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アノニマスターオンライン  作者: 超電撃豚豚丸
第4章「人間の大陸」
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第185話「蟻探し」

 ブッチと別れる前に蟻の詳細について聞いたが、全長20メートル以上ある巨大な

蟻で、ビームのような物を放ってきたりするらしい。なんだそれやばすぎだろうと

思ったのだが、どうしても恐ろしく感じられなくなっていた。

 キングモリコングとティラノの二匹を倒してしまったからなのか、なんとなく自

信がついてしまったというのもあるけれど、やはり隕石拳の存在が大きい。


 あの一撃で巨大な恐竜であるティラノを押し潰してしまったし、デメリットも特

になかったというせいで、これさえ使えば大体どんな奴でも倒せてしまうんじゃな

いのかという安心感があった。

 が、これが逆に懸念していることでもある。これだけに頼っていて、このスキル

が使えなくなった時にどうしようもなくなるということだ。


 他にもある。威力が強すぎて、使う場所を選ばなければいけないのと、もしこれ

で倒しきれなかった場合どうするのかってことだ。これに依存し過ぎていたらいず

れは必ず痛い目に遭うということに想定するが、使わずにはいられない状況も多く

なるだろうなあと考えると少し憂鬱だ。


 まぁ、今回のでかい蟻とやらには絶対に使うことになると思うが、これ一発でな

んとかできるとは思わないようにしたい。むしろ隕石拳に耐性があるような敵であ

る可能性が高いだろうし。

 大体、強い敵って色んな耐性持っていてずるいんだよなあ。もっと楽に倒させて

くれと思うよ。


 強いモンスターって本当にずるいなあ。まぁこの場合というかここは樹海だから

こそ、他種多少な生物がいる設定になっているのだろうし、蟻だけじゃなく、他の

強いモンスターも沢山いるかもしれない。

 こんな大量の木々に草に色んなものが生い茂った樹海だからこそありえるかもし

れない。


 今、私がいるあたりの木々の葉っぱが赤だったり、青だったり、色んな色があっ

てすごいカラフルだし、それだけじゃなく、なんか危険そうな、食虫植物っぽいの

も見える。この辺りを一人で歩くと決めたものの、最初から嫌になってきた。虫の

鳴き声も不気味に聞こえてくるし。


「なんか周りも暗い感じになってきた気がする…。」


 雰囲気が違うというか、もしかしてこれが蟻の影響を受けているなんて考えられ

ないだろうか。この辺りの地面の中に大きい蟻とやらがいるとして、それが環境に

変化を与えるなんてことだったら、と。

 ブッチが言うにはとんでもなく強いってことらしいけれど、もっと分かりやすく

色々と教えてもらいたかったなあ。


 ああ、私だったら色々考えられるだろうから言わなくても分かる! みたいなノ

リだったのかもしれない。でもなあ。ううん。蟻だよね蟻。蟻って結構沢山いると

思うんだけれど、でかい奴が一匹だけって本当なのかな。実は無数の蟻が集まって

一匹になっているなんて考えられないかな。


 何千、何万の蟻がかたまって一匹の蟻になっているなんて考えると巨大な蟻にな

っているなんていうのもあながちありえそうに思えてくる。とはいえそれが絶対な

んてことにはならないだろうから、他にも考えておくとするか。

 

 こうして蟻退治について考えに耽っていると気配感知に二匹ほどひっかかった。

こっちに向かってきている。うわぁ面倒くさい。こんなところで何がやってきてい

るっていうんだ。一応ブッチにメッセージを入れておくか。


マブダチからのメッセージ:ずるい! 俺も戦いたい!


 狡くないから! むしろ戦って欲しい! 襲われるこっちの身にもなってくれっ

てんだ。くそう。何がやってきているんだろうって。


「テ、テントウムシ?」


大きなテントウムシが二匹、私の前に姿を現してきた。うん。絶対敵のパターンだ

よねこれ。大体虫系って敵なのが定番だと思うし。


「貴様か! 黒アゲハ様をさらったのは!」

「我らの主である黒アゲハ様を返すのだ!」


は? 何それ、そんなものは知らんぞ。アゲハ? 誰だそれ。


「何それ、知らないんだけど。後いきなりその態度はないよね。」

「黙れ! 早く黒アゲハ様を返せ!」

「そうだ。返さなばどうなるか知らんぞ!」


いや知らんし。なんだこいつら。誰の事を言ってるんだ。ん? 黒アゲハ? 黒。

ひじきのことじゃないよね。ね?

(母上。多分違うと思いますので、私は絶対に出さないでください。絶対にです。)


おんやぁ。これはひじきちゃん。君の事じゃないですか? そんなに嫌がって絶

対何か知ってるよね。これ、このテントウムシどもと無益な戦いをする必要がな

くなるってことなんだけれど。


(嫌です。絶対に召喚しないでください。)


あっ、こいつぅ! 私に責任を押し付けた。ええい、そんな強情張っても知らない

よ! こっちだって召喚すればいいだけなんだから!


「とりゃああ!」


しかし何も起こらなかった。え。なんで出ないの。ちょ。私、今召喚したじゃない

か。何それ、召喚拒否とかずるくない!? なんか私の魔力とか使っているんだよ

ね? それちょっとずるくない!?


(ええ。ですから、今召喚しようとした魔力分はこっちで持っておきますので、次

回召喚する際に使わせてもらいます。)


こ、これってツケじゃない!? ず、ずるくない!? 色んなゲームやってきたけ

ど召喚の魔力もらいながらそれを拒否するとか初めてだし! ええい。そんなの納得

できるかああ!


「召喚! 召喚! ええい! ひじきいいい!」

(絶対に嫌です!!!!)


「ええい! 何を戯れておるのだ! 黒アゲハ様をだせ!」

「こうなれば力づくで聞かせてやろう!」


だぁぁあああああ! 私のでぇ嫌いな、おっと違う思わず混乱した。大嫌いな誤解か

らの強制的戦闘だぁ! 煩わしいったらありゃしない! こんなことならひじきを召

喚獣として契約しなきゃよかったああああああ! うああああ面倒くさい!


(母上、すみません、ゲップ。)


美味しく召し上がっているし! くっそ腹が立ってきた。ふざけるな。私はこういう

第三者の争いのいざこざに巻き込まれるのが嫌いなんだあああああああ! もうどう

なってもしらんぞ!


「テントウビーム!」

「真空波!」

テントウビームとやらと真空波が互いにぶつかり合い消滅した。こいつら、攻撃まで

しかけてきたし。私は何も悪くないのに濡れ衣を着せられているだけなのに、そうい

う可能性を考えない短慮な奴らめ! めにものみせてくれる!


「ぬぐぐ! テントウビーム!」

「遅い!」

本当に遅いんだよ。この間までモリコングだのなんだのに襲われているからそういう

のに慣れちゃっているんだよこっちは。そしてなんだその安直なスキル名は。そんな

ビームくらうわけないだろ!


「テントウフラッシュ!」

「うぐっ! 照眼!」

「うおっ まぶしいい!?」


やられたらやり返すでしょう。って眩しいし! こいつら嫌な攻撃をしてくるなあ。

というか技名にテントウをつけなくてもいいんじゃないのか。


「テントウアターック!」

ただの飛行しての体当たりだ。鎌で迎撃する。

「テントウエスケイプ!」

あっ直前で逃げやがった。なんだこいつら。なんかうざい。ひたすらうざい。


「ダブルテントウビーム!」

両手で放ってきているだけじゃないか! しかも二発分一気に出しているせいでな

んか遅いし。なんなんだこいつら!


「ああっ。もう。威圧!!!! そこになおれ!」

「なっ!??」

「なんだこれはっ!?」


テントウムシたちが委縮した。初めからこれを使えばよかったのか。なんなんだこいつ

ら、ギャグキャラなのか。全くもう。


「なんということだ、我々が動けなくなるなど」

「ええい、奇怪な技を使いおって。やはり貴様が黒アゲハ様を。」

 

 ひじき、出てきて説明してやってよ。それで終わる話じゃん!

(面倒なことになりそうなので嫌です。)


…もう充分面倒なことになっているんだよ。

私は思わずため息をついた。

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