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アノニマスターオンライン  作者: 超電撃豚豚丸
第4章「人間の大陸」
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第212話「神殿の大広間」

 一刻も早く、この神殿のような場所から脱出したい。ここまで来てしまったらも

う魔者の大陸に戻るのは困難な状態だと言うのが分かっているので、先に進むしか

ないし。

 一応神殿っぽいので神殿とは呼んでいる。至る所に謎の紋様が刻まれた柱が立っ

ていたり倒れて瓦礫のようになっていたりする。廃墟のようで廃墟ではないような

そういった場所だ。この神殿内、とても薄暗いので、何かが近づいてきてもすぐに

は気が付けないかもしれない。一応照眼は使える時に使うけれど、常時使うのは勿

体ないので可能な限り節約していく。


「ここさぁ、すっげえ広くね?」

「なんか強そうなモンスターの根城って感じがしません?」

「あー確かにそういう気はする。となるとここって、神殿というか宮殿とでもいっ

ても良さそうだねえ。」

悪の根城なのかどうかは知らないけれど、私達がかなり走ってうろついているのに

も関わらず、一向に外に出られないことから、かなりの広さであることはほぼ間違

いないだろう。

 このゲームお得意の、いつもの無限ループのマップだったなんてオチもありえる

ので、一応それも警戒はしておくけれど、もしループするとしたら脱出方法は必ず

あるはずだし。


「はぁ、早く外に出たいですね。こういう屋内にいると閉じ込められていた時の事

を思い出して憂鬱になります。」

「そうだよね! 俺もそうだよ! ねえねっこちゃん!?」

「聞いてたけのこ。私だけお外で冒険していたからって、仲間外れにしようとする

のがそこにいるマブダチなんだ。悲しいねえマブダチなのに。」

「いやぁ、俺の悲しさが分かってくれるなんて流石だよマブダチ!」


 お前の事ではない! と言い出すときりがないのでここでスルー。まぁ二人はよ

く頑張ったよ。うんうん。

「ワタシハ、ねこますサマト、デアエテヨカッタデス。」

ああ、なんていいことを言ってくれるんだたけのこ。おーよしよし。もっふもっふ

と頭をなでると癒されるなあ。はぁ、なんかもう、色々面倒くさそうな事放り出し

て、たけのこ森林に帰ってだらだらするだけなのが良いんじゃないかと思い始めて

きたなあ。


「ねっこちゃん。現実逃避しちゃだめだよ! ここから先に真の錬金術士になれる

道が待っているんだからさ!」

「はっ!」

確かにその通りだ。このまま放り投げてしまってはダメだな。なんて一瞬だけ真面

目になったけれど、ここ、広い。ずっと歩いて歩いてを続けているので、段々飽き

てきてしまった。


「マスターは、錬金術士になるために、人間の街に居つくのですか?」

「それはないなー。煩わしいこと多そうだし。」

「おお、それは良かったです!」

あれ? なんかみんなして喜んでいるのか。人間の街だと自分たちは入れないとか

なんとか思っていそうな気がするけれど、そういう事でなのかなあ。


「まぁ将来的にブッチが人間達の街を占拠するだろうから、そんな心配はしていな

いし。」

「えっ!? 何それ、いつそんなこと決まったの!? 俺がももりーずVの特攻隊

長にでもなれってこと!?」

「ブッチドノガ、トッコウタイチョウ、ピッタリダ。」

「ウム、オレモソウオモウ。」

「まじか。人間共を恐怖のどん底に落とすために俺はここまで来たという事か!」


 ブッチって私的意見で言わせてもらうとかなり強いプレイヤーなんだから、一人

で簡単に街を占拠してしまうんじゃないかと思うんだよね。苦戦らしい苦戦という

のはほとんどないみたいだし。自信にも満ち溢れているし、頼りになるって感じが

する。色んなプレイヤー達と戦っても、こいつ必ず勝ってしまうんじゃないかとい

う勢いがある。


「はいはい。みなさん冗談はそこまでにしましょうか。こんなところさっさと脱出

したいのはみんな一緒なんですから、たまには真面目に行きましょう!」

 エリーちゃんの言う通りだな。こんなところからはさっさとおさらばしたい。だ

から頑張って出口を見つけないといけないな。


「…ワイちょっと思ったんやけど、姉御のあの岩になってずぎゅーんって飛ぶスキ

ルで脱出すればええんやないんか?」

「それは最後の手段な。もしこの近くに街があったらそこが簡単に吹っ飛んでしま

うかもしれないし。ああ、人間の街が消えるのを心配しているんじゃなくて錬金術

をやるための道具とか買えなくなると困るから言ってるよ。」

本当にただそれだけだ。私は、どちらかといえばモンスター寄りになっているので

人間系のプレイヤーキャラと争いになっても構わないと思っている。ただ、強いプ

レイヤーとは戦いたくない。ぼこぼこにされてしまうのが関の山だろうし。


「で、だ。あれは、なんだと思うみんな。」

私達がとぼとぼあるいていると、大きな広間のような場所にでた。その奥には、巨

大な門があった。ここから出られるかもしれないと思ったが、大広間の天井から宙

づりにされている何かがあった。巨大な鉄塊のようなもの。

「ロボットというかゴーレムと言うかそういうのかな。」

「そうですね。あれは確かに、我も昔見たことがあるゴーレムと似ているように思

えます。」

 サンショウはリッチなので大体古臭いことは知っているという設定になっている

な。


「んっとあれ、かなりでかいけどさ、宙づりにされているけどさ…。」

もう絶対みんな分かっているよなあ。このタイミングであんなでかいゴーレムとか

いうのが天井にいるとかさぁ。あれ、最終防衛装置みたいな感じで絶対強いと思う

んだよねえ。」

この状況で笑っているのはブッチだけだった。他の皆は真剣な顔をしているように

見えた。


「あれと戦えるかもしれないなんて。テンション上がってきたな!」

あぁ、また戦闘狂の血がざわめいているのか。やれやれ、私としては、戦わなくて

済むようになればいいんだけれど、ここから出るためにはゴーレムを倒さないとい

いけないとかそういうになるんだろうな。嫌だなあ。そして今気が付いたことがあ

る。


「はい、みんな私に注目!」

「ほい、姉御どうしたんや?」

「魔者の私が、あのゴーレムに近づいたら動き出すとかありえそうな気がするんだ

よね。今まで封印されていたはずなのにとかそういう典型的なパターンが一番あり

えると思っている。

「うわぁ! ねっこちゃんってばなんて羨ましい才能を持っているんだ!」

「後天的でかつ無理矢理与えられたんだよおおおお!」

称号だけ渡したい。心底渡したい。だけど無理なんて残念過ぎる。

「それじゃあゴーレムと戦ってみたい人、いる?」

ブッチだけがはしゃいでいるのかどうか確認してみないといけないなって思ってい

たんだけれど全員が挙手した。あっれええ!? みんなそんなに強そうなゴーレム

と戦ってみたかったのか!?


「そろそろみんなで協力してボス退治をやりたくなってきました。」

「ねこますサマ。ワタシハサイキン、カツヤクデキテイナイナアトオモッタノデス。」

と、たけのこの申告の後から、くろごまもイッピキメもニヒキメも、そしてだいこ

んまでもが、協力したいようだった。な、なんでそんなにやる気なんだ。いつもは

全然反応が無いと言うのに。ちょっと悔しくなってきたな。


「ふーぅ。よし、みんなそんなに戦いたいって言うならしょうがないね! じゃあ

戦う準備をしてやったろうじゃないか。」

「俺はいつでも戦う準備ができている! あぁ早く戦いたい。もう俺一人でもいいか

ら戦わせてほしいくらいだ。あぁ、ボスと戦いたい。」

好戦的になるブッチをサンショウが見つめていた。どうした。

「ブッチ殿があそこまでやる気があるのは凄まじいですね。私に絶望というものがな

んだったのかを教えてくれたあのブッチ殿なら、どんな敵も簡単に倒せてしまいそう

ですね。」

 本人は俺一人で十分的なこと言ってるし、本当に何でもできる様な自信があるって

ことなんだろうなあ。すごいよなあ。

大広間にはまだ入らない。なぜなら、入った瞬間からあの宙づりになっているゴーレ

ムが落ちていきなりってくるはずなので。

 こうして、私達は戦う準備を整える。後ろから何かが迫ってくるかもしれないと言

うのがあったので、やはり私も急いで戦う方がいいと判断した。


「本当に落ちてくるかどうかは微妙なんだけれどね。」

「俺の予想だと絶対に落ちてくるよあれ。ねっこちゃんならそういう星の元に生まれ

たはずだし。」

「そんな星の元に生まれてはいない! というわけで、さっさと行くよ!」


色々お店はあると思うので、そう至った場所にも足を運んでいきたいなあ。よっし、

気を引き締め直していくとしよう。すぐに起動するとか面倒な事がどんどんなくな

って言ったら嬉しい。今回は出なかったけれどやるかもしれないのでよろしく。


「武器は持った! どうやって倒すかもなんとなくでみんな分かった!?」

「おっけー!」

 これが失敗するのか、それとも成功するのか、それが早く知りたいなあ。

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