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アノニマスターオンライン  作者: 超電撃豚豚丸
第3章「魔者の大陸」
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第136話「墜落」

 それから、青い鳥の攻撃はもう一度繰り返された。それも辛うじて回避すること

に成功しているが、常時動きっぱなしなので疲労も蓄積している。VRだから実際の

疲労とは少し違うのだけれど、実際に動いているのと同じような感覚はあるのでや

はり疲れてしまう。

 けれど、みんなは大して疲れていないように見える。プレイヤーであるブッチ達

はそんなものかと思うが、たけのこ達も全く疲れておらず、やはり私だけが必死に

なっているように思えた。これは、今後改善が必要だな。私は多分、基本的な動き

が全くと言っていいほどできていないのだろう。だからこそ、こんなに疲れたよう

な結果になるわけだ。この戦いが終わったら、って不吉なことは考えないでおく。


 青い鳥の動向を確認するのが先だろう。私の予想ではあと1発だ。次の1発でが終

われば、しばらく攻撃ができなくなると見込んでいる。だからこそ、ここまで耐え

てきている。ちなみに予想が外れたら、その時はその時だ。こういう時、あと1発

で終わるなんて信じこんでいると、実は違ったという時に絶望して何もできなくな

る展開は今まで散々味わってきた。

 あと少しで確実に倒せるはずなのだから、ここは焦らないで行く。


「ねっこちゃん。冷静になったね。」

「疲れているからそこまで冷静じゃないって。これまでのゲーム経験を思い出して

青い鳥を確実に葬り去ろうとしているだけだし。」

「こういう攻撃を放つと死ぬ敵とかだったら楽だったんですけどね~!」

エリーちゃんの言うような敵はよくいたけれど、大体が自爆系だったので苦い思い

出ばかりだ。って待てよ。青い鳥も最後に自爆とかするんじゃないだろうな。あり

えるんじゃないかって・・・。

「エリーちゃん、自分で言っててもしかしてって思った?」

「はい。うう。嫌な予感がしますねえ。」

「最後は盛大に自爆してくるかもしれないってことかー。やばいな。」

自爆とか最悪の結末じゃないか。頼むからそんなことにならないで欲しい。


「今は、ひたすら逃げるっきゃないんだからねっこちゃんファイト!」

 スパルタなブッチ教官になってる。とはいえ、ここで立ち止まるというのが死に

直結しているのであれば、ひたすら逃げるしかない。あと、あと1発だ! 早く撃っ

てこいよ青い鳥!


「クゥエエエエエエ!」


って噂をすれば本体が来たぞ!? おいおい、まさか本当に自爆でもするつもりじゃ

ないだろうな。なんか輝いているし、それとも至近距離からこちらに撃ってこようと

しているんじゃないだろうな。くそ、どちらにしたって、嫌な展開じゃないか。

「うぉりゃあああああああ!!!」

私が何をするよりも早く、ブッチがモーニングスターを上空に見えた青い鳥に向かっ

て思いっきり投げつけた。だがしかし、青い鳥がそれを感知したようで、回避されて

しまった。


「来い! イエロードローン!」

 くろごまが、イエロードローンに乗り、青い鳥に接近していく。が、やはりあまり

高くは上昇できないようで、青い鳥と同じ高さまで近づくことはできない。そこへ

「伸びろ! 黒如意棒!」

青い鳥に向かって、高速で伸びる黒如意棒だった。それなりに距離はあったが、か

なりの速度だったため、青い鳥はよけきれず、羽に命中した。

「グヘッ!?」

 体勢を崩し、落下する青い鳥。くろごま! よくやった! 地上にいる私達は、青

い鳥の落下地点まで移動しようとする。ここまでやってきた甲斐があった。目にもの

みせてくれる!


「グウウウエエエエ!」

 おい、そこで再上昇するな! 折角ここまで落ちてきたってのに、ここでまた手を

出せない位置まで移動されたらどうしようもないだろ。


「真空波!」

この距離から放つが、くそっ、やっぱり私の位置からじゃ届かない! 遠すぎる!

時間凍結したとしても、あまり近づけないし無駄に終わる! くそ。折角ここまで来

たってのにこれじゃ水の泡じゃないか。手出しできないとかふざけるなあ!


「ライトニングスピアー!」

 悪魔の女の子が、空を飛んでいた。可愛いハートの杖を持った、サキュバス。そう

ここでエリーちゃんが来た! 雷の魔法が、青い鳥に命中する。おおおお、ナイス!

助かった! これで勝てるぞ!


「ライトニングスピアー! ライトニングスピアー!」

れ、連発で行くのか、そうだよね。ここで逃がしたら絶対ダメだって私言ってたもん

ね。よし、エリーちゃん! ここで大活躍するんだ! 徹底的にやっちゃえ! そん

な風に思いながらも、私は、青い鳥の近くまで必死になって移動する。近づいてしま

えばこっちのもんなんだよ。絶対に逃がさない。絶対に見逃さない。青い鳥、お前の

命もこれまでだ!


「クゥエアアアアア!」

青い鳥は、冷気の障壁のようなものを発生させた。まだ抵抗するかこいつ。というか

これは流石に読んでいたよ! このゲームは敵を追い詰めるとほぼ100パーセントで

パワーアップするっていうのが分かっているからね! んで、その障壁はきっと、

さっきまで攻撃に使っていたエネルギーを流用していると見た。つまりここであの

高威力の攻撃はこない! 


「ブッチ! 私をぶん投げろ!」

「おっけえええええええええ!」

私を簡単に持ち上げ、そのまま青い鳥に向かって容赦なく投げつけるブッチ。


「うっひゃああああああああ!?」

丸太の時とは違ってというか丸太の時よりもなんかすごい速く感じられるんだけど

私今空を飛んでいるうううううううってそれよりなにより青い鳥に攻撃だああああ!


「狐火! 狐火! 狐火!」

冷気の障壁を解除するために狐火を使う。この程度で解除されるかどうか。分からな

かったので、エリーちゃんにならって、連発でいく。こんな青い鳥の冷気なんて私の

狐火でなんとかしてやるっての!


「ってうああああああ!?」

当然、私はそこで落下し始める。ただ投げつけられただけだし。でも一矢報いること

ができたし、満足っちゃ満足だ。でも死にたくねええええええええ!

「マスターあああああ!」

「くろごま!?」

イエロードローンに乗る、くろごまの手に捕まる。お、おおお。ナイスタイミング

だ。またしても生き残ることができたぞ。ナイスだ!


「グェアアアア!」

こっちを威嚇してくる青い鳥、へっへっへ。こいつ、気が付いていないな。今の高度

はイエロードローンの高度まで落ちてきているってことを。そんでもって!

「重圧!」

「グギギ!?」

予想通り! ブッチがたけのこを飛ばしてくれたみたいだ。そんでもってたけのこも

ナイスだ! 青い鳥の高度が更に下がっていく。このままみんなで一気に倒すぞ!


「チウウウ!!!」

・・・え? ねずおがたけのこの頭の上から飛び出し、青い鳥の片翼を噛み千切った。

お、おい。またかお前。おいおい。

「グエアアアア!!? アアアアアアア!? ギエエエエエエエ!?」


絶叫を上げて、そのまま地面に落ちていく青い鳥。そして、たけのこは、くろごまが

キャッチし、ねずおは、エリーちゃんがキャッチした。よ、よーし、翼が片方無くな

ってしまったというのならあとはとどめをさせばいいだけだって。あ。落下地点に急

いで向かっていくサイコロプスが一人いた。


「行けっ! ブッチ!」

「おうよ! 後は任せんしゃい!」

なんて思っていたのだが、落下地点には、既にリザードマン達がいた。そして

「オワリダ。」

「オワリダ。」

二匹のリザードマンの持つ曲刀により、青い鳥は、倒れた。


 え、なんだこれ、あっけないぞ。こんなんでいいのか。ここまで苦労してきてこの

終わり方ってあっさりし過ぎじゃないのか。おい、ここまで引っ張っておいて、私は

大して活躍していないぞ。そしてまだこの青い鳥をぼこぼこにしていないぞ。それを

あの、イッピキメとニヒキメ、お前らちょっと待てよ。それ、それなしだろ。

 いや、私だって、ここでまた復活とかされたら嫌だからいいとは思うんだけど、そ

れはないんじゃないか。


「まだ復活するかもしれないし! もう片方の翼くらい引きちぎっておくべきだな!」

「エ!?」

「イヤモウシンデイルノデハ!?」

「あまーい! こういう奴は復活するってねっこちゃんが大体言ってるよ! ねっこ

ちゃんならそんな甘いことは言わない! 敵が灰になっても生き返るかもしれないし

って言うタイプだし! だからこの程度じゃ倒したなんて言わない!」


どうしてブッチ。なんでそんな必死になっているんだ。というかわざわざ私の発言を

引用しなくてもいいじゃないか。


「ブッチニキ。気持ちはわかるがそれはちょっと。」

「いや翼を引きちぎっておくのはマジだよ。」

「ワイは狂気を見たで。」

いやでもまぁ、その、私でもやるけどね。だって、もう一回空に登られてしまったら

手を出せないんだから、そんなことになるかもしれない要素は絶対に潰しておかない

とね。


「マスター! やりましたね!」

「最後は、そこのイッピキメとニヒキメに言ってやって。」

「すごいチウ!」

「スゴイ!」

リザードマン達は褒められてまんざらでもない顔をしていた。こいつら。あまり役に

立っていないように思っていたがばっちりだったな。これは今まで色々と疑っていた

ことは謝らないといけないなあ。


「よーし。引きちぎってやったぜ。みんなお疲れ。多分こいつは倒したよ。こいつが

実は偽物とかでしたっていうオチでもない限りは多分。」

「実は二匹いましたとかいうオチがあればよかったんだろうけどないよね。」

「あるかもしれないですね。もう一匹は私達の位置を知っていたとかそういうの。」

「というわけでみんな、まだ油断しちゃだめだからね。」


全員この近辺に集合しきっているが、もしここで、もう一匹がまだ空にいたとしたら

その時点でゲームオーバーだろう。今のところそのような事が起きそうな感じはしな

いが、迂闊にここまで来てしまったなと思った。


「まぁでも、ここで特攻しかけなかったらやばかったし、終わりよければすべてよし

だよ。」

「そうなんだろうけどさー。はぁ、こういう大団円の時に攻撃されるとか漫画じゃよ

くあって重要キャラが死んだりするとかだからね。やっぱり気を付けないと。」


今回はそれを警戒しなかったのが悪かったなあ。反省だ。それで、青い鳥は本当に倒

したのかな。何かアイテムが手に入ったりとか、するんだろうか。

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