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アノニマスターオンライン  作者: 超電撃豚豚丸
第4章「人間の大陸」
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第207話「歓迎されない」

光が消失し、目の前を見渡すと神殿のような場所に出た。その次の瞬間。

「うっ!?」

 何かが私達を攻撃した。これはしてやられた。転移陣の周りを誰かが見張ってい

てもおかしくはなかっただろうに。ここまで読み切らなかった私のミスだな。樹海

側からも何かが出てくる可能性もあるんだろうから、当然警戒しているに決まって

いる。

 来れには少し悔しくて歯ぎしりしたが気づく。人間の姿じゃなくて、いつもの般

若レディの姿に戻っていることに。これは、攻撃を受けると解除されたということ

か。よし、これは、好都合だな。人間化していたのは多分ほぼ見られていないだろ

うし。


「みんな反撃開始ぃいい!」

 というわけで、攻撃してきた何かへの反撃を開始することに決めた。敵は、人間

の僧侶とかあと戦士みたいな奴らがいるな。プレイヤーかどうか分からないけれど

先に攻撃を仕掛けてきたのだから、戦闘するのは問題ない。が、こいつらの方が強

かったらどうしようかなというのが心配だった。


「みんな! 樹海の悪魔が来たぞ! 防衛戦だ!」

「よし! やってやろうぜ!」

「サポートします!」

「これで今回も報酬がっぽり貰おう!」


 樹海の悪魔ねえ。私達はそう呼ばれてしまうのか。まぁ別にいいんだけれど。一

番悪魔っぽいのは、サキュバスのエリーちゃんなんだけれど。この発言には。

「ふふふ。悪魔扱いされたのは嬉しいです。」

あっ、喜んでいた。まぁ自分のキャラが立ったってことだしそうだよね。で、ブッ

チはと言えば。

「俺たちをいつもの悪魔と同じにするなよ。俺たちはいつもの悪魔と同じだ!」

ああ、なんか戦えることに興奮して意味不明な事を口走っている。なんか嬉しそう

だし、ここで敢えてツッコミはいれないようにしよう。


「くらえファイアボール! 16連打あぁあああ!」

 灰色のフードをかぶった魔法使いの男っぽい奴が火の球を16個投げつけてきた。

沢山撃つのはすごいけれど素直に16個あるって教えるのは馬鹿じゃないのか!

「火薬草!」

 在庫はまだあるので火薬草をファイアボールとやらに投げつけてやる。こういう

のに当たっても爆発するのがいいところなんだよね。

「なっにぃ。の、ファイアボール16連打ぁああ!」


 なんなんだこいつは! 16連打にこだわりがあるのか! 昔、16連打を得意とし

た伝説のゲーム名人がいたけれど、それが由来か!?

「火薬草!」

こっちも一気に投げつけるけれど、上手く当てられなかった分が襲い掛かってくる


「ファイアーボルト!」

大きな火の矢が、火の玉を飲み込み、魔法使いへと襲い掛かった。

「ファ!」

「あっぶねえっての!」

 魔法使いの前に、全身鎧で包まれた大男の戦士が盾をかざし守りに入った。なか

なかやるじゃないかと思ったのと同時に、あの魔法使い、ファイアボールしか使え

ない、あるいは使わないようにしていると見た。あれしか使えないと思い込ませよ

うとしているのかもしれないな。馬鹿の振りをしている頭が切れる奴って結構いる

から、ああいうのにも警戒は怠らない。


「でもこれはどうかなあああ!?」

「はやっ!?」

ブッチが大男の戦士の間近まで接近し、張り手で思いっきりどつく。すると、戦士

と魔法使い二名をまとめて後方に吹っ飛ばした。


「げっ!?」

「んだとぅ!?」

おお、驚いている。というか、この場合ブッチが恐ろしいのか。あんなのを一撃で

吹っ飛ばすとは…。流石だ。ってあれ?


「とどめまできちんとさすぜ! さぁまとめてあの世に送ってやる!」

…吹っ飛ばした相手をそのまま追撃しにいった。まぁそうだよね。よくある漫画だ

と、そのまま追撃しないで、雑魚がとかなんか強そうな言葉を吐いて相手が起き上

がってくるまで待つのが多いけれど、そんなの普通しないよね。


「オラァ! オラァ!」

久々にモーニングスターを持ち出して、魔法使いと戦士に叩きつけるブッチはどこ

からどう見ても悪役にしか見えなかった。だがそこへ他の奴らも襲い掛かろうとし

てきていた。


「ガルゥ!!!」

「この狼はえーよ! んだこらぁ!」

「伸びろ黒如意棒!」

「でぇっ!? この猿もうぜえ!」


みんないい感じに戦えているなあ。でもねみんな、ここはこいつらを相手にしたい

わけじゃないんだよ。なので別な指示を出す。


「みんなここから脱出! 突撃ぃいいい! というわけでだいこん! 頼んだよ!」

「わかったやで! みんなワイの背中に乗るんやで!」

「逃がすか!」

「誰が逃げると? 南無阿弥陀仏!」

サンショウが、お得意の重力魔法を…うわわわ。それ使いすぎだろ! ってくらい

黒紫色の球体があちらこちらに投げつけられた。おいいい。


「ぐあっ!?」

「ううぅ? なんですかこれ。」

女の子のプレイヤーもそこそこいるみたいだったが、サンショウは情け容赦なく、

当てていった。プレイヤーは、十数人はいるようだったが、その全てに命中させて

いるのはすごいな。もしかすると、ブッチに負けたことで強くなろうとしているの

かもしれないな。


「よっしじゃあ。いくとするか。」

「ブッチさんがまだです。」

「ブッチー!?」

何をやっているんだあいつは。ん? なんか喋っている?


「いいかよく覚えておけ。俺はこのメンバーの中で最弱! 他のみんなは俺の100倍

は強いぞ。俺一匹に手こずったお前たちじゃ何やっても無駄だ! じゃあな!」

そういったブッチは、戦士と魔法使いにとどめを刺したようだ。じゃないよ! 何

してくれているんだ! お、お前このメンバーで最弱って、むしろ最強の部類だろ

うに何おかしいこと言ってるの! 撤回しろおお!


「待って~。おいてかないでみんなー。いくら俺が一番弱いからって~。」

わざとらしく泣きそうで弱そうな声で叫ぶブッチ。こ、こいつ! なんて奴だ。こ

うやって自分が弱いアピールをしておいて、私達が実は恐ろしい集団なんだってこ

とを植え付けようっていうのか。


「だいこん。そっちのなんか出口っぽいところを突撃ぃ!」

「え? ブッチニキはどうするんや?」

「走らせるからいい。」

「…わかったやで。」

有無を言わさず、だいこんを進ませることにした。この神殿、なかなか広そうな感

じなので、多分この部屋の出口から出た通路も結構な広さだと思う。まぁもしも狭

くなったらだいこんから降りて進めばいいだけだし。

「ああー。みんな待って~!!」


こうして、私達は人間達には大いに歓迎されたわけだけれど、この先こんなことば

かりだと困るな。なんか対策を講じないといけないけれど、私以外のみんなも人間

化みたいなスキルが使えるようにならないとだめだよなあこれ。


「ふーっ。こんな感じで良かった? ねっこちゃん。」

「最弱はないでしょ。」

「ソウデス。ブッチドノガサイジャクナドアリエマセン。サイジャクハダイコンデ

ス。」

「おいわんころ。言っとくけどな。ワイはそもそもそういう役割じゃないねん。む

しろ頭を使うタイプやねんぞ。」


まぁこの手の言い合いはいつものことだけれど、さてさて、この先どうするかな。

この神殿内は…結構広そうだなあ。まさかここ、地下とか言わないよね。後ちょっ

とばかり気になったんだけれど。


「あの転移装置が壊されるなんてことはないよね。」

「壊れても多分樹海みたいに復活するんじゃないですかね。そういうのだと他のプ

レイヤーも困るでしょうし。」

私もそうだと思ったけれど、やっぱり不安だ。もしあれが壊されたら、しばらくや

っていない薬草集めができないままになってしまう。あぁもう、折角人間の大陸に

来たっていうのに、頭の中は薬草でいっぱいになっている。


「ねこますさん。多分ですけれど薬草の事考えてます?」

「う、まあね。でもここまでやっちゃったからには薬草以上の収穫を手に入れない

といけないからね! もうやったるよ!」

「人間達の世界には様々な道具があるらしいですし。魔者様の望むものも沢山ある

と思います。」


むしろなかったら困る。私としては錬金術を極められるようになりたいからね。そ

して、色んなアイテムを集めまくるアイテム収集家にでもなろうかな。役割として

は、補助系ってことになるんだろうけれど、そういうのがいいなあ。


「ねっこちゃんは世界征服を狙っているみたいだから、ものすごいものを作れるよ

うになりたいんだね。」

「狙ってないよ!?」

「え…? そうなんですか? あの隕石になったりするようなのを見てから、その

そういうのも狙っているのかなあと。」

「マスター、私もマスターが魔者として人間の大陸を支配するようになるのだと思

っていたのですが。」


 な、なんで!? そんなのに興味はないよ! そりゃあ凄いプレイヤーだとか言

うのでちょっとくらいちやほやされたいみたいなのはあるけれど、<アノニマスタ

ーオンライン>で世界征服なんて無理に決まっているっての。世界中のプレイヤー

がいるんだから、そんな中でそれを成し遂げようなんてどれだけこのゲームに時間

を費やさないといけないのか分かっているのか。


「姉御、話の流れぶったぎってすまんやで。道が分かれているんやがどっちに行く

のがええんや。」

「じゃあ右でよろしく! で、私は世界征服になんて興味はないからね。錬金術士

として平凡なプレイヤーもとい般若レディとしてやっていくだけだから!」


 このゲームで家を手に入れて、そこで色んなアイテムを作って、そのアイテムを

使ってちょっとそこらに冒険しに行ったり、たけのこと散歩に行ったりとかそうい

うなんかお気軽に出来るゲームって感じでほんわかやっていきたいんだよ!

 みんなの言う世界征服とか、絶対殺伐とした雰囲気で、なんこおどろおどろして

いそうで嫌だ。私は、もっとのんびりとこのゲームを楽しみたいんだ!


「でもさ、クロウニンが襲い掛かってくるんだよ。忘れてない?」

「素で忘れてたよ…。」


 つまり、私の平和はクロウニンを倒すまで得られないってことか。うわぁ本当に

面倒くさいなあ。どうせそいつら倒したらまた次の敵がみたいなノリで永久に終わ

らない系になるんでしょう。ああ、誰かに魔者の称号押し付けたい。はぁ。でも無

理そうだしなあ。なんて言うと思ったか! そんな戦いばかりの生活になってたま

るかってんだ! よくある戦闘系漫画みたいなノリは嫌だ。

 私はそういうお決まり展開を打破してやるのが大好きなんだ! やってやるぞ。

なんとしても!


「ねこますドノガ、モエテイル。」

「ムゥ、ナンカコッチヲミテイルガ。」


こいつらもいつかレッドドラゴンと関係してくるかもしれないしな。きちんと見守

ってやらねば。あぁ。もう、なんだよクロウニンって。私の方が苦労人だっての!

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