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アノニマスターオンライン  作者: 超電撃豚豚丸
第4章「人間の大陸」
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第260話「兜探し」

 商業区内のお店で、エリーちゃんの服は、こんなものでいいかなぁというのがあ

っさり見つかった。そうそう、ブラウスとホットパンツとは言ってたけれど、その

前にはサロペットとかTシャツなんて言ってたのも思い出したので買っておいた。

 問題はブッチの服。欲しいと言ってた和風の兜も見つからなかった。

身長が2メートルを超えているので、やはりそう簡単には見つからない。うう、これ

結構困る気がするんだけれど。キャラクタークリエイトの時に高身長を選んでいた

場合とかで、大きめのサイズが欲しい時なんか、ぴったり合うサイズが無くて困る

って話になると思うんだけれど、装備は自動でサイズ調整がかかるなんて事になっ

てくれたりしないんだろうか?

「それっぽい兜があったのに、サイズが小さいとか、どうしようもないよね。」

「いや、姉御も頑張っていると思うやで。結構色々回ったやんか。」

「ええ、十分頑張ったのではないかと思います。」


でも結果はこの様なんだよね。ブッチだってこの街の中に入りたいだろうから、こ

こで私が頑張らないと、いつまで経っても入れないままになってしまう。簡単に諦

めるわけにはいかない。


「地の果てまで歩いて探し出さないと!」

「なんて言ってても、ブッチニキのサイズに合うものがあるとは思えんのやで。」

 このあたり、運営に要望として挙げておいた方がいいんじゃないのかな。そうじ

ゃないとサイズが合わなくて装備が出来ないっていうのが沢山あるだろうし。でも

私がこう思っているってことは既に要望は結構な数が言っていると思うんだけどな

あ。どうにかならないんだろうか。

「オーダーメイドで作ってもらうとかそういうのも無理だったのがなあ。」

小さいサイズの物を見かけた時に店主さんに聞いてみたが、どこかからか流れてき

たものだったようで、作ったりすることはできないとのことだった。あぁ、あと少

しって感じなのに、駄目なのがすごい腹が立ってくるなあ。


「何でもいいからないのかなあ!? ちょっとくらい高くてもいいからさぁ!?」

「無いものはないやで。」

「サイズさえあえば、サイズさえあればいいんだよ。どうしてないのかね! ただ

の兜だよ。大きめの兜の1個や2個や100個くらいあってもよくない!?」

「ねこますサン。それは無茶な気がします。」


 はぁ、夕暮れ時になってしまったじゃないか。商業区では夜もやっている店が多

いのでまだまだ探すことは出来るので探すつもりだが、和風の兜ってどうして全然

ないんだろうなあ。そういう甲冑マニア的な人だって結構いるだろうし…ってそう

いうことか!? もしかすると、そういうのを買い占めている奴がいるんじゃない

のだろうか。あり得る。十分あり得ることだ。

 海外から日本に来て、忍者にないたいとか思う外国人も多いから、そういうのに

憧れて買い占めするようなプレイヤーがそういうことをやっている気がしてきた。

もしそうなら、そいつに気づかれないうちに買うしか手段がないじゃないか。ええ

い、それなら休まずに商業区を周り続けるしかないぞ。


「まだだ。ここからがスタートラインだ。ここから探すぞ。」

「え、姉御まだやるんか。どうせもうないと思うやで。」

「そう思った時からが始まりなんだ。探せばある。見つかるまで探せばある。」

「な、なんだかすごい考えですね。流石ねこますサン。」


見つかるまで探せば必ず見つかるのだ。そうだこれは絶対の理論のはずだ。またし

ても昔の話だが、アイテムを落とす確率というのがドロップ率と言う。このドロッ

プ率が、限りなく0に近いが、それでも何度も諦めずに挑戦すれば、気が遠くなる

ほど挑戦すれば手に入ると言うアイテムがあった。結局私は手に入れることはでき

無かったが、恐らくもっと頑張っていれば手に入ったことだろう。


「え、その昔話やけれど、姉御は諦めたんか?」

「今でも諦めていない。そのゲームは借りていたゲームだったから返さないといけ

なくてね。すごい悔しくてしばらくの間は、毎晩眠れなかったよ。もっと頑張れば

良かったって何度も何度も思ったんだ。」

ああ、なんかその時の事を思い出したら、これは本気で探し尽くさないとって本気

で思い始めてきた。ああああ、あの悔しくて眠れなかった日々が。脳裏に、蘇って

きたじゃないか!


そして、商業区をひたすら歩く。和風の兜が無いかずっと探す。一生懸命探す。様

々な店舗内に入るが、一向に見つからない。とても広いので全ての店を周るなんて

何日あってもできないレベルだが、それだけに可能性はあるはずだ。私は諦めたく

なかった。ブッチが街の中に入れるかどうかがかかっているんだ。そのために時間

を費やすのは惜しくない。なんとしてもやってやるのだ。


「闇雲に探すのが非効率だと分かっていても、やりたくなる時があるんだよね。」

 入国したときの受付でまたガイドブックを読ませてもらえればよかったかもしれ

ないが、恐らくもう無理だ。あれは最初に入ってた時だけに読ませてもらえる特別

仕様だ。あんなに情報が沢山載っているだけに、あれの有効性に気が付いたらきっ

ともう読ませてもらえない。なんて勘繰っているだけなので、実際には読ませても

らえるかもしれない。しかし、だ。


「ガイドブックにはこれ以上頼りたくない。」

 詰まったらガイドブックに頼る。これでは、ゲーム外で情報収集をしているのと

大して変わらない。一回だけならまだしも、事あるごとにそれを使っていては、自

分でゲームプレイをしている意味がなくなってしまう。というわけで、今後そうい

った物については一回きりにしておきたいという制限プレイのような方針を、自分

の中で決めた。

 こうでもしないと、永遠にガイドブックに頼りすぎてしまいそうだし、だからこ

そあの一回は必死になって読んだわけだしなあ。


「あれは、そんなに色々書いてあったんか?」

「うん。この国というか街の事が沢山書かれていたよ。だからあの時はじっくり読

んでいたんだよ。私は、錬金術関連ばかりを集中して読んでいたんだよねえ。」

ここで思い出した。5人の錬金術士は、先生しか知らないことを。他の錬金術士はど

ういうものを作っているのかはガイドブックで読んだけれど、どういう風に作れば

いいのかまでは書いていなかった。うわぁ、なんだか急に気になってきた。他の錬

金術士にも会いたくなってきた。


「今はブッチの為の兜だ。兜は一体どこにあるんだろうねえ。」

いけないな。私は今、ブッチの装備を探しに来ているんじゃないか。余計な事を考

えたりしないで、ひたすら商業区を周っていかないとな。

「姉御。やっぱり無理やって。今日一日じゃなくて、何日かに分け探そうやで、今

ここでないのなら一旦諦めるのがええと思うんやで。」


期限を決めて、それまでに見つからなかったら諦めるというのも手だが、なんとか

ならないものかなあ。私はやることを一回で終わらせたいと言う気持ちがあるので

また来て探すというのをあまりやりたくない。

「姉御はせっかちなんやないか。」

「そうかもしれないなあ。だって一回で終わらせて、この街に二度と来ないって気

持ちでやってるし。」

「え? ドーラ殿に会いに来るのではなかったのですか?」

「来るには来るけれど、ある程度期間を置いてね。それと、私もそろそろ、ねこま

す草原に戻って作業したくなってきているんだよね。」

 一体どれだけの間、薬草集めをしていないと思っているんだ。私の心の中は不安

でいっぱいだ。薬草がない。薬草がどんどんなくなっていくってな。


「ワイ、それ知っとるで。禁断症状って奴やで。姉御やばいで。それから抜けるた

めにも、しばらく戻らない方がええで。」

「嫌だ。プレイしてからずっとそこで作業していたのに、出来なくなったりなんか

したら、私が狂いそうになるよ。」

「そこまでなんか。」


 日課のようになっていた作業ができなくなるのがどれだけのことなのか理解され

ていないようだ。私がこの<アノニマスターオンライン>をプレイし続けることが

できたのも、薬草をいっぱい集めることが出来たからと言っても過言ではないし、

ここまで生き残ってきたのも全て薬草のおかげだ、これがなかったら、いつも的に

ぼこぼこにされてきてしまっていたことだろう。私にとっては、命の恩人というか、

そういう意味合いすらあるのが薬草だ。


「つまり、ねこますサンは、兜が見つかれば、草刈りができるようになるから行動

しているのですね。」

「サンショウそれは合っている。私は自分の事を自分で一番考えているんだ。」

だってまずは自分のやりたいことがあるんだから、それをやるために頑張ろうって

気持ちになれるんじゃないか。

「そうやな。じゃあブッチニキに見つからなかったって謝ればいいだけやん?」

「簡単に諦めたっぽくてなんか嫌じゃないかそういうの!」


それに今の状態は、私とエリーちゃんの物があって、ブッチの物が何もないという

状態なので、それをなんとかしたい。ブッチがいじけてしまうかもしれないし。そ

して最も困る事なのだが。

「ブッチがいないと私の代わりの戦闘を任せられないじゃないか。」

私よりも戦闘能力が高いので、荒事は、ブッチに解決してもらいたくなる。私なん

か戦闘では運だけで勝っていることばかりだし。安定した戦いができるブッチがい

ると安心ができていいのだ。


「ブッチニキの戦闘方法は恐ろしいやで。なあサンショウ? ん?」

「攻撃が、当たらないんですよ。至近距離から攻撃しているはずなのに。死角から

も攻撃しているはずなのに、それを、意味不明な体勢で回避するんですよ。どれだ

け攻撃をしても当たらないんです。どうして当たらないんですか。なぜ。」

うお、トラウマに触れてしまったらしい。サンショウが顔面蒼白している。


「あーごめんねサンショウ。でも大丈夫だって、サンショウも強くなっていると思

うよ。」

なんてフォローしておく私だった。流石リーダー!

「ええ。そうですとも重力魔法をくらっている状態でも動けるようになりたいから

くらわせてくれと頼まれたりしました。そして重力魔法にかかった状態でも、動き

だすあの恐ろしさは、何ともいいようがありません。」


ブッチやばいな。そんな恐ろしい奴は街にこさせないほうがいいんじゃないかと思

い始めてきてしまった。


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