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アノニマスターオンライン  作者: 超電撃豚豚丸
第4章「人間の大陸」
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第270話「追跡」

お暇な方は評価、ブックマーク等お願いします。

マブダチからのメッセージ:今一匹倒したところだよ。あと二匹かと思ったら三匹

目が潜伏していやがって結局まだ三匹相手にしている! 強そうなプレイヤーとか

願ったりだ! 全員まとめてあの世に送

 途中で途切れてやられたかのように見えたが、多分大丈夫だと思う。なんか余裕

がありそうな気がしたし。っていうか四匹目とかふざけるなレベルなのによくやる

よなあ。

「あいつらが正面の入口に来ないようにすればいいってことになるから。探索が終

わったり飽きたりして戻ろうとしたら出来るだけ足止めできればいいってことにな

るね。」

「ねこますさんなら薬草とか渡してささっと終わらせようとしそうですけど、簡単

に渡したら駄目ですからね。いかにも横暴そうなプレイヤーに思えましたし、今回

が良くてもその後に揉め事がありそうなので辞めてください。」


 うっ。実は、なんとなくいい案かと考えていたことを釘をさされてしまった。だ

けどそれくらいしか思い浮かばないんだよなあ。どう足止めしろって言うんだ。ま、

まさか、いや、それだけはないだろう。

「女性プレイヤーは一人だけでした。しかも、なんだかあまり好かれている様子が

ありませんでしたし。あたし達が媚びを売るような態度をすれば多少は足止めがで

きると思います…。ねこますさん?」

 嫌だぁあああ。私はそういうのが苦手なんだぁ。滅茶苦茶苦手なんだぁ。そんな

どうやって媚を売れって言うんだ。


「え。ねこますさん?」

「ああ、ちょっとそういうのが苦手で。胃が痛くなりそうな感じが。だってその、

私が、うふーんみたいなこと言ったらねえ?」

「え、何ですかそれ。」

「いやもう何でもない。分かった。やれるだけやってみようじゃないか。そういう

事にならなきゃいいんだけれど。」

「ねこますさんは、そういうのも簡単にやれそうな感じがしたんですが…。」

 そんな、何でもできるような女じゃないんだよ私は。凡人というか駄目人間とい

うか、ゲームばかりやってきているので、そういう接待系はあまり得意じゃないん

だよ。だから期待されても困るっての。


「こういうのなら出来るんだけどね。こんにちは。私はねこますって言います。み

なさん強そうですね。どうしてここまでいらしたんですか?」

手と手を合わせてそれっぽい仕草で仕事をしているようなノリでやってみた。こう

いう感じなら出来るんだ、こういうのなら。

「いいじゃないですかそれ!」

え?

「なんだぁ。やっぱり出来るじゃないですかねこますさん。そういうのも得意だっ

たんですね。心配して損しましたよ。」

待て、今のは、お仕事モードというか、そういう感じでやってみただけの事なんだ

よ。誤解されては困る。今みたいなのをやれと言われても。

「で、出来ないって。今のはお仕事モードみたいなものなの。」

「え? だからそれをすればいいじゃないですか。」

「仕事じゃないことに真剣になれないよぉ。」

 給料が貰えるからできる事であって、給料が貰えずにあんなのを演じろとか本気

で無理だ。嫌だ、そんな媚び媚びな態度をしたくない!


「あ、なんて言ってるまに距離が広がってまずいですよ。」

「ああ、そうだった。まずは追いかけよう。」

現実逃避したいが、ゲームをやって現実逃避しているようなものだから、おかしな

事になっているなあと思う。急いで連中を追いかけていくが、何かやらかすとかは

ないようで、ただ話し声だけが聞こえてくる。なんであんなに大きい声で話すのだ

ろうか。余裕の表われなんだろうか。私達はずっと小声で話していると言うのに。


「はぁー。マジ何もいねえし。誰だよここに凶悪なモンスターがいるとかホラを吹

きやがった低能は。使えねえ奴だな。」

「正しい言葉を使わないからそうなるんだよ。」

「あ? 何だと?」

「間違った言葉遣いをしているからそうなると言ってる。」

「意味わかんねーこというな。」

「終始 あたまのおかしいことを いってるのは お前」

「うるせえなあスペース。お前はいつもくそうぜえよなあ。」

「黙れロウ。ゴミが喋るなと言ってるだろ。」


醜い言い争いが続いていた。はっきり言ってもう近づきたくない。なんなんだこいつ

ら。ずっと文句ばかり言っている。いや、それとも何か。これがこいつらなりのコミ

ュニケーションというか、仲良くしているつもりなのだろうか。


「サイコロの化け物というのが本当かどうかが分からないんですよね。幻覚魔法か何

かをかけられていたんじゃないかと思います。ああ、情報提供者を疑っているわけで

はないんです。そんな失礼な事を私はしたいとは思いませんから。ただ…。」

「君は いつも 言い訳がましい」

「お前ら。ワイは横綱やで。ワイの言う事を聞かんかアホども。ええか。お前らは正

しい言葉を使ってればいいねん。」

 意味不明な話が始まっている。だめだ、こいつらもしかして私達がいることに気が

ついていて、わざとおかしな話をして混乱させようとでもしているんじゃないだろう

か。すごい不気味過ぎる。近寄りたくない。


「あの人たち噛み合ってないですよね。」

「うん。言ってることがよく分かんない。」

あんなこと言い合っていて楽しいんだろうかと思うが、そういうゲームプレイングだ

ということも考えられるといったら考えられるだろう。だけど、こんなに言い争いを

していて、モンスターが出てきた時なんかに連携が取れるんだろうか。こんなに噛み

合ってないけれど、戦闘になったら噛み合うみたいなそういうタイプだったら嫌だな

あ。


「サイコロの化け物がいるなら、とっとと出て来やがれってんだ。こんな所までわざ

わざ出向いてやってきてるっつーのによぉ。本当なら今頃、別なダンジョンの攻略で

もやってたのに低能ギルド職員共が。」

「ダイス。」

「あ?」

「サイコロじゃなくてダイスが正しい。」

「意味不明なこと言ってんじゃねえぞパーリー。」

「間違った言葉を使うなと言ってる。」

「うんち。」

「それしか喋れねえのか低能が。」

ため息しかでない。こんな奴らとは一刻も早く離れたい。ブッチの状況はどうなって

いるだろうか。


メッセージ:残り2匹。1匹はサンショウ達に譲って、残りは俺が片付けることにした。


 よし、あともう少しだな。これならなんとかなりそうだ。なんて思っちゃいけないか。

こいつらだったら、一瞬で入り口に戻る事ができたりするかもしれないし。ってそんな

事になったらすごいまずいんじゃないだろうか。


「あぁー。もうこの神殿ごとぶっ飛ばせばよくねえか?」

「それじゃあ報酬が貰えないし、ここに来た意味もなくなるぞ。」

「こんな場所まで わざわざ来て 手ぶらで帰るのは 馬鹿のすること」

 ブッチの事がどれだけ話題になっていたんだろうか。この神殿内で暴れまわるにして

も無差別に襲い掛かったりはしないと思うんだけどなあ。ああ、逆に襲い掛かってきた

から反撃しただけってことか。それだと正当防衛ってことになるんだろうけれど、モン

スターは全て敵みたいな認識のプレイヤーばかりだろうから、単純に暴れ回っていると

だけ伝わってしまったんだろうなあ。

「大暴れしているモンスターって聞いたっつーのによぉ。俺たちが来たら逃げちまうっ

てのはただの臆病者だったってことだな。これだから低能は。」

「そうだね。みんな、うんちにびびったんだね。」

「それは たしかに みんなが びびる おっと ちかよらないでくれ」

「どこかに隠れているかもしれんし、徹底的に探そう。ワイらが帰った後で、また出現

したとかなったらたまったもんやないしな。」

「お前が仕切るな低能パーリー。他の奴らもだ。俺がこのチームのリーダーだ。


 低能とかずっと言い続けているこいつがリーダーってことか。でもなぁ発言内容がそ

こらのチンピラみたいな感じで、微塵も強さを感じられないぞ。油断しないようにする

けれど、どうにもなあ。


「おいロットガール。お前が情報を調べてきたんだろ。なんでここにサイコロのモンス

ターが出てこないのか教えろよ低能。」

「それが人に物事を頼むときの態度ですか?」

「あーうっぜ。いいから黙って俺の言う事を答えろよ。サイコロのモンスターは本当に

ここにいると思うのか?」

「ええ。そうでなければ噂にはならないでしょう。目撃者の言う事は正しいんですよ」

だけどモンスターがいつも同じ場所にいるとは限りませんし。きっと、どこかにはいる

と思いますよ。いなかったら、嘘をついた人たちが悪いことになりますし。まずは徹底

的にサイコロのモンスターを追い詰めましょう。」

 こいつらの目的はブッチの討伐か。……あれ? ブッチが討伐されたらどうなるんだ

ろう。デスペナルティがあったとしても、また復活するわけだから、今ここで、何度や

られようが、大きな問題は起こらない気がした。あ、私の評価とかはどんどん下がって

いきそうだな。これも仕方がないか。


「ねこますさん。私もう帰りたくなってきました。こんな強そうな連中の近くには近寄

りたくないですよぉ。」

「私だって我慢しているし、エリーちゃんも我慢して。今ここで登場したところで何も

良いことなさそうだし。」


肉体的な我慢よりも精神的な我慢のほうが堪えるなあ。もっと強くならないと駄目な雰

囲気も楽しい未来もなくなってしまう。そこは諦めないようにしないとな。


マブダチからのメッセージ:ようやく全部倒した! というわけでねっこちゃん達に合

流して、その後は樹海に帰ろう。


よ、よし、運が向いてきた気がする。後はこいつらが消えてくれれば一番いいだろうけ

れどそんなことはなさそうか。よし、いつでもブッチにメッセージを送れるようにして

おいて、大体この辺りだよってところも連絡しておくか。


「ふぅ。こういう緊張感を持つのが大事なのかなあ。」

「ねこますさんは、もうちょっとのんびりしてもいい気がしますが。」

「のんびりなんてとんでもない。私も頑張って戦い続けないと、どんどん下手になって

いってる気がするし。」

格闘ゲームなんか、一日でもさぼったら感覚を忘れてしまうんじゃないだろうかという

のと似ている。私も最近は戦いもさぼりがちだったので、そこら辺も改善したいところ

だ。でもそれは後でだ。今は今できる事に集中しよう。

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