表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アノニマスターオンライン  作者: 超電撃豚豚丸
第4章「人間の大陸」
224/473

第224話「宿探し」

書いている最中ですが、一旦アップします。その後修正します。

追記致しました。7/4(木)1:02

「まずは、道具とかの買い物、その次にこの国の錬金術士のいるところ全部回って

見る。そして最後にどの錬金術士から学ぶかを決めるってところだね。」

「ふむ。魔、ねこますサンは、この国にしばらく滞在するつもりなのですか?」

「え? 滞在とかは…。あ、あぁーそっか。そういえば忘れていた。」


 すっかり失念していた。これはまずい。私はログアウトすればいいだけの話なん

だけれど、サンショウやだいこんは、NPCなので、そんなことができない。という事

は、私が再度ログインするまではこの街のどこかにいなきゃいけないってことにな

る。国に滞在なんて言われてそれを思い出した。

 私が、このナテハ王国に滞在するとなれば、どこか宿を探さないといけないな。

そして、どの程度の費用がかかるのかを確認しないといけない。残りの所持金は、

9600スター。これをなるべく節約したいところだけれど、サンショウたちを困らせ

るようなことはしたくない。


「えーっと滞在はするよ。それでごめん。やっぱり一番初めに宿探しだ。」

「そうですか。目星はついていますか?」

「いやぁ。なんとなくは分かる程度だね。」


 私がジョーさんから渡された本は、この国のガイドブックみたいなものだった。

結構分厚いものだったのでじっくり読んでいたんだけれど、道具屋と錬金術士につ

いての情報に重点を置いて読んでいたので、宿についてはあまり詳しくはない。だ

けど、こういうのは自分の足で歩いて探すのも楽くなるので、本だけを頼りにする

つもりはない。

 ひょっとすると、隠れた面白い宿があるかもしれないし。


「姉御、ここにワイらがおられるのは、姉御がおるからって言ってたと思うんやが

 仮にここから姉御が離れた場合どうなるんや?」

まずい、それも失念していた。これはどういう判定になるんだろうか。私がいなく

なった場合、サンショウやだいこんが消えるなんてことになってしまったら最悪だ。

あぁ。これについては…。聞いてみるか、運営側に。すぐに回答してもらえるかど

うかは別だけれど。


 ゲーム内の情報については、答えてはくれないだろうけれど、今回の場合は、ロ

グインとログアウトに関わってくる問題だと思う。もしもこれが原因で長時間ログ

インしなければいけない状態、つまり拘束されてしまうのであれば、ゲームプレイ

に制限や支障が発生することになる。

 ログアウトしたら、街の中にいた自分の仲間が消えるなんてことになるなら、そ

れは町の中ではずっとログインし続けなきゃいけないってことになるし。そこまで

優しい運営なのかどうかは分からないけれど、まずは聞いてみるとしよう。


「だいこん。ありがとう。一応それについては確認しておく。もしも問題があるよ

うなら、この街から出るよ。」

「姉御。ワイらの命がかかっとる時はまともなんやな。」

「ん? いつ私がまともじゃなかったと!」

「いや、まぁ草原、いやなんでもないやで。」

 だいこんが何か言い淀んだけれど無視しておこう。命がかかっている以上はいつ

も以上に真面目になるのは当然のことだし。それよりも気になっていることがある。


「まだ金銭感覚が身についていないのがまずいんだよなー。」

 受付で100スターを簡単に支払ったけれど、スターの価値がどの程度の物なのか

理解していないいので、必要以上に使ってしまったのかもしれない。そうなると

今残っているお金は本当に節約しないとなあという気分にさせられる。


「そんなものですよ。初めてやることは、誰にだって難しいものです。」

 その通りなんだよね。初めて戦うモンスター相手には毎回苦戦するけれど、何回

も戦えば動きに慣れてくる。だからお金も使っていけば段々どの程度必要なのかが

分かってくるはずだ。

「では、宿探しに行こうか。」


 頭の中が道具屋一色で染まっていたので、宿探しという所が少し気落ちしてしま

う。欲しい物があったのだけれど、そこはもう切り替えないといけないな。少しで

もいい宿があれば、そこで泊まれるようにしたい。理想はなるべく安くて広いとこ

ろだけれど。

 宿、正確には宿屋か。ゲームによって宿泊料が全然違うんだよなあ。現実的な価

格だったり、とても安い場合があったりだ。多分、現実的な価格なんだとは思う。

VRだしある程度現実的な世界観じゃないと、違和感があると思うし。


「それっぽい所は、当たりを見回せば・・・。あぁあるね。」

私達が今いる場所は、門の入り口から真っ直ぐ進んだ、広場だ。広場の中心には大

きな噴水がある。ゲームでは、よくある風景だ。こういう広場って、遊園地なんか

でも入り口の近くにあるし、入り口付近はできるだけ広くしておこうという理由で

作られているんだろうなあ。


「あのでかい建物はどうなんや?」

「見た感じで既に価格が高そうな気がするよ。」


こんな便利な場所に大きな宿があれば利用したくなるけれど、それは難しいだろう。

立地条件がいい場所は自然と人が集まるので、利用されてしまうってことと、沢山

人がいるならば、客もかなり多くなるだろうし。

 当然便利なところなのでみんな泊まりたがるんだろうから、価格を沢山上げても

問題はないんだろうね。

 

 つまり、目の前に見えている大きな宿は、お金が結構かかるはずだ。しかし、最

初に行くのはこのいかにも高そうな宿だ。高級宿を利用する場合どの程度の費用が

かかるのか確認することができる。つまり、一番高くてここまでかかるというのが

分かっていれば、ぼったくりされてしまうこともなくなるだろうという寸法だ。


「…。」

 高級宿を見上げると、その大きさに圧倒されてしまう。現実の遊園地でもすぐ近

くに宿があったりするが、高すぎるので私は一度も宿泊したことが無い。そこまで

お金出してやることがただ泊まるだけじゃないのかという貧乏性な性格のせいだ。

 だけどゲームでなら、こういう場所に泊まってみたいものだなあ。


「ファー。でかいやんけ。でもこんなでかいのも姉御の岩になるスキルで簡単にぶ

っこわせそうやな。」

笑いながら言うだいこんだった。創るのは時間がかかるけれど、壊すのは一瞬なん

だよね。とはいえ、こういう場所って壊すことができるんだろうか。樹海とかたけ

のこ森林だとか、燃えてもその後元に戻ってしまうという設定になっていたけれど

仮にこの宿が全壊しても、ギャグ漫画みたいに、少し経過すると、いつの間にか復

活しているなんてことになるんじゃないのだろうか。


「ねこますサンが、少し脅してやれば、確実にいけると思います。私も本気になれ

ばやれると思いますが。」

「そういう物騒な事は言わないでね。」

 というわけでこの二名に厳重注意することにした。どこで自分たちの発言が聞か

れているか分からないし。もしも、警備員的な人に見つかったら、どこかに連行さ

れそうなので、危険な事は口走らないようにしたい。


「それじゃ、あの宿まで行ってみようか。」

そして大通りの道を少し歩けば、本当にすぐに入り口まで到着してしまった。扉の

装飾とか豪華絢爛だ。こんなのを開けて入れと言うのか。高級感が漂ってくる。ま

るで貧乏人は近づくなと言わんばかりだ。


「で、姉御入らないんか?」

「入り辛い…。」

 いかにもお金持ちっぽい人が入りそうな雰囲気を醸し出している。価格調査の為

に入ってみようかとも思えたが、私のような輩が入ったらいけないような感じで圧

倒される。

「でも、こういう所に、平然と踏み込むのが私だからね!」


というわけで、そんな雰囲気に打ち勝ち、大きな宿の扉を開けて入る。威風堂々と

入ってやる。


「…。え?」

目が点になったとはこの事だった。宿の中に入ると、薄暗い受付があるのだが、周

りがボロボロというか、安アパートのような作りだった。どういうことだ。外装は

これを隠すための偽装なのか。いやでも、あんな凝った外装にしている癖に、なん

で中身はこんなにボロボロなんだ。おかしいだろ。


「いらっしゃいませ。」

受付にいるのは、身なりが汚いというかみすぼらしい恰好をした老人の男性が、立

っていた。

「単刀直入に聞きますけど、なんで外装がいいのに内装はこんななんですか?」

「はっは。私の趣味だからですよ。」

老人が満面の笑みで答える。そうか趣味か。へえ。なんて納得がいくか。いや考え

ろ。こういう時こそ私の予想する癖があるんじゃないか。


 この老人は、隠居した金持ちで、趣味で宿経営をしている。そんな感じだろうか。

よくある設定だろうけれど、こんないい立地で内装がこれって期待して入った人は

落胆してしまうんじゃないだろうか。それともなんだ、この老人はそういう金持ち

的なことに嫌気がさしてしまった結果、こういう趣味に走るようになったという事

なのか。


「折角いい立地条件なのに! 外装がすごいのに! 中身がしょぼいなんて信じら

れないくらい落胆しました! 本音です!」

「ははは。そこまで素直に言って貰えると嬉しいですね。」


つい、勢いで言ってしまった。だってこんなところにあるんだから、絶対に中身だ

っていいと思うじゃないか。それを、勿体ない。ここの中身が良ければそれこそこ

の場所の地域経済が発展するとかそういうのはないのか。


「…中身を知っている人が多いから近寄らないってことなんですか?」

「そんなところですよ。それで、あなた方は泊まるんですか?」

「価格が知りたいです。えーと二人部屋でおいくらなんですか?」

「一泊5スターです。」


…これは、安いんじゃないのか? 絶対安いよね。いや絶対安い。ボロ部屋だった

としても、これなら泊まるだろう。部屋が多少汚れていても、まぁ別にいいんじゃ

ないだろうか。カビだらけとかそういうのじゃなければだけれど。


「先に部屋をご覧になられます?」

「見せていただけるのでしたら…。」

願ってもない誘いだ。これでベッドも何もないような部屋を案内されたら流石にど

うしようかと思うが、どうなんだろう。


「ここは、なかなか居心地がいいですな。」

「そうでしょう。何しろ私のお気に入りですからね。」

 …そういえばサンショウもリッチとして長生きしているという設定だから老人か。

老人同士で何か通じるものがあるんだろうか。私には分からなかった。


「では2階の部屋をご案内いたします。」

「はい。」


老人の後ろをついて歩き、階段を上る。木造の階段なのだが、足を下すと軋む。突

然壊れたりしないか非常に不安になる。耐震設計とかそういうのはきっとないだろ

う。確信を持って言える。2階に上がると、やはりボロい。大丈夫かこの宿。


「こちらの部屋です。」

老人が扉を開けると…。普通の部屋だった。豪華というわけでもなく、極端にボロ

いわけでもなく、部屋は普通のRPGにでもでてきそうな部屋。そして結構広い。ベ

ッドが4個もあるし。これで5スターは破格じゃないか。


「10連泊したいです。大丈夫ですか?」

「ええ、どうぞ。」

勢いで決めてしまったがまぁいいだろう。これは絶対に破格だ。そうに違いない。

こんな幸運はこの先ないだろう。


「では、一度受付に戻りましょう。」

そこで支払いを済ませることになった。ひとまず10連泊することにはしたけれど、

さらに追加で長期滞在し過ぎないようにしないとな。そろそろ本気で草原に帰りた

いって気持ちになってきたし。

「いいところが見つかってよかったですね。」

「そうだね。まさかこんなところがあるなんて。」

最初の一発目で当たりを引いたことだし、今日の私はツいているのかもしれないな。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ