第191話「共感」
すみません。とても短いです。明日書き替えますのでよろしくお願いいたします。
(追記)訂正しました。よろしくお願いいたします。
「タワムレハ、ココマデニシテオコウ。」
あれ、急に本気の態度になってしまった。うぅ。こっちを凝視している。可愛い
なぁ。この状況で戦う流れになったら嫌なんだけれど。
「蟻がここに来るかもしれないからってこと?」
「ホウ、キガツイテイタカ。」
「まぁね。私は魔者ってことになっているから、それを察知して来るみたいだね。」
「ワレモオナジヨウナモノダ。…ホンダイニハイロウ。ワレワレハ、マジャデアル
キサマトタタカワナケレバナラヌ。」
ついさっき嫌だって思ったばかりなのに、なんでそうなるんだ。というわけでな
ぜそういう宿命にあるのか理由を伺ってみた。
「ワレワレヲ、ツクッタノハ、マジャダカラダ。シカシ、マジャハ、ワレラヲドウ
グトシテ、リヨウシツヅケテキタ。ダカラ、ハンギャクシタノダ。シカシ、ケッカ
デイエバ、ワレワレノハイボクダッタ。」
魔者本人は、やはりそんな簡単に勝てるわけがないくらい強かったらしい。それ
はそうだよね。創った本人なんだろうから、それより弱いってわけじゃないだろう
し。でもどうしてこのクロウニンとかいうのを創ったんだろう。
「マジャのヤツハ、ヒマダカラ、トイウリユウデワレワレヲツクリ、モテアソンダ
ノダ。」
うわっ。魔者って最低な奴じゃないのか。あっ今は私が魔者か。くっそ、やっぱ
りあいつは嫌な奴だなあ。蟻はともかくとして、こんな猫じゃなかったジャガーを
弄ぶだなんて許せん!
「えーっと、私も似たようなものなんだけどね。魔者の塔ってところにいったら、
勝手に魔者の称号を与えられてしまって、それからなんだか不運続きで。」
そう、不運続きなんだよ私は。なんか変な連中に絡まれてばかりな気がするし、
この称号があるからだとしか思えない。
「カッテニダト。マジャヲケイショウシタノデハナカッタノカ?」
「継承って言うのがよく分からないんだけれど、魔者自体には会った事は無いよ。」
正確には、先代の魔者とは直接であったことが無いってことだけれど、ここはそう
説明したほうが良さそうだったので誤魔化しておくことにした。
「ナントイウコトダ。ジブンノアクヒョウダケヲカッテニオシツケタノカ。」
そうそう! そうなんだよ! いやぁジャガーちゃんは物分かりがいいね。もう
この称号は負の遺産みたいなものなんだよね。魔者ってことで色々良いことがあれ
ば別だけれど、先代が好き勝手やったせいでとばっちりをくらってる感あるし。
「なので、戦わないことってできないの?」
「ソレハムリダ。ケイイガドウアレ、ソナタガイマノマジャダカラダ。マジャデ
アルカギリ、ワレワレクロウニントタタカワナケレバナラナイ。」
「えー。そもそもなんで戦う必要があるの?」
「マジャトイウソンザイジタイヘノ、ツヨイニクシミヲイダイテオル。イマモ、
ソナタニ、コウゲキヲ、シカケテシマイソウニナッテイル。」
どれだけ酷いことをしたんだ先代とやらは。というかそういう設定になっている
ってだけだとも思うけれど、魔者の奴めろくなことをしないなあ。私としてはこ
のままジャガーちゃんだけでも仲間になって欲しいって言うのがあるのに。
「それって戦って私が勝てば解消されるとかないのかな?」
「ホウ。ワレニカツツモリナノカ。ソナタ、マジャトシテヒガアサイノダロウ?」
「それはそうだけれど、私、ジャガーちゃんと仲良くしたいし。」
「ムゥ。」
困惑するジャガーちゃん可愛いなあ。これで戦わなくてよければいいんだけれど
ゲーム的な展開で言えば絶対に戦わなきゃいけないんだろうから嫌になるなあ。
あと、現状絶対今の私より強いだろうから勝てない気がするなあ。うぅ。
「仲間と一緒にジャガーちゃんに挑んでもいいの?」
「ソレハカマワヌガ、ドコカニイルノカ?」
「うん。今は、ジャガーちゃんじゃなくて、蟻の方と戦うために頑張ろうとして
いるところだったんだよ。」
「グローリーアントカ。アヤツニカツキナノカ? アヤツノツヨサハ、ワレヲコ
エテイルカモシレンゾ。」
「え、そうなんだ…。」
ブッチが追い詰めたのかどうか分からないけれど、結構いい感じに戦えていた
っぽいんだけどな。それともブッチの勘違いだったのか。まだ本気を出していな
かったのか。
「それで、今、私は狙われているんだけど、その蟻から。」
「ム、ツマリサキニアヤツガメニツケテイタトイウコトカ。デアレバ、ワレハシ
バラクテヲダセンナ。ソウイウキマリデナ。」
一匹ずつでしか戦えないってことかな。これは好都合だ。今からジャガーちゃ
んと戦った上でまた蟻と戦うなんてきつすぎる。
よし、これならなんとかなりそうだって思ったけれど、その間ジャガーちゃん
はどうするんだろう?
「セイカン、サセテモラウ。ダガ、ソノアトハカナラズタタカッテモラウコトニ
ナルゾ?」
「分かったよ。とりあえず、蟻を倒したら、ああ倒す自信はあるよ。みんなでな
らね。それが終わったら、次はジャガーちゃんってことだね?」
「ソウダ。イッテオクガテカゲンナドデキンゾ。」
あぁ手加減しない、よく聞く言葉だなあ。この言葉に真面目感が漂ってくる。
いやぁジャガーちゃんそういうところも可愛いなあ。
「勿論。私は本気で勝つつもりだよ。絶対に。」
「ソウイウトコロハ、マジャラシイナ。」
え~。それはちょっと嫌だなあ。まぁあいつ確かに卑怯そうな事とか好きそう
だし、勝ちにこだわりそうな感じがしたもんなあ。
錬金術士の杖を取り出したらいつでも話せるならいいのになあ。なんか意味不
明なタイミングで話しかけてくるし。
「ソレデハ、ワレハ、サルゾ。」
「うん。」
「オット。ヒトツダケチュウコクダ。グローリーアントダケジャナイゾ。ココニ
ハサマザマナテキガイルトオモエ。デハナ。」
そう言って、ジャガーコートは一瞬で消えた。えぇ何それ、縮地とかいうワープ
みたいな技? 早すぎてどうにもならないんじゃないか。あれと戦えとか無理過
ぎないか。
勢いで勝てるなんて言ってしまったけれど、ああいうのを対策をきっちしてお
かないとどうにもならないなあ。
(は、母上、あれは一体何だったのですか。あんな強大な力、恐ろしいです。)
え? 私は何も感じなかったけれど、NPCだとそうなるのかな。いやそれとも
私がおかしいとかいうわけはないよね。なんかジャガーちゃんってちょっと大
きい猫って感じだったせいなのかな。うーん。威厳はありそうだったけれど、そ
個までじゃない気がするしなあ。
あ、でもひじき、ここでびびったらだめだよ。私達はこれからはああいう感じ
の奴を合計で9匹倒さないといけなくなるはずだから。…本当に全員と戦うはめ
になったら嫌だけど一応そういうことになるとしておいたほうがいいかな。
(そ、そんな無茶ですよ。母上が死んでしまいます。)
そんなことを言っても戦うことは確定しているから、どうしようもないんだよ
なあ。ってあれ、晴れてきた。あれ、これってジャガーちゃんの能力だったって
ことなのかな。答えてくれるか分からなかったけれど聞いておけばよかった。と
いうか折角話せるクロウニンとやらに会えたんだから、もっと聞いておけばよか
った! うわぁ私へましたよ! 猫だ猫みたいな感じで周りが見えていなかった
ので勿体ないことをした。
(だ、大丈夫ですか?)
うんまぁ。これからは交渉とかそういう駆け引き的なことが上手くなりたいな
あ。情報を引き出すっていうのはこちらを有利にするし。何も知らないままだと
それこそ痛い目にあうからね。
あ、そうだ、ブッチ達にメッセージをいれておかないといけないな。ジャガー
コートに出会った事と蟻はなんとしても倒さないといけないってことを。
マブダチからのメッセージ:えー、一匹ずつなのか。まとめてあの世に送ってや
りたかったんだけど!
それだとジャガーちゃんまで死ぬだろう。いい加減にしろ戦闘狂め。
エリーからのメッセージ:ねずおちゃんが食べられちゃうとかないんでしょうか。
いやそれは、どうかな。食べるのかな。というかモンスター達って普段何を食
べて生きているのかも私はよく分かっていないし。仙人とかよく霞を食べて生き
ているなんて聞くけど、そういうノリなのかな。
それにしても蟻以外もいるかあ。分かってはいたけれど、超面倒くさいじゃな
いかそれ。他のプレイヤーがいたらそれも面倒くさい。これは自分たちの獲物だ
だとか主張してきたり、勝手に場を仕切ってきたりありそうだし。それでそうい
うところで、なんたらビートルやらが出てきて、荒れそうだし。
一応みんなに、そういう面倒そうな事があるというのも伝えておくか
マブダチからのメッセージ:邪魔する奴は全員ぶっ倒せばよくない?
良くないっつーの。いや良いのかそれで。そうだなうん。邪魔する奴は全員ま
とめてあの世に送ってやればいいだけの話だった。よし、その役目はブッチに任
せよう。私は穏健派だし。
エリーからのメッセージ:面倒くさい人たちなら、出来るだけ闇討ちしたいです
ね。あ、それとねこますさんはどこにいるんですか? そろそろ合流したほうが
いいと思うんですが。
闇討ちって、盗賊だからまぁある意味あっているのかな。私も合流したいんだ
けれど、現在地がどことかはよく分かっていないんだよね。ひたすら真っ直ぐ進
んでいるだけだし。
(母上が向かっているのは北ですよ。)
お、ひじきは方向が分かるんだ。ありがとう。助かった。よし、じゃあ北のほう
にひたすら進んでいると言っておこう。これで蟻が出てきたりすれば後は勝手に
気が付いてくれるだろうし。
着々と、蟻討伐の準備が出来上がってきた。あぁ緊張するな。嵐の前の静けさと
いうか。クロウニンとかいう巨大な的なわけだし。<アノニマスターオンライン
>を始めてから、そんな強敵と初めて戦うのだからしょうがないよね。武者震い
がしてくる。
この樹海では本当に戦ってばかりだけれど、それもそろそろ終わらせたい。そ
して念願の人間の街へ行きたいんだ。こんなところを通過点にして、私はとっと
と、先に行きたいんだ。
マブダチからのメッセージ:ももりーずVに逆らう奴はみんなまとめて地獄に送
っやろうじゃないか! この戦争で世界を恐怖のどん底に突き落としてやろう!
…。こっちがシリアスな展開になろうとしているのに、いきなり気が抜けるよう
なことを言わないでくれブッチ。




