表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アノニマスターオンライン  作者: 超電撃豚豚丸
第4章「人間の大陸」
175/473

第175話「樹海で特訓?」

 大体、ひたすら真っ直ぐ進めば目的地にたどり着くと私は考えている。途中で別

な方向に進むと帰り方もよく分からなくなるので、知らない場所から探索をする時

は、ひたすら真っ直ぐ進む。

 とはいえ、本当に真っ直ぐ進んでいるかどうかについては、はっきりしなくなる

場合がある。それが今だ。


「迷っているわけじゃないんだけれど。」

 そういえばどうやってブッチと合流すればいいんだろうと今さら気が付いた。目

印とかそういうものもなくここまで来てしまったけれど。あっ、そうか、だからブ

ッチの奴、私が迷って当然みたいなノリだったのか。

 

 でも、これではどこにいるのかなんて聞き辛い。くっ。ここは私が折れてなるも

のか。どうせこのあたりうろうろしていればいずれはブッチ達に行き当たるだろう。

そうに違いない。


 今の樹海の状況を整理してみるか。まず私達ももりーずVがいる。みんなは既に

モリコングと抗争中。そしてこの樹海には、他のプレイヤーもいる模様。ブッチ達

が既に会っているかどうかは分からないけど、なんて思ったけど、もし出会ってい

たらあの声のかけ方はないよね。

 …プレイヤーの目的は何か分からないけど、お宝探しが妥当かな。だとすると、

私もそれを狙いたくなるな。モリコングがそれを守っているとしたら、倒してお宝

を手に入れたい。一応そういう冒険者っぽいことはしておきたいし。


 極力面倒事はおこしたくないけれど、ひじきを召喚獣にした時点で既に起こして

しまっているからなあ。それならもういっそ面倒な事を徹底的にやっていってもい

いんじゃないのだろうか。


(えーっと、ひじきはこの樹海で生まれたんだよね?)

(はい。そうです。)

 お、頭の中で考えるだけで会話ができる。これは便利だけれど、常に私が考えて

いることが筒抜けってわけじゃないよね。…聞こえてないみたいだな。それとも聞

こえない振りをしているんだろうか。


(繭、ええっと、私を追いかけてくる前の事って覚えているの?)

(母上が私を呼んでいるような気がして、繭から飛び出したということまでしか分

かりません。)

 分かっていた事だけれど、私と出会った時に生まれたのは本当だったんだな。と

いうことはこの樹海にいた理由とかも本人は分からないってことなんだろうなあ。

でも一応聞いておくかな。


(この樹海については何か知っている?)

(私の故郷になるということしか分かりません。)

 じゃあ、あの繭を産み落としたモンスターか何かがいるってことなんだろうけれ

ど何も反応はないしなあ。あるいはあの繭が作られた時点で、死んでしまうみたい

なものだったんだろうか。謎は深まるばかりだな。


 あっ…。そうだ。あの繭。ちょっと欲しかったんだった。何かアイテムとして使

えそうな気がしたし。ついさっきまでは、ひじきに追われてたから忘れていたけれ

ど、もう大丈夫なら一旦戻るとするか。

 ただ後ろに行けばいいだけなので楽だな。やっぱり一直線に進むべきなんだ。道

順なんてすぐに忘れてしまうだろうし。こういう単純なのが一番だ。


 それからはひたすら走って戻っていくが、モンスターなどには遭遇せずに簡単に

戻ることができた。

 追われている時は長く感じたけれど、そうじゃないと意外と短く感じた。そして

繭があったあたりに出る。


「あれ、おかしいなあ。このあたりだったはず。」

あの光り輝いていた繭があったはずなんだけれど、もしかして、消えてしまったと

かいうオチか? 折角ここまで戻ってきたというのに、無駄足だったのか。うう。

ゲームじゃよくあるオチだけど、実際に体験すると切ないなあ。


 本当に何も残っていないか探してみるけど、何も見当たらない。確かにこのあた

りだったはずだと思っているのだが、道を間違えたんだろうか。それともあの場所

は別な空間だったとか? どちらにせよ運が悪かったってことか。

 

(ひじき、繭があった場所ってこのあたりで合っているか分かる?)

(すみません母上。私には分かりません。)

(ああ、いいよいいよ。気にしないで。)


 物欲のせいで娘に迷惑をかけている母親みたいになっている私。ふぅ。もういい

か。執着し過ぎてもろくな目に遭わないって今悟ったわけだし。

 ひょっとしたらあの時のプレイヤーやら何かが持って行ってしまったというのも

在り得る。それならそれで仕方がない。


 戻ってきてまた進むという手間になったしまったけれど、無くなった結果が見れ

て満足だ。これで戻ってこなかったら、あの時ちゃんと見ておけばよかったと何度

も後悔することになっていただろうし。

 RPGなんかをやっていた時によくあったなあ。宝箱があったかもしれないと思っ

たけれど、無視して進んでしまったら、その場所の宝箱が二度ととれなくなってし

まったっていうのが。


 その時じゃないと取れないっていうのが結構辛いんだよなあ。更にそれが凶悪な

場合があった。時間制限だ。ゲームの総プレイ時間が記録されており、一定の時間

内じゃないと、入手ができないなんてことがあった。


 …また一つ苦い思い出を呼び起こしてしまった。ゲーム内の全アイテムコンプリ

ートと時間制限内の入手がかなり厳しくて、何度もやり直したんだった。

 中途半端に終わらせるのも嫌だったので、集めるのに必死で取り組んだが、二度

とやりたくない。

 VRでオンラインゲームだから、一般的なゲームとは違うからそのあたりは気にし

なくていいけれど、今回みたいにアイテムが残っているかもと思った時は、後悔し

ないようにしようと誓った。

 

 また道を進んでいく。いつの間にか辺りが真っ暗になっている。この状況で動く

のは危険か。このままログアウトでもしてしまったほうがいいんじゃないのだろう

かと思ったが、夜の樹海にも慣れておきたいと思ったので、もうしばらくログイン

し続けることにした。


 昼夜だけじゃなく天候も地形も利用して戦えるのだから、そうした環境を利用で

きるようにならないと、強くなることはできないだろう。

 夜だから負けましたっていうことになったらそれはそれで気に入らない。だった

ら慣れればいいだけだし。


 それにしても、本当に暗いな。この世界というかVRは。現実では、そこら中に街

灯があるものだから、真っ暗闇というのはそう多くはない。だからなのか、こうい

う場所でそれを体験することになって、少しばかり怖さを思い出した。

 子供の頃は、夜にトイレに行くのが怖かったっけなあというのだ。こんな深夜の

樹海を目の当たりにして、その時のことを思い出した。


 歩みを緩やかにする。ここでじっとしているのも悪くないとは思うが、このよう

な状況でも感覚的に動けるようにしなければだめだ。

 例えば現状、この深夜の樹海で私とエリーちゃんが戦ったら、盗賊であるエリー

ちゃんの方が動きがいいので私はそれこそ瞬殺されてしまうだろう。

 

 当然それは相性の問題なんてものがあるが、そんなものは言い訳にしかならない。

結局のところ、勝利することが重要なのであって、負ける要素を残しておくのがい

いけないんだ。

 この暗闇の中でも自由自在に動ければ対等に戦えるはずなので、きっちりとここ

で訓練しておく。あれ? 訓練?


 はーっ!? そうか訓練か! 山籠もりじゃなくて樹海篭りだけれど、ここで修

行するってことか。もしかしてブッチがここに来たのも、訓練だったりしたのかも

しれないな。このあたりで出てくるモンスターなんかを倒して訓練していると考え

ると確かにブッチがここから出なかったというのも分かる。


 …でもそこまで考えていたわけでもないか。

 

 だけどいい感じの訓練にはなりそうだ。海底洞窟の隣にあるこの樹海で鍛えてお

いて、その後に、プレイヤーたちとの交流。いいね。これは実に素晴らしい。


 私としては、他のプレイヤーに雑魚みたいにされるのも嫌だし、横柄な態度をと

られるのも納得がいかないし。舐められた態度をとられたら反撃できるくらいには

なっておきたい。

 それが相手がどれだけレベルが高くて強かったとしてもだ。私は、将来的に絶対

にプレイヤーとぶつかるときがくると確信している。


 その時に、簡単に倒されることが無いようにしたい。まぁ今もちょっと見辛くて

木の枝にぶつかったり、足を踏み外しそうになっているけど。あ、そうだった。段

差もあるし、床がちゃんと見えなかったりするかもしれないので気を付けないとな。


「精神集中。精神集中。」

なんか、それっぽい言葉を言いたくなったんだけれど、この後木の枝に頭をぶつけ

てしまった。上手くいかないなあもう。

エクスカ○バーⅡを思い出しました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ