第235話「光のトルオのアトリエ」
本日分も訂正予定です
「あっ。持病の、急に面倒くさくなる病気が!」
「何を言うとるんや。」
今更だけれど、5人全員の所に行くというのが、やらされている感がし始めてきた。
私、こういうのがどうも苦手なんだよなあ。四天王がいると知らされた後に、その
四天王全員と戦わなきゃいけないってことだよな面倒くさいっていうのと同じ。そ
れを言ったらクロウニンとやらもそうなんだけれど、まとめて出てきているわけじ
ゃないから対して気にしていなかった。
「行くのをやめますか?」
「とりあえずトルオの所に言った後は、本命のドーラって錬金術士の所に行くよ。」
「姉御は飽き性やな!」
「ふっ。何かのパターンに入ったって思ったときが嫌になるだけなんだよ。」
こうしてこうすればいんでしょうっていう謎解きをして、仕掛けが分かったとして、
それを何度も繰り返さなきゃいけなくなると嫌になるようだ。結局のところ、そう
いう先の展開が読めてしまった時点で、筋書き通りに話が進んでしまうことが退屈
に感じてしまうのが私なんだろうな。
「他の錬金術士も全員やってきたみたいな展開だったら歓迎なんだけどなあ。そう
いう面倒くさくない話にならないかなあ。ねえ?」
「では、強制的に呼び出すのはどうでしょう? 果たし状を送るなどして。」
「え? それは面白そう、だと思ったけれど戦うのが嫌だし却下だな。」
極力面倒くさそうなことは回避したいので、さらにぐだぐだしそうなことは、や
らないでおくに限る
「姉御、早く行こうやで。面倒なことはすぐに終わらせるに限るやで。姉御の場合
は、時間をかけると大体運が悪いこと起きるはずやし。」
「それもそうだね。さっさと行こう。」
商業区の北にトルオの仕事場兼自宅であるアトリエがあるようだ。そこで、この町
というかナテハ王国からの仕事を請け負っているようだ。国からの仕事なんて、安
定した生活ができるということだから、お金持ちなのかもしれないな。そんなお金
持ちの家に事前に連絡もなしに突然来訪するのはだめなんじゃないのかと思ったけ
えれど、こういうのは気軽に行ってみるのが大事で、門前払いされたらその時はそ
の時だという考えだと上手くいくと思っている。
(母上、北のほうに続く道、奇麗ですね。)
そうだね。なんか現実にありそうな、タイルのような道が出来ているし、花がそこ
らに植えられているし、街灯のようなものがあるしで、すごい奇麗な道だ。金持ち
というか貴族みたいな連中がこのあたりを取り仕切っていそうな気がした。だけど
そういうことなら、貴族でも何でもない私がここを通ってもいいんだろうか。なん
て思ってけれど、文句があるなら、直接私に言いに来るだろうしここは、堂々と歩
くのが大事だろう。
「姉御、なんか見られとるんやないか?」
「気のせい。」
身なりの良さそうな人間たちが歩いているので、ここは育ちのいい貴族たちが暮ら
しているような感じもする。やっぱりこういうところに貧困層の人たちはいないと
いうことなんだろうか。嫌だなあそういうの。
樹木が等間隔に植えられている。ううんなんで、こんなにこの街を奇麗にしている
のかは分からないけれど、金持ちエリアと自己主張しているような気がして、なん
だか腹が立ってしまった。
「ここの者たちめ。こちらを馬鹿にしたような目で見てきますな。まったくもって
けしからんことです、焼死体になってもらいましょうか?」
「必要ないからさっさと行こう。」
そんなサンショウのボケを交えつつ、北にある錬金術士トルオのアトリエにまで来
たのだった。そしてそのアトリエの大きさに驚いた。ガイドブックでも大きいとは
書いていたが、かなりの広さがある。貴族の屋敷のような場所に足を踏み入れるの
は勇気がいるような気がしたが、別に見学するくらいいいだろうと思って、軽々し
く歩くことにした。
「止まれ、ここは、光のトルオ様のアトリエだぞ。」
どうやらだめだったようだ。右手に槍を持った、熊のような大男に行く手を阻まれ
た。やっぱり簡単にはいかないんだなあ。
「単刀直入に言うと弟子にして貰いたいなあと思いまして。」
「金はあるのか?」
「おいくらですか?」
そういうと大男はにやりと笑った。地獄の沙汰も金次第なんて言うけれど、こうい
う所でもお金って価値があるんだなあ。
「では10万スターを貰おうか。」
「さようなら。では。」
私達はさっさと次の錬金術士の所に行くことにした。これでは時間の無駄だと言う
のがすぐに分かるし。多分これで食い下がってくると思ったので、次に無料で通す
と言った時だけ振り返ることにしよう。
「あああ! 半額でもいいぞ。5万スターで。」
却下だったので、そのまま全速力で走り出した。無視だ、徹底的に無視だ。金は
あるが、こんなことに使いたいとは思わない。そしてこんな奴を雇っているという
事は錬金術士トルオはろくな奴じゃないだろう。部下が勝手にこんなことをしたと
か言うタイプかもしれない。政治家が秘書が勝手にやったことと言うノリと同じだ。
そんな奴でも習えることがあるならいいが、どうせ金だけ貪ろうとかいう奴に決
まっている。志半ばで金が無くて家族が救えなかったから守銭奴になってしまった
とか言う設定があったとしても、知ったこっちゃない。
「姉御、なんかすごいすっきりしたで。」
「ああいう事を言われたら、即退散するに限るよ。まっ、どうせ今頃、私達はお金
なんて持っていなかったに違いないみたいなこと言ってるだろうね。」
もう一回来ることがあったら、10万スターを目の前で見せて、そのまま退散する
ことにしよっと。恨みを買うかもしれないけれど、ああいう輩にそういう事をやる
のが楽しいし。
「あの光のトルオとか言ってましたが、他にもそういう二つ名を持っているという
ことなのでしょうか。」
「ああ、そうだね。なんかそういうのあるらしい。私だとすると。」
魔者のねこます。嫌だなあ。もっと可愛らしい感じがいいんだけどなあ。
「トルオは聖なる属性とか光の属性、そして白の属性の道具を創るのが得意みたい。
そこからあの名前がきているらしいんだけれど、光っていうのがもう、お金にがめ
つい感じのイメージしか結びつかなくなっちゃったかな。」
容姿とかは分からないけれど、いかにも頭の中が金のことしか考えてなさそうな奴
って感じしかしなくなってしまったなあ。
「姉御はどの属性を学びたいと思っているんや?」
「私は闇とかそっちだね。それに該当する錬金術士が闇のドーラって言って、どう
やら唯一女らしいので、そこで学びたいんだよね。」
他4人が男だが、女がいるならそっちのほうがいい。更に私は魔者でもあるので闇
系統も得意になるんじゃないのかと期待している。
(いいですね。闇といえば黒という感じもしますし。)
ひじきも黒だしねえ。
「ドーラは魔の属性と闇の属性、そして黒の属性が得意らしいんだけれど。」
闇属性はどうやら不人気らしいので、ガイドブックには弟子がほとんどいないみた
いなことが書かれていた。が、私にはそんなこと関係ない! なぜなら私が学びた
いのがその属性だからだ! 弟子になるならドーラがいい。だけど、引っかかる部
分が当然ある。
「ガイドブックに唯一アトリエの画像が無かったんだよね。」
お金に困っているのか、それとも、お見せ出来ないくらいボロボロなのかといった
ところだろうけれど、それがどこまでの物なのか分からないのが気になる。ひょっ
として地下にでも作っているんじゃないのだろうか。
「地下に。それは怪しい実験をしているのもありえるのでは?」
「だよね…。」
危険な物を作っているのだったら困るなあ。私も火薬草を調合するけれど、それより
も遥かに恐ろしい兵器のような物を密造しているような感じだったら怖いし。
「でもまぁ、行ってみるしかないからね。」
さて、トルオはもうどうでもよくなったしドーラのところに行くか。