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アノニマスターオンライン  作者: 超電撃豚豚丸
第4章「人間の大陸」
245/473

第245話「巨大な緑色の虫」

後日少し修正するかもしれません…。

7/25訂正しました。

 燃やしたい。この緑色の虫を心底燃やして灰にしてしまいたい。それができない

現状、最悪の気分だ。というか緑の虫とか言わないで、どんぐり虫とでも名付けて

しまおうか。倒したら正式な名前が分かるとは思うので、それまでの暫定だ。多分

こいつを倒したら魔法を無効化できる液体とかが手に入るのだと思うけれど、それ

はそれで気持ちが悪い感じがするのが嫌だなあ。サンショウの魔法ですら無効化し

てしまうので実用的な道具になることは分かっているが、気持ちの問題であまり欲

しいと思えない。


「私が真空波を撃って隙を作るから、、重力魔法を高威力で撃って!」

「わかりました!」

さてと、これはもうやるしかないので、どんぐり虫に向かって、真空波を撃ち続け

た。このどんぐり虫、真空波が当たると甲高い悲鳴を上げるので、これにとても強

い嫌悪感と不快感を持ってしまう。何故かと言うと、こういう悲鳴で仲間を呼び寄

せるタイプのモンスターというのもいるからだ。れを考えると寒気がしてくる。な

んておぞましいんだ。くそっ、もしここに、どんぐり虫が大量発生したら、森ごと

焼き尽くすしかないぞ。先生には申し訳ないけれど、こんな奴らが大量発生なんて

許せるわけがないし。


「真空波。真空波。はぁ。」

「姉御、さっきまでのやる気はどうしたんや。」

 そんなものはないと言いたいところだが、こんな奴相手にやる気を出そうにも、

最悪の展開ばかりを想像してしまうので、やる気なんてどこかに行ってしまう。久

々の戦いだから、少しは体を動かせていいなって思ったんだけれど、ひたすら液体

をべちゃべちゃとまき散らしてくるのが嫌だ。なんでこんな奴が存在しているんだ

よ。


「サンショウ! もう全力で、こいつを一撃で仕留められるくらいの威力で重力魔

法を撃って!」

「おお、かしこまりました。南無阿弥陀仏!!!!!!!」

 え。え。あれ? サンショウの目の前から、巨大な黒い塊が発生しているのが見

えるんだけれど、それ、大きすぎないか? ちょっと待てい! それは私も巻き添

えをくらってしまうんじゃないのか。おいやめろよせと思った。これはまずい。さ

っさとこの場から全速力で離れねば。全力疾走ううう!


「姉御あれ絶対あかん奴やで!?」

「分かってるよ!! だから逃げているんだよ! えっと。ひじき召喚!」

「母上、私を呼び出すときって危機が迫っている時が多いような。」

「なんかこうバリアーというかそういうの出来ない!?」

「魔力を。」

「おーけー! さっさと頼むよおおお!」

「障壁!」


 意思疎通が早いって便利だな、というわけで、ひじきが使った力で私の周囲に淡

くて黒い球状の障壁が作られた。これでなんとかなるならいいんだけれど、余波が

発生して巻き添えをくらう確率が高すぎる。絶対にまずい状態だったの。もう! 

これからはサンショウに限度ってものを教えてやらないといけないな。このままじ

ゃ命がいくつあっても足りない状態になるし。

「これでなんとか。うわっ!?」

 な、んかすんごい振動が体を襲っているような。げっ。どんぐり虫をあの真っ黒

い球体が包み込んでいる。あ、あれでぺしゃんこにするのだろうけれど、そのエネ

ルギーが、こちらにまで伝わってきている気がする。あんなのくらったら、どんぐ

り虫も、容易く倒してしまうのではないだろうか。


「あの程度じゃ絶対に倒せないと思うけれどね。」

「ファッ!? あんなん絶対死んどると思うで!」

「いいや、こういうときは絶対に生きていると言ったほうがいいんだ。」

やったか? とかそういう言葉を吐くと、大体生き残っていることが多いので、そ

ういうことは言わないようにしないといけない。ここでどんぐり虫が生き残ってい

たら、また私が攻撃に参加しないといけなくなる。それは嫌だ。


「私はねえ、運が悪くていっつもろくでもないことばかりだったんだよ。」

倒したと思った敵が生き残っていることなんて頻繁にあったし、選択肢を間違って

しまったら即ゲームオーバーなんてね。そういうのがざらにあったので、こういう

時は悪い方向で考えていくことにしている。倒した敵が復活して強くなって襲い掛

かってくるなんてのもよくあるし。どんぐり虫もそうなっておかしくはない。

「毎度のことながら、姉御は悪い方向に考えすぎやと思うで。まぁそれがええとこ

ろやと思うんやが。」

「失敗を繰り返さないようにしないといけないからね。」

ゲームに関して言えば、それがとても重要だ。前にした失敗から、次はどうすれば

いいのかということを試行錯誤していかないことには、成長ができないのだから。


「姉御、あれ見てや。虫の破片みたいなのが飛び散ってるやで。」

「見たくない。でも見ないといけないとか酷い。」

サンショウがとどめを刺したということを確認したい。が、虫の破片とかいかにも

また合体して復活しそうな感じじゃないか。こういう時は全部なくなってくれてい

たほうが安心できたんだけどなあ。


「…戻るか。サンショウも心配だし。」

サンショウ自身に余波が返ってきたんじゃないかと心配になったので早速合流しよ

うと思ったが、道が大分沈んでいる! 地盤沈下にでもあったようだなって重力魔

法だからこんなことになったのか。改めて、サンショウの魔力がとても高いんだと

いうのを理解した。


「姉御。久々に背中に乗るやで。」

「ああそうだね。少しの距離だけどいいの?」

「かまわないやで。よし、じゃあちょっくら一人分くらいに巨大化するやで。」

そして、だいこんは小さい白蛇から大きい白蛇になった。久々だなあ。

「久々の出番やで。マジ、ワイの出番無さすぎて、いつか追い出されるかもしれな

いと思ったやで。」

「そんなことは絶対にないから安心しなよっと。じゃあ近いけど出発。」

 だいこんの背中に乗って移動はやっぱり楽でいいなあ。乗り心地もいいし。ああ、

そしてこの背中に乗っていると、草刈りに行って、薬草を沢山集めたくなってくる

なあ。でもまだまだ戻れないしなあ。


「グヴォヴォヴォ。」

「ほら、やっぱり生きている。」

現場に戻るとどんぐり虫が生きているということがよく分かった。実際はどうなの

か分からないけれど、なんか四散した体から鳴き声のようなものが聞こえてくるの

で絶対にまだ生きていると思う。だけど、まさかここまでやっているのに生き残る

なんてなあ。耐久性は抜群だな。

「これもう、火薬草とかで仕留めたほうがいいんじゃないかなぁ?」

一応この辺り一面吹っ飛んでしまっただろうし。火薬草程度なら使ってもよさそう

な気がしたので、どんぐり虫の破片に投げつけてみた。


「ぐヴォ。」

断末魔だったのだろうか。私が投げつけた火薬草が爆発を発生させると、何匹から

か悲鳴のような音が聞こえてくる。


「爆発で吹っ飛んだみたいですな。」

「うわっと。サンショウ、いきなり真後ろは酷いって。」

「これは大変失礼しました。」

なぜ真後ろからいきなり現れたのかは謎だったけれど、簡単に合流ができてよかっ

た。

「サンショウ、魔法はさっきのよりもう少し威力が低くても大丈夫だからね?」

「一気にやるべきだと判断しました。我も一撃で倒さないといけないと思ったので、

高威力の魔法を撃ちました。」

やっぱり私から頼まれたことをきっちりこなそうという気持ちが強かったんだろう

なああ。

「分かった。ありがとう。」

感謝の気持ちを伝えておくことにする。サンショウのおかげで私は楽して勝てたの

だから。まずは褒めておく。威力の調整については今度話すとするか。なんて思っ

ていた矢先に。


「グボァァァァア!」

思わず後ろを振り返ると、どんぐり虫がいた。元のサイズの半分ぐらいではあるが、

復活している。どういうことだ。自己再生か? それとも。


「グボァァアア!」

別な方向からも叫び声が聞こえてきた。分裂。分裂か? 一定のダメージを与える

と分裂するタイプだったということか。これは面倒だな。


「火薬草!」

とりあえず、速攻で二匹に投げつけた。素早く投げたからか、液体の応援は無かっ

たので直撃し、爆発が起こった。そこそこ威力はあるはずなので、これ一発で仕留

めきれるとは思うんだけれど。


「グボァァアアアア!」

「グボアアアアア!」


まともに爆発の衝撃をくらったはずなのに、まるで効いていない。二匹になると耐

性ができる? 爆発以外ならいけるか? それとも。まずいな。なんで倒したはず

なのに倒せなかったのか、その秘密を暴けないと、これはいつまで経っても終わら

ないぞ。


「ゲルォルオオオ!」

片方のどんぐり虫が、これまでとは違う、黄色い液体を吐きだしてきた。これは当

たったらまずいと思い、距離をとって回避した。すると、地面に落下した黄色い液

体から、煙が立ち込めた。これ、もしかすると酸だろうか。くらったらかなりまず

いことになるぞ。


「ねこますサマ。どうしますか?」

「重力魔法を、あまり強くない程度に撃ってみて。」

「南無阿弥陀仏!」

「グボァァア!」

今度は、一番最初に吐いてきた液体を重力魔法に当て、相殺した。これは厄介過ぎ

る。酸で攻撃してくるし、液体で魔法を防いでくる。火薬草も効かない。となると

いや、あまりやりたくないからやらなかったけれど。ここまでくると、今考えてい

ることが有効なんじゃないかと思い始めてきた。


「忌々しい奴だ。」

サンショウがお気に入りの重力魔法を何度も相殺されているからか苛立つ声を上げ

た。それと、やっぱり倒しきれていなかったのが不愉快だったんだろうなあ。あれ

だけの威力の重力魔法を放ったっていうのに、こいつの耐性が高すぎなのか。


「みんな、ちょっと試してみたいことがあるんだけれど。いい?」

「なんでしょうか。」

「鎌で直接攻撃しに行ってみる。」

「な、危険やで姉御!? あの液にでも当たったらやばいんやで!?」


それは十分理解しているのだが、それにびびっている現状がよくない。それと、や

はり最近接近戦をしていないというのが気になっていた。もしかすると、こいつら

近接系に弱いのではないだろうか。大体こういう系は、何かに弱点はあるはずだか

ら、魔法やら火薬草に耐性があるなら、直接攻撃すればあっさり倒せてしまうよう

な気がしている。


「まあまあ、久々に運動をするだけだから大丈夫だって。」

始めたころは、もっと投げやりというか、体当たりで何でもやっていたはずなのに

最近はびびりが過ぎる。それが今の私の弱点になってそうなので、ここらで克服し

ておきたい。こういう虫に対してのトラウマも乗り越えたいのでぴったりの状況だ。

よし、やってやる!

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