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アノニマスターオンライン  作者: 超電撃豚豚丸
第3章「魔者の大陸」
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第162話「蜘蛛退治」

 戦線から一時離脱することになるのは、いつもの事になってきている。そしてい

つも使おうと思っている時間凍結だが、今まで一回しか使っていないので今回こそ

は使わざるを得ないなんて思っていたのに結局、今回も使わないでいけそうだ。

 今回のこの蜘蛛が海底洞窟のボスというのならば、ここぞというタイミングで使

おうと思っていただけれど、多分このままブッチ達が頑張れば、倒せそうな気がす

る。実態のある敵だったらひたすら殴ればいいなんて考えているだろうし。


 そういえば、エリーちゃん達はどうなっているんだろうか。一応赤蜘蛛は、後退

はせずに、少しずつ前に突進してくるような感じなので、鬼ごっこは続いているこ

とになるので、タイヤサハギンはまだ湧いているとは思うんだけれど。

 ここでメッセージでも送るかと思ったが、戦闘中だと邪魔になると思ったのでや

めることにした。


「ねこますサマ。ドウデスカ?」

「しゃ、べーれ、ない。かな。」


 まだ、ダメなようだ。この状態になってから5分ほど経過しているが、なんとなく

体がぴくぴく動かせる程度のままだ。急に回復するパターンなのかなあ。この間も

こんな状態になったけれど、何も出来ない状態って嫌だなあ。

 ひとまず作戦でも考えてみるか。あの目玉の視界に入っちゃいけないのかそれと

もあの目玉が光った時か何かで目を合わせていけないのか。前者だったら強すぎる

からないとして、目を合わせないって言うのは意外といけそうな気がする。

 そういえば、何かのゲームでメドゥーサだかってモンスターと目を合わせると自

分の体が石化するなんて言われてたっけ。対策として鏡を見せると自分自身が石化

するようだけれど、生憎、鏡なんて持っていないしなあ。


マブダチからのメッセージ:いい感じで戦えているけれど、ねっこちゃんがまた戻

って動きを特定する人柱になってくれると助かる!


 おい。人柱言うな。なんて思ったが、随分余裕があるな。戦いながらもメッセー

ジ送るとか、やっぱりブッチはすごいな。でも人柱がいて欲しい? いやそうじゃ

ないよなぁきっと。足止めして欲しいって話じゃないのかな。そうに違いないと勝

手に解釈してみる。

 あ、後は私がたけのこと一緒にいるから、今むこうは3名か。誰かがやられたら

その時、崩れてしまいそうだな。うわ、結構きつい状況か。早く戻りたいなあ。


「うご、動けー。動けー。」

なんとなく動くようになって気が気がする。もうそろそろ万全な状態になりそうだ。

そしたらさっさと、赤蜘蛛のところに行くんだ。一気にカタをつけたい。あっ、そ

うなると私が美味しい所をかっさらうってことになるのか。それもいいかもしれな

いなあ。汚名返上といきたいし。んじゃあとりあえず返信だけしておくか。


この海底洞窟、この赤蜘蛛を倒せば終わりじゃない、よなきっと。大体こっちが消

耗しきった後にまたボスが出てくるのが定番だし。多分あともう一体くらいボスが

控えていて、そいつを倒せばこの海底洞窟を抜けられて別な大陸に行けるに違いな

い! もうひと踏ん張りだな。この先に行けばようやく、オンラインって感じの多

くの人と交流が出来るようになるはずだ。それをするために私達はこの魔者の大陸

を抜け出さなきゃいけないんだ。


「動けー、動けー。お。おっ。いけるかも。たけのこ降ろしてー。」

「ねこますサマ! ハイッ!」


お、動けるようになった、大体10分ちょっとだろうか。一回食らっただけでこんな

に動けなくなるのはずるいというか強いな。が、もう一回食らう私じゃないのでこ

こから戦線復帰だー! もう最初から全力で行く。そう決めた。あいつの目は見な

い。そもそも気持ちが悪いし。特攻してさっさと叩き潰そう。


「よっし、たけのこ行くよ!」

「ハイッ!」


そんでもって今作戦を思いついた。いい作戦だ。いけるぞ。これはいけるなんて期

待しながら走り出す私達。すぐさま赤蜘蛛の周囲に移動する。


「ねっこちゃん、おかえりー!」

「ブッチ! 私をあいつに向かって投げつける作戦でよろしく!」

「おっけえ! 今すぐ?」

「今すぐよろしく!」

 接近戦で、雷獣破を当てに行く。これなら高威力だしイイ感じでダメージを与え

られるはずだ。もう四の五の言わずけりをつけるんだ。

「おいっしょっと!」

 突然体を掴まれておんぶされるような状態になった。これは恥ずかしいがが、そん

なことを気にしている余裕はない。

「わわっと、私のタイミングで投げてね!」

「それは無理だよ。隙ができちゃうから、」

「げー、じゃあもうすぐ投げてもらう方がいいや。雷獣破!」


雷獣破の欠点は発生までにタイムラグがあることだ。これさえなければ使い勝手が

かなりよくなるんだけど、まぁしょうがないか。

「後はブッチ次第!」

「おおおおおおおし、マブダチ選手! 一球投げましたああああああああ!」

 え。何だこれ、思った以上にすごい勢いで投げつけられた。というか、お前正面

に投げたなあ、あいつの目玉があるってのに、くそっ、効果があるかどうか分から

ないけど目を瞑るか。もう何も見えなくなってしまったが、右手を前に出す。雷獣

破のエネルギーのような物が集まる感覚が残る。

 これは、何らかのトラブルが無い限り、確実に当たるだろう。というか絶対に命

中する。これだけの巨体で当たらないほうがおかしい。そしてこれだけ早く投げ飛

ばされたからにはむこうも迎撃しようにもできないだろう。


「くらえええええええええええ!」

私に何も見えない。真っ暗闇だ。だが右手を前にかざしているからか、雷獣破の光

がうっすらと感じられるような気がした。これで終わりかどうかは分からないけれ

ど絶対に大ダメージを与えられるという確信だけあった。


そして、とてつもない衝撃音が海底洞窟内に鳴り響いた。私はまだ目を開かない。

開いてまた麻痺させられたら嫌なので開かない。だから、何が起こっているのかが

分からない。雷獣破がどれだけ赤蜘蛛にダメージを与えたのかさっぱりだ。致命的

なダメージだったらいいなとは思うが、どんなもんだろうか。これで決まりなんて

ことはないと思うが。


「んぎっ?」

空中で止まっていたような感覚がなくなり、私の体が落下する。あれ、赤蜘蛛の方

はどうなっているんだ。まずい、一旦引かないとか。よし、目を開くか。そして視

界に入ってきたのは。


「グゾゥウウウウ。」

突如、崩れ落ちる赤蜘蛛の姿だった。全身を痙攣させている。これはまだ生きてい

るな。ただ、目が焼け爛れているようだった。雷獣破強い、前にグリフォンに一回

使った程度だけれど、これは強いな。というか前より威力上がってないかこれ。


「グググググ。」

「も、もう一発撃つか。雷獣破!」


しかし、手には何も変化が現れなかった。えええ。以前は使えていたじゃないかと

思ったが、先に戦闘してスキルを使っていたから、撃てなくなったのか。うわぁこ

んなことならドラゴンフルーツを先に食べておけばよかったと後悔したが遅い。こ

こは私は一旦後ろに下がることにした。


「ブッチ、後は頼む!」

「ねっこちゃん強すぎる! 何さっきの!?」

「色々あってね。じゃなくて、もう私さっきの撃てないけど、あいつまだ生きてい

るからとどめささないと!」

「ううーなんかお膳立てされたみたいで気に入らないなあ。」

「そんなことないって! ああいうのはこっからがタフなんだよ! 頑張ってよ!」

「グゾブブブッブ」

「おっとぉ!? ははっ。そうみたいだ。後は任せてくれ! こんな脆弱になった

蜘蛛一匹程度、簡単に倒して見せるって。」


 そういうのをフラグなんていうらしいが、頑張ってくれ。私はまた一旦距離を取

る事にする。最低限スキルが使えるように蜂蜜とドラゴンフルーツを食べておくか。


「くろごま! 頼みがある!」

「はいマスター!?」

「これをイエロードローンに乗りながら投げつけて。」

火薬草を敷き詰めた布をいくつか渡す。今更だが、これで攻撃してもらうようにす

る。まぁ黒如意棒があるくろごまにはあまり必要ないとは思ったが念のためだ。

「サンショウ! ブッチのサポートお願い!」

「かしこまりました!」


「ニグァサン!」

「ジュウアツ!」


私が一旦引こうとしている所へ、赤蜘蛛が攻撃を仕掛けてくるが、それをたけのこ

が重圧を使って阻んだ。


「ないす! それじゃあ私はすたこらさっさーと!」

逃げるに決まっているよね。消耗しきっているんだから、こうやって逃げながら戦

うゲームって言うのもよくやったもんだよ。アイテムを取らないと敵から攻撃され

て一方的にやられるけど、アイテムを取ると一定時間攻撃が出来るゲームはよくや

ったもんだ。あの丸くて黄色い、おっとそんなこと考えている場合じゃない。


私は、蜂蜜を飲みながら走る。甘い、滅茶苦茶甘い。そしてドラゴンフルーツを取

り出しこれに噛みつく。お行儀が悪いなんて怒られそうな格好だが、あの赤蜘蛛が

こっちに迫ってきているんだろうからしょうがない。だけど不安だなあ。


 こういう時って、大体片方敵を倒すと、次の敵がでてくるってことがあるから。

もし今のタイミングで赤蜘蛛を倒して、エリーちゃん達がいる方で新たなボスが出

現したら全滅しそうな気がする。うわぁ出てきてほしくないなあ。でもそういうプ

レイヤーが嫌がることをするのがゲーム制作者って言うのもあるからなあ。ありえ

そうで怖い。


「それにしても、ずっと走っている気がする。こんな洞窟でマラソン大会をするは

めになるなんてなあ。リタイヤ禁止のマラソンとかもう勘弁して欲しいよ。」


 思わず独り言が出てしまう。そして今後の展開を想定してみる。逆走しろなんて

話にならないよね。つまり、今度は奥から敵が迫ってくるとかそういうの。我なが

ら最悪の状況を考えてしまったが、嫌になってくるなあ。


・・・まぁその時はその時って考えないと意味がないんだけどね。

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