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アノニマスターオンライン  作者: 超電撃豚豚丸
第3章「魔者の大陸」
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第154話「解体完了」

 解体で疲れ果てた。あれから、一心不乱に猪を解体し続けて疲れてしまった。な

んとか全部解体が終わって、相当な数の猪の肉が手に入ったが、今日はもう何もし

たくなくなってしまった。

 この作業をする前は、これから海底洞窟に行こうって雰囲気だったが、そんな気

持ちが消え失せてしまった。解体のし過ぎだ。あまりにきりがなくて、ゲームをプ

レイしていたはずなのに、それがいつの間にか仕事でもしていたんじゃないかと錯

覚した。


「ここまでやったらもういいかな。あー疲れたあ。」

「ですね・・・。あたしもしばらく解体作業はしたくないです。」

「イツマデキリツヅケレバイイノダ。イツマデ、イツマデ。」

「オワラナイ。オワラナインダ。キッテモキッテモ。」

 解体組は全員憔悴しきっていた。巨大な猪を50匹も解体したんだからしょうがな

い。というか、私は今更ながら気が付いたことがある。ここで猪が採れるんだった

ら、海底洞窟に入った後、食料がなくなってきたら一旦出てまたここにきて集めれ

ばよかったじゃないかと。

 海底洞窟だって、一回入ってすぐ攻略ってわけにもかないだろうし。逆に簡単に

攻略出来たらその時はその時だった。

 

「あぁ、別に最初からどんどん集めなくても良かったんだなぁ。」

「最初が肝心って言うじゃないか。ここまで頑張ったのはすごいって。」

ブッチが褒めてくるが、あまり嬉しくは無かった。だが、これで食糧問題は解決で

きたと思われる。後は攻略をすればいいだけ、なんだけれどこれはもう後日にした

くなった。


「後日にするか、あたりも暗くなってきたし、今日は疲れたし。」

「そうですね。今日無理しなくてもいいですよね。」

人に会えるかもしれないという気持ちが先走っていたが、何もそれを早くしなけれ

ばいけないというわけでもないのだから、もう少し落ち着くべきだったな。


「おお主。では我はまた猪狩をしてきたほうがいいでしょうか。」

「いやもう十分なんだって。あっ、明日まで私達いなくなったりするからその間に

仕留めたのをみんなで一緒に食べるっていうのだったらどうぞ。」

解体も焼いたりもしないで、みんなで適当にかぶりつくなんて話だったら度自由に

といった感じだ。


「サンショウは猪を簡単に狩れるからすごいよなあ。これで解体まで出来たらよか

ったのになあなんて言ったら贅沢か。」

あっという間に猪を狩れるのだから、それが解体でも使える力だったら、こんなに

時間がかからなかったんだけどなあ。


「見様見真似でいいのでしたら、魔法で切り刻んだりすることができるかもしれま

せん。」

「な、んだと。」

そこまで器用な事が出来たのか。うわ、刃物を持っていないからしょうがないなん

て考えてしまっていた私が馬鹿だったじゃないか。あ、みんな目を丸くしてサンシ

ョウのことを見ている。そうだよね。新入りなのに大抵のことができるなんてずる

くないかって思うよね。


「おじいちゃんが何でもできて、ワイらの存在がやばい気がしとるで。」

「ムゥ。ワタシモ、モットツヨクナラナイト。」

「拙者も修行が足りないと痛感しました。」

「ボクももっと強くならないとチウ。」

「イノシシノカイタイヲデキテシマウダト?」

「ワレワレガクロウシタアノサギョウヲ。マサカ。」


これもう、サンショウに修行して貰った方がいいんじゃないだろうか。勿論私も。

仲間内でのレベル差がどの程度あるのか知っておいた方がいいだろし、それに私達

って結構弱いっていうのがありそうだし。猪程度楽に倒せるくらいまで強くならな

いとこの先やっていけないんじゃないだろうか。


「ん? こっちをじっと見つめてどうしたのねっこちゃん。愛の告白?」

「なわけない。サンショウとブッチに私の修行をしてもらいたいなあって思ってい

ただけだよ。」

「ほう、俺のプライベートレッスンを受けたいなんてねっこちゃんってば。」

「どうせそのあたりを走り込んでこいとかそういう感じでしょ?」

「実戦訓練だよ。でもねっこちゃんに必要かな。今でも十分強くない?」


そんなわけない。今まで戦ってきた敵ほぼ全員に苦戦しているし。楽々倒したいっ

ていつも思っているよ。

「強かったらもっと楽に色んな敵を倒せているよ。」

「楽に勝つよりぎりぎりで勝てるほうが楽しいって! ねっこちゃんは今のままの

ほうがいいと思う!」

「えぇ。」


あっ。そうかこいつ。もしかして自分の強さに自信があるから、私が強くなる事で

それを脅かされるのが怖いという事じゃないのか。成長性抜群のこの私が簡単に自

分を追い抜いてしまうことに危機感を抱いているのかもしれない。そうか、ブッチ

も実は内線焦っているってことか。


「ブッチさんはなんか意味不明な動きをできるのがすごいなあって思いますね。」

「え、俺そんな動きしたことないんだけど、いつやった?」

「サンショウさんと戦った時に攻撃全部回避してたじゃないですか。」

「あれはだって、攻撃の癖とかそういうのが分かれば簡単だったし。」


 なんて言えるのはブッチだからだろう。私じゃあの動きは無理だっただろう。そ

ういう動きができるようになりたい。一朝一夕じゃ無理なのは分かっているから、

日ごろから練習したいとも思っている。


「うーん。おりゃっ。」

「っぶなっ。おいっ。いきなり目潰しはやめろ。」

ブッチが突然攻撃を仕掛けてきた。危ない。そういう危機感知ができるかどうかの

テストだったのかもしれないけれど心臓に悪い。間一髪のところでよけられたが、

当たってたらと思うとぞっとする。


「これをかわせるのがすごいんだよ、ねっこちゃんは。」

「たまたまだっての。」

「この際だから言っておくけど、そのたまたまで致命傷を避けたり、なぜかやられ

たはずなのに生き残っていたりするのがねっこちゃんの強みだよ。」


それは、悪運が強いだけとしか思えない。あと薬草の効果か。薬草のおかげで今ま

で何度も生き延びてきた。薬草が無かったら何回死んでいた事か。


「姉御ってしぶとさはすごいってワイ、いつも思っとるで。」

「諦めが悪いからな私は。」

「へぇ。それじゃあ、ねこますさんとブッチさんって本気で戦ったらどっちが勝つ

んでしょうか。」

「ブッチだな。」

「ねっこちゃんだね。」


あれ、なんだこの噛み合ってない感じ。ブッチだったら当然俺だねなんて言うと思

っていたのに、なぜそこで私の顔を立てるようなことを言うんだ。あれか、私がも

もりーずVのリーダーだからか。いやリーダーとかそういうの関係なしで、ブッチ

が強いに決まっているじゃないか。


「ブッチ、なぜいつも自分に自信があることを言ってるのにそこは謙虚なの。」

「本気で戦ったら、ねっこちゃんが色んな戦い方をしてくるだろうからね。それを

総合的に判断すると今の俺じゃ勝てないなって思ってね。」

「筋肉系に勝てるわけないって! 脳筋系は最強なんだよ!」

「それは言えてるけど、ねっこちゃんなんか姑息な手段で脳筋の攻撃を防ぐからな

んか卑怯過ぎて勝てない気がしてくるんだよね!」

 清々しい勢いで姑息とか言ってくるなあ。私も脳筋とか言ってるからおあいこだ

けど。

 

「確かに、マスターは、奇抜な戦い方をすることがありますね。」

「ねこますサマ。シュウネンガスゴイデス。」

「勝ちにはこだわっているからね。」


最近はスキル便りの戦いばかりだし、何かあんまり戦ってる感がしていないんだけ

どねえ。というか本当にもっと戦いばかりでもいい気がしてきた。ああ戦いたいな。

ここで解体ばかりしているなじゃなくてもっとこう、戦いだよ。


「で、話は変わるけど、海底洞窟挑戦は延期で。先に行くとかそういうのもなしで

お願いしたい。」

「マラソン大会とかってそうやってみんなで一緒にいこうねって言ってると開幕ス

タートダッシュというか全力疾走するんだよねみんな。」

「そういう業の深い話をしない! いいから勝手に行ったりしないでね。」


「明日のログインで行くことにする?」

「いいよ。エリーちゃんもいい?」

「はーい。」


ピースサインが可愛いなエリーちゃん。そういえば今思ったけど人間系統というわ

けじゃないけれど、こういう人型をちゃんとしているのってエリーちゃんだけか。

私なんかは般若の顔しているし、ブッチはサイコロプスだし。あ、サンショウを忘

れていた。あの美青年め。どこがリッチだよ。骸骨の姿でいるようにとか命じたほ

うがいい気がしてきた。


「俺とか人間の街に入ったらさぁ、いきなり石ころ投げつけられたりするのかな。」

「そんな悲しいこと言うなよ。」

「そうだよね。全部かわして投げてきた奴に当て返すくらいしないとだよね。」

「やられたからってやりかえすなよ大人げない。」

「俺に手を出すと火傷するんだぜ。」

「分かったもういい。」


人間の街に入らせないようにしようかな。それとも、化け物扱いされて入れないな

んてことになったりするんだろうか。そうなると私も入れないってことになりそう

だけれど。その時は、これを外してみないといけないってことになるか。


「魔者って、人間世界だとどういう扱いなのか気になるなあ。」

「途轍もない魔力を持った存在だと伝えられているかもしれませんね。」

そんなものはないし。せいぜい火を吐いたりするくらい。というかそろそろ杖を出

して魔者と交信でもはかってみないといけないかなぁ。なんだか面倒くさくてその

ままにしてきたけど、重大な話が聞けるかもしれないし。


「あぁ気になってきたなあ。海底洞窟の先が気になってしょうがない。」

「じゃあこれから行く?」

「解体で疲れたからそれは遠慮したいって言ったじゃないか。」

「じゃあ我慢だね!」

分かってるっての。でも、こういう感じは嫌いじゃないな。修学旅行前日の気分と

いうか、楽しいことが待っているって思うと、いい気分になれるし。


「それじゃあここで食っちゃべってないでさっさと寝なさい。もう消灯の時間はと

っくに過ぎているんだよ!」


って感じで先生に怒られたっけなあ。というか真似をするな真似を。まぁいいや。

今日はログアウトしてさっさと寝てしまうとしよう。

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