第18話「仲間との交流」
私とたけのこ、そして新たに仲間に加わったサイコロプスで力士のマブダチとで洞窟の
探検をすることになった。マブダチは飽き飽きしている感じだったけれど、私はこの中を
全然周ってないからね。まだ楽しみは終わっていないのだ。
さて、歩きながらもマブダチとは雑談をして情報交換をしていた。
「私がこのゲームを開始したら、スタートが草原だったんだけどみんな違うのかな。」
「種族ごとに違いがありそうだね。俺たちは多分モンスター系だからこういうところなのかも。」
モンスター系ってなんじゃそりゃあ。
「モンスター系って言うのが初耳なんだけど」
「あれ?もしかして何も調べないでプレイしてる?」
「まぁね。ああでも他のプレイヤーと話して知るのはOKにしてるよ。」
「ふーん。えーっと、キャラクター作成時に、普通の人間みたいなプレイヤーがいたのは分かる?」
「一応は。平凡過ぎたからぱぱーっと飛ばしちゃったけど」
「このゲーム、1度キャラを作ったらやり直しするには1年以上待たなきゃいけないんだよ。」
「えっマジかい。」
そういうこともあるかもしれないとは思っていたけど1年か。長いなぁ。
「制約をつけないと次から次へとやる人がいるかもしれないからね。妥当な判断だよ。」
マブダチも結構色々ゲームをやり込んでいるんだろうか。そんな感じがする。まぁVRゲー
ムも流行っているとはいえ、高額だし、そこまでガチでやる人はゲーマーばかりになって
も仕方がないと思うけど。
「で、マブダチは何でその種族と職業にしたの」
「マジかっけえって思ったから。かっけえでしょ?」
「ああうん。私の般若レディもいいでしょ?」
「うん。怖い。」
「黙れ小僧。」
全くこいつは人をからかうのが好きなのか。やはり私は素直なたけのこのほうがいいな。
「たけのこは素直で可愛いねぇ」
たけのこをぎゅっと抱きしめる。、
「ワタシハねこますサマノチュウジュツナシモベデス!」
なんて可愛い奴なんだ。もふもふ。そんなことをしているとマブダチが羨ましそうに見て
きた。
「本当にいいなぁ。なんで錬金術士なのにモンスターを仲間にできているんだ。くそう。」
「ゴブリンと友達になればよかったじゃん」
「最初はあいつらと仲良くなろうとしたけど、集団リンチされてむかついて潰したら、そ
れから目の敵にされたので無理無理。」
それは無理だろうなぁ。
「まぁ俺はねこますチャンと会えてよかったよ結婚する?」
「いきなり求婚するなアホ。」
こいつは本当に軽い奴だなぁ。職業ホストでもやっているんじゃないのか。
「それはさておき、むこうもそっちも行き止まりなんだけどどうする?」
「とりあえず行くだけ行ってみよう。」
マブダチには馴染みのある道だろうけれど、何があるのかは自分の目で見てみない事には
納得がいかないので行き止まりでも行く。そして私はやろうとしていることがあるのだ。
「あっ。念のため言っておくけど、俺もうこの洞窟全部をくまなく叩いたりしたからね。」
おいいいい。私がやろうとしていたことを貴様ー。ということは天井もか?
「それは天井も?」
「ジャンプすれば届くから余裕のよっちゃんだったよ。アハハ。すごい?」
「まぁはい。」
こいつも結構やり込み派だったのか。私もやろうとしていたことだったんだけどなぁ。昔
のゲームだとマップ全てを1個1個調べるとか当たり前のようにあったのでそれを実行しよ
うと思っていたんだけれど先を越されてしまったようだ。
「でもさっきも言ったけど色々変わっているかもしれないから再度確認が必要だからね!」
「あーうん。そっすねー。」
何だ今度はやる気がない奴め。こんなやる気がない奴が本当に洞窟内全部を探索したのか。
なんて考えていたら行き止まりにたどり着いた。
「見事に何もないね。」
「アソコニナニカアリマスガ・・・。」
「え!?」
なんだとたけのこは優秀だ。何を発見したのだとみると木箱があった。いやこの中にもし
かしたらお宝があるのかもしれないぞ!
「マブダチ。あれに見覚えは?」
「ないね。あんなのがあったらとっくの昔に俺が見つけているよ。」
どことなく、悔しそうなマブダチだった。
「あれは期待できそうな気がするけど」
「どうせ罠だよ!宝箱に化けたモンスターとかだよ!絶対そうに違いない!ぶっ壊したる!」
「何いきなり熱くなってんの!?」
1か月も何もなかったストレスのせいか、マブダチが憤りを感じているようだ。
「でもまぁ。いいか。とりあえず攻撃してみてよ」
「合点承知!」
それ流行っているのだろうかと思った矢先にマブダチが思いっきり木箱を素手で叩きつけ
た。しかし、木箱は壊れなかった。
「かってぇええ!なんだこりゃあ。ぶったまげたなぁおい。」
マブダチの剛腕を持ってもだめだったらしい。普通に開けることはできるんだろうか。
「じゃあ開けてみてよ。それしかないし」
「えー?俺が?嘘マジで?まぁ開けるか。開け~ゴマ!」
ぐだぐだ言いながらマブダチが箱を開ける。すると
「武器が出てきたよ」
「おお、おめでとう!どんなの!?」
「こんなのだった。」
「プッ。マブダチに似合いそうじゃん。」
出てきたのは、棒の先に棘のついた鉄球がついている有名な武器モーニングスターだった。
「ごつくない?」
「サイコロプスにあってるよプププ。」
「スタイリッシュ感がないなぁ。まぁこれもこれでいいか。」
なかなか似合っているよ。
「ここにそんなアイテムがあったってことはやっぱり他にもあるかもしれないし全部回ってみようよ。」
「そうだね。散々歩いた俺は無駄足だったってのに。くそう。」
くやしそうなマブダチだった。次は私の武器でもでてくれるといいなぁ。