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アノニマスターオンライン  作者: 超電撃豚豚丸
第4章「人間の大陸」
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第198話「肩車」

 たけのこは、一段と早く、荒れた樹海を駆け抜けていく。いや、これじゃあもう

焼け野原とでも言ったほうがいいか。あの樹海がこんな風になるまで戦ったんだか

らここは勝利を掴まないといけないな。

 

 ここからは、私とブッチが主に攻撃を担当し、他の仲間たちにはその補助をお願

いするつもりだ。それで倒すことが確定している。不確定要素があるとしたら、蟻

が本気を出していないかもしれないということだが、これはもう確定要素として扱

うことにする。

 つまり、ここから私達は蟻を確実に追い詰めることができるとして、そこから蟻

が絶体絶命の状況から強くなると仮定する。私の予測だと、蟻はきっと、この樹海

全域を壊せるくらいの力を出してくると思われる。

 最悪のパターンだと自爆だ。道連れにしてやるなんて言って悪あがきする敵とい

うのは意外に多いと思っているんだけれど、蟻はそういうタイプな気がしている。


 あの横柄な態度だし、自分が負けるなんて事がプライドが許さないような感じな

ので、きっとそうだろうと思っている。自爆しないならしないで幸運だったという

ことで済ませてしまえばいいので、ここはあまり問題視しない。

 問題なのは、私とブッチとエリーちゃんを除くももりーずVのメンバーが自爆や

それと似たような攻撃を受けて死んでしまうかもしれないということだ。これを回

避するために、最初からなるべく距離をとっておいてもらいたいというのがある。

  

 当然、私達だって無駄死になどをしてデスペナルティをくらうのはごめんだ。そ

もそも<アノニマスターオンライン>にデスペナルティがあるのかも分からない。

ただ、多分あると考えているだけなんだけどね。そういうことも調べたりはしたく

ないので、今があるわけだけれど。

 ゲームの世界であっても、そう簡単に死にたくはない。生き返るとしても、やっ

ぱり死にたくはない。だから今全力で蟻を倒すための方法を考えている。もうすぐ

ブッチ達の元につく。あと少し、あと少しと頭の中で繰り返しているうちに、蟻の

圧倒的な巨体が広がってくる。やっぱりこいつはでかいなあ。


「オウオウ! マジャア! ニゲズに!」

「逃げずにここまで来たことは誉めてやろう!」

「ココマ、オイコラテメエエ!」

 誰が喋らすか。そしてそんなありきたりな台詞を私の前で吐くんじゃない。もうち

ょっと捻りを入れて話せと思った。まぁ所詮蟻だしそういう知能はないんだろうとい

うことで結論付けた。


「マジャ。テメェココデタオス! ココガオマエノ!」

「ここがお前の墓場だ!」

「ウゼエエエエエ! シネマジャ!」


 突然足を動かし始めて攻撃する蟻。更にアリボールだの、アリサンダーだのを撃っ

てきた。危うく当たってしまいそうなところを、間一髪で避けることに成功した。そ

う、ここでたけのこからブッチにバトンタッチすることになった。


「正義のヒーロー! サイコロプスのマブダチ見参! あぁー一度こういうのやって

みたかったんだよなあ。っしゃあああ!」

 いきなり蟻の足払いを素手で抑え込み、そこへ頭突きを食らわし怯ませるブッチだ

った。普段からこういう感じだったたらもう少しかっこいいと思うんだけれど、そん

なことはないからダメなんだろうなあ。


「ブッチナイス! じゃあ後は手はず通り頼むよ!」

「サイコロプスに肩車して貰っていく蟻撃退ツアーはこちらで~す。」

「アアン? ナンダテメェ!? ザコノクセニナマイキダゾ!」

生意気な所は認めない。ちょっとうざくなってきたのでツッコミはいいタイミングだ

ったと思ったのだけれど、その攻撃もブッチは受け止めた。何で攻撃が受け止められ

るのかは分からなかったが、なんか蟻の弱点みたいなところをどついたんじゃないの

かと勝手な想像をする。

「よーし! ブッチ。」

「あいよ! そんじゃしっかり掴まってね!」

 私はブッチに肩車をして貰った。そうだ、乗り物がたけのこからブッチになっただ

けなのだが、それだけというものじゃない。ブッチは視界が広い! そして何よりも

意味不明な強さを持っている。だからここでブッチを頼ることにした。たけのこでは

避けられなかった攻撃も避けられるような気がしたし。


「おっし。それで後は何をすればいいのかな?」

「こうするんだよ。飛行!」

「おおっ?」

ブッチの体が浮き上がる。そしてこれでブッチは3分間は空を飛ぶことができる。そし

てこの状態なら私も一緒に空を飛ぶことができるのだ。


「ねっこちゃん! サイコロプスとの空の旅をお楽しみくださ~い!」

「おうよ! んじゃあ爆撃作戦行くよ! 蟻の周りをひたすら飛び回れ!」

「おっしゃあ! 火薬草を不法投棄しまくるねっこちゃんに痺れるぜ!」

「ああもうそういうのはいいから!」


そう。蟻の上を飛び回って、私がアイテムインベントリからひたすら取り出しまくっ

た火薬草を全てぶちまけていくんだ。3分間、ああもう時間が、えっとひたすら投げま

くる! いけいけいけいけ!

「ガッ! ナッ? ナンダコノリョウ!? フザケルナ!!」

「…ねっこちゃんこんなに集めていたんだっけ?」

「まだまだあるよ! それをこいつに全部使うつもりだよ! これだけやればこの蟻だ

って追い詰めることができると思うし!」


どんどん投げていく。飛行の時間時間ギリギリまで、ひたすら上空から火薬草を投げつ

けていく。ひたすら、ただひすたらこの作業に没頭していく。

「ナンダヨコノリョウハ!? クソッタレガアアア!」

蟻は上空の私達相手にアリボールを投げつけ防戦するが、火薬草のとぶつかりあって相

殺されているだけだった。全てが相殺できているというわけではなかった、これにより

蟻にかなりのダメージを与えていることは明白だった。

 この勢いで行ければ勝てるが、飛べる時間に終わりが来てしまった。地上に戻る、私

とブッチだった。ここで肩車はやめない。

 飛行は1回使うとしばらく使えなくなるが、その一定時間を経過すれば使える。だから

今度は一旦地上で戦い、時間がきたらまた空へ行くなど対応をしていく。


「オレサマニ、コノテイドノコウゲキガキクトオモッテイルノカアア!」

「効いてる、効いてる。」

「シネエエ! シネエエ! ナンナンダオメエハヨ! サイショニアッタトキカラオレサ

マノジャマヲシテクレヤガッテ! クソヤロウガ! シネシネ!」


ブッチってば、最初にこいつにあったとき何をしたんだろうか。すごく気になってきたけ

れど、それよりも戦うことが最優先だ。


「南無阿弥陀仏!」


 大きな黒紫色の球体が、蟻の頭上に現れた。それは、ゆっくりと蟻の元に降りていき、

そのまま蟻を押し潰していく。これはサンショウか。美味しい所を持っていかれたような

気がするけれどまあしょうがないか。というかまた威力上がってないか? なんだなんだ。

みんなしてパワーアップイベントでもこなしたのか? 私なんて全然成長が無いって言う

のにそれはないんじゃないか。


「グゾガアアアアアア! モウユルザネエエゾオオ! ウガアアアア!」

 蟻がついにブチ切れた。これを待っていた。こいつの切れた時の動きを私は知らない。

だがこういうモンスターが激昂している間は動きが単調になると聞いたことがあるので、

ある意味で得した。


「ねっこちゃん! 俺も本気出していい?」

「え? まだ本気じゃなかったの!? 最初から全力でいってよ!」

「おおー! 流石だ。よし! それじゃあ今から俺、狂戦士を使うよ!」


メリケンサック。そう、そうだよこれ大分前にブッチに渡しっぱなしになっていたんじゃ

ないか。思い出した。これを装備すると得られるスキルが狂戦士だ。私はこのスキル習得

で散々苦労した苦い思い出が残っている。

「よし! それじゃあブッチが狂戦士なら私も切り札を使うよ!」

「ねっこちゃんはまだとっておいてよ! ここは俺の出番だって!」

「おわわわ。」


 肩車から降ろしてもらうことにした。そしてブッチは、狂戦士を使い、蟻に特攻をしか

けていく。よし、これでブッチがどこまでやってくれるかが見ものだ。ぎりぎりまでダメ

ージを与えてくれると助かるが、この蟻がどれだけパワーアップするのかが分からないの

が難しい所だな。

「狂戦士!!!!」

ブッチの全身が赤く燃えだした。真っ赤な魔人とでも呼んでもいいのではないかと思った。

こうして、ブッチは蟻へ特攻していく。反撃されてもその攻撃を全て受け止めている。視

点が多いって羨ましすぎる。


「燃えてきたぞおおおおお! ねっこちゃん! ここは俺に任せてねっこちゃんはえーと

あーと。うーと。」

「任せて先に行け作戦はもう古いんだよ!」

「悲しいな。ショックを受けたよ。」


ああもうそんなことはどうでもいいんだ。ここから勝ちに行くだけなんだから!

よーしブッチ! 蟻野郎に一泡吹かせてやるんだ。って蟹じゃないんだけど!

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