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アノニマスターオンライン  作者: 超電撃豚豚丸
第4章「人間の大陸」
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第262話「眼鏡の男の正体」

「こんにちは。またお会い致しましたね。」

 ログインしていきなり眼鏡の男と出くわすとは思わなかった。正確にはもしかし

たらいるかもしれないなあなんて思っていたけれど、その予想が当たってしまい、

あまりに残念な気持ちになった。

 そうだ、こいつを町の外まで連れ出して倒してしまおう。プレイヤーキルをする

ことに躊躇はないので、さっさとやってしまいたい。邪魔過ぎる。こういううっと

おしい奴は、早めに処分してしまいたいし。

「ところで、あなたのお仲間さんはあのあと、どこかに行ってしまいましたが、大

丈夫なのですか?」

「おう、仲間を探しあと、街の外にでるよ。いい加減許せないことができてしまっ

てねぇ?」

 

 当然、眼鏡の男が許せないだけなんだけれどね。もうここで亡き者にしておかな

いと、かったるい。こいつが付きまとってくるのは許せない。断じて許さん。

「それで、どちらに行くのですか?」

「テボリハホテル。まだ宿泊費は払っていたと思うし。」

「ほうほう。お仲間のところに行くと言うわけですね。」

「ついてくるなよ。」

「旅は道連れと言うじゃないですか。」

「じゃあ底なし沼に先にいってていいよ。」


というくだらないやり取りをして、テボリハホテル。そこにサンショウ達は、いた。

普通にいた。あっけなくいた。なんか消されていたりしたらどうしようかと思った

けれどいた。なんだよもう。ただし、正確にはだいこんは、すぐさまリュックの中

に隠すことにしたんだけれどね。ってそういえば今後リュックの中にいれておいた

とき、ログアウト中はどうなるんだろうか。試してみないといけないな。


「お前は昨日の。なぜ、ねこますサンに付き纏うのだ。」

「そうだよ。いい加減なんなのか話せ。」

「この国が滅亡しそうなのです。」

「それは昨日聞いた。なんで付き纏うのか話せ。」

「あなたならなんとかできると思いまして。」

「できないので終了。」

 水掛け論だ。これは私が折れるわけにはいかないんだよね。こういう面倒くさい

事って大体勇者とか主人公とか、何かに優れた人がやるわけで、私のように特別優

れた点が無い凡人がやるようなことじゃない。滅亡がどうとか規模の大きい話をさ

れたところで、それをなんとかする手段はないし。それこそ、このゲームのトップ

プレイヤー達がなんとかすればいい。私はそいつらと比べたら最底辺だ。


「あなたがそこまで頑なのは理由があるんですか?」

「だってそういうのは天才とかすごい才能を持った人がやればいいじゃん。」

という私の言葉で全員が沈黙。え、何この雰囲気。

「あなたは、もしかして、自分がそういった才能がないと思っているのですか?」

「うん。」

愕然とした顔をしてきた眼鏡の男。一体全体どうしてしまったんだ。私なんかが何

か特別な力を持っていると誤解していたのか? それならそれで可哀想な気もする

が、これまでの態度に腹が立ったのでまぁ別にいいかってところだ。


「あなたは、恐るべき力を持っています。」

「無いよ。そんなのがあったら、今頃この国とかその他の国全部は支配しているで

しょ?」

 買いかぶってくるなー。しがない凡人プレイヤーにそんな期待を寄せるのはやめ

て欲しいなあ。私が超一流のゲームプレイヤーだったら、それこそもっと色んな事

を効率よくやっているだろうし、そうじゃないから今、こんな感じなわけで。

「じゃあ、もういい加減外に行くわ。それじゃ。」


「待ってください! 魔者様!」

あぁ。なんかそれ絡みじゃないのかなあなんて思っていたけれど、そう思いたくな

かった言葉が出てきてしまった。うわぁやだなあ。なんでこうなったのかなあ。す

ごい嫌だなあ。無視しよ。

「…。」

もう街を出ようっと。こんな奴の相手をしていたら、いくら時間があっても足りな

いし。ブッチには、残念ながら兜は手に入らなかったという事を伝えておくことに

しよう。あぁー折角頑張ったのになあ。


「私の名前は、ゴーストロガノフです。」

「クロウニン!?」

経ちそうとしたときにサンショウが振り返ってしまった。ああっ。なんていう事だ

というかこいつがクロウニン!? いや、騙されてはいけない。それはこいつのハ

ッタリの可能性が高い。何がゴーストロガノフだ。ビーフストロガノフのパクリみ

たいな名前しやがって。よし、ツッコミ完了。このまま立ち去ろう。


「魔者様。頼みます。あなたにしかできないのです。」

「私は魔者じゃないし、私にしかできないことはない。」

「あなたはどうして、いえ、あなた方、魔者はどうしてそう捻くれているのですか。

だから沢山敵を作るのですよ?」


だめだ。もう限界だ。これはゲームのストーリーの流れでこうなっているのかもし

れないが納得がいかない。腹が立ち過ぎた。


「いい加減にしてくれるかなあ!? 私は魔者じゃないし、私にしかできないことは

ないって断っているでしょ!? そういう誰々にしか出来ないとか言ってたら、じゃ

あいつまでたってもそいつに甘えるの? ダメでしょ!? 誰かに頼るとかそういう

んじゃなくて、まずは自分でやってみようって気概はないわけ!?」


 誰かにしかできないことがあるというのが実はどれだけのことなのか分かっていな

い輩が多すぎる。結局のところ、その誰かとやらに頼っているってことだろう。そん

な誰かがいることこそが問題であって、他人じゃなくてもっと自分で解決しろとしか

私は思えない。そんな誰かに頼って生きているようじゃ、そんなもん甘えているだけ

じゃないか。親がいなくなったら生きられないみたいなさあ。


「よく分からないけれど、あんたが自分でやりなさいよ。」

「私には無理なのです。」

「なら私にも無理だ。」

という考えに至らないのがよく分からないんだよなあ。魔者ならなんとかできるとか

そんなわけないっつーの。私なんかいっつもなんとかならないことばっかりで、それ

がたまたまなんとかなっただけだっつーの。くそー。そんな私に何ができるっていう

んだよ。ということしか思わなかった。


「いえ。あなたなら可能です。」

「じゃあ、あんたにもできるでしょ。」

当然オウム返しになる。私にできるならみんなが出来て当然だってこのやり取りをあ

と何回繰り返せばいいんだ。はいと言うまで延々と繰り返すゲームかっつーの。私は

ああいうやり取りが嫌だったので、絶対に折れないつもりでいるので、このやり取り

を、何度繰り返そうが諦めるつもりはない。

「だから、なぜあなたはそこでお願いを聞いてくれないのです。」

「私はえーと、その魔者とかっていうのじゃないし。それにすごい弱いから。何にも

できないからね。」


自分に出来そうな事なら引き受けるが、そうでもないことを軽々しく引き受けたりは

しない。それにどういう内容かも聞いていないし。聞くつもりもないけれど、どうせ

ろくでもないことに決まっている。簡単なおつかいとかそういうわけでもないし。苦

労に見合わない内容に決まっている。


「いいえ、あなたは魔者なのです。そしてあなたは、今が弱くても成長します。それ

が魔者なのですから。」

「そうやって断定されても意味がないよ。私が違うといったら違うんだから。私はそ

ういうこじつけも嫌いだし。というかそろそろ本気で帰って欲しいんだけど? いい

加減うんざりしてきた。」

 兜も買えず、変な奴に纏わりつかれて嫌になってきた。こいつの名前は、ゴースト

ロガノフだっけ。ゴーストって言うからには、幽霊か何かなんだろうけれど、私にと

り憑いているんだろうか。そうじゃなきゃこのしつこさの説明がつかない。


「よし、それじゃあ街を出るか。サンショウ。」

「え? は、はい。」

(母上。大丈夫なのですか?)

 もう、ここまで来たら、無視を決め込むしかないよ。こいつが何か色々と話しかけ

てきても、聞こえてない振りをし続けたほうが楽だし。どれだけしつこく粘着してこ

ようと、私は嫌だと思ったことをやるつもりはないからね。


「私の話がまだ終わっていませんよ。」

「受付に挨拶して、そのまま出るよ。」

「かしこまりました。」

完全に無視して部屋から出て、階段を下りて受付に挨拶をする。そして、チェックア

ウトすることになった。


「楽しかったこの街ともお別れかあ。」

「いえ、私の話を聞いて下さい。ここであなたがやらなければ、この街は滅んでしま

うのですよ!?」

「よし、それじゃあ出入口はそっちだったか。あ、一応ブッチ達にも連絡しておくと

するか。」

 変な奴に取り憑かれてしまって困っていることも説明しておく。それと兜の件も謝

っておく。まぁ本人に直接会って謝罪もするけどね。


「あ。」

「ん? どうしました?」

何か急に気がかりになった。もしかしてゴーストロガノフの奴、私の性格を知って、

苛つかせようって作戦だったんじゃないだろうか。そして、苛ついた私がこの街を出

たところで叩くみたいな、そういう感じのやり方。魔者の性格とかそういうのを知っ

ていたらやりそうな気はする。逆張りというかそういうの。うん。それもありえそう

だな。こいつの動向には注意しよう。


「ちょっと気がかりだった事があっただけだから大丈夫。ブッチ達とようやく再会す

ることが出来そうだし良かったよ。ま、色々問題もありそうだけどね。」

「そうです。あなたには大きな問題を解決してもらわなければならないのです。」

まだ言うか。こいつも大概だなあ。


「お、あそこだ。ようやくこの国ともおさらばかあ。」

「何だかとても早かったような気がしますね。」

闇の錬金術を学んだり、リュックを手に入れたりお店に行ったりしたけれど、肝心の

他のプレイヤーとの交流は全然しなかったけれどね。といっても交流があったらあっ

たで面倒な事になりかねなかったので、こんなもんで良かったけれど。いつかもう少

し余裕ができたら、やれるといいかな。


それから、私達は受付で手続きを済ませて、この街から出ていくのであった。入ると

きは面倒だけれど、出ていくときは随分と楽なんだなあと思った。よし、それじゃあ

坂道のあたりまでというか人目につかないところまでいったら、こいつと戦うとする

かな。あ、駄目か。こいつの前で般若レディの姿に戻りたくないし。うー。すごい悩

むなあ。ブッチ達と合流した時でいいかなって返事がこないな。


「まさか外に出てしまうとは。なんということでしょう。あなたはこの町の住民達が

どうなろうと、やはりどうでもいいのですね。」

先生と後は一部のお店とそれ以外は見ず知らずの他人だしなあ。この街がゲーム内で

どれだけ重要だったりしようとも、それは私には関係ない。


「ちょっと歩いたら、ブッチ達からの返事を待つかな。」

ブッチにこいつをぶっ倒してもらおう。クロウニンなんだろうし。ブッチもレベルア

ップちしているだろうから、相手に不足なしだろうし丁度いいだろう。早くこの面倒

な奴には消えて欲しいものだなあ。

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