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アノニマスターオンライン  作者: 超電撃豚豚丸
第4章「人間の大陸」
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第167話「反省点」

 戦い方がワンパターンだ。それは自覚しているのだけれど、自分の出来る戦い方

は今のところこれしかないと思っている。ブッチのように軽やかに動けるわけでは

ないし、エリーちゃんみたいに魔法主体で距離をとるというようなやり方が出来る

わけでもない。


 こうして考えてみると、私は、とても中途半端な状態にいるんだなあ。そもそも

錬金術士なのに、調合できるのなんて火薬草だけっていうのがおかしい。いや、こ

れがこの先改善されるかもしれないからそこに期待しているわけだけれど。

 私の中での錬金術士のイメージは、釜で調合しているといった感じなんだけれど

そこで気がついたのが、私が最初に持っていた武器が鎌だったことだ。


 今更だが、これは多分偶然じゃないだろうと感じている。この鎌を使って調合し

ろなんて設定があるんじゃないかと思っている。

 とはいえ、この鎌が調合のどこに使い所があるんだといった感じだ。ただ刈るし

かできないわけだし。というか農具を使って錬金術をするってどうなんだとも思う。


 調合だ。調合さえできれば私は、もう少しそれらしい戦いができると思う。調合

が出来れば敵を眠らせたり、敵を動けなくさせたり、敵を混乱させたり、そうだよ。

そういうのが私はやりたいんだよ! 

 

 こうやって雷獣破で直接戦闘やったりするなんておかしいじゃないか。こんなか

弱い般若レディが接近戦をしているって、よくよく考えたらおかしい。

 私は、距離を置いて安全な位置から攻撃して削っていくみたいな戦い方をするべ

きじゃないか。でもいつの間にかこんな戦い方しかできなくなってるし。


「けど、ここは、蟹を倒したことを喜ばないとだな。」

「やりましたねマスター!」

くろごまも褒めてくれることだし。これで満足だ。さて、なんでここにはくろごま

しかいないのか、先にその事情を聞いておきたい。


「ブッチ殿が、森に食べ物があると思うので取りに行こうとしたのです。」

「え、猪の肉があったじゃん。」

「現地でとれるならそっちの方がいいとのことでした。」


 そうか、私達が一生懸命解体したから、あまり使いたくないという事だな。延々

と解体を繰り返してうんざりしていたあの食料を食べるのは勿体ないもんな。

 でも本当にそういう気遣いをしてくれたのかどうかは、定かじゃない。それはた

だの言い訳で、本当は森に遊びに行きたかっただけじゃないのかと思う。


「くろごまがここに一匹で残ったのは?」

「ここには何もモンスターがおらず、みなでのんびりしていたのですが、ブッチ殿

が食べ物を集めると聞いて、勇み足でいってしまったのです。エリー殿はそれを止

めていましたが。私はマスターが来た時の為にここで残っていました。」


 みんなブッチに釣られて行ってしまったということか。たけのこは食べ物に弱い

からホイホイついていってしまったんだろうなあ。リザードマンはブッチの弟子み

たいなものだし、だいこんはノリでとか、ねずおもエリーちゃんについていったん

だろうな。


「まぁ自由なのは良いことだけれどね。それと、たけのこも一人ここで残らなくて

よかったんだよ。私がいないときはどこへでも行ってていいんだからね。帰りを待

ってばかりっていうのはだめだよ。」


 私がいなかったらどうするんだというのがあるのでお願いしておく。


「いえ、マスターを一人にしておくと、色々とありそうなので不安でして。あちら

の巨大蟹にしても、私がいなかったら、マスターが一人で戦う羽目になっていたと

思います。」


だけど、くろごまがここで待っていなかったら巨大蟹に出くわすなんてことも無か

ったんじゃないのだろうか。あれ、ちょっと待てよ。不安って言うのは、私が何か

厄介ごとにいつも巻き込まれているからとかいう意味なんじゃないか?


「うん。待っていてくれてありがとう。そうか、私がそういう厄介事の発生源の可

能性もあるか。となると。」


 私、もしかして呪われているんじゃないか!? 今さらだがそう思えてきた。何

かの問題に巻き込まれやすいタイプっていると思うけれど、それが私か。なんて私

が何かを呼び出したりなんてしているわけがないよ。

 それとも、敵との遭遇率上昇みたいなスキルが常時発動していたりしないんだろ

うか。もしそんなもんがあったら、いくら警戒していても無意味になるから嬉しく

ないなあ。


「マスター。厄介事というよりは試練なのではないでしょうか?」

「え?」

「魔者の試練を受けているのではないかと。」


 何だその試練。そんなの受けたくない。勝手に私に試練を課さないでくれ。私は

自由気ままにやりたいんだーって、試練というのがぴったりな気がするなあ。今ま

で私より圧倒的に強い敵っていうのはいなかった気がするし。

 そうなると、今までの戦いも、その試練を乗り越えていけってことだったのかな。


 でもそれはちょっと考えすぎかな。だってそんな試練を私なんかにやるなんて間

違っていると思うし。ブッチとかに上げてやるなら別だけれど、私を試練とやらで

鍛えたところで大して強くなってはいない。


「魔者っていうからには、もっとこう不思議な力が使えるようになるべきなのに、

そんな試練とかあってもそんなの全然なくて腹が立つね。」

 もっと容易に敵を倒せるようになりたいものだよ。いつまで経っても全然強くな

っている感じがないし。

「それで、試練とやらかどうかは分からないけれど、この蟹からは何かいいものが

貰えたりするのかな。」


結構苦労したんだし、見返りが欲しい。大体近くに行けばアイテムが自動で手に入

るけれど、どうだろうか。


メッセージ:レッドクラブを倒したことによりスキル「甲殻化」を習得しました。


 スキルの習得だったか。甲殻化っていうのは硬くなるというか防御力が上がるっ

てことなんだろうか、それとも蟹みたいな姿に変身するということなのか。どちら

にせよ、今すぐ使わなきゃいけない物ではないので後で試すとしよう。


メッセージ:蟹味噌を手にいれました。

メッセージ:蟹身を手に入れました。


食べ物か。こいつ一匹でどれだけの量になるのかは分からないけれど、食料の問題

があるので、これはこれで嬉しい。ここまで手に入るなら苦労した甲斐があったよ

うな気がする。


「あれ、こいつ消えないな。もしかしてそのまま食べられるのかな。」

自動でアイテムが手に入ったけれど、もしかして解体とかすれば猪の時みたいに、

もっと沢山の身が手に入るってことなんだろうか。だけど、こいつの鋏とか切るの

をどうやれと言うんだ。

 

「ドラゴンフルーツを何個か食べれば真空波が行けるかな。」

 なんて思ったので、ドラゴンフルーツを早速食べ、スキルが使えるようにする。


「真空波!」

 これで上手く鋏と胴体を分離できるかな・・・。おおいけた。

「この鋏よりちょっと下の部分を、ざくざくと斬ってみるか。」

 私は、ここで辞めておけばよかったと後悔するのだった。なかなか斬れなくて

時間ばかりが過ぎていったからだ。一生懸命斬ろうとしてふと気が付く。

 猪狩りでもこんなことやったじゃないか。こんなことに夢中になったらそれだ

けで一日のプレイが終わってしまうぞ、と。


「やめておけばよかったぁ。あとみんな帰ってくるの遅いいいい!」

「そうですね。結構前に出て行ったわけですし、そろそろ戻ってきてもいいので

はないかと思います。」


 みんな、どこまで出かけたんだ。それとも私がこうやって倒した蟹よりも強い

モンスターとでも戦っているんだろうか。とても気になる。帰りが遅いってこと

は道に迷っているか、苦戦しているのかどちらかだろうし。


「まぁ私は蟹を解体することしかやれそうなことがないので、頑張って解体して

みるよ。」


みんなが来ないんじゃしょうがない。そしてここでもし私が移動してしまったら

行き違いになって合流できなくなりそうなのが嫌だ。まぁメッセージを送ればい

いというのもあるんだけれど、忙しそうな時にはあまり送りたくないしなあ。


「そういえばマスター。今さらですがまた動けるようになったのですね。」

「あの状態になると丸一日動けなくなるから困りようなんだ。」


 時間凍結も戦いがワンパターンになる原因でもあるな。私の切り札とも言える

スキルだけれど、これを頼って戦うことに慣れ過ぎてもいけない。私はそういう

所は油断しないようにしなきゃいけないな。


 スキルが効かない敵がいたらどうするんだという話になってくるし。あるいは

私以外も時間凍結が使えるかもしれない。そんな状況になって焦ってやられてし

まうようなことが無いようにしたい。

 

「私って動きが単調だからさぁ、みんなに修行つけてもらいたいなあって思うん

だよね。」

なんて愚痴をこぼしていると、くろごまが真剣な目を向けてきた。

「マスター。マスターはかなり強くなっているはずですよ。全力で戦えば様々な

敵をあっという間に倒してしまうでしょう。」


 そんなあっさり倒せるようになりたんだけど。全力出してもボスとかしぶとく

て死なない事ばかりだし。というかブッチもそうだけれど、なんでそんなに私が

強いみたいに持ち上げるんだ。やめて欲しい。

 

「いい、くろごま、ももりーずVで一番弱いのは私だからね。」

「それはないと思いますが。」

「もう、マスターだからって甘やかしちゃだめだよ!」

「マスターはとてもお強いですよ!」


あぁだめだ。これは信仰モードだな。私が名付けたんだが、自分を否定すること

を言ったとしても、それを否定し、妄信的になることだ。くろごまは、たまにそ

ういう風になる事があるのが驚きだ。


「強いって言うのは、あの蟹を一撃でぶった斬るような奴だと思うんだよね。」

「マスターならいずれは必ずできるようになります。」


なれたらすごい歓喜するよ。これだけの敵を真っ二つに出来るようになるなんて

物語の主人公って感じがするし。


「あ、くろごま、ごめん。今日は帰らないといけなくなった。」

「え? そうですか。」

「一人にさせてごめん! とりあえずこれとかあれとかおいてくから!」

薬草やドラゴンフルーツやら色々取り出した。あと少しだが解体ができたので、

蟹は食べてもらうことにしたのだった。


「うぐぐぐぐぐ。電話連絡か。はぁ。」

仕事の話だったら嫌だなあと思いつつログアウトするのだった。

ゲームってプレイしていると結構何かの癖がでてきてしまいます。

ワンパターンになっていくと。そういう単調になると面白さがなくなるので

ずっと色んな動きを追求していきたいですね。

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