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アノニマスターオンライン  作者: 超電撃豚豚丸
第3章「魔者の大陸」
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第155話「海底洞窟に向かう」

後日改めてログインすると、みんな私を待っていたようだった。ブッチあたりが我慢

できなくなって先に行くんじゃないかと思ったが意外と真面目だった。

「ブッチさん。俺もう先行ってくるとか言ってきかなかったんですよ。ちょっとラン

ニングに行ってくるとかフライングしようとしてたのであたしが止めました。」

前言撤回。やはりそういうタイプだった。


「体が勝手に動き出しただけなんだよ。本当だよ。俺はちゃんとねっこちゃんを待っ

てから行こうとしたよ。」

「仲間が来るのを待ってから行かないとその仲間が消えてしまうゲームを思い出した

なあ。消えてしまうって言うか正確には死んでしまうわけだけれど。」

 仲間が戻ってくる残り5秒くらいまで待たなきゃいけないが、それを無視して進む

事もできてしまうゲームだった。無視したら二度と登場しなくなると言うのが嫌だっ

たのでやり直してプレイしたこともある。


「それ、とても有名なRPGじゃないですか。あたしは初プレイでもちゃんと待ってか

ら行きましたよ。」

「俺もやったことあるな。」

「で、どうしたのかな? ちなみに私はちゃんと待った。」

「俺は、待たなくても多分死なないだろうって思っていたので無視して先に進んだよ!」


予想通りのオチがついたところで、さっさと海底洞窟へ向かうことにした。いつも通り

巨大化しただいこんの背中に乗せてもらい西へ進む事になった。


「海底洞窟って言うからには多分、海の生物系の魔物がでてくるんだよね。」

「サメとかシャチが海から攻撃を仕掛けてくるかもしれない!」

「いるとしたらワニじゃないですかねえ。なんとなくですが。」


海底洞窟にいる敵が水系統の魔物だと仮定する。なんとなくだが電撃系の攻撃が効くよ

うな気がしてきたので、電撃の鞭を用意する。予想が外れたらくやしいが、効果がどん

なものなのか分かるだけで十分だ。


「ボスが水竜という海竜か、そういう強そうな奴だったらいいなあ。」

「一度くらいは竜系とは戦ってみたいけれど、強すぎでしたみたいなのだったら遠慮し

たいところだね。」

「マスター。竜種は恐るべき力を持っていると言います。迂闊に手をだすのは避けるべ

きだと思いますよ。」


軽く手を出して、一撃で玉砕したら嫌だなあ。

「出て来たらいきなり津波を使ってくる竜がいたなあ。アイテム持ってないと即全滅と

か最悪な思い出だなあ。」

「そんな竜だったら嫌だなあ。何もできないまま終わるって一番腹立つやられかたな気

がするよ。」

 ゲームの中には安易に手をだしてはいけない隠しボスなんて存在がいたりする。そう

いう隠しボスは強力な能力を持っていることが多く、何も知らないまま特攻すると容易

く返り討ちにされてしまう。

 だけど今回はそういう隠れた場所じゃないはずだから、そんな奴はいないと思う。


「で、たけのこにみんな。そういういきなり強烈な奇襲をかけてくる敵もいるから、絶

対に油断しないようにしようね!」

一番油断しそうなのは私だけれど、それだけにここでみんなにも声をかけておく。一度

も行ったことがない場所なんて未知の場所なのだから、何が起こってもおかしくはない。

 

 宝箱を開けたらモンスターが出てくるなんていうのはブッチ洞窟で経験済みだけれど

何かのスイッチを踏んでしまったり、気が付かないうちに行ってはいけない道を突き進

んでしまうかもしれないので、いい緊張感が保てそうな気がする。


「ほんで、その海底洞窟の入り口ってどんな感じなんやおじーちゃん。」

「入り口はいくつもあるのだが、どの入り口を選んでも最終的には人間のいる大陸に行

けると言われているのだ。」

「え、じゃあ出口も沢山あるってことかもしれなくない?」

「そうですな。かなり入り組んでいるか、あるいは魔法で迷路のようになっているかも

しれません。」


うわ、結構厄介な洞窟だなあ。どこに行けばどこにたどり着くのかを検証しないといけ

ないな。そういう作業は好きだけれど、全部のルートを確認するのに時間がかかるのは

面倒くささを感じるな。何度も何度も出入りを繰り返して全部の通路も覚えたいなあ。


「閉じ込められなければいつか出られるから迷路なんて問題は無い!」

「ブッチさんの言う通りです! 出入口があると分かっているなら簡単です! 出入口

がないって言うのが一番嫌な事なんです!」

 おお。気合入ってるな二人とも。さすが、ゲームプレイ直後から監禁されていただけ

あるなあ。私もこの二人並みに気合い入れて探索しないとゲーマーの名折れだな。


「それで、この道をひたすら行けばその入り口にたどり着くということですかな?」

「そうだ。大きな壁とでもいうべき場所にたどり着く。その壁の穴から入るのだ。」

それってさぁ。いや、私から言ったほうがいいのか。誰か他に指摘したりしないのかな。

エリーちゃん辺りは私が話を進めるのを待っているんだろうか。私じゃなくてもいいん

だから、誰か予想について話そうよ。


「ねっこちゃん。何か話したそうだけれど、話してもいいんだよ。俺が聞いてやるよ。」

「分かってて言ってるだろ。じゃあ言うけど、その壁の穴とやらが、ドロヌマオロチの

顔の部分にあたるってことじゃないのかな。」

「なんやて!?」


わざとらしいなんやてだなあ。別にいいけど。西側の果ての方に壁がそびえ立っていて

そこから入れるという事は、顔があり内部というのは体内ってことになるんじゃないか

と思っただけだ。


「つまり海底洞窟はドロヌマオロチの体内かもしれないってことか。」

「その体内から別な大陸につながっているってことだったら辻褄があうね。この場合ド

ロヌマオロチは大陸と一体化した存在ってことになるけど。」

だけど、そこでサンショウが本気を出してドロヌマオロチが復活したら、湿地帯は消え

て元の姿に戻ったドロヌマオロチが大暴れするなんてことになるんだろうな。


「本当に復活できるかどうかは微妙な線だろうねえ。」

「主よ。どういうことでしょうか?」

「ドロヌマオロチが復活しようにも、大陸そのものと一体化してしまっているわけだか

ら、元の姿に戻れなくなっているっていうのもあると思ったんだよ。」


 長時間が経過すると元に戻せなくなるなんてものは沢山ある。それと同じで、ドロヌ

マオロチという存在は完全にこの地そのものになっているので基に戻ろうとも、それだ

けのエネルギーがなければ難しいのではないかと思うし。で、この場合のエネルギーは

サンショウの力だけれど、その力だって物凄い強いものじゃない気がする。

 復活に必要なエネルギーが不足し、原形から大きく変わってしまったら、もう存在自

体が危ぶまれていいよなこれ。


「姉御、色々話している所悪いんやけど、壁、見えてきたで。」

「ん、あ、ああああ。」


空を見上げると、確かに巨大な壁があった、大きいなあ、すごいなあ。荒々しい岩肌に

無数の針山のようなものがあるんだけれど、やっぱり竜の顔みたいに見えるよ。やっぱ

りこれがドロヌマオロチだったんじゃないか。


「どの入り口に行きたいとか多分ないと思うんで、とりあえず真っ直ぐでいいか!?」

「いいよいいよ! 行こうよねっこちゃん!」

「最初は王道のルートからがいいですよね!」

他の皆も同意してくれた、けど私の本当の意図は違った。

「真っ直ぐって言うのは、なんかあのあたりの岩が気になるからそこが隠し通路になっ

ていそうだからってことだからね!」


ということに誰も気が付いていなかった。あれ? どうして私だけ気がついたのかな。


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