのを取り付けられているかも

しれませんし。


 なるほどなあ。盗聴器か。ありえそうだ。殴られた時に仕込まれた可能性も考え

られるので、注意しないといけないな。それを考えたら、私達だけ先に行くという

のもいいだろう。というわけで、ブッチにはそのように伝えておくことにした。

 一通りあたりを確認した後で、転移陣のところに移動することにしたが、私は場

所をよく覚えてなかったので、エリーちゃんに案内してもらうことにした。ブッチ

達と大分うろつきまわっていたみたいなので、場所は覚えたとのことだった。そし

てある程度歩いたところで、盗聴されても問題ない内容は会話することにした。


「もう少しです。」

「結構遠いね。こんな遠かったっけ。」

「ええ、気が付いたんですけれど外から見える外見と中の広さってあっていない感

じなんですよ。不思議ですよね。」

「そうだね。空間が歪んでいるとかなのかなあ。」

 町の中も外観とサイズが違うし、やっぱりそういうものなんだな。これは今後要

注意だなあ。あまり広くなさそうだし、簡単に攻略できるかもなんて思っていたら、

実は内部はとてつもなく広かったなんてなったらたまったもんじゃないし。最初か

ら想定以上の大きさだということを念頭に置いておくとしよう。


 さて、ここからエリーちゃんがひょいひょいと移動していくのだが、この間、モ

ンスターと一切遭遇しなかった。一体どうしたんだろうか。何らかのモンスターが

出てきてもおかしくないと思うんだけどな。ブッチが絶滅させてしまったのかとす

ら思ったが、理由は分からない。

 プレイヤーについては、退避命令みたいなのが出たか、あるいはあのガラの悪そ

うな連中が来ると知ったプレイヤーが撤退していったかだろう。私だって、事前に

情報があったらここには来ていなかっただろうし。あいつらって悪評がついている

気がする。恐らくネットで悪い意味で話題になっているんじゃないだろうか。


「来ましたよー。」

「おっ。来た時のままだなあ。」

移動してきた部屋の奥に転移陣があった。はぁやっとここまで来たよ。なんで帰ろ

うとしているだけでこんなに大変な思いをするんだろうか。思えば、帰り道はいつ

もろくな目に遭ってない気がする。あっさりと返してくれないのか。まるで帰りは

アイテムが出てくれないローグライクゲームでもやっているような気がしてきた。

さてと、これで私とエリーちゃんは先に帰れるけれど。ブッチ達も急いでこっちに

来ているだろうから。すぐに合流できそうかな。


「よし、じゃあ先に行ってようか。」

「そうですね。魔力供給については、サンショウさんに任せればいいですし。」

「あ。魔力供給なんてすっかり忘れていた。そうだったね。無いと転移する事がで

きなかったんだもんね。」

本当に頭から抜け落ちていたよ。こういう所が駄目なんだよなあ私と思ったが、な

んでもかんでも覚えられるわけでもないので、これくらいどうってことないはず。

あれ、でも魔力と言えば、吸魔石にエリーちゃんやサンショウの魔力を込めて貰う

とかできるのかな。今度やってみてもらおうかな。それが利用できるのであれば、

私やブッチみたいに魔力が無いプレイヤーでも転移陣が発動できるだろうから、便

利になるはずだ。


「ねこますさんも忘れたりするんですねえ。」

「記憶力はそこまでじゃないよー。覚えてられたらいいんだけどね。」

「そうですよね。あたしも結構忘れたりすること多いですし。よし、準備OKでした

ら起動しますー。」

「おーけーおーけー。」

「転移陣起動!」


 転移陣の中が光で包まれた。すると、即座に樹海に移動してきた。早いなあ。こ

んなにあっさり行くと何か変な気分になってくる。そして私は今閃いたことがあっ

たのだった。


「今考えたんだけれど、この転移陣の模様を真似してみたら、転移陣として利用で

きたりしないのかな。」

 そう簡単に上手くいくわけがないと思ったが、試していない事なので、意外とで

きるのではないかと思った。とはいえ、全く同じ模様にしたら、この模様のある場

所が3か所になるということになるので、何か問題が発生するかもしれない。仮に

それをやってしまってこの転移陣が使えなくなったら困るので試したくはない。し

かし、移動がとても楽になる事は確かなので、今後こういう模様と転移陣について

調べていきたい。


エリーからのメッセージ:まだ盗聴されている可能性も捨てきれないのでこちらで

連絡します。魔者の大陸とこちらの大陸を繋ぐのはあまり、得策じゃないと思いま

す。他人に悪用されてしまうかもしれないですし。


 あっ!? いけないそうだった。うっかり話をしてしまいそうだった。もし転移

陣の模様を真似するだけで移動できてしまうなら、まずいところだった。そして今

はっきり分かったのが、私達のうちの誰かが狙われて魔者の大陸に他のプレイヤー

を誘い込んでしまったら、色々とまずいことになるということだ。

 私の大事な薬草が奪われてしまうじゃないか! そんなのは断じて許されない。

私のためにある薬草が。私としては売るよりもまずは自分が持つ事が優先なので、

もしもそこが占拠されたりしたら、とんでもない! ええい。認識が甘かったぞ私!

仮にあいつらみたいな奴が私の領域に攻め込んでくるとしたら、絶対に許さん! 

そう考えると段々腹が立ってきたな。自分に。危なかった。これはエリーちゃんに感

謝しないといけないな。


「あぁごめん。ありがとう。それで、私達先に戻っていればいいのかな。」

「そうしましょうか。ってあ。」

転移陣が光り、次の瞬間、ブッチ達の姿が見えた。結構早かったな。


「おーし。追いついたぁ! んでえーっと。」

ブッチが私とエリーちゃんを凝視している。どうしたんだ。


「うーん。特に何もされていないんじゃないかな。俺の目で見てみてるけど、怪しい

ところはないし。」

「どこに目をつけているんだ。っていうか何をしているんだ。」

「サイコロに目がついているんだよ! じゃなくて、俺、色々目で見切ったりしてい

るんだけれど、何か違和感があれば、なんとなく分かるんだよね。状態異常みたいな

のになっていないかどうか。」

初耳だ。どれだけ優秀な目なんだそのサイコロの目は。おかしいだろ。

「ああごめん。正確には、サイコロの一の目が正面にあるときだけだね。実は他にも

位置によって効果があったり…。」


何それ面白っ!? そういう面白そうな事を今さら言ってくるとか! どういう事な

んだ。サイコロプスってただ顔がサイコロになっているだけだと思っていたけれど、

そういう特殊能力があるとか楽しそうだなあ。

「首の部分にあるサイコロの目はどうなるの?」

首は丁度サイコロの中央と接続されている。なので首の部分の目が隠れてしまうとい

うのがあるはずなので、今さらながら聞いてみた。

「目を一にしたら何も見えなくなるね。目が二だと斜めなので見えたり。おっとここ

から先は企業秘密にしておこうかな。ふっふっふ。」


こ、こいつぅ! いつもはくだらないギャグを披露する癖に、こういう時の面白そう

なことは喋られないとか何なんだ!

「まぁそんなわけだし、次は洞窟まで行くとしようよ。」

「えー。答えはCMの後だよ的な感じはないんですか? あたしも気になりますよ。」

「今は番組中だからないねえ。まっ、そのうち話すよ。とりあえず洞窟まで行かない

とまた時間を無駄にしそうだからね。ねっこちゃんも早く帰りたそうだし。」


そうだった。余計なことに時間を費やしてしまったがさっさと帰りたいので、さっさ

と行くとしようじゃないか。

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