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アノニマスターオンライン  作者: 超電撃豚豚丸
第3章「魔者の大陸」
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第144話「壮大」

「ひと段落着いたので、ここで作戦会議をしたいと思いまーす。」

というわけで、この先進むのか、それともドロヌマオロチを探してみるかどうかな

どをみんなで考えてみることにした。

「ねっこちゃんは、威圧はどうにかなりそうなの?」

「目処が立ったよ。とは言えもう少し頑張らないといけないけど。他にはちょっと

だけパワーアップしたかも。」

「マスターがまた強く・・・。流石です。」

尊敬のまなざしをむけないでくれ。照れてしまうというか期待されるのは苦手だ。

期待に応えようなんて気持ちがでてきて空回りしそうだし。


「ただ、威圧が抑えられたとしても、この辺りには何もいない感じがしてるんだ。」

「じゃあやっぱりさぁ、俺らが今いるここがドロヌマオロチの背中とかなんじゃな

いのかねえ?」

私と同じ予想をするブッチだった。まぁそういう予想もしたくはなるよなあ。この

湿地帯、少し違和感があるし。なんかこう、常に周りに何かがいるような感じを覚

えている。気配感知では特に何も反応が無いんだけれど。

「えーっと、二人とも納得しているみたいですけど、まさかこの湿地帯全部がドロ

ヌマオロチだなんて言うつもりなんですか? それはちょっと。」

無理があると言いたいのだろう。だけど、私は、そもそもこの魔者の大陸自体がそ

ういうモンスターか何かの体から作られているのではないかとも考えているので、

ありえない話ではないと思っている。


「この湿地帯全部なんて壮大過ぎてあたしはちょっとついていけないですよ。」

「いや、ワイもやで。そんな巨大なモンスターがいるなんて信じがたいで。」

みんな動揺している。ああ、私とブッチだけが冷静になっているだけだったのか。

だけどいつも通り私の突飛な考えとでも受け取ってもらってもよかったんだけれど

なんかたけのこが真剣そうにこっちを見ているので気になってきた。

「ねこますサマ。ワタシモ、このシッチタイハ、ナニカオカシイトオモイマシタ。

デスノデ、ドロヌマオロチノウエ、トイウノモシンジラレマス。」

「拙者は不気味な気配がしていましたね。それが、この場所こそがドロヌマオロチ

というのであれば確かに、と思います。」


「じゃあ、ここで地面に向かって魔法を放てば、ドロヌマオロチが動き出すなんて

こともあるかもしれないんですか?」

「その程度じゃ動かないんじゃないかなあ。あくまで予想だけど。俺も地面を蹴っ

てみたりしたけど、何も起きなったし。」

「ブッチドノ、ソンナカルクイッテマスガ、ナンドモケッテタデショウ?」

「あ、おい。」

「何で危ない実験しているんですか!」

「いや、ちょ、そんな怒らないでよ。なんかこうやりたくなるときってあるじゃん。

やっぱり気になったらねえ?」

こっちを見るんじゃない。気になったらやってみたくなるのは分からなくもないが

それで、ドロヌマオロチが出て来たらたまったもんじゃない。

 しかし、ブッチの攻撃でもびくともしていないというか効果なしか、それなら特

に気にすることもなく先に進んでみたほうがいいかな。


「何も起きそうにないなら、先に進んでみるのがいいってことかな。」

「ですけど、別にドロヌマオロチがいる可能性もあるんじゃないですか? 精神が

分離して今は別な生き物になっているとか。」

「お、そして自分の体を復活させるためのエネルギーを集めているとかそういうの

かな。」

「ということは、この向こうに進むとそういう奴が出てきて、私達を生贄にしてや

るなんてことがありえそうだなあ。」


ドロヌマオロチが、八岐大蛇を基にしているんだったらそういうことになるんだろ

うなあ。スサノオとかクシナダヒメとかそういうキャラクターも出てくるかもしれ

ないってこと・・・んん。


「なんか壮大な話になってきた気がするんだけど気のせいなのかな。」

「だから言ってるじゃないですか! 神話ですよ神話! ゲーム内でそういうのが

でるのって大体物語の後半とかじゃないですか! なんかそんな壮大な話をこんな

湿地帯にちょっと来ただけで体験するとかそんなのないですって!」

エリーちゃんが向きになってきているけれど、確かにそうだよなあ。ここは魔者の

大陸なのかそれともドロヌマオロチの背中であるのかなんて事自体も謎だけれど、

高天原とかそういうのと関わり合いがありそうだなあ。うーん。


「エリーちゃん。いいじゃないか。物語序盤でそういう強そうな奴が出てきて負け

イベントがあったとしてもそこで勝つ策を練るから楽しいんだよ。俺はそういう強

い奴に挑戦するの好きだよ。」

 嬉しそうな声を出すブッチにたじろぐエリーちゃん。挑戦することは本当に楽し

いからなあ。私も同意見だ。

「もう。あたしは別にそういうのが嫌なんじゃないないですよ。ただヤマタノオロ

チとか、そんな規模の大きそうな話とかもっと大きなギルドとかそういう一部のプ

レイヤーが戦うようなものだとばかり思っていましたから。」


 確かにそれは言えている。オンラインゲームの大きなイベントと言えば、大体が

大規模なギルドにいないと参加できなかったり、参加できても大して役に立てない

まま終わるなんて事が多い。巨大な敵なんてものがいたとしても、まともに戦える

のは長時間ゲームをプレイしている一部のベテランに限られているなんてことも多

い。エリーちゃんもそういう経験があるのかもしれない。

 だけど今、私達が直面しているのはそういうことだ。トッププレイヤーのみが攻

略を許されているモンスターが私達が相手をするかもしれないということ。そんな

のゲーム歴が浅い私達がやったところでどうにもならないんじゃないのかと腰が引

けてしまうのもしょうがない。


「エリーちゃんだって、いきなりラスボスと戦うようなゲームやったことあるんで

しょ? だったら大丈夫だよ!」

「え、あ、はい。一応ありますけど。でも絶対負けるじゃないですか。知識をつけ

たり練習しないと勝てる気がしません。」

「それをやるのが俺らゲーマーってことじゃないか。失敗を恐れずに挑戦していく

ことが大事なんだよ。初めからできないって決めつけてたら本当に何もできなくな

るしね。」

「おっ? ブッチが珍しくかっこいいこと言ってるな。」

「そもそもこういう挑戦ってなかなかさせてもらえないわけだし。むしろ幸運だな

って思うんだよ。ボス戦を占拠されたりとか色々嫌な事があったりするのも経験し

てきたけど、それがないってことは自由にボスを倒しに行けるってことだし!」


あー。ただ戦いたいだけだったか。この戦闘狂め。ちょっといいこと言ってると思

ったらまたそういうことだったのか。やれやれ。


「それじゃあどうなるかは分からないけれど、先に進んでいこうってことでいい?」

賛成か反対かを聞いてみたが反対は、おいだいこん。お前空気を読め。

「ワイは、こういう時こそ臆病者の意見を出すんやで! 怖いもんは怖いんやで!

ドロヌマオロチとかでっかい蛇ってことはワイの上位互換やんけ! めっちゃ怖い

に決まっとるやないか! ビビって何が悪いんやで!」

「多数決だから諦めるんだな。」

「なんやて!? ここはだいこんは本当に賢い選択肢をするなって褒めたたえた後

にみんなでこの湿地帯を後にするとかいう流れやないんかい!?」

「だいこん。ハジメニオマエガナガレヲブッタギッタダロウ。」


おっと、いつもの流れになってきた気がするな。まぁだいこんについては、いつも

通りだとして、この湿地帯をどう行くかだなあ。ひたすら真っ直ぐっていうのはあ

るんだけれど、他にも行くべきなのかなあ。

「あのー、あたし一旦ログアウトしておきたいです。結構長くプレイしているので

少し疲れてきました。」

「ああ、それもそうだね。一旦ここらで休憩にするか。」

「何も出ないって言うのが分かっているからいいかもね。」


なんて言いつつ、ここで何か色々出て来るなんてことがあったら嫌だけど。

「じゃあ一旦休憩にするとしようか。その後、また湿地帯を進むことにしよう。」

というわけで、私達はログアウトの休憩をすることにした。


--------------------


「っ!?」

 私は、現実に戻ってきた。なんだか疲労感が一気に襲い掛かってきた感じだ。気

がつけば結構な時間<アノニマスターオンライン>をプレイしていたようだ。そり

ゃあ疲れてもしょうがないな。

「なんだか、向こうが現実って感じになりそうだなあ。ちょっと依存し過ぎてきた

気がするかも。」


 私以外誰もいないこの部屋だが、なんだか冷たい感じがする、いつでも色んな人

に囲まれていると寂しさがこみあげてくるというけれど確かにそうかもしれない。

ゲーム仲間ってなかなか作りにくいしなあ。ネットで仲のいい友達なんかは出来た

ことはあるけれど、深い関係ってわけでもないし、ハンドルネームでだけのやりと

りなんてのも多いしなあ。

 

「熱中し過ぎな気がしてきた・・・。」

 たけのこ達のことが気になりすぎてというのがある。そのあたりも最初のうちは

なんというか乾いた感じだったんだけれど、今は少し違ってきたなあ。だけど、こ

れ以上は無理しないようにしないといけないな。

 夢中になりすぎてゲームで人生を破綻したなんてニュースがよくある。私もそれ

と同じようになってしまえば、それこそゲームが悪く言われるようになってしまう。

それは嫌だ、すごく嫌だ。

 私は、今までゲームをプレイしてきて、頭が悪くなるだのなんだの言われたこと

があるが、そうならないように気を付けてきたが、無理をし過ぎてそうなるのなら

やはり距離を置いた方がいいだろうなあ。


「面白すぎるんだよなあ。<アノニマスターオンライン>」


まだまだやりたいことはある。だけど、現実でだってやりたいこと、やらなきゃい

けないことが沢山ある。それらをしっかりした後じゃないとだめだな。いくら楽し

いからって、体にガタがくるくらいやっちゃだめだ。


「軽く運動して横になってごろごろしないとかな。」

VRの中で散々動いたとしてもそれは現実に影響は及ばさない、というわけではなく

実際に体に負担がかかっていることも多い。なのでストレッチなどをしておいたほ

うがいいと言われている。


「ゲームみたいに動けたりしないかなあ?」

なんて鎌を振る動きをしてみたが・・・すごいしっくりくる。鎌だけにシックル。

・・・いや待て、何言ってるんだ私。ブッチがうつってしまっているぞ。あーもう。

だけどなんだろ今の感じ。現実なのになんだかすごいというか。もう一回。


「般若レディ・・・か。」

なんだか急に、自分のキャラクターが愛おしくなってきた。そして唐突に般若のお面

が欲しくなってきた。・・・・通販で買おうかな。なんだか本当にどっぷりはまって

きてしまったなあと感じた瞬間だった。


般若のお面ですけど、最近私も無性に欲しくなってきました。

今まで全く興味が無かったのに、この小説を書き始めてから欲しくなってきました。

なのでそのうち買うかもしれません。つけたら呪われて混乱したら文章も面白い

ことになるかもしれませんので楽しみに待っててください。



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