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アノニマスターオンライン  作者: 超電撃豚豚丸
第4章「人間の大陸」
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第242話「錬金術のお勉強」

 ドーラ先生には、仲間であるサンショウと、白蛇のだいこんについても紹介して

おくことにした。サンショウがイケメンだったせいか少し戸惑っている雰囲気があ

ったが、それよりもだいこんの方に驚いていた。

「まさか白蛇が存在するなんてね。ねこます。あなたは随分と私を驚かせてくれる

みたいねえ。」

ため息まじりにこちらを睨みつける先生だった。いや、そんなこと言われても、た

またま仲間になっただけだしなあ。

「しかも人語を喋れるなんて、少し言葉遣いが変だけれど。」

「ワイの言葉遣いはどこもおかしくないと思うんやが。」


このゲーム内で関西弁を使うのはおかしい気がするけれどそこは敢えて言わない事

にした。


「ところで、この部屋は大分ぐちゃぐちゃだったはずなのに、どうやって掃除した

のかしら?」

「そこは敢えて無視するのがいいと思うんです! 説明が面倒なので!」

正直にそう答えておくと、先生は、諦めたような顔つきになった。

「ま、まぁこの部屋が汚かったのは事実だからしょうがないわね。それで、私の弟

子になったからには、色々と教えていくからちゃんと学びなさいね。」


よし! やっときた。これで色んなことが学べる! 念願の錬金術のお勉強だ。う

う、嬉し過ぎて感動している私がいた。


「ね、ねこますサン。なぜ泣いているのですか。」

「そ、そうよ大袈裟ね。」

「姉御、姉御が泣くとは思わなかったやで。」


まさか、な、泣いたのか私は。自分でも驚いた! でも仕方がないじゃないか。<

アノニマスターオンライン>を開始してから、何をすればいいのかとかどこに何が

あってどうすればいいのかもよく分からない、レトロゲームみたいなノリでずっと

やってきたんだし。これでやっとこさ錬金術を学べるんだよ! うわぁ、もう本当

にやっとだよ!


「えーっと。喜んでもらう所悪いんだけれど、初めはこの本を読んでもらうだけな

んだけれどね。はい。」

ドーラから、一冊の茶色い本を渡された。これは、初等錬金術と書いてある。おお

まさに初心者が学ぶにうってつけの本という事か。くっ、こんな練習といか基本講

座というかチュートリアルを今さら受けられるなんて。


「ありがとうございます。これでまともな錬金術士に一歩近づけそうです。」

「あら? 最終的には、まともじゃない錬金術士になってもらうんだからね?」

確かにそうだ。先生は闇の錬金術士なのだから、私もそれを扱えるぐらいすごい存

在にならないといけない。

「分かりました! でもまずは第一歩であるこの本の読破を目指したいと思います。」

「頑張りなさいね。錬金術は必死になって学ばないとろくに技術が身に着かないし、

対して儲からないんだから。」


あー、確かに失敗続きじゃ、折角の素材なんかも無駄になっちゃうよなあ。そう考え

ると、お金は大事にしないとな。ってそうだ。先生に学費というかここで色々教えて

貰えるんだし、お金を支払わないといけないな。


「先生! 学費を支払いたいと思います! どうぞ!」

「へ? あっ? 何よこれ!」

「10万スターです! お受け取り下さい!」

「はあ!? な、なんでこんな大金を持ってるの!?」

「弟子にしてもらうために稼いでおきました。」

と言うわけでではなかったんだけれど、やはり学費として納める必要がある。タダで

教わろうなんて虫が良すぎるし。先生だって生活するのにお金が必要だろう。それを

私が納めないでどうするというのだ。

「まさかそこまで錬金術を学ぼうとしていたなんて、どれだけなのよ。分かったわ。

これはありがたく受け取っておくわ。色々必要な物もあるし。」


素直に受け取ってくれて、助かった。やっぱり必要になるものは多いもんね。


「…それにしてもあの頑丈な扉をどうやって壊したの?」

「そこのサンショウが壊しました。魔法で。」

サンショウには口裏を合わせていくように言っておいた。

「ええまぁ。我の、こんな感じの重力魔法で。」

手で重力魔法を操るところを見せつけるサンショウだった。いいぞ、それなら先生も

信じてくれるに違いない。

「…重力系の道具は作るのに苦労するのに魔法で使えるなんて、ね。」

イケメンのサンショウにただただ感心する先生。サンショウもなんだかご満悦といっ

た表情をしているなあ。


「それじゃあ私はこの本を読むとしますか。えーと。錬金術とは、魔者が創り出した

素材と素材を調合する技術で…。」

「声に出さなくてもいいのよ…。」

呆れた声で言う先生だった。って言うか聞き捨てならないことが書いてあったぞ。錬

金術を魔者が創り出しただと。本当か? 本当らしい。ここに書いてある。ちゃんと

書いてある。なんていうことだ。あってはならないことじゃないか。この<アノニマ

スターオンライン>における錬金術の始祖は魔者だったとか。ふざけるな、というか

これは魔者ってすごい奴だってことじゃないか! こんな本に名前が載っているとか

もういい加減にしろ! そんな奴の称号があるなんて最悪過ぎるだろ!


「こ、この魔者っていうのはな、何者なんですか?」

「え? えーっとね。錬金術だけじゃないのよ、色んな教本に名前がでてくる人物で

ね。凄い事したみたいに書いてあるんだけれど、どれも信憑性はないのよ。ただ、過

去は誰もがその存在を崇めていたとか言われてるから、どの教本の最初に魔者の名前

が出てくるってわけ。」


すごい重圧なんですけど! サンショウが魔者を崇めていると言うか、そういう風に

扱ってくる理由が分かったけれど、意味が分からないよ! でもさ、魔者って結局は

あの大陸に行ったわけだし、どういう真意があったのかも分からないままだよね。あ

あもう、どこまで私を苦しめれば気が済むんだ魔者の奴め。


「へえすごい人なんですねえ。」

「あはは、そんな、何でもできたら怖いわよって、まぁそんなわけだからその本はじ

っくり読んでいきなさい。」


出鼻をくじかれていく感があったけれどしょうがないか。さて、ここからはきっちり

と読書の時間だ。錬金術の基礎やら何やらを学んでいかないといけない。真面目にや

っていくことを誓う私だった。


「ワイらは暇やなぁ。」

「そうですねえ」

「暇なら、ちょっと私の手伝いをしない?」


あ、先生のお手伝いとか楽しそうな事をしやがってあの二名。狡いと思ったけれど、

私は本を読むので忙しいのでしょうがない。今は、属性がどうとか、調合がどうとか

というところを読んでいるが、なんとなく他のゲームで理解していたようなことが、

このゲーム内ではこうですということが書いてあった。


それから、2時間程、じっくりと本を読んでいたのだが、薬草の項目を見て驚いた。薬

草がとても貴重な事が書いてある。数がそう多くないということだ。全く無いという

わけでもなく、そこそこあるような事も書いてあるが、どこにあるのかは明確に書かれ

ていないので、どうやって手に入れるんだよとまで思った。


「あぁ、片づけをしてもらえるから、調合するのが楽だわ…。」

「これは外にだしておくでー。」

「こちらはテーブルに置いておきます。」


先生はだいこんとサンショウに片づけをさせているようだった。本当に片づけが苦手だ

ったんだな。ゴミ屋敷になっていくのも頷けるよ。はぁ、それにしても、本を読むだけ

なのにこんなに楽しめるなんて思わなかったなあ。基礎知識が身につくだけで色々でき

るような気分になってくるのもいいな。


「先生、ちょっと休憩します。ところで聞きたいことがあるんですけど。」

「あ、ちょっと待ってね。今こっちも調合やってて。っと。はいどうぞ。」

「えーっと私、薬草を持っているですけど、これって貴重なんですか。」

「ええ、貴重よ。最近は乱獲する人もいるからねえ。」


そういうことか。ってあれ? でも私、魔者の大陸で散々刈りまくっていたいたんだけ

れど、あれは大丈夫だったのかな? どれだけ刈っても無限に出てきたんだけれど。う

う、少し心配になってきたな。帰ったら無くなっていたなんてことがなければいいんだ

けどなあ。

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