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アノニマスターオンライン  作者: 超電撃豚豚丸
第4章「人間の大陸」
221/473

第221話「ついに街の中へ」

ういった行列に並ぶことになるとは思わなかったけれど、現実的な感じがしてこう

いのも悪くないという気分になった。

 とはいえ、現実での時間も消費しているので、そういう意味で言えば勿体ないと

いう気がしないでもない。周囲の人たちは、この間自分の装備を見ているなど、退

屈しているわけでもなさそうだった。

 

 私はと言えば、なんでこんな街に入るだけで行列に並ぶ必要があるのかなんて事

を考えていた。そんなに人気な街なんだろうか。城があるからそんなもんだと思っ

てってあ。何言ってるんだ私は、城があるなら、ここ、国ってことじゃないか?

そ、そうだよ。ここ街っぽいけど城があるし、小さな国か何かってことじゃないか。

だからこういう入国者の確認みたいなことをやっていたんじゃないか。何だか今更

だけど納得ができた。


「だけどそれって。」

「ねこますサマ。何か?」

「いや、何でもない。あとサマじゃなくて、さんでお願い。」

「かしこまりました。」

 サンショウが大暴れしたら、指名手配みたいなことになっていたかもしれなかっ

たんじゃないか。危ない、危なかった。どこかの国で何かやらかしてしまったら、

そういうのは他の国でも噂になったりするかもしれなかっただろうな。そうなった

らまともに街の中に入れなくなっていたかもしれない。


 これに気が付いて思わず冷や汗が出た。というか人間達の世界の事なんて実の所

どうでもいいんだけれど、錬金術の学習ができなくなるのだけは困る。逆に言えば

錬金術の道具の入手や学習ができるならこんな所に来る必要は全くないって事にな

るんだけど、そうもいかないしなあ。

 今、列に並んでいるプレイヤーの誰かが錬金術士という可能性もあるのか気にな

っている。それっぽい格好の人もいるけれど、見た目は魔法使い系のようにも見え

る。もしかして錬金術士は人口が少ないのかな。いや、でも世界中でプレイされて

いるゲームだし、ここでは少なくても他の所には沢山いるかもしれない。きっとそ

うに違いない。


「姉御、ぼーっとしちゃだめやで。前が進んどるで。」

「あ…。」

慌てて前に進む。考えちゃうと動きが止まるのは悪い癖だな。考えながらも動ける

ようにしないと。もうすぐ街の中に入れることになるけれど、何か聞かれたりする

のかなあ。なんでこの街に来た? とかそういうのあったら面白そうだったからで

すなんて素直に答えていいものかどうか。それとも。

「姉御。素直に周りに聞いてもええんちゃうか?」

「騒動起こした後だから聞きにくい。」


 あんなことをやらかした後に平然と周りにこんにちはと挨拶ができようか。そこ

まで私は図太くない。ここは目立たないように、極力おとなしくしておきたい。そ

れに今話しかけたら、他の人たちからも根掘り葉掘り聞かれそうだし。

 誰か一人が話しかけると、途端に他の人も乗ってくるみたいなことは結構あるの

でそういう事になって欲しくない。

 

「もう少しだなあ。」

もうあと10分もすれば先頭まで行けそうだ。そうだ。今のうちにブッチ達にメッセ

ージでも送っておくか。騒動の事は黙っておけばいいか。行列があるから大変だっ

たくらいにしておこうかという感じで送ったらすぐ返事が来た。


マブダチからのメッセージ:サンショウが、なんで列に並ばせるんだとか暴れてそ

うな気がしたけれど、何も問題なさそうでよかったよ。


 別な理由で暴れていたよ! なんだよもう! ブッチの奴、こういうことになる

かもなんて知っていたんじゃないのか。サンショウはちょっと忠誠心が強すぎるみ

たいなことを事前に教えてくれてても良かったんじゃないか全くもう!


エリーからのメッセージ:ブッチさんが、きっと行列でいざこざ起こしてるよって

言ってましたが大丈夫ですか?


 大丈夫、特に問題は無かったよと返信しておいた。ここで色々と伝えてしまった

ら騒動を起こしたことがブッチにもばれてしまうので言わないことにした。後でサ

ンショウかだいこんが喋ってしまうかもしれないが、その時はその時だ。今ここで

正直に話したらブッチの笑い声が脳内に響き渡ってしまうので辞めておきたい。

「あと少し、あと少しで…。」


 口の中に薬草を入れて調合をする。そんな馬鹿みたいなことから卒業ができるか

もしれないんだ。今まで大分助けられてきたけれど、これをそのまま続けたいと言

うわけでもないので、もう少しまともなやり方でやっていきたい。というか私以外

もこのやり方をやっていましたというのなら納得が、納得できない!

 私以外も口の中に薬草を含んで火薬草じゃないけれど調合しているなんてプレイ

ヤーがいるのか!? 本当に! もしそれが一般的な調合方法だったら、私はかな

りショックを受けてしまうぞ。 もっと常識的なやり方を学びたいわけだし!


「ねこます…サン。なんだか活気に満ち溢れていますね。」

「もう少しであの門をくぐることができるからね。って本当にもう前だし!」

 私はこの門をくぐった後は、錬金術士のいる店を探すために頑張ろうと思ってい

る。そこで新たな冒険が始まるみたいな感じになると思っている。だけど、この町

にずっと居座るつもりはない。そうだ、ここである程度学習したら、たけのこ草原

に帰るつもりでいる。

 

 私が一番居心地がいいと思っているのはあの場所であって、他の場所はあくまで

もおまけみたいなものだからだ。たけのこ草原のあたりを開発する目的だってまだ

達成していない。そう、私はそういう当初の目的は忘れていないんだ。あの丸太の

家一個作っただけで感動していたのも嘘じゃない。

 このような街があると知ったとしても、私は、あの場所を開拓したいんだ。その

ためにここに来ているに過ぎないんだ。こんな既に作られている場所にはそんなに

大きく興味はない! 目的は忘れないで頑張るんだ!


「よぉお嬢ちゃん。ようやく来れたな。」

「あっ、どうもこんにちは。先ほどでもないけですけれど、ありがとうございまし

た。」

「いいってことよ。」

 門番の兵士っぽいおじさんから声をかけられた。結構強そうに見えるけれど、こ

ういう筋肉質系はブッチがいるのでどうしても比べてしまうな。

「えーっと、この街にはなんとなく興味があってきたんですけれど、入場料とか必

要なんですか?」

「最初だけな。一人100スターで登録が必要だ。」


100スターっていうのがどの程度の金額なのかは分からないけれど、サンショウが、

赤髪の騎士からせしめた10000スターがあるので支払いは十分だった。こうして考え

てみると、あの騒動があって良かったのように思える。


「じゃあ私達は200スターというわけですね。」

「ああ、って俺に渡すんじゃなくて、そっちの門の手前にいる受付の所で渡してく

れないと俺の懐にはいっちまうぜ。はは。」

「はい。わかりました。ありがとうございます。」

門番のおじさんに礼を言って受付に行く。


「どうも、こんにちは。」

「こんにちはー。初めまして。ナテハ王国にようこそー。私は受付のジョッシフ・

ロングセンテンスって言うの。長いのでジョーって呼んでね。」

「は、はい。よろしくお願いします。200スターです。」

 ジョーさんはいかにもな受付のお姉さんって感じだった。ベレー帽みたいなのを

かぶって、髪は後ろで一本に結っている。ちょっとメイド服っぽくも見えなくもな

い感じの制服を着ていた。

 こんな門の近くで受付やるとか危険だったりしないのかな。というか私みたいな

相手にそんな名乗ったりするの面倒とかないのかな。全員にしたら長いんじゃない

のかなと思ったけどそんなものだと思ったので考えるのをやめた。


「あら、手間が省けて良かった。どうもありがとう。さて、この国は初めてだと思

うけれど、聞きたいことはある?」

 や、やった! 聞きたいことはあるに決まっている! ここで教えてもらえるな

ら大助かりだ。でもそれはただなのかなあ!?

「それは無料ですか? それともお金がかかります?」

「1つ質問につき100スターね。でも基本的な事は、少し奥まで行ったところに色ん

な情報を記した掲示板があるからそこでみてもいいからね。」

 まぁやっぱりお金はとるよね。そうだよね。私でも取るだろうし。とはいえそん

なことはどうでもいい。お金はあるんだし、絶対に必要な情報が。錬金術について

だけ何個か聞いておこう!


「100スターです。教えてください。錬金術を学べる場所を。」

私は、かつてないほど燃え上っている。錬金術が、念願の錬金術を学べるんだ。そ

のためなら100スター程度惜しくはない! どうせ赤髪の騎士からふんだくった物

だし!


「…あなた錬金術士だったの?」

「え。入門したいなあと思っているひよっこみたいなものなんですけど。」

「錬金術士はこの国には5人しかいないの。正確にはこの国で登録された正当な錬

金術士がね。ちょっとみんな特殊な人たちで。」

え、たったの5人しかいないってどういうこと。それは困るんだけれど。登録され

た錬金術士ってことだろうからまぁなんとかなるのかな。

「分かりました。その人たちの場所を教えてください。」

「ええ、こちらがそのリスト。」

羊皮紙っていうんだっけこういう紙。これに5人の事が記されていた。うーん誰か

の弟子にならなきゃいけなくなるのかなあ。それは時間がかかりそうで嫌だし困

るかな。それはおいおい決めていけばいいか。


「追加の100スターです。錬金術の素材が売ってそうなお店を教えてください。」

「それならこちらになりまーす! あ、それは今この場で見て行ってね。」

一冊の本を渡されたので、ここでじっくり見ていく必要がありそうだ。よし、ここ

から私の新しい錬金術士としてのゲームプレイが始まる事だし頑張るぞ!

今更ですが、この物語は一部の人に通じるネタがあります。それは秘密ですが

これのことか!と思うと、思わず笑ってしまうかもしれません。

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