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アノニマスターオンライン  作者: 超電撃豚豚丸
第4章「人間の大陸」
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第211話「プレイヤーへのとどめ」

「流石魔者様、情け容赦ない凄まじい一撃でしたな。」

 サンショウが頷きながら私にそう告げた。何に納得しているのか分からなかった

けれど、私もここまでなるとは思わなかった。まさか、相手が使ってくるスキルを

調合出来るなんてすごい荒技もといカウンターだと、私自身驚愕している。

 こんな威力を発揮するなんて予想もできなかった。でも今回は、たまたま上手く

いっただけに過ぎないので、今後使えるかどうかというと難しいだろうな。

 相手がどんなスキルをどのタイミングで使ってくるのか分かればなんとかなるん

だろうけれどそんなの分からないし。これは、戦いの幅がほんの少しだけ広がった

とでも思うのがいいんだろうなあ。

 

 それよりなにより、あたり一帯吹っ飛ばしてしまったんだけれど、これはまずい

よなあ。敵に私達のいる位置を知らせてしまったも同然だし。これはさっさと逃げ

ださないといけないね。

「さっきの轟音で他のプレイヤー達がここに集まってくるかも。なので急いで脱出

しよう。」

「そ、そうですね。それでこの人はどうしましょう?」


 格闘家の男。っていうのは私がそれっぽいから呼んでいるだけか。頭に鉢巻をつ

けて、胴着を着ているって本当に今さらだけどそんな装備だったので、これは明ら

かに格闘家か何かだろうなという予想だった。いや、こんななりで実は魔法使いで

したなんてことはないだろうし。で、こいつが今うつぶせになって倒れているんだ

けれど、このままにしておくというのはまずい。

「こうしよう。えいや。」

「お、おい。動けないところ何をしやがる!」

あっ、話せることは、話せたのか。危なかったなあ。これは反撃されていたかもし

れなかったんだな。まぁでも、エイの毒針を体に何本も刺したので、これで毒にな

ってくれるだろう。

「動けねえ。つーかなんだ!? 毒になっているじゃねえかくそっ!」


 こういう体力が自慢な奴にある特徴、それは自動回復という能力を持っているの

で可能性が高いということだ。はないかということだ。

 時間経過とともに、体力が回復するなど自然治癒能力があるため、耐久性が高く

なる。この格闘家も男も絶対にそういう能力を持っていると思い、実に厄介だった

のでエイの毒針で毒状態にした。これで自動回復能力を少しでも抑えるつもりだ。


「よし。じゃあみんなで攻撃していこう。」

 格闘家の男は、今ここで始末する。といってもデスペナルティを与える程度だし、

先に襲い掛かられたのは私たちなので、このまま倒れてもらう。それくらい徹底的

にやらないとだめだ。中途半端に生き残らさせていくと大体ろくなことがない。

「えいえいえい。」

「くそっ。何がえいえいえいだ。くそっ。こんな奴にやられるなんて不覚だった!」

「あ、ごめん。これエイの毒針だから、えいえいえいって言ってたんだ。」

「っ!? ふざけんなああああああ!」


 別にふざけてなんかいないんだけれど、これくらいの挑発にも乗っかってくれる

とは、なかなかいいキャラしているなあこの格闘家の男は。

「オイ。ネコマスサマニサカラウナ。」

たけのこが、格闘家の男の体を爪で斬り裂く。

「ムゥ。マタデバンガナカッタカ。セッカクノチャンスガ。」

「ニンゲン。オマエニハ、カゲノウスイオレタチノタメニシンデモラウゾ。」

自分で影が薄いとかいうんじゃない! まったくもう。早くこいつらにも面白い特

徴が出来上がってくれるように頑張らないとな。


「俺が、こんなところで、こんな奴らに・・・くそっ! お前ら、戻ったら見てろ

よ。必ずお前らをぶっ倒してやるからな。」

あぁー。なんか恨まれてしまったようだ。これは嫌な因縁ができてしまったなあ。

こういう奴が、自分たちの街に戻った時に息をするように嘘を吐くんだ。モンスタ

ー達に襲われたとかなんとか。いやいや襲ってきたのはお前だろうと言いたくなる

が、そんなもんなんだろうなあ。


「恨むなら弱かった自分を恨むんだな。」

「ぐぐぐ。」

 あっ、でもこういう悪役ロールプレイは楽しいな。どうせ色々難癖つけられるよ

うになるなら、いっそ悪役として、悪名高いプレイヤーとして名を馳せるっていう

のもいいかもしれないなあ。でも本音はやっぱり目立ちたくない。

 勝手に悪い評判が広がっていって、運営側から警告がでるなんてこともあり得る

かもしれないからだ。昔やっていたオンラインゲームの友達が、そういうことをさ

れてしまったことがあったな。


「全員! この格闘家の男を殲滅だぁあああ!」

それから、ブッチを除いたももりーずVのメンバーで、格闘家の男に総攻撃を仕掛

けた。やっぱりこいつ、相当タフだったみたいで、何度も何度も攻撃した末によう

やく倒すことができた。

ちなみにとどめの一撃は、イッピキメとニヒキメの攻撃だった。これで、こいつら

を目立たせることに成功した。

 最終的には、格闘家の男が光のようになって、その場から消えてしまった。これ

がいわゆる死に戻りというものだ。こんな風にどこかで倒れてしまうと、町などの

安全な場所で復活できるようになっている仕組みのはずだ。


「あー良かった良かった。こういう奴は早めにリタイアして貰わないとね。まぁこ

こが復活地点から近かったら最悪だけれど。」

「そうですよね。こんな暑苦しそうな人の相手はしたくないです。」

エリーちゃんが少し辛辣な気がした。こういう熱い系は苦手なんだろうか。

「ボク、さっきのあいつ嫌いだチウ。なんか偉そうだったチウ。」

「ワイもああいう奴は嫌いやで。なんかしつこそうだったやで。」

「拙者もああいう手合いが嫌いですな。落ち着きがなさすぎです。」

 え、なんでみんなしてそんな辛辣なんだ。そんなに嫌だったのかあいつ。傲慢不

遜って感じはしたけれど。なんか腹が立つことでもあったのか?


「…みんな怒りっぽくなるスキルとかくらっているんじゃないの?」

咄嗟に言葉が出てしまった。いや、なんか私もあいつと戦って言える時に昂ってい

るというか、なんか戦いに夢中になっているような感じがした。

「…ありえますな。魔者様の言う通り、そういう思考を鈍らせるようなスキルでも

使っていたかもしれません。」


うわー、それはちょっと怖いなあ。ゲーム内で感情なんかをコントロールできるよ

うなスキルなんかがあったらそれは怖い。まさかこのゲームでそこまでやることは

ないと思うけれど、怒りっぽくなるように仕向けることも出来るということになる

かもしれないのか。こればっかりは、実際にそういうことがあるのか、検証してみ

ないと分からないけれどね。

「…そう言われてみれば、あたしもなんか、苛々してたかもしれません。」

「ワタシモ、ナニカ、イカリガコミアゲテクルヨウナカンジガアリマシタ。」

えー。それじゃあやっぱりそういう攻撃もあるってことか。そういう事もあるかも

しれないなら、これから気を付けないといけないな。


「それじゃあまたここから脱出を頑張ろう!」

「おーい! 俺も行くって!」

後ろからブッチが駆けつけてきた。あれ、ここは任せて行けなんていうものだから

流れ的にここで倒されてしまうんじゃないかと大丈夫だったのか。

「余裕だったよ。かなり余裕だった。というか、先行こう。話たいことはあるけれ

ど、ここからさっさと出よう。」

 そうだよ。さっさとここから脱出して私は町とかで錬金術用の素材を買ったり売

ったりしたいだけなんだ。またここでも邪魔が入ったと考えると、それはそれでむ

かついてくるなあ。ああ、さっさと前に進みたい。


「よっし、みんな走っていこう。だいこんは私の肩の上な。」


みんなでこの部屋から出て、適当に真っ直ぐ進んでいく。この通路長いなあ。つま

り、この神殿ってかなり大きいってことになるな。一体どうしてこんな場所がある

のか気になってくる。だけどまぁそんなものかと走るながら納得した。


「もうみんな弱すぎだった。ウォーミングアップにもならなかったよ。」

「ブッチ強すぎ。」

「俺はまだまだ弱い!」

どの面下げてそんな事を言うんだ。なんかおかしな動きをしているという事で有名

なブッチの奴も。


「それでさぁああ。急いで追い付いてきたんだけれどさあ。またねっこちゃんが面

白そうなことをしていたみたいでずるいと思ったんだよ俺! なあねっこちゃん!

俺たちマブダチだよね!? たまには俺に強敵を譲ってくれてもよくない!?」

 私も譲りたいんだっての! なのにそういう時に限ってブッチがいないんじゃな

いか。今回だった、さっさとブッチが戦ってくれていたら早く片付いた気がするし。


「私の代わりにボスと戦って欲しい。」

「マジで頼むよ! ねっこちゃん! 俺もそろそろボスとの戦いが恋しいんだよ!

いい感じのサンドバッグが欲しいんだよ。 もっともっと強くなりたいし!」

 凄まじい向上心だ。私にない物を持っているな。本当にここまで強くなりたいっ

て思っているブッチがいるんだから、ブッチの為にボスが出てきて欲しい。私は一

切戦わなくていいから、まずはブッチを満足させてやりたい。

 いつもかなり戦ってくれているし。獲物は譲りたい。


「みんな、強そうな敵がでてきたら、ブッチに譲ろうじゃないか。分かった?」

すると全員から返事がきた。よし、それじゃあ今後のボス戦は、ブッチに馬車馬

のようになって頑張ってもらうとするか。

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