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アノニマスターオンライン  作者: 超電撃豚豚丸
第4章「人間の大陸」
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第216話「爆破しましょう」

「やっぱりゴーレムをまだ完全に倒してないってことなんじゃないかな。」

「だったら、みんなでゴーレムに攻撃しまくってみる?」

それくらいしか試せないのでやるしかない。このゴーレムを倒せば奥にある黒く大

きな鉄の扉の鍵か何かを手に入れられるかもしれないし。

「そういうわけでみんなで攻撃を頑張ってみよう!」

ブッチがやる気に満ち溢れる声で叫んだ。いやぁ攻撃って言ってもなあ。


「南無阿弥陀仏! 南無阿弥陀仏!」

サンショウが随分やる気になって重力魔法を使っている。そういえばその魔法以外

使ってないけれど、他に何か使えないのか聞いてみるか。

「サンショウ、重力魔法を多用しているけれど、それ以外の魔法って使えないの?」

「いえ、爆発魔法や凍結魔法など様々な魔法も使えます。ただ好んで使うのが威力

の高い重力魔法というだけです。」

 あー、得意な魔法があるのはいいけれど、同じ魔法ばかり使い続けるというのも

良くないので注意しておくか。確かに使いやすくていいのかもしれないけれど、そ

ればかりだというのも芸がないだろう。ワンパターンな攻撃にこだわるのではなく、

色々やってもらいたいと思う。


「ちょっと爆発の魔法を使ってみて?」

「いいのですか? 結構威力がでると思いますが。」

なんか自信ありそうな感じだな。そんなに威力が出るのか? といっても重力魔法

のほうがいいんだろうから分からないな。なので、ひとまず使ってみてもらうこと

にした。


「いいよいいよ。使ってみてよ!」

「わかりました。では皆様、少し、いや、この部屋の外まで下がりましょう。そこ

から撃ちますので。」

え、何それ。そんな威力がでるってこと? それは予想外なんだけれど。でも一度

いいよと行ってしまった手前、今さらやめておけというのも嫌だなあ。ま、どの程

度の威力なのかは本人も分かっているだろうし、そこまで離れれば安全だというこ

となんだろう。


「待つんやでサンショウ。」

「何ですかな。だいこん殿。」

おっ、いつも話さなそうな組み合わせが入ったぞ。どんな会話をするんだろうか。

「その爆発魔法は、このゴーレムを木端微塵に吹っ飛ばせるんか?」

「余裕ですね。」

「余裕ですねやないわアホっ!!!!!」

本当に余裕ですねじゃないっつーの!!! 何それ!? そこまで威力出る魔法を

隠してたの!? なんでそれを今まで温存というか使わなかったんだよ! おいお

い、余裕ですねじゃないって! だいこんもここでツッコミを入れてくれてとても

助かった。いつもは大して役に立ってなさそうなのに、ここぞとばかりにやってく

れるとは見直したぞ!


「ちょっと待て、サンショウ。それは何か、俺との戦いで手加減をしたいってこと

じゃないのか?」

 サンショウの目の前にたって睨みつけるような仕草をとるブッチ。おいやめろ。

やめないか。話をややこしくするんじゃない。こんな時に揉め事を起こす必要は、

あ、やっぱりいいや。こういう仲間割れを見たかったのを今さら思い出した。


「い、いえ! 決してそんなことは! この魔法は扱いが難しく、威力が出過ぎて

自分にも影響がある事も多いのです! 反動を意識しているので、我は、あまりこ

の魔法を使いたくないのです!」

「リスクを恐れて魔法を使わないなんてもっと駄目じゃないか! 今度俺と訓練す

るときはあらゆる攻撃を使ってこないとだめだぞ! その爆発魔法とやらも、どう

にかして耐えるかかわしてやるからなあ!」

 やる気十分なブッチだった。全力で戦っていたと思われる相手が実は手加減して

いましたなんていうのはやっぱり白けるもんあ。ちゃんと全力で戦わないと勝って

もスッキリしないって言うのはよく分かる。


「姉御。サンショウはこういう風にボケているんやで。そやから、ワイみたいにツ

ッコミをいれないとだめなんやで。」

 えっへんと偉そうにするだいこんだった。いやまぁ確かに助かった。まさかそん

な高威力の魔法だったなんてな。やっぱりとことんツッコミを入れていかないとダ

メなんだな。


「うう、そんな高威力の魔法を撃たれたらあたしのアイデンティティが…。盗賊が

あるからいいですけど。」

今度はエリーちゃんが落ち込んでいた。

「第二ご主人にもいい所が沢山あるチウ!」

「あたしは、ねこますさんや、ブッチさんみたいな濃いキャラじゃないし。」

「ちょっと待ってね。私も色々言いたいことがあるんだけれど、話が脱線してきて

いるからそれは置いておこう。それでサンショウ! あそこまで離れれば大丈夫そ

うなの?」

 いい加減先に進みたくてうずうずしているのでここら決着をつけたい。面倒な事

はさっさと終わらせてしまいたい。


「念のためというのであれば、もっと離れてください。」

 そこまでだったのか。こいつめ。本当にだいこんが言わなかったら酷い目に遭う

ところだったな。

 私達は、爆発の影響を受けないように、部屋の入り口から更に後方へと下がる。

このあたりならいいんだろうか。一応サンショウの姿が見える位置ではあるが…。

「では行きますぞ!」

「マスター。みなさん。ゴーレムの破片などが飛んでくるかもしれませんから、警

戒をしましょう!」

「くろごまの言う通りだね。まぁ、どんなものかお手並み拝見と行くか。」


一人、前の方に立つサンショウだったが、あれ、割と私達と近い位置にいるけれど

そこから撃つのか? ああそうか。自分にも影響が出るかもって言ってたからそう

いうことか。


「では行きますぞ!!」

サンショウが両手を前に出した。何か魔法陣のようなものが、手の前から出てきて

いる。何あれかっこいいな。口から火が出たりする私とは大違いじゃないか。

「何だあれ、かっこよくね? 口から火が出たりする笑いのセンスはないけど。」

「うるさいだまらんか。」

「あ、いて。」

ブッチが生意気な事を言うので軽く小突いてやった。まったく。いい加減冗談抜き

でやっていきたいんだからさぁ。


「デスフレア!!!!」

「ファッ!? なんでかっこいい名前なんやあああああああ!」

サンショウがデスフレアとかいう爆発魔法を叫ぶと。両方の手から黒い炎のような

物がゴーレムの残骸に向かって真っすぐ飛んでいく。そして…。


途轍もない爆発音とともに、前方にいたサンショウは後方に思いっきり吹っ飛び、

私に背中からぶつかってきた。そして私もそのまま、猛烈な爆風とでもいえばいい

のか、その衝撃で更に後ろのほうまで吹っ飛んでいく。ふ、ふ、ふざけるな! こ

の威力!? 警戒しなかったら余裕で死んでいたかもしれないhじゃないか!


「ウオオオオオオオオン!?」

たけのこが吠える。私は叫ぶ。全員がてんてこ舞になる。いやもう何がなんだか分

からない。爆発音がまだ鳴り響いている。うるさすぎる。なんていう威力なんだ。

でもこんなのがあるなら、蟻との戦いの時にもっとサンショウに頑張ってもらえば

よかったじゃないかと後悔している。ああ、あんなに頑張って倒したっけなあ、っ

てこれ走馬灯じゃないんだから!

「なかなかやるじゃないかサンショウ。でもその反動で動いちゃ話にならないな。」

仁王立ちしてかっこつけているブッチだった。そう、ブッチだけは余裕で二本足で

その場に突っ立っている。あの爆発の衝撃をものともしないってサイコロプスの耐

久力はどうなっているっていうんだ全く。


「あ、あの衝撃を受けて、た、立っている!?」

いやサンショウ、そんな私の前でがたがた震えてないで、さっさと起き上がってく

れ。衝撃はもう終わっただろう。

「これは魔者様。失礼致しました。」

かなり驚かされたが、一応死ぬ事は無かった。でも内心死ぬかと思った。全員あの

衝撃でショックをうけているようだけれど、こういうとんでもない攻撃は慣れれば

どうってことはなくなるだろう。


「ウムゥ。アノヨウナショウゲキ、ハジメテダッタ。」

「うう、怖かったチウ。」

デスフレアなんてかっこつけた名前の癖に威力まで強いとか狡いよね。私もそうい

ういかにもかっこいいって魔法とか覚えたいんだけどなあ。どうにかならないもの

だろうか。


メッセージ:ガーディアンゴーレムを倒しました。ガーディアンの鍵を手に入れま

した。


「あ、今ガーディアンの鍵が手に入ったって。」

「それ、俺も手に入れたみたい。」

「私もです!」

 プレイヤー全員が手に入るってことか。これであの奥にある黒くて大きい鉄の扉

を開けることができるのかな。


「あー。でもなんかまた俺がとどめさせなかったってことか。これはちょっとイラ

イラしてくるなあ。」

「アシストだけじゃちょっとってなるよね。まぁ今後のボス担当はブッチに任せる

からそこでなんとかしてくれ。」

「なーんで俺はとどめまで刺せないかなあ。すっげーくやしいなあ。」

 確かになあ。ブッチがとどめを刺すってことが稀になってきているのが確かにお

かしいと思うし、こうなるとボスと戦わせるためにいつも最前線に立たせておくべ

きだなあ。


「私が頼みたいのは、黒騎士なんだけどね。」

「! あの海底洞窟にいた奴か。確かに戦ってみたい!!」

「私はあいつと戦いたくないので絶対によろしくね!」

「マジで!? ああいう強そうな奴と戦ってみたいからむしろ嬉しい!」


なんとなくテンションが上がったブッチだった。良かった、これで少しは機嫌が良

くなったかな。

「よっし、それじゃあ奥に…げほっげほっ。うー。煙が立ち込めているっぽし、も

うちょっと後で入るか。」

ちゃんと煙も発生するのがこのゲームの良い所だな。ただ、この状況では前に進み

たくないので、落ち着いてから進む事にした。


「サンショウ、よくやった! おかげでこの先に進めそうだよ!」

ねぎらいの言葉をかけておく。ついでにだいこんも褒めておいた。

「魔者様のお役に立てて何よりです。」

嬉しそうに言うサンショウだった。なんだこのイケメン。やっぱり骸骨の姿に戻っ

てもらったほうがいいんだろうか。


「ソレニシテモ、イヨイヨデスネ! ねこますサマ!」

「そうだね! ここから先が人間達のいる街とかそういう場所に行けるかもしれな

いんだ!」

「まだかもってところが微妙チウ。」

「うっ。いつもみたいに目的と違う場所でしたみたいなオチはやめて欲しいな。」

「そろそろ俺も街に行きたいし、そうはならないと思う! ねっこちゃんだけだっ

たら違ったかもしれないけれど!」


何を言うか。私は日頃の行いがいいから、きっと次こそは人間達の街に行けると思

っているぞ!

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