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アノニマスターオンライン  作者: 超電撃豚豚丸
第3章「魔者の大陸」
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第158話「サハギンがいっぱい」

 エイを倒した場所は少し広い場所だったのだけれど、その先は細い一本道になっ

ていた。しばらく歩き続けているが、ずっと一本道だ。すごい嫌な予感しかしない。

「エリーちゃん。何か罠があったりはしない。」

「全然ないですね。だけど、この一本道が良くないですね。挟み撃ちされそうなの

がすごく嫌です。」

 やっぱりね。これだけ長い一本道だと、挟み撃ちされる危険性が高いのはゲーム

好きとしては周知の事実だけに、地雷原を敢えて突き進んでいるような気がしてあ

まり気分は良くない。


「俺たちがいるから大丈夫だって。な? サンショウ?」

「は、はい。マブダチ殿と、一応我もおりますのでなんとかなります。」

「謙虚なのはよくないって。後、そんな俺にびびらなくていいよ。もう仲間だし。」

「はい・・・。」


 あれだけぼこぼこにしたんだからすぐ馴染むのは無理だろう。だけどブッチも意

外と気さくに話しかけているのはいいことだと思った。昨日の敵は今日の友と言う

し良い仲間に慣れるといいな。


「私の気配感知にも何もひっかかってはこないけど、実際これも役に立ってない感

じだしなあ。」

「急に湧き出てくる奴とかは無理とかあるの?」

「そうそう。むしろそういう潜伏している奴を見つけたいってのにそういうのは全

然感知できないからねえ。」


 それとも、気配感知のスキルが強化されたりするとそういう奴らもどこにいるの

か分かるようになるんだろうか。現状だと、敵の位置がある程度分かるってだけな

ので、強化できればいいんだけどなあ。


「あとは、こういう道の先って定番だとボスがいるってことになるけど。」

「そんなすぐにボスが出てくるもんかね。中ボスくらいじゃないかなあ。」


確かに、この海底洞窟内に入って大して進んではないし、すぐさまボスが襲い掛か

ってくるなんてことはない気がする。だとすると中ボスくらいはありえるかな。ボ

スほど強くはないけれど、一般的なモンスターより強いだろうから警戒しないと。


「ボスより中ボスの方が癖があって強い事ってあった気がする。」

そういう中ボスが結構いる。それとボスは火が弱点だと分かっているのに、中ボス

は火に耐性があるなんてことがあり、そのせいで帰って苦戦してしまうこともある。

だから、中ボスだからとなめてかかると痛い目に遭うので、絶対に油断はしない。


「これだけ面子がいるからといっても、モンスターも油断ならない敵が多いから、

みんな油断しないようにね。」

「そうだね! 可愛いモンスターが出てきてもねっこちゃんは鎌でざっくりと切り

刻んで、エリーちゃんは問答無用で魔法でぶっ飛ばしてね!?」

「うぐっ。それは。」

「ええ。それはちょっと。」


 気が引けてくるな。確かに可愛い系モンスターってよくゲームにいるけれど、そ

んなのが甘えてきたりしたら攻撃する気が失せてしまう。マスコットキャラクター

みたいなモンスターに攻撃するって結構戸惑うしなあ。

 かといって、ちゃんと倒さないとこっちがやられてしまうので、危険だ。まさか

ブッチの奴がそこまで警戒しているとは思わなかった。


「だめだよ! ちゃんと無慈悲に倒さないと! ちゃんとその鎌で、絶命させてや

らないとさぁ! そんな甘いこと言ってどうするの! この世は弱肉強食だよ!?」

「分かった、分かったから、やるから大丈夫!」

「こっちは命かかっているんだからね! ねっこちゃんがやらないと、たけのこち

ゃんやだいこんやみんなが死ぬかもしれないんだからね!」


 くぅ。こういう時だけ真剣になってこいつ。分かっているっての。そのくらい。

もう分かっているって。仲間の命の方が大事だって。だからそんな顔を近づけてく

るんじゃないっての。


「気が引けてきますけど、あたしも頑張ります。」

「そうそう。電撃の魔法で感電死させるくらいどうってことなくなるよ。そのうち

無感情になって、倒せるようになるさ。最初だけだよ。辛いのは。」

「もう! そういうこと言わないでくださいっ!」


VRだと分かってはいても現実と同じように見えるので、本当に命があるように思え

てきてしまうというのがあるな。とはいえ、そこで躊躇していたら何もできなくな

ってしまうから注意しないと。


「やれやれ、二人とも、ここは戦場なんだからそんな甘えたこと言ったらだめじゃ

ないか。」

 ため息をついてブッチが言う。こいつぅ。そこまで言わなくてもいいだろ。


「マスター。ブッチ殿の言う通りです。敵に情けなどいりません。」

「そうだね。こっちがやられちゃうからね。」

「ねこますドノハ、ワリトムジヒナキガスルノデスガ。」

「イッピキメ、私はそこまでじゃない。」

「可愛いモンスター以外には情け容赦ないのが般若レディなのかな!?」

「ああもう、いいから先に進む!」


 からかわれているのは分かったが、ここで背中を押してもらえたのは良かったな。

自分でも、可愛いモンスターを相手にした時のことを想定していなかったし。


「待ってください。何か来ます!」

ここでようやくモンスターの登場か、さて、どんな奴がでてくることやら。っと、

「後ろからも何か来ているな、こっちは俺とサンショウが抑えるよ!」

え、強キャラコンビはそっちで戦うの。ちょっとちょっと、それ狡くない。こっち

はその分人数でカバーしているけどさ。まぁしょうがないか。それで何がきている

ってんだってうぉおおお。


「タ、タイヤアア!?」

タイヤのようなものが私達に向かってきている。そしてこれが出てきたと同時に私

の気配感知にも引っかかった。10、20、どんどん増えているというかまた数が多い

なぁ。大して強くない奴らなんじゃないのか?


「ギイイエエエエエエ!」

「あっぶなぁ!」


タイヤが目の前で変身して、モンスターになった。これは、サハギン? いわゆる

魚人なんて言われている奴だ。三又の槍を持って襲い掛かってきたが、これをかわ

し、鎌で応戦する。

 だがそこへ更に別なタイヤが迫ってきて、今度はそのまま体当たりしてくる。な

んなんだこいつら。タイヤサハギンとでも呼べばいいのか?


「伸びろ黒如意棒!」

くろごまが、タイヤの横から黒如意棒でどついた。タイヤはそのまま吹き飛び、壁

に激突した。危ないなあもう。こんな細い道で挟み撃ちがあるとは思っていたけれ

ど、戦いにくくてしょうがない。


「ライトニングスピアー!!」

電撃の槍が、多数のタイヤに向かって放たれ、そして命中した。あれ、その魔法っ

て自動追尾なんてあったんだっけ。いいなぁそれなんて思いながらまだ沢山いるタ

イヤハギンたちの相手をする。


「グァゥ! ギャアッ! 重圧!」

「ギグガガガ!?」


たけのこのスキル、重圧だ。タイヤが地面にめり込み、動くことができなくなる。

流石たけのこ。そして動けなくなったタイヤに爪や牙で追撃を食らわせる。おお、

なんて頼もしいんだ。


「遅いチウ!」

ここで何かの破裂音のようなものが聞こえた。タイヤがパンクしたような音。こ

れは、ねずおが噛みついたのか。うっわ、やばいぞ。タイヤからサハギン状態に

戻ったサハギンの肩が抉られている。ねずおの噛みつきは絶対やばい気がする。

というかあれ、必殺技過ぎないか。前々から思っていたけど、一回噛みつくだけ

であそこまでやれるなんておかしい。


「うひゃあ。姉御助けてやで~。」

一方だいこんは逃げ回っている。しょうがないなあ。

「土遁!」

「ゴエッ!?」

だいこんの周囲に分厚い土の壁が現れ、タイヤサハギンの攻撃を防いだ。これが

戦闘での忍術のデビューだな。仲間限定で使えるのはなかなか便利なものだな。

よし、ひとまず。


「だいこん、私の肩に!」

「わかったやで!」

土遁の効果は割とすぐに切れてすぐに土に還ってしまった。忍術の実験をしてい

たときと同じようにするためにだいこんを私の肩に乗せる。これでだいこんを対

象に土遁で防御すれば私もそのおこぼれを貰うことができる。


 それにしても、結構相手にしているはずだけれどまたぞろぞろとやってきてい

る。ブッチ達は大丈夫なのか気になっているがそこまで余裕がない。ここで無限

湧きになっているということがないのを祈るしかないな。


「威圧!!」

10匹ほどの動きが止まった。あれ、なんか本当に全然動かなくなったぞ。結構効

くもんなんだなあ。じゃあこの隙を逃さないぞ。


「真空波あああああ!」

鎌を思いっきり振って、真空波を発生させる。集団になっている場所に向かって

打ち込んだが、5匹に当たったようだ。そして聞こえる破裂音。ねずおがやった

ときみたいにパンクしたような感じだ。よし、良い感じだな。


「ギネッ!」

「土遁!!」

あっぶな。攻撃が当たらなかった何匹かが突然変身して、三又の槍を投げつけて

きた。


「ファイアーボルト!」

「オレタチダケカツヤクデキテナイノハダメダ!」

「ソウダナ、ウオオオオオオ!」

リザードマン達って意影が薄いけれど、そのあたりにいる敵を着実に仕留めてい

たりはするんだよなあ。地味なだけでこつこつ倒しているのはすごいな。あれ、

そういえばこいつらが戦っている所をあまりみたことがないけれど、苦戦して

こっちに助けを求めてきたことも全然ないな。そう考えると割と強いのか?


「ちょっと前に進みながら戦おう。いつまでもこの細い道じゃ押されちゃう!」

「ハイッ! イキマショウ!」


「ブッチたち! 私達は前に進むからそのうちついてきてね!!!!」

「あいよーーーー! 聞こえてるから大丈夫だよーーー! オラオラあああ!」

「ハハハハ! 我が前に立つ愚か者どもめ! 死を与えてやろう!」

あ、あいつら楽しんでいるな。そしてサンショウも実は戦闘狂だったのか。相

性は良かったってことなのかな。


「ギネェェエ!」

「ほい火薬草!」

「ビボベ!?」

軽く投げつけていく。火薬草は草なんだけれど投げやすくていいよなあ。簡単

にホイホイ投げて当たってくれて威力もいいし、前々から使っているけれど愛

着が湧くなあ。

「ほい、まだ死んでないと思うのでまだ投げておくよっと。」


敵は確実に葬り去らないといけない。生き残っていた敵がこちらの隙をついて

きて命取りになるなんてことがあるからね。敵が生きているかもしれないうち

は決して手を緩めてはならない。いや死んでも復活するかもしれないから、死

体にも火薬草を投げておく。


「マスターの徹底ぶりはすごいです。ところで何か手に入りましたか?」

「いや何も、こいつらの槍でも手に入るかと思ったんだけど。」


何か条件でもあるんだろうか。この槍は結構欲しいんだけどなあ。それともこ

の戦闘が終了と判断されてから手に入るとか、ううん。分からないな。


「まだ来るようですよ・・・。」

多いなあ。まだまだ余裕があるからいいけれどいつまで続くんだろこれ。

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