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アノニマスターオンライン  作者: 超電撃豚豚丸
第4章「人間の大陸」
205/473

第205話「転移陣を探して」

 楽だ。だいこんに乗るのは楽だ。あれ、でもだいこんってこんな樹海でスムーズ

に動けたっけ。

「ふっふふ。お嬢。ワイも日々成長しとるってことやで。」

「お嬢呼びはもうやめて。」

確かに今の恰好はお嬢様っぽいけれど、そういうのは苦手だし、お嬢様っぽい話し

方なんて架空の世界でしか聞いたことが無い。ですわとか、だわとかそういう風に

話す人なんて今まで一回も見たことがない。のよとかわよとかかしらも全くない。

一体全体どこで使われているというんだろう。こういうオンラインゲームでキャラ

クターに成りきりでやった時とか面白そうだけれど、それくらいかな。


「わたくしはお嬢様のねこますですわ。さぁ、だいこん。わたくしの為に馬車馬の

ように働くのですわ。」

「あわわわわわ。あ、姉御ワイが悪かったンゴ。それをやめて欲しいやで。なんか

こう体がむずむずしてくるやで~。」

「というわけだよ。私がそういう話し方したら不気味に聞こえてならないんだよ。」

まぁそれも般若レディの私を知っている人限定だろうけどね。


「いやいや、俺はそのお嬢様喋り結構好きだよ!」

「はいはい。」

 ブッチの事は華麗にかわしておいて、今は、樹海をうろうろしているだけだ。要

するに探索活動なんだけれど、どこにあるかも分からない転移陣あるいは人を探し

ている。

 探しているのが偉い人の財宝だとかそういうのだったらいいんだろうけれど、転

移陣なのでいまいち盛り上がりにかけてしまう。

「こんな樹海にお宝なんてないだろうしなあ。」

「でも、ここに沢山プレイヤーが来ていたってことは、金銀財宝がこの樹海のどこ

かにあるかもしれないじゃないですか! 金貨とか宝石とかそういうのが一杯つま

った宝箱がどこかに隠されているかもしれないって考えると燃えません!?」

 エリーちゃんがすごいがっついてくる。あぁそういえば盗賊だったっけ。素で忘

れていた。盗賊と言うよりは魔法使いよりな感じがするせいだな。だけど盗賊を選

ぶだけあって、金銀財宝とかそういうのにどうも燃えてしまうようだ。


「でもねえ。<アノニマスターオンライン>内でお金持ちになっても別にこれとい

って面白そうな事はなさそうだしさ。」

現実でもそれが使えるとかなってたら目の色を変えてしまいそうだけどね。

「え!? ま、まさかねこますさん知らないんですか!?」

「え!? その言い方だと現実のお金に変換できる術があるってこと!?」

「そ、そうですよ! そうなんですよ! <アノニマスターオンライン>のお金を

現実で使えるようにできるっていう合法な換金制度があるんですよ!」

「うわぁー! そいつはすごいや!」

「普通に考えたら、何が? みたいに一回聞き返すところなんだろうけど、ねっこ

ちゃんの場合だと話がサクサク進むね。」


 だって、話の流れで察するとそういうことだろうし。まぁいいか。じゃない。現

実のお金に換金できるって話を詳しく聞かないと!

「私も細かい所までは知りませんよ。だけど、それを聞いたから盗賊を選んだとい

のもあるんですよ。」

「エリーちゃんは、金に目が眩んだんだな。いっそ清々しいな。ああ俺は、強そう

なプレイヤーとか色んな奴と戦えるかもしれないからこのゲーム始めたけどさ。」

 みんな欲望まみれだというのがよく分かった。そうか、そこまで詳しく知らなか

ったけれど、だからこのゲームのプレイヤーは世界中にいるんだなあ。あれ、でも

そうなると…。


「…私達って魔者の大陸から来たわけだよね。多分他の誰も行ったことが無い場所。」

「そうですね。」

「そんなとこから来た、しかもこんな魔者とかいうわけの分からない存在の私がい

るとかそういう情報とかも高く売れるとかあるのかな…。」

「やっべえええええ! 俺ら超大金持ちになれるんじゃね!?」

「ちゃんと買って貰えればって話になると思いますけど。」


 あぁ。ついでに魔者の称号とか売れないかな。百害あって一利なしの称号だし、

これがなければもうちょっと普通のゲームプレイが出来る気がするし。

「あれ、でも待てよ。そういうお金目当てのキャラクターに絡まれやすくなるかもし

れないってことか。」

「おぅ金だせよとか言われるかも。」

「面倒くさい…。」


嫌だなあ。つくづく面倒くさい事ばかりだ。面倒くさいことに絡まれたくないったのに。


「姉御。何か儲け話しとるんか?」

「まあねえ。頑張れば美味しい物食べ放題になれるかもしれないけど、難しいかな。」

「ね、ねこますサマ! ソレハホントウデスカ!」

おっとっ! たけのこが私に思いっきり近づいてきた。食べ物には夢中になると言う

のが分かっていたのに言ってしまった。おぅうう。もふもふするのはいいけどよだれ

がだらっだらたれているよおお!


「い、今のところはダメかもしれないよ。でも私達がもっと強くなったりすれば、

そういうことが出来るかもって話で。」

「ヤリマショウ! ゼッタイニツヨクナリマショウ!」

「はっは。魔者様ならあらゆる敵を屠ってしまえるようになるでしょう。」

「拙者は、マスターなら、誰にも負けないと信じています。」

「ねこますドノはツヨイ。コレハタシカダ。」

「ソウダナ。」


「みんなやめるんだ。私を持ち上げないでくれ。今更だけれど、私はももりーずVの中

で最弱なんだ。そんな褒めたたえる様なことを言わないで・・ん?」

なんでみんな私を凝視しているんだ。なんだなんだ。その信用していない目は。そんな

睨みを私に聞かせる暇があったら、転移陣がないか探してくれ。


「ねこますサマ。ケンソンハイイデス。」

「そんなことはないって!? 最弱だよ!」

「あー…。ねこますさん。みんな見てましたからね。グローリーアント倒した時のアレ。」

あれ、あれか。雷獣隕石拳か。ああ、あれは凄かったね。

「ねっこちゃんがあんなことできるなんて思わなかったよ。もう最強だよ。あんなん使わ

れたら俺でも勝てないよ。」


降参するかのように言うブッチ。あああ、そうだよね。あれをみんな見たって事だよね。

…そうか、あれを見られてしまったのか。


「あ、あれはいつでも使えるわけじゃなくてさぁ、だから強くないんだよ。」

「魔者様。我々はあなたの強さを知っているのです。あなたはリーダーなのですから、強

いのも当然です。」

「姉御は敵に回しちゃいけないってみんな思ってるとおもうで。」

「人間たちも、マスターの強さに怖気づいていなくなったのでしょうな。」


そ、そういうことか!? つまり、ここでプレイヤー達がいなくなってしまったっていう

のは、私がこのあたり一体吹き飛ばしたのを見たからか!? うわぁそれじゃあこんなと

ころにこなくなるのも当然だよね!? あんな攻撃がどこかからか飛んでくるかもしれな

いなんて話題になったら、みんな避けるよね! というかだから全然見かけないってこと

じゃないか。あああああもう! なんてこったい!


(母上、頭を抱え込んでどうしたんですか?)

いや、もうなんか自分で自分の首を絞めているということに気が付いてね…。はぁ。なん

だよこの状況。やってられないんだけど。こうやってしらみつぶしで転移陣探すのを頑張

っているのも、元はと言えば私が原因ってことじゃないか。そしてあの場で色んな敵と戦

うよりもプレイヤーから転移陣の場所を聞けばすぐに人間達のいる場所にいけたってこと

じゃないか。何もかもが裏目に出ているこの状況、頭を抱えざるを得ない!


「それで、あのスキルは何ていうの?」

「えーっと、雷獣隕石拳っていうんだけど。」

「まじかっけぇ! 俺をねっこちゃんの弟子にしてくれ! 俺も使えるようになりてえ!」

「やめろおお。そういうスキルなだけなんだよ。私はもっと可愛らしい名前とかってそれ

以前にもっと別なスキルを習得したかったよ!」

 あんな勝手に突き進む暴走スキルなんて、普通に戦う分には全く役に立たないし。無差

別に攻撃してしまうから、仲間も巻き込んでしまいそうだし、むやみやたらと色んな物を

破壊しまくって後でしっぺ返しがきそうで怖い。


「あぁ。転移陣を探すだけなのがこんなに苦労することになるなんて悲しすぎるよ。」

「俺もこの目を活かしてそこら中見回しているけど、それっぽいところないねえ。」

「ねこますサマ、ニンゲンノマチニハドウシテモイキタインデスカ?」

「錬金術士としてもっと上を目指したい。」

「俺と一緒に世界一の戦闘プレイヤーを目指そうよ!」

「お金を作り出してくれるなら私、お手伝いしますよ!」


戦うのも、お金を稼ぐのもそこまでやりたくはない。錬金術がやりたいんだよ私は! だ

って職業は錬金術士だし! それがほとんどできていないこんな状況を打破したいんだよ

私は! もういい加減、わけの分からない感じでいるのがね!

「なんかさぁほら。私って正体不明感あると思うんだよね。だから錬金術士として頑張っ

ていけば、なんかこう、私らしさを獲得できるような気がしている。」


「その濃いキャラで自分探しはないよねっこちゃん!? もう自分ってすっかり出来上が

っているって! 魔者で般若レディで錬金術士なんてそんなトリッキーな感じがするプレ

イヤーなんて他にいないよ! オンリーワンだよ!」


そう言われると確かにオンリーワンって感じで嬉しいけれど、でも錬金術士要素があまり

に薄すぎるから、それとなんとかしたいんだよね。え? 薬草を口の中に入れると勝手に

火薬草ができるって? そういう特殊なのをなんとかしたいんだよ私はああああ!


「ブッチさん。ねこますさんは、口の中での…。」

「あっ。そうか。ごめんねっこちゃん。」

「わざとらしく申し訳なさそうにするなあああああ!」


だから私はちゃんとした、真っ当な錬金術士を目指す! 人間の街で基礎から学んで、そ

こで、真面目にプレイしていくんだ。そして、そこでなんか色んな友達とか作って、パー

ティを組んで、大活躍をしていくんだ!


「全く、ねっこちゃんは贅沢だなあ。折角もう色々出来るって言うのに。」

「はぁ、そんな言われても困るっての。それで、そういう話はいいから転移陣でも見つけて

よ。全く。」

「ああ、今見つかったよ。」

「はぁあああ!?」

なんなんだよもう!

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