表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アノニマスターオンライン  作者: 超電撃豚豚丸
第3章「魔者の大陸」
140/473

第140話「湿地帯の歩き方」

 たけのこが雌だったことに今まで気が付かなかった。ブッチは確かにたけのこに

はちゃん付けで、だいこんは呼び捨てにしていたけれど、そこはなんとなくもふも

ふしているからなのかなぁと勝手に思っていたが違ったのか。しかしなぜ雌だと分

かったのだろうか。


「ああ、俺、動物の性別は大体見ただけで分かるよ。そういう特殊技能があるん

だ。ふふっ褒めてくれ。」

「そのサイコロの目にそういう機能があるってだけじゃないんですか?」

「エリーちゃん。よく分かったね! 今まで頭悪そうと思っていてごめん!」

「なんですかそれ! 今もそう思っているってことじゃないですか!」

 サキュバスとかそういう種族って性的にアレだから頭悪そうなんて思われたりす

ることはあるかもしれないが、ブッチめ。失礼な奴だなあ。

「ブッチ。私も頭悪そうだと思っているってことだな。」

「ねっこちゃんは、何をしでかすか分からない頭をしていると思っているよ!」

親指を立ててにこやかにいうブッチだった。私はそんなに分かりにくいのか。


「で、エリーちゃんが言ってたその目ってことは正解なんだな。」

「んー。スキルとかそういうのじゃないと思うんだよねえ。ただ自然とそうなんじ

ゃないのかなって感じで分かるというかなんというか。」

ブッチの直感みたいなのも混ざっているんだろうか。まぁ性別を当てられる程度な

ら特に何かあるってわけでもないと思うけど。


「ブッチって実は色んな能力持ってそうだなあ。目からビームとかでないの?」

「今のところ出せないね。出せたらすぐに使うよ。でも力士だし直接攻撃以外はあ

まり使いたくはないなあ。」

まずい。これはいつもの脱線コースだ。ブッチと話していると段々と何を話してい

たのか忘れてしまったりするので注意しないとな。


「ドロヌマオロチを気にせず先に進みたい者は挙手~!」

・・・まさかの全員挙手。なんだみんなして、新しいマップに飢えていたとか敵に

飢えていたとかそういうオチなんだろうか。


「だってさぁ、ここに絶対に出るわけじゃないんだろうから、それならまずは真っ

直ぐ進むって話でもいいじゃん。」

「待ていみんな! こういう時こそ慎重になるべきじゃないのか。」

いやいや、ここで誰かは反対すると思っていたんだけど、そういう意見を持ってい

るのは私だけのようだ。もしかして、ももりーずVの抑止力って私だけなんじゃない

んだろうか。


「いいかね皆の衆。ドロヌマオロチって奴の強さが分からない以上、不用意に動く

べきじゃないと私は思うんだ。対策をしないと即全滅なんてボスだったらどうする

んだ? 足元が泥沼にされたら、何もできないうちにやられてしまうかもしれない

のに、特攻するのは自殺行為でしょ?」


 私がプレイしたRPGでは、地震攻撃を使ってくるモンスターがいたのだが、そ

のモンスターと戦う前に浮遊魔法を使うことで、地震対策になるというものがあっ

た。その浮遊魔法を使っていないと、地震攻撃で即全滅してしまうものだったので

情報を知らないプレイヤーは酷い目に遭うという仕組みだ。

「折角ここまで来たので、うろうろ回りたいチウ。」

「いや、姉御の言う通りかもしれんやで。ワイもここでようやく役に立てると思っ

ていたせいか冷静さを失ってたで。強い敵と出会うのはワイも勘弁や。」

 まさかのだいこんが意見に賛同してくれたが、なんだ結局のところ戦いたくない

からと言うだけの話じゃないか。


「ねこますサマ、シンチョウナノハイイコトデス。イママデソレデタスケラレテマ

ス。」

たけのこも加わったぞ。というか私の発言が鶴の一声みたいになっているだけなん

だろうか。そうなるとちょっとこれはと思ってしまうんだが。


「ねっこちゃんは慎重派だもんねえ。」

「石橋を叩きまくらないと怖くて夜も眠れないんだ。般若レディはか弱いし。」

「・・・。ニヒキメ。ねこますドノハ、カヨワイトオモウカ?」

「オモワナイゾ。アレハゴウノモノダ。」

「確かに、マスターはか弱くはないですな。」

ここで大笑いするブッチがいた。何がそんなに楽しいんだよおい。どうしてそこで

笑うんだよ。般若レディのか弱い部分に何が楽しめる要素があるんだ。


「みんな。もしかして私がか弱くないとか思っているんじゃないよね?」

「いや、俺はか弱いと思っているよ! ねっこちゃんはレディだし!」

「姉御は強かやで・・・。草刈りがあそこまで出来るのは姉御だけやで!!!!」

ん? 草刈りって何か強さと関係あるんだろうか。そこは何も関係ないと思うのだ

が、だいこんは寝ぼけているのか?


「だいこん。無理だってその話は。」

「なんでや。草刈り関係ないやろってことなんか。なんでや。」

「よく分からないけれど、えーっと。私としては今いる周辺をだらだらと移動する

くらいが丁度いいと思っているんだよ。あまり奥地に行かなきゃ多分ボスなんてで

てきたりしないと踏んでるし。」


 大体ボスなんて奥地にいることが多いし。いきなり最前線に出てくるようなボス

っていないんだよなあ。最初からボスが出向いてくれば楽なのにって思ったことは

何度もあるんだけど、そんなことがなくて、こっちから出向くのが多い。

 まぁ最初からボスが出て来たらこっちは全滅必死なんだけど。


「ボスって頭が悪いんだよね。戦力が圧倒的なうちに攻め込まないとか、何でそん

なに楽観視しているのかなって思う。」

「ブッチどの。モンスターの群れの主は、弱い敵への侵略行為もしますぞ。」

「え? だったら。」

「しかしそれ以上に強い敵を蹴落とすために必死になっているのです。」

 なるほどなあ。強いモンスターはより強いモンスターになる目的を優先している

ってことなのか。弱者に構っているよりも強者を倒して這い上がりたいと思うとい

うのは分からなくもないけど。


「モンスターって弱者を徹底的に叩き潰すほうが優先だと思っていたけど私の思い

過ごしだったみたいだ。」

そんな向上心があるとは思っていなかった。とはいえ私がモンスターだったら、弱

い奴から邪魔されないように叩いていくし、将来的に脅威になるならその芽は刈り

取ってしまうんだけどな。

「ねこますさんは合理主義というかなんというか。」

「危険な奴は最初に倒しておくべきじゃん! 危険な奴を野放しにしていたら不安

で眠れないよ!」

 今はまだ弱いが、将来、自分を倒せるくらい強くなる奴がいるなんて言われたら

そんなのびびるって。成長したら勝てなくなる見込みがあるなら、成長させないよ

う対策を打つのは普通だろう。


「マスター。しかしマスターは自分の実力を過小評価しているように思えるのです

が。どうでしょうか。」

「それはないよ! 私はねえ。自分がもし本当に強かったら、ブッチを眼力だけで

ビビらせるくらいになっているはずだし。」

「ひ、ひぃ~。ねっこちゃんの強さに俺は震えるよ~。まじぱねえっす!」

「あっハイ。そういうのは間に合ってるから。」


なんてやり取りもいい加減しつこくなってきたので、私の方針を採用してもらうよ

う強引に押し通した。まずはこのあたりの探索だ。といってもだいこんに乗ってう

ろちょろしてもらうだけだが。


「来たばかりだしそうするか。と言ってもずっといるわけじゃないんだよね?」

「まあね。ここまで来られることも分かったし、一旦草原に戻るのでもいいし、こ

こから先の攻略の前に別なところに行くってのもいいからね。」

何も無理してここを突破しなきゃいけないわけでもないので後回しにしてもいい。

別な場所で強くなってからこの湿地帯を攻略するというのでも良さそうだ。


「たけのこ森を超えてこの湿地帯までたどり着いたけれど、まだ海岸にはついてい

ないところを見ると、海に行くのは大分時間がかかるだろうなあ。」

魔者の大陸の外に行くためには海を越える必要があると考えている。もしかしたら

この大陸から他のプレイヤーがいる大陸まで簡単に移動する方法があるかもしれな

いが、そのあたりは不明なため出来ることからやっていこうと考えている。


「ねっこちゃんはそんなに魔者の大陸から出たいのか。村づくりしたいって言って

たのにー。」

「それもしたいけど、全然沢山の仲間とかできないから、そのために大陸の外で人

を集めて移住させるとか考えてはいるんだよ!」

「確かにねえ。世界中のプレイヤーがいるはずなのに、どこにも見当たらないって

状態だし、気持ちはわかるよ。」

「なんだか魔者の大陸だけ、隔離された場所にでもいるんじゃないかと思っちゃう

んだよねえ。」


「あたしは、みんなに会った時、私だけ浮いてたらどうしようってなりますね。」

「翼で浮いちゃって。って言いながら舌だせば大体騙せるよ。男なら。」

「翼で浮いちゃって。」

「残念だったね。俺にそれは効かない。」

 浮くとかは心配することが無いなあ。こんなか弱そうな般若レディ相手に、変な

 事言ってくる輩はそんなにいないと思うし。


「ねこますドノナラ、カマヲ、フリマワセバ、ミンナ、ナカヨクシマスヨ。」

鎌を振り回してどうするんだよ。そんな誰彼構わずに鎌を振り回したりはしたこと

がないんだけれど。でも脅しとて聞かせることもできるんだろうなあ。私程度が脅

したところで効果なさそうだけど。


「湿地帯の色んな所に草木があるので、そこはねこますさんの鎌の出番っぽいです

ね。」

「あたりを見回して、一応これいいんじゃないかなーって言うのは後でとろうと思

っていたよ。そんでもって、よく分からない草木は、まだ何も対応するつもりがな

い。」

草木がどんな効果あるのかは確かめてみないといけないけれど、それは慎重に行う

予定だ。失敗して何かの状態異常になったら嫌だし。


「何はともあれ、方向性が決まったことですしこのあたりうろうろしましょうよ。

あっ一応、地面に慣れるためだいこんさんから降りてがいいと思っています。」

「だいこんさん。ええ響きやな。社長になった気分やで。」

「だいこんさん禁止。みんなだいこんって呼び捨てでいいからね。」

「ファッ!?」

「じゃあだいこん。」

「なんでそうなるんや。」

「ぬかるんだ地面でいざ戦ったら困るだろうから、ここで慣れておくとしようか。」

みんながだいこんから降りて、これから徒歩で湿地帯を調査することにした。さあて

何かでてきてくれたら嬉しんだけどなあ。

たけのこは雌でした。地震の話はあの有名なギル○メのいる洞窟の敵です。

私も全滅しました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ