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アノニマスターオンライン  作者: 超電撃豚豚丸
第4章「人間の大陸」
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第263話「ゴーストロガノフ」

マブダチからのメッセージ:そのクロウニンと戦いたい。神殿はもう飽きたよ。こ

この敵じゃもう肩慣らしにもならない。


やる気満々のブッチだったが、神殿でうんざりしてしまったようだ。だがしかし、

ここでブッチにふさわしい相手を準備してあげることができたようだ。それが私の

後ろにいるクロウニンであるゴーストロガノフだ。でも見た目的には結構弱そうな

感じがするなあ。短髪で眼鏡をかけてなんかワイシャツに蝶ネクタイみたいなのつ

けているもやしっぽい青年だが、うーん。直接戦闘型じゃないってことなのかな。


「ふっふっふ。ブッチが来るのが楽しみだなあ。」

「いいですか? 危機が間近に迫っているんですよ? それでもあなたは。」

危機がどうのこうのとか、まだ言ってる。折角VRゲームをのんびり楽しんでいるん

だからそんな切羽詰まった話を私なんかにしないでくれと言いたい。というかそう

いう話をするなら勇者とかじゃないのと思う。このゲームに勇者なんて職業がある

のかどうかも分からないけれど、そういうエリートっぽい感じのがいそうだし、そ

うじゃなくて、やり込みプレイヤー、所謂廃人とかいう連中がいるくらいなのだか

ら、そいつらに、そうだよ! 何度も思うがそういう奴らに危機を救ってもらえっ

てんだ。


「姉御、ストレス溜まるかもしれんがここは我慢やで。」

ぼそぼそとだいこんが呟いた。その通りなんだけれどこのゴーストロガノフは、私

をイライラさせるのが上手い。わざとやっているんじゃないかと思うくらいに私の

神経を逆なでしてくる。もういっそ最初から攻撃でも仕掛けて来いと思うんだけれ

ど、そういうこともないし、なんなんだろうなあこいつ。

「もうちょっと、もうちょっと我慢すれば、この辺りにブッチ達が来てくれるはず

だから。そしたらこんなのから開放されるから。」


 そういって自分に言い聞かせた。それにしても、危機がどうのとか言われても全

然実感がわかないもんだなあ。この世界の危機なのですとか言うRPGって結構あった

気がするけれど、そのせいかもしれないな。世界っていつも危機に瀕しているじゃ

ないかって、だったらいっそ滅んでしまってもいいんじゃないのって思う事も多々

あった。だって、それが自然に淘汰されるってことだと思ってきたし。人類以前に

地球を支配していた種族がいたように、何らかの種族が出現したら、それらにとっ

て代わられてもしょうがないんじゃないかって思うんだよね。


「まだ来ないかなあ。まだかなあ。」

「ねこますサン。ブッチ殿もそう簡単にこれないと思いますが。」

「分かってるけど、すごい待ち遠しいよ! いつもはウザイって思うのにね!」

戦闘面では頼りになるので、今ここにいるゴーストロガノフも、ちょちょいとやっ

つけてくれるに違いない。それに戦いが大好きなようだから、クロウニンとかいう

なんか強そうな奴相手にも、率先して戦ってくれるだろうから期待している。ブッ

チにはこいつを何としても倒してもらわないといけない。


「ウザイとか酷くないねっこちゃん!?」

「おおーやっときたかー心の友! マブダチよぉー!」

ここは、大袈裟に言っておく。いや、大体これでいつもオーケイなのでこう言って

おいただけなんだけど。

「おぅ。マブダチ登場! で、えーと。クロウニンってのはどこに?」

「そこにいる眼鏡かけた奴。」

「え? どこ?」


あたりをきょろきょろと見渡すブッチだった。いや、目の前にいるだろうと言いた

くなったのだが、それが見えていないと言った感じだった。えーとこれは。つまり

…。そ、そういうオチかあああああああああああああああ! くっそやられたッ!

こいつやっぱり幽霊か何かだったってことじゃないか! これ実態じゃないって事

じゃないか。くそー! 何で気が付かなかったんだ。そうだよ、よくあるオチじゃ

ないか。ああ、すげー腹が立ってくる。となると、なんだ? こいつの姿と声は、

私にしか見えないし聞こえないってことか? あ、でもサンショウ達には見えてい

たし。ん? どういうことだ?


「ねこますさーん。」

そこでエリーちゃんやたけのこ達、他のももりーずVのメンバーが来たので話しか

けてみる。

「あ、エリーちゃん。ちょっといい!?」

「はい?」

「そこに眼鏡をかけた男がいるんだけど見えない?」

「……。どこにいるんでしょう?」


エリーちゃんには見えていない。じゃあ次!

「たけのこにくろごま! そこに眼鏡をかけた男がいるんだけれど見えない!?」

 同じことを聞くのもなんだけれど、これで見えたり見えなかったりするのかを確

認したかった。

「アノ、ドコニイルノデショウカ?」

「あの、どこにそんな人が?」

やっぱり見えてねええええええええ! ということはあれだ。私達三人がこいつか

ら呪いみたいなものをかけられてしまったせいで見えてしまっているってことじゃ

ないか。くっそーやられた。なんてこった。私達だけが見えるクロウニン。ゴース

トロガノフってことか。


「ちょっと見ててね。えいっ。」

「ぐぼっ!?」

眼鏡の男に体当たりして転ばせてみた。すると、何かが倒れる様な音が聞こえる。

これなら理解して貰えただろうか。

「…つまり、何かいるってことだねー。でも俺らには見えないと。あーくそう。俺

も戦ってみたかったのになあ。ねっこちゃんばっかり狡い!」

「私はむしろ戦いたくないよ。なんでこんなことになるのか分からない。」

どうせならブッチがいるときにとり憑いて欲しかった。なんでよりによって私達な

んだよ。あーもう、こいつ私達だけで倒してしまえばいいんじゃないのか。


「やれやれ。どうやらあなたは私を倒せばそれで終わると思っていたようですね。」

「もうここで私がお前を倒すしかないって事だと思ってるよ。」

「はぁ。いいですか、何度も言ってますが、あの街に危機が訪れています。それを

解決しない限り、私は消えません。」

「いい加減にしろ!!」


 私はブチ切れてしまった。なぜ楽しくやっていたゲーム内でこんなストーカーな

んかに粘着されなければいけないのか。しかもゲーム内のキャラクターにだ。まだ、

プレイヤーだったら通報してなんとかなったかもしれないのに、NPCなんかにここま

でされたらどうにもならないだろう。ふざけるなと。いや、それともこいつも通報

でもすればなんとかなるのか、ならなそうだ。だったらここで今決着をつけるしか

ないんじゃないのか。


「好き放題言ってるんじゃない! 魔者、魔者と馬鹿の一つ覚えみたいに言いやが

って! 魔者しかできないとか思い込んでいるだけだろ! そんな誰かにしか出来

ないことを言うんじゃない! あの街にいたはずの他の奴らは私よりも相当強い奴

らがうじゃうじゃいるんだよ! なのに魔者じゃなきゃ駄目とかそんなことが通じ

るか。魔者が凄かった時代なんて終わっているんだ! だからさっさと街に戻って、

強そうな奴に助けてもらえ!」


「いえっ!? ですからっ! あなたにしかできな。」

「んなわけないって言ってるでしょ! そんなもんなんとかできるの! 試しに頼

んでみろ! それで出来なきゃ私に言え!」

「うぐっ!? これは、魔者の威圧!? くっ。」

 何が魔者の威圧だ。普通の威圧だっての。全くもう、ここまで言わないと分から

ないのかこいつは。


「で、では、あの街にいる者でなんとかならなければあなたに頼めばいい、そうい

うことですな?」

「そういうことだよ。初めからそうやっておけ。」

「分かりました。そこまで言うならやってみましょう。どうせ犠牲がでるだけです

が。」


 そんなことにはならないと思っている。私が、ここまで自信を持って言えるのに

は理由があるからだ。私はオンラインゲームをこれまで沢山プレイしてきた。その

中でも、必ず尋常ならざるプレイヤーが存在してきた。そのプレイヤー達は不可能

と言われたことに挑戦し続けたし、無理な事があると聞くと、なんとかする方法を

探したものだった。それこそ運営さえ想定しなかったプレイで対応したことだって

多々あった。そういうところなんだ。

 

 なんとかならないというのはありえない。私はそこまで上級のプレイヤーではな

いので、諦めてしまうかもしれないが、熱狂的なプレイヤーは諦めるなんてことは

絶対にしない。そんなことは受け入れずに、絶対に攻略の糸口を掴む。どれだけ苦

しもうが何度も挑戦して、何度失敗してもめげないという強靭な精神力の持ち主だ。

生活に支障がでるレベルでやる人だっているくらいだし、それを考えると、私なん

かは相当下っ端のプレイヤーでしかない。だから何度も口を酸っぱくしてゴースト

ロガノフに言ってたのに、こいつは全然耳を貸さなかったのでいよいよブチ切れた

というわけだ。


「まぁ私以外の人が頑張って出来なかったら私でも当然できないと思うけれど。と

にかく、それまでは私に近づくな。必死でやれ。それじゃあな。」

「く。分かりましたよ。やってやりますよ。あなたに頼らずともね!」

すると、ゴーストロガノフの姿が一瞬にして消えた。あぁーやっとか。さっさと消

えてくれりゃ良かったのにしつこかったなあ。


「え、えーとねこますさん? 誰かとお話ししてたんですか?」

「ゴーストロガノフってのがそこにいたんだけどさー、私達三人しか見れなかった

みたいなんだよねえ。はぁ。やっとこさ消えてくれたよ。」

すごい疲れた。人の話を聞いてくれない相手ってとことん疲れるんだよねえ。


「戦いたかった。戦いたかった! うああああああ。戦いたいいいいい!」

「え? ああブッチごめんね。」

「強敵と戦いたいよー。もうあの神殿にいる奴らじゃ相手になんないよ! ねっこ

ちゃん。強い相手いない!?」


なんて言われても思いつかないんだが。あ、いるにはいるけれど、すぐ会えるか分

からないしこっちも準備してからって言うのなら。


「いるね。」

「おおおお!? マジで!? 今度は嘘じゃない!?」

「うっ。嘘じゃないよ。いずれ戦う約束をしている相手だったんだけれど。」

「姉御ってばそういう相手がおったりするんやなあ。」

「ねこますサマハ、テキガオオイノダ。」

「どんな相手なんだチウ?」


「ジャガーコート。」

「え。」

 全員が沈黙した。まぁそうなるよね。ゴーストロガノフときて、そこから次に同

じクロウニンの名前がでてくるなんて思わないよね。

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