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アノニマスターオンライン  作者: 超電撃豚豚丸
第3章「魔者の大陸」
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第151話「猪狩り」

 食料集めとして猪狩りに来てみたのだが、猪、でかい。体長3メートルくらいある

のではないだろうか。そんな猪が5匹ほど固まってうろうろしているようなのだが、

安易に手をだすのはまずい気がしている。

 

 私達は、ある程度距離を保った位置からだいこんの背中の上で、猪の動きを眺め

ているといった状況だ。だいこんに乗ったまま突撃して攻撃を仕掛けるというのも

考えたが、思わぬ反撃を食らうかもしれないので、ひとまず様子見としている。


 それにしても、あれを全部仕留められたら結構な量になる気がするけれど、保存

できなきゃあまり意味がないんだよなあ。なんとかしてあれらを保存できるように

なる方法を考えないと。それが出来れば、今後の食糧問題も解決するのだから、こ

こは頑張って倒さないといけないな。


「どうやって仕留めていこうか。ずっと5匹でいるっていうのがかなり厄介だけど

ばらばらになることがなさそうだよね。」

「何人かで一匹ずつと戦うようにしたらいいんだけど、あいつら、どう見ても仲良

しって感じで離れないよなあ。なんか引き離してやりたいのに。」

「なんだか、カップルの仲を引き裂こうとしている人みたいですよブッチさん。」


 言われてみれば確かになんて思ったので苦笑してしまう。この猪連中は、本当に

ずっと一緒という感じだ。そういう種族なんだろうか。巨大な猪の癖に群れなんて

作るんじゃないと言う気持ちでいっぱいだ。ここで一匹にでも手を出してしまえば

他の奴らが襲い掛かってくる事必至だ。


「新入り。お前さんはあの猪まとめて倒すことできないんかい?」

おいおい、だいこん。仲間になったばかりのサンショウに何を言い出すんだ。新入

りを困らせるようなことを言うのはよせよ。

「できますよ。」

 何この美青年。色々高機能で腹が立ってくるな。ああ、でもこいつリッチなんだ

からかなり強くて当然だった。この姿だとあまり威厳が感じられないからか、猪相

手にしたら死にそうな感じがしたからか、忘れていた。


「なんやと。なら先輩のワイが許すで。あの5匹を倒して姉御に献上するんや。」

「はっは。では。いきます。」

サンショウは、木の杖を取り出し、何やらブツブツ呟き始めた。魔法の詠唱か何か

だと思うのだが聞き取れない。何を言ってるんだろうか。

「南無阿弥陀仏!!!」

「なんでいきなりお経!?」

 意味が分からなかったので即座にツッコミを入れてしまった。リッチみたいな種

族の奴が突然お経を読んだりしたらびっくりするっての。ってあれ、サンショウの

持っていた気の杖から、黒紫色の球体が飛び出て、それが猪たちに向かっていく。


「ブゴッ!?」


 それが一匹に当たると、空間が歪んだようになり、黒紫色の球体は、猪全匹を包

みこんだ。あれって確かブッチにも使っていた奴だよな。当たるとあんな風になっ

ていたってことか。

「ブゴゴゴォオ!?」

猪の群れは悲鳴を上げる。何が起こっているのかはさっぱりだったから苦しんでい

ることだけは確かだった。これは重力系の魔法ってことになるのかなあ。あの球体

に当たると重力で押し潰されるといった感じだと予想する。


「あれって重力魔法なの?」

「おお、主は賢いですな。そうです。我の最も得意な魔法です。」

「すごいですな。あの猪をあっというまに一網打尽にしているとは。」

みんな感心しているが、ブッチだけは少し不機嫌そうに見えた。


「でもちょっと速度が遅すぎない? あれ、高速で動く敵だったら当たらないよ?」

「う。そ、そうですな。」

 サンショウは思わずたじろぐ。おいおいブッチ、あまり虐めるなよ。あれをかわ

せるのなんてブッチくらいなものなんだし、それに今回は当たったんだしいいじゃ

ないか。


「ブッチさんは攻撃への反応速度が異常過ぎると思うんですが。」

「一発でも攻撃が当たったら死ぬって思うと自然と避けられるようになっていくよ!」

「そんなシューティングゲームじゃあるまいし。」

「世の中をシューティングゲームだと思うと覚悟を持って生きられるよ。」

 親指立てながらノリのいい回答をするブッチだった。そんな殺伐として生きなき

ゃいいけないなんて嫌だなあ。


「ねこますサマ。イノシシハ、モウタベラレルノデスカ?」

「ん?えーっと。」

 既に猪は全く動かなくなっていた。死んだふりとかいうわけじゃないと思うので、

全部倒したということになるな。サンショウ強いな。私なんてこんなでかい猪5匹

なんて勝てないかもしれないし。本当になんでこいつ私達についてきたんだ。


「倒したね。じゃあさっそく解体しに行くか。」

「ハイ!」

嬉しそうに尻尾を振るたけのこ。おおよしよし。やはりたけのこは可愛いなあ。も

ふもふ。おおよしよし。腹いっぱい食べようなあ。


「主。私はその頭なでなではしてもらえないのですか?」

「えっ!?」

私がこの美青年の頭をなでろと。いや、それはちょっと気が引けるが、おいなんで

そんな期待した顔でこっちを見る。お前もう年齢的には老人くらいなっているだろ

うにそんな顔をするんじゃあない。子供か!


「サンショウは大人じゃないか。大人はそんなことしないぞ!」

ここはきつく言っておかねばなるまい。私はこういう展開があっても絶対に屈しな

いのだ。リッチといえば数千年の時を生きるとかそういう感じになんて言うかもう

老人だろ。それを私のような若造がそんなことするなんて明らかにおかしい。絶対

にやってたまるものか。


「我は、大人。我はまだ、千年程度しか生きていないのですが。」

「立派な大人だっての! 私の何十倍生きていると思っているんだ!」

なんかい成人式をやれると思っているんだ全く。ん? エリーちゃんがなんか私の

方を凝視しているがどうしたんだ。


「ねこますさーん。それくらいしてあげてもいいじゃないですかー。」

「嫌だ。絶対に嫌だ。こういうのは譲れない。なんかこういうのって、漫画とかだ

とさぁ、胸が高まるシーンみたいなのにされそうだけど私はそういうわざとらしい

のが大嫌いなのでしませんっ!」

「えー。あたしはそういうのが大好きなのに!」

そんな展開をやりたくないです。


「まぁよくやったよサンショウ! 頭なでるのはなしだけど褒めるので勘弁ね。」

これでいいだろう全く。そんなことよりさっさと猪の元に向かおうじゃないか。こ

いつらをさっさと食べなきゃ勿体ないし。


 こうして、さっさと猪を倒してしまったので、即食べることになったわけだけれ

ど、また血抜きだの解体だのの知識がないままきてしまったなあ。


「あの、魔者の七つ道具で包丁があるんですけど。今さらですけどこれって使えま

すかね。」

「おっいいじゃん。今までずっと鎌でやってたけど、包丁はいいんじゃないかな!」

かなり便利な道具じゃないか。とはいえ解体かぁ。


「内臓を取り出してから、皮をはいで、足の骨をとって、そこから肉をとると良か

ったはずです。うろ覚えですが。」

「おじいちゃんすごいやで。なんでそんな知識あるんや。」

「・・・・・・。」

「おい、なんで無視するねん。サンショウ、おじいちゃんとはお前の事やで。」

「我でしたか。だいこん殿。それは千年の知恵です。」

うろ覚えになっているけれど覚えているのはすごいな。一体どこで身に着けた知識

なのかは分からないけれど。


「あ、俺からも一応。猪って土遊びが好きだから臭みを抜くためにまずはそこらの

水にでも浸してみる?」

おお。ブッチも珍しく知っていたな。猪について調べたりしていたのかなあ。

「ブッチドノ。ドコカデシラベタノデスカ?」

「まあね。猪は昔食べたことがあってね。ぼたん鍋って言うんだけど。その時にち

ょっとだけ知ったよ。」


ぼたん鍋かぁ。私はまだ食べたことが無いなあ。羨ましいなあって。ここでこの肉

が上手く保存できれば今後食べられる機会ができるかもしれないってことじゃない

か。<アノニマスターオンライン>の世界であっても味があるのであれば食べてみ

たいなあ。


「ねこますさん。涎がでています。」

「はっ。えー。あー。うん。じゃあ水で洗ってから、その後えーっとさっきサンシ

ョウがいったような感じでやってみるとしようか。とはいえ5匹もいるから運ぶの

は大変だけど。」

「それは俺がやるから大丈夫だって。ねっこちゃんとエリーちゃんには頑張って解

体してもらうことになるから頑張ろうね。」


そうか、刃物を持っているのって、私とエリーちゃんか。あとはブッチが一応鋸を

持っているけれど鋸でやったらちょっと色々問題ありそうなのでやめておきたい。

そうだよなあ。ナイフとかそういうのがあると便利なんだけどないんだよなあ。


人がいるところについたらそういう道具を手に入れたいなあ。あ、でもお金がない

から買えないか。薬草って売れるのかな。


「おいしょっと、じゃあ俺が猪を水があるあたりまで運ぶからみんなもついてきて

よ。そこで解体とかしよう。」

「はーい。」


猪は初めて食べることになるけれど、美味しいんだろうか。まぁ私なんてこのゲー

ム内で肉は生で食べたりしたわけで、その時も美味しかったんだから、まずいなん

てことはないと思うんだよなあ。だからとても期待している。そんでもってそんな

美味しい肉が保存できれば、後は、遠出し放題だ。


「オニク、オニク、オニク。」

「わんころは肉の事ばかりやなあ。フフッ。」

「ム。ナニヲワラッテイル。ニクハサイコウナノダゾ。」

「知っとるで。」

「ナラモンクヲイウナ。」

「言っとらんやんけ・・・。」


たけのこは肉の事になると夢中になるから微笑ましいよなあ。ああ可愛いなあ。

「チウ~。僕も美味しい肉が食べたいチウ。」

「みんなで食べられるから大丈夫だよねずお。」


そうか、みんなで食べるんだったか。となると、これ5匹分もあるけど意外とすぐ

に無くなってしまうということじゃないのか。これは、これだけじゃなくてもっと

もっと集めないといけなくなるなあ。ふう、やっぱり仲間の数が増えるとそれだけ

やらなきゃいけないことが多くなるってことか。これりゃあ大変だなあ


「マスター。食料問題の心配をしているのですか?」

「ん? ああそうだね。いやぁ、くろごまと二人の時はちょっとドラゴンフルーツ

を集めればいいだけだったけどさ、あの時とは違ってみんないるから沢山集めない

といけないなーなんて思って。」

「パーティを分けるなんてことは考えてないんですか?」

「考えているけどまだいけるとは思っているからね。だけど近い将来それはやるこ

とになるかも。」


「ふむ。であれば、マスターといられるこの時を大事にせねばいけませんね。」

「ん? ああ、そんなかしこまらなくてもいいのに。」

 なんて私も軽々しく言ってしまったが今後は仲間の数は減らしていかないと、移

動するだけでも大変になるので、真剣に割り振りを考えないとと、思ったのだった。

私がプレイしていたオンラインゲームでもギルドメンバーが多くなりすぎて、統率が上手くいかないんだのなんだのがよくありましたが、それはそれで面白かった気がします。30人以上が会話に参加するので話があっという間に流れるなんてよくありました・・・・。


久々にお願い? お暇な方がいましたら評価、ブックマーク等お願いいたします。


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