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アノニマスターオンライン  作者: 超電撃豚豚丸
第4章「人間の大陸」
168/473

第168話「誰もいない?」

今回少し短めです。

 結局、昨日はあれからログインすることができなかった。くろごま一匹を置いて

きてしまったことに罪悪感があったが、ゲームよりも私生活の方が優先順位は高い。

ゲームに人生を賭けていると言っても過言ではない人がいるが、私は、そこまでの

レベルではないので、ゲームとは一定の距離を保ちながらプレイする。


 昨日、電話に気が付くことができたのは<アノニマスターオンライン>では、ロ

グイン中はゲームの感覚よりも現実の感覚を優先するようになっているからだ。こ

れがないと、例えば家が火事になったとか、誰かに呼ばれたなどが気づかなくなっ

てしまうためだ。

 熱中している時なんかは、現実に何かあっても気が付かない場合があるようだが

その身に危険がある場合は、VRヘッドギアの安全機能で強制的にログアウトされる

ようになっている。


 そもそも危険な事が起こり得る状態でゲームをするなんてことはなかなかないと

は思うだけれど、そういうのを試す輩も多いみたいだから、安全には余計気を使っ

て設計されたのだろう。

 まぁ私は危険な状態でゲームをやるなんてことはしないんだけどね。

 

「さてと、今日はみんないるといいなあ。」

 仕事が終わり自宅に帰ってきて早速ログインをする。多分、今日になればみんな

戻ってきているのではないだろうか。


「・・・。今日は誰もいないとか、私一人取り残されたのか。」

ログインしたら、昨日の海岸であり。私以外誰もいなかった。くろごまも、みんな

に誘われてどこかに行ったという事なのだろうか。これはひとまずメッセージでも

出してみるか。


「はっ。待てよ、この状況。」

 そういえば、昔プレイしていたオンラインゲームで、仲が良かった友達がいたん

だけれど、私が一定期間ログインしなくなってから距離ができてしまって、なんと

なく付き合いにくくなってしまい、徐々に疎遠になっていったのを思い出した。


 後はレベル差も影響がでたっけなあ。ログインを全然しなかった時期があったの

で、その結果私と友達で行ける場所に違いが出来てしまい、これまら疎遠になって

しまったというのもある。

 ふぅ、オンラインゲームって意外と苦い思い出があるものだなあ。だけど、いつ

もゲームばかりしているわけじゃないんだから、そればっかりはしょうがないなと

自分に言い聞かせたことがあった。


「ブッチやエリーちゃん達が仲良くなっていく一方、私はどんどんみんなと距離が

できてしまい、いずれは、方向性の違いから脱退みたいなバンドの解散理由みたい

なノリになっていくんじゃないのかな。」


 思わず早口でしかもぼそぼそと呟いてしまった。くそう、ブッチもエリーちゃん

も返事をしてこない。何か面白いことをしているのではないかと期待してしまう。

だけどこれで私がいなくてもどんな敵でも楽勝だったなんて言われたらちょっとだ

け凹むかもしれないな。


 あ、もしかして遠すぎるからメッセージが送られていないとかあるのかな。ブッ

チ達は魔者の大陸に一旦引き返したとか・・・。うん。それはないな。折角ここま

できたのにすぐに引き返すなんて事は無いだろうし。

 あぁもう、返事も来ないし折角だから一人で遊ぶとするか。


「ブッチ達って昨日は森の方に行ってらしいし、私は海岸をずっと歩き続けてみよ

うかなぁ。」


 この砂浜に慣れておきたいというのもあるし、名案だと思った。というか私、独

り言多くなっているな。やっぱり普段みんなといる影響か、勝手に喋りたくなって

しまうんだろうな。こんなところを誰かに見られてたりしたら恥ずかしいと思った。


 海岸には何も見当たらない。小さな貝殻があるが、拾ってもアイテムインベント

リにしまうことができなかったので持っている意味はなさそうだった。一応何個か

は布に包んでジャージのポケットに入れておくことにした。


 それにしても、完全に一人か。失うものが何もないというような状態にでもなっ

た気がする。デスペナルティは未だにくらったことがないけれど、そこでアイテム

が半分になるなんて言われたら相当落ち込んでしまいそうだ。

 だけど、一人になったせいか、いつものようにみんなを守らないとみたいな気持

ちがなく、かなり自由にやれそうな気がする。


 そんなことを考えながら海岸を歩き続ける。あぁ、早く人間に会いたいんだけれ

ど、どこまで行けば会えるんだろうか。実はこの場所が人間達がいないなんてこと

だったら、かなりがっくりくるなあ私は。

 おっと、冷静になるんだ私。近頃、みんなと一緒だったせいか、思慮深さが足り

なくなってきているぞ。よーし、ここらで私がどうするか考えよう。

 

 この場所は、魔者の大陸ではない別な大陸で合っているのか。これは、多分間違

いないと思う。体の感覚と言うか魔者の大陸にいた時よりも違和感が大きいし。こ

れは別な大陸だからということだと思う。

 

 人間達と出会ったらどう話をするか。普通の話だな。今このゲームでは何が盛り

上がっているとかそういう話だ。他には初めてログインした時の開始始点がどこだ

ったのかを聞きたいな。私、ブッチ、エリーちゃん以外はどんな風に開始となるの

かその詳細を知りたい。


 そして、大きな目的を見つけたいってところか。魔者の情報や、ドロヌマオロチ

だとか、やたら強そうな存在についてどれだけ知られているのかという話や、錬金

術士用のお店などがあるかどうかなど。それら全てを解決していきたい。


 ひょっとすると、この海岸って、一般的なプレイヤーが入れない領域に設定され

ていたりするんじゃないだろうか。違うのならば、ここから洞穴に行くと扉がある

ということでプレイヤーたちがこぞって扉を開こうとするはずだし。

 

 人間達にとっては、邪悪な場所で、私の場合は聖域ってことになるんだろうか。

…聖域はないか。だってもし聖域だとしたらあの蟹はなんだったんだということ

になる。

 私は聖域なんていらないと思っている。聖域が壊れたらどうするんだなんてこと

真っ先に考えてしまうためだ。


 壊れた時に簡単に人を治せるようにできるようになればいんだけどなあ。でも、

そんな都合よくはいかないからなあ。


 ずっと海岸が続くとか、近づいているのに遠ざかっているような感じだ。とは

いえ無限ループではないようなので、この海岸をひたすら歩き続けることになっ

てしまった。これも基礎体力をつけるためだと割り切らないといけない。


 よし、ここからひたすら歩き続けるとするか!

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