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アノニマスターオンライン  作者: 超電撃豚豚丸
第3章「魔者の大陸」
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第138話「祠」

 ブリザードイーグルを倒した私たち一行は、鬱蒼とした森を更に進むのであった。

私達の後方は、ブリザードイーグルの攻撃で平地になっているのがやたら目立つが

多分これも何らかの修復機能が働いて、すぐに元通りになると推察される。


「ボス一体倒すだけで結構疲れたなぁ。今後ボスラッシュなんてあったら大変だし

さっさと慣れたいな。」

ブリザードイーグルが手強かったのは確かだが、将来的にこうしたボスと連戦で戦

わされるということがあるだろう。そうなると、今みたいに疲れている状態だと失

敗が重ねり敗北、なんてことになりかねない。

 VRは現実と同じような感覚があるので疲労が溜まりやすいというのもあると思う

が、それこそ慣れでなんとかなるものだと私は思っている。今までプレイしてきた

ゲームの中でも、慣れないうちはすぐ目が疲れたりしたけれど、何度もゲームをし

ていくうちに自然にできるようになる。


「ボスラッシュって言われると、どうにも8体出てくるあのゲームを思い出すんだ

よあ。」

「土下座で有名なあのアクションゲームのことですね。」

「なんかエリーちゃんって、俺が思っている以上にゲームに詳しいよね。もしかし

てオタクなのかな!?」

「そんなわけないです。家族が色々ゲーム持っていたので自然と詳しくなっていっ

ただけです!」


 家族が古いゲームを所有しているって言うのはよくあることだけれど、それにし

てもエリーちゃんは詳しい気がするなあ。私はまぁ、ゲーム好きなだけだが。

「ちなみに俺はまだ全然疲れていないよ。というか不完全燃焼過ぎてむしろ今が

やる気十分だよ! ボスでもなんでもかかってこいやー!」

ブッチって活躍するけど、ボスにはとどめをさせない系のキャラだよなあ。これは

サッカーで言う所のアシストがすごいみたいな感じかなあ。

「あまり強すぎるのがでてきても嫌だなあ。」

 連戦には備えているけれど、それでも疲れて戻らなきゃいけなくなるのが嫌だ。

この森を何度も行った来たりするのは面倒くさく感じてしまう。行くならさっさと

行ってしまいたい。


「見渡す限り木ばっかり、か。」

「わんころ。たけのこ森なんやからこの木をなんとかするんやで。」

「オマエラノシュギョウノイッカントシヨウ。コワセ。」

「なんでワイがやらなあかんのやで。」

ブリザードイーグルがかなり広範囲に渡って森を崩壊させたはずなのだが、それが

本当にほんの一部とでも言わんばかりに木々が生い茂っている。広すぎるなあ。


「この森は、本当に不思議な雰囲気が強いですね。何が起こるか分からないといっ

た感じがします。」

 色んな可能性が詰まっている気がするんだよなあ。次から次へと何かイベントが

発生している気がするし、それに構っていたらこの森は永久に踏破できない気がす

る。

 森の中では虫や鳥の鳴き声などは一切聞こえない。木々が風でざわつく音が聞こ

えるがそれだけだ。こんな森なんだから生物が沢山いると思うんだけどなあ。出て

来ない時には本当に出ない。


「現実でこういう森には来たくないですね。」

「そうだね。迷子になりそうだよね。」

「ねっこちゃんは迷子になっても自力で脱出できそうだから、救助なんて不要な感

じがするね!」

「現実じゃ無理だろうなー。というか私こんな森の中に入るつもりないし。」

「インドア派だな。よし、じゃあVRでくらい、バーベキュー大会で沢山ヒャッハー

しようじゃないか。」

「何がヒャッハーなのかよく分からないけれど、面白そうな事ならやるぞ。」

 むしろキャンプファイヤーならやりたいな。現実では数えるほどしかやったこ

とがない。VRでは、結構簡単に出来そうな気がするのでそのうちやるとするか。


 たけのこ森の奥へ行くため、雑談をしながら前に突き進む。あまりの代わり映え

のなさに、マップの使い回しみたいなもんなのかと疑いたくなってくる。面白そう

な木も草もない。手抜きじゃないか。それとも既に道に迷っているとかか。

「実は同じ所をぐるぐる回っていたってよくある話らしいよ。」

同じにしか見えないだけかもしれないじゃないか。それと、こうしてぐるぐると回

ることで、イベントが発生するかもしれないんだから、今はとにかく突き進むこと

が大事なんだ。なぁみんな。


「ねっこちゃんが面倒くさくなったらこの森燃やすだけで解決だし楽ができそうだ。

けど俺はボスと戦いたいなあ。」

「そう簡単には燃やさないっての。」

「ワイは知っているで。姉御はこういう時はやる女やって。」

何がだよと思ったのでとりあえずだいこんを小突いておく。火で燃やすと新たな道

が開けるってあるけれど、消火がすぐできそうにないから、そう簡単には燃やしち

ゃだめだな。


「誰か~何か見つかりそうにないか~。」

「そこらへんに石ころが落ちているよ。」

「知っているっつーの! 誰かもっといいものを見つけてくれ。」

「ワイはそこで石ころを見つけたやで。」

「分かったって言ってるだろ! アホ!」

「あのー、そこに祠があるんですが。」

「だから石ころはもういいって言って! え?」

 エリーちゃんが指をさす方向に、小さな祠があった。なんだろうあれ。いかにも

怪しい祠だ。あれ、触ったりしたら異次元に飛ばされたり、状態異常になったりす

るんじゃないのだろうか。


「精霊とかがいて、なんか導いてくれそうだよね。でも安易に触りたくないなあ。

なんか勝手に精霊の世界とかに攫われて、なんかアイテム探して来いとかパシリに

されそうな気がするし。」

 あるある過ぎて反応に困るぞブッチ。この手の場所って一度触れてしまうと、元

来た場所に戻ってこられるのに非常に長い時間が必要になる事がある。私がゲーム

初心者だった頃、迂闊に触れてしまい、帰れるまで買えなくなるアイテムが出てし

まい、非常に苦労したなあ。

「悲惨なのはそういうのに気が付かないでデータをセーブしちゃった時だよ。戻れ

ないせいで、その周辺のモンスターと戦うのにすごい苦労したっけなあ。」


 うんうん。そんな怖い展開ってあるんだよなあ。だからこそ。だからこそ誰も触

ろうとしなかった。おい、誰か触りたくないのか。ん、どうしてみんな私を見てい

るんだ。こういう時はリーダーがやるのが普通だとでも思っているのか。


「ブッチ、祠に触ってみてもいいんじゃない! どう!?」

「俺、レディファーストって言葉が大好きなんだ! だからほら! ねっこちゃん

とエリーちゃん。お先どうぞ! さぁさぁ! ・・・何か面白いことをやるのはね

っこちゃんって相場が決まっているんだ・・・・。」

なんか最後の方ブツブツ言っててよく聞こえなかったが。とにかく自分はやりたく

ないですよってことじゃないか。

「ねこますさん。頼みますよ~。あたし、ここでまたどこかでに閉じ込められたり

したらもうなんか色々嫌になっちゃいます。ここはリーダーとしてよろしくお願い

します! トジコメラレルノハモウイヤ・・・。」


 で、結局私になってしまったというわけか。別に構わないんだけれどまたみんな

と分断されたら嫌だなあ。そういうのがなければいいんだけれど。とはいえ毎回そ

ういう風な展開になるとは思わない。頼むぞ、精霊の世界とかそういうところには

飛ばさないでくれよ。

「マスター! ファイト!」

くろごまが応援してくれた。他の皆も声援を送ってきている。なんかたかが祠一個

でこんなに盛り上がっていることに恥ずかしさを覚えてきたぞ。これで何もない本

当にただの祠だったら嫌だな。


「ふー。じゃあ触ってみるから、みんな、私に何かあったら、って多分ないと思う

んで、タッチ!」

 祠に触れてみる。遠くで何かが崩れるような音がした。何の音なのか分からなか

った、後ろを振り返るとみんながいなくなっており、その先には、湿地帯が広がっ

ていた。


「やっぱりワープオチじゃないか! くそ。これって戻れないのか? っと。祠

は残ったままだな。もう一回触れれば帰れるかどうかやってみるか。ほいっと。」


「お、おお、消えたと思ったねっこちゃんが戻ってきた! 早い!」

「ただいま。」

「どこに行ってたの?」

「この祠に触れると、湿地帯に行けるみたい。湿地帯に何があるのかはまだしっか

りは見ていないよ。で、その湿地帯にも祠があったままなので、また触れたらここ

に戻ってこれたよ。」

 すぐに戻れるのは本当に良かった。毎回どこか知らない土地に飛ばされたらたま

ったもんじゃないと思ったが、本当に良かった。


「森はこの先も続いているような気がするけれど、面白そうな湿地帯に行くことに

したんだけど、みんなはどうする?」

 という質問をしてみたが、勿論全員行くとのことだった。ここまで来て行かない

なんていうのは面白みがないからなあ。


「全員同じところに行けるとは限らないと思うんだけど、ねっこちゃんはどう思う?」

「友達になっているんだから連絡とり合えるじゃん。」

「そうだね。だからこそどこ行っても大丈夫なようにしよう。」

 もしこれで、たけのこたちが一匹ずつになったらどうしようかとも思ったが、こ

こで引くのはなんだか腹が立つのでやはり行くことにした。みんなのことは大事だ

けれど過保護になりすぎてもっていうのはあるからな。そのあたり調整が難しいも

んだなあ。


「じゃあみんな、祠に触れて、湿地帯に行くぞー。」

またしても私が1番乗りで移動した。ブッチ、エリーちゃん、たけのこと、順番に

こちらに移動してきた。どういう原理になっているのかは分からないけれど、この

祠は他の場所にも沢山あるのかもしれないなあ。この祠、便利だなあ。

「それじゃあ、みんな、ここから湿地帯攻略に移るとしよう。どんなモンスターが

でるか分からないけれど、折角踏み入れたんだから、頑張って倒して行こう。」


「おっ。こういう湿地ならワイに乗ってくれてもいいやで。森とは違ってここなら

ワイの本領発揮できるで!」

それは幸運だったな。よし、ここからはしばらくはだいこんに乗って先に進んでみ

るとするか、何があるのか分からないこの湿地帯だが、同時に私はわくわくしてき

た。これだ、この冒険心が大好きなんだ。

今日は、帰りが遅くてぎりぎり投稿になりました!

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