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アノニマスターオンライン  作者: 超電撃豚豚丸
第4章「人間の大陸」
213/473

第213話「ゴーレムとの戦い」

 おかしいとは思っている。ゴーレムと言えば、岩や鉄の塊が人間のような形をし

たものだけれど、それは何かを守るために作られたからだと思われる。だとすれば

この神殿の内部に設置されているというのは、どういうことなのだろうか。単純に

神殿の外部に設置されているのならば、侵入されないように守っていると言えるだ

ろう。だけど、神殿内部にいるというのならば、侵入してきた相手がこれ以上侵入

しないように守っていると言える。

 

 私達の奥に見えるのは大きな扉だ。なんとなく出入口という感じはするけれど、

本当にそうなのかは分からない。だけどここをゴーレムが守っているというのなら

ば、この先は外なんかじゃなく、神殿の奥に行くための出入口、あるいは宝か何か

があるのではないのだろうか。

 仮に、あの出入口が外につながっていた場合については、つまり外に逃がさない

ゴーレムが守っているとも言えるが、そうなると今度はこの神殿は誰もを外にださ

せないような、まるで監獄のような場所ではないかということが考えられる。


 戦って勝てば分かる事だけれど、その先も考えておかないといけない。こういう

場所からやっとこさ脱出したと思ったら、いきなり敵に襲い掛かられてゲームオー

バーになった経験があるので、先まで考えないと不安になる。逆に、この先にお宝

なんかがあったとして、それに真っ先に飛びつくのも駄目だ。罠の可能性がある。

金銀財宝を目の前にしたら、エリーちゃんも盗賊なのに我を忘れて飛びついてしま

うかもしれないな。なんて色々考えているうちに、みんなの準備が終わったようだ。


「おっ。ねっこちゃんまた面倒くさそうな事を考えているね。」

「または余計だっての。今までの経験を踏まえてあの扉の奥が嫌な事しか待ってな

いきがしてきたからね。」

「あの扉が実はモンスターで、出ようとした瞬間に扉が閉まって挟まれてやられた

なんてことがあったら嫌だなーって。」

「やっべ。俺そのゲームやったことあるわ。」

「あ、多分あたしもです。背中を向けると扉から目が出てきてビームを撃たれてや

られました。」


…この二人も結構ゲーム好きなんだよなあ。というか私以上に詳しい感じがする。

それにしても、目からビームか。それも嫌だな。そういうの考えるとこの先の部屋

自体がモンスターになっているなんてことも考えられるよなあ。その時はその時と

しか考えるしかないけれど、それで壁が迫ってきて押し潰されそうにでもなったら

問答無用で隕石拳で脱出するけどね。

「まぁ、何かあれば魔者様があの巨体な岩の塊になればどうとでもなりますよ。」

「そうだチウ。こんな神殿木っ端みじんだチウ。」

やっぱりみんな同じような事考えるよね! 私が突撃すれば済む話っていうのは分

かるんだけどさ、安易にやりたくはないんだよね。折角ここまで普通に移動してき

たっていうのに、それやっちゃうと意味がなくなってしまうし。


「あっ! これは今使ったらここまで頑張ってきた意味がなくなっちゃうから嫌だ

なあって思ってる顔だ!」

「そうだよ! その通りだよ! まぁ最後の手段にはしておくからみんな心配はし

ないでね!」

「はーい!」


 それでは、このまま先に進んでみるとするか。実はあの天井から吊るされている

ゴーレムがただのインテリアだったらいいのになあなんて思うけれど、大体そうい

う都合のいいことないもんな! 塔にボスがいるとかいうゲームで、塔にボスがい

る確率なんてほぼ100パーセントみたいなもんだし。いなきゃいないでも絶対に戦う

はめになるだろうし。


「で、入るんじゃないのねっこちゃん?」

私が部屋を前にして一歩を踏み出さないでいるとブッチが声をかけてきた。入る前

にやることがあるんだよ。というわけでそれをブッチに頼むことにした。

「何これ。」

「火薬草入りの瓶。蜂蜜を使い切ったときのものを入れた。これをあの天井のゴー

レムに向かって思いっきり投げて。」

 火薬草入りの瓶。つまり火炎瓶だ。無理矢理押し込んで詰め込んだので多分そこ

そこの威力を発揮してくれるはずだ。瓶自体はそう多く持っていないので量産は難

しいが、ここぞという時の為に作ってみたのだった。


「実は攻撃したら復活するゴーレムとかだったら?」

「私の予想だと、絶対どのみちどんなことがあろうとあのゴーレムと戦う運命とい

うか宿命みたいなもんだから別にいいよ。」

 そういうこともあると思うけれど、私が戦いたくないなあと思っている事ほど、

絶対に戦う羽目になっているのでやるしかない。魔者というのはそういうものなの

だと思うと腹が立つ時もあるけれどそんなもんだ。


「なら、我も魔法を使ったほうがよろしいですか?」

「あー。うん。サンショウには後でやってもらいたいことがあるから待って。えっ

とエリーちゃん。」

「はい? なんでしょう。」

「水の魔法って使える?」

「使えますよ。あれに向かって打つんですか?」

「そうそう、火炎瓶が当たったら、その後に使うような感じかな。といってもタイ

ミング次第なんだけれど。」


 岩が対象だったか忘れたけれど、金属とかは確か熱した後に冷却するとひび割れ

たりするって聞いたことがあるのでそれを試してみようかなと思っている。多分効

果があるとは思っている。<アノニマスターオンライン>の製作者とかそういうと

ころを設定するの好きなんじゃないのかななんて思ったので。

「そう上手くいかないとは思うんだけどね。そんな簡単に温度差でやられるような

ゴーレムなんかを使うなんて結構しょぼい気がするし。」

「やるだけやってみるのはいいことじゃないか。よっし。じゃあやってみるか。ブ

ッチ選手一球投げますぞ! オッラアアアアアアア!」


 ブッチが天井のゴーレムに向かって思いっきり火炎瓶を投げつけた。火炎瓶がゴ

ーレムに接触した瞬間、大きな爆発が起きた。そう、予想外の威力の大きな爆発だ。

 室外にいる私達の体にも衝撃が走った。な、なんであんなに威力がでたんだ。ど

ういうこっちゃ。ちょっと自分がやったことに不安を覚える。が、どうやら上手く

いったようで、天井に吊るされていたゴーレムが落下した。

 落下の衝撃で地面が揺れる。更に巨大な音が聞こえてくる。これは、ゴーレムが

稼働したということかな。室内にはまだ入っていないので、まだ逃げようと思えば

逃げられる。

 当然、安全策が好きな私はここで一旦引こうと思った。その時、ゴーレムの顔の

ような部分に丸く青い瞳のような物が浮かぶのを見た。あれは検知器か何かなんだ

ろうか。ゴーレムが片膝をつくような態勢になってこっちを見つめてきている気が

する。


「サンショウ! ゴーレムの足部分に重力魔法! たけのこ、この距離で重圧は使

える!?」

「かしこまりました! 南無阿弥陀仏!」

「スミマセン。シャテイケンガイデス!」


 両方合わせられたら良かったが無理か。ああいう体が大きければ大きいほど重力

が与える影響が大きいと思うのでダメージはそこそこあるはずだ。まずあの巨大な

体で襲い掛かられたらたまったもんじゃないので、それを足止めするのが重要にな

ってくる。

 サンショウの重力魔法がゴーレムの足部分に命中し、自由に動けず態勢を崩す。

「ゴゴゴゴゴゴゴゴ!」

 唸り声のようなものを上げるゴーレム。うわぁなんかこっちを見ているような気

がするなあ。というか私を見ている気がする。嫌だなあ。魔者になんか恨みでもあ

るかのような感じがしてきた。


「エリーちゃん。水の魔法をお願い。」

「ウォータープレッシャー!!!」

水の魔法でゴーレムの全身を冷却する。とはいえ、火薬草でやったのは熱したとい

うよりも爆発の衝撃を与えたほうが大きいと思うので、あまり意味はないかもしれ

ないけれど、やれるだけやってみろの精神なのであまりこだわってはいない。


「ねっこちゃん! 俺の出番はまだなの!!?」

かなりうずうずしているな。ということでここでブッチを投入する。

「徹底的に足に攻撃。ゴーレムの攻撃は全部かわして。これくらいできるよね?」

煽るように言う私。このくらい安い挑発をするくらいが多分ブッチをたきつけるの

がぴったりだと思ったので言ってみた。すると、嬉しそうに。


「できらぁあ!! よっし! ちょっくらゴーレムをぶっ倒したくらぁ! 俺の雄

姿をみんな焼きつけろよ!」


 ブッチは叫び、部屋の中に駆け込み、ゴーレムへと向かっていった。ふぅ。強い

っていうのは分かっているからいいけれど、本音を言えば部屋の中に入らずにここ

でじっくり遠距離攻撃を続けたかった。だけどゲームを楽しむという目的でいえば

ブッチは何もできていない状態になるのでそれも避けたかった。

 一応これは別に配慮したわけではなく、いつまでも部屋の中に入らずに足止めが

できるとは思わなかったので、その壁役としてブッチに頑張ってもらうことにした

というのがある。


「ゴゴゴゴゴ!」

「狂戦士だぁ!!!! おっらああああああ!」

えっ!? 何いきなり狂戦士とか使ってんの!? ちょっ。それは完全に予想外だ

った。何々!? 何してくれちゃってんの! そこまでフラストレーションという

か不満が溜まっていたの!? マジで!? 今のちょっと、間違って使っちゃった

とかそういうのじゃなくて、うっわ、完全に計算外だよ! うああー、もうこうな

ったらガンガンいけえ!


「ゴオオオオオオ!」

「遅すぎっての! 当たらなねえ!」

 ゴーレムは完全に立ち上がり、二足歩行になっていた。というかでっかいな!?

全長10メートルは超えてないか!? あんな岩の塊がどうやって動いているんだっ

て昔から思っていたけれどそういうもんか。

 そんな巨体で大きく拳を振るっているが、それもブッチには当たらないようだ。

だからなんでそんな回避ができるんだ? 絶対おかしいってあれ。


「張り手! 張り手! 張り手! 張り手! 張り手!」

怒涛の張り手ラッシュ。ああそうか一応力士だったんだよねブッチって。素で忘れ

そうになるな。狂戦士化も相まってものすごい勢いだけれど、あの巨体にそれが通

用するとは思えないんだけどな。岩の体だし。サイコロプスとはいっても体は人間

と同じような筋肉質って感じだけれど、どうなんだろうか。


「張り手! 張り手! 張り手! 張り手! 張り手!」

「ゴゴゴ!?」

なんか押しているように見えるんだけれど、すごいなブッチ。でも狂戦士を使った

からには、短期決戦だし、どうにもならなくならないようにしてくれ。というかこ

れ、援護しようにもブッチがすごい早く動きながら攻撃しているし難しい。


「ねっこちゃん! 飛行欲しい! くれ!」

「あ、飛行!」

 ここから届くかどうか微妙だったけれど、届いたようだ。スキルの届く範囲って

うのも調べておかないとか。

 ブッチは飛行で空を飛べるようになり、ゴーレムの攻撃もそれを利用してかわし

ていく。そして攻撃できそうなタイミングを見るやそこにも攻撃を加えていく。す

ごいなオイ。

「はっはっはああああああ! めっちゃ楽しいいいい! これだよこれぇ! 俺が

求めていたのはこういう血肉湧き踊る戦いだあああああああ!」


あ、やばい。あれなんかスイッチ入ってるな。暴走させ過ぎないようにしなきゃ。

ブッチはストレスが溜まっていたようです。

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