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アノニマスターオンライン  作者: 超電撃豚豚丸
第4章「人間の大陸」
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第181話「透明な壁」

今回短めです。

 透明な迷路を突き進むことになって約10分。これはかなり辛いことに今更ながら

気が付いた。普通に歩くと、普通に壁にぶつかってしまう。これが私のステータス

を見たくないという主義のせいで、脅威になっている。

 壁にぶつかるとどの程度ダメージを受けるのかが分からないので、当てずっぽう

に進むわけにはいかない。薬草で回復して突き進む、所謂ごり押し作戦で行こうと

も思ったが、思いのほか簡単に激突するので、これはよくないと判断した。


 全然前に進めない。最悪の状況だ。この状況を打破するために、狐火を使って道

を確認してみようと思ったのだが、スキルはこの透明な壁を貫通するということが

判明した。ずるい、ずる過ぎる。

 武器を使った攻撃については、透明な壁を貫通しなかった。つまり、物理的な現

象のみを通さない仕組みになっているという事だろう。


 折角ボス二匹を倒していい気分だったというのに興ざめした。というかもしかす

ると、これが隕石拳のペナルティ的なものなのではないかと疑問を持ち始めてきた。

今までこんなことがなかったわけだし、この場所がもし、樹海のままだったらそれ

こそ今以上に移動が困難になってしまう。

 

「うう。面倒くさい。」

 思わず口ずさむ。ゆっくりと壁が無いか確認しながら少しずつ進むその様はどこ

か間の抜けた感じがするだろう。見ようによってはパントマイムでもしているかの

ようだろう。


「一回ログアウトしてみるか。」

これが隕石拳の効果かもしれないので一旦ログアウトすることにした。それから現

実で少し休憩をはさむことにした。

「はぁ。なんだかどっと疲れたよ。」

 樹海をたくさん歩いて、変なプレイヤーとモリコングに絡まれて、ひじきが仲間

になった後にボスが二匹でてきたってなんかすごい早い展開だなあ。目まぐるしい

な。 


 よくもまぁ倒せたもんだと自分自身を褒めてやる。私は、自分が頑張ったと思っ

た時は自分で自分を褒めてやるのが好きだ。そ

「よし、それじゃあもう一回ログインするか。」

長時間プレイもなんのそのと言わんばかりに再度ログインすることにした。


「えーっと。壁は消えてたりは。」


周りに手を伸ばしてみると、透明な壁は健在だった。壊れてくれていても良かった

のに、こういう私にとって都合の悪いことばかり起きるのもいつも通りだった。

「少しずつ進むしかないのかぁ。」

VRだというのに厳しい現実に直面している。透明な壁もとい迷路なだけに、非常に

厄介な冒険を強いられているようだ。


「明日になったら直っているなんて都合のいいことはなさそうだし。ひたすら突き

進むだけだなあ。ゆっくりと。」

 何かこの透明な迷路の移動がが分かりやすくなるってないんだろうか。いや多分

あると思う。それくらいこのゲームには夢があっていいはずだし!

 

 攻略方法だ。簡単に壁があることを見極める方法があるはずだ。それをちまちま

と確認するしかない。すごい地道だし、ここを抜けたら何の意味もなくなりそうな

ことになりそうだけれど、そのくらいはやらないとだめならやるだけだ。

 壁の角になるような部分が目立つとか? そんな目立つものは無かった。そんな

安直な答えだったら最初に見つけてそうだし。これは何だ。忍耐力でも鍛えるため

のトレーニングでもやらされているのかと文句の一つも言いたくなる。


「あ、そうだ。いいことを考えたぞ。」

薬草の葉を至る所に落としておく。風が吹いたりしなければ、最初はどの位置から

来たのかが分かりやすくなる。なんて思っていたけれど、普通に風が吹いてきて葉

はそのへんに転がっていってしまい、何の役にも立たないというのが分かった。


 考えながら歩く、そこからはそれを繰り返し続けた。仲間はひじきがいるだけな

ので、たまにくだらない会話なんかをしていた。

 結局は時間をかけてゆっくりとやっていくしかないのだろう。うう、なんだか早

く先に進みたいって思えば思うほど遠ざかっていく気がしている。

 

「これ、もしかして直感とかそういうのの訓練にでもなるのかな?」

黒騎士が出てきた時に感じたようなものだったら分かりやすいだろうけれど、これ

は、透明な物がある自分の超感覚を鍛えろってことかもしれない。そうだ。そうに

違いない。

 見えない壁があろうが、迷路になっていようが、そのことへの対策は絶対に必要

だろう。それは一人であってもだ。

 敵の攻撃を直感でかわすことができるのであれば、理論上どんな攻撃でもかわせ

るように、なんてなったらすごいけど、どうなんだろうな。


「うう。こんなところで一人で修行しているとか、なんだか変な人に思われてしま

いそうだ。誰もいないからいいけど。」

ひとまずここは、全力で取り組んでみることにした。


 目を瞑って移動してみたらとか、照眼を放ちながら進むなど、大体のスキルは試

してみたが、やっぱり全然何にも効果が無い。これは参ったなあ。全然進まないっ

て本当に面倒くさい。

 

「集中集中。」

そんなことを言っても集中できず、頭を見えない壁にぶつけることを何度も繰り返

した。集中するなんていっても、一朝一夕で出来るわけがないので、これについて

は、無駄かもしれないけれど、やってやるくらいのペースがいいかもしれないな。

 ブッチだったら、本当に軽く回避できていそうだし、この透明な迷宮も簡単に攻

略してしまうんだろうなあ。いいなぁ筋肉系。別に筋肉関係なさそうだけどね!


そもそも私が、見えないものを見ようとしていなかったことがダメな点なのかもし

れないな。それをもっと昔から練習しておけば、この身はどこから誰から狙われて

もなんとかできるようになっていただろうになあ。


「もっと真剣になってやってみるか…。」

いつも本気でやってるつもりだけれど、両手で顔をはたいて、気合いを入れた。よ

し、それじゃあこの迷路を脱出するぞ!

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