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アノニマスターオンライン  作者: 超電撃豚豚丸
第3章「魔者の大陸」
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第133話「丸太に乗って」

「さぁて、準備はいいかな?」

 ブッチが肩に担いだ丸太の上に私とたけのこが乗っかる。後はこれを青い鳥に向

かって投げてもらえばいいだけなんだが、直前になって思ったことがある。

「もうあいつ無視してこのまま進んでもいいんじゃないかと思い始めてきたんだけ

ど。あんな逃げてばかりの奴を相手にしてもねえ。」

すごく今更なんだけれど、唐突にそう思ってしまった。後は、あいつが逃げてばか

りだとしたら、逆の事をすれば攻撃してくるんじゃないかと思ったからだ。


「えぇ~さっき丸太に乗るんだ!なんてかっこつけていたのにここで辞めるのはだ

さくない?」

 世の中には、臨機応変という便利な言葉があるんだ。まぁ確かにさっき言った事

をすぐ変えるのはよくないというが、そういう時こそ私はやる。絶対にこうだって

決まり切ったことがあるとしたら、それを覆すのが好きだからだ。

「正確には、ブッチに私達を持ったまま先に進んでもらいたいってことだよ。あい

つが追っかけてくるか、それとも私達を無視するのかが気になるし。」


攻撃はしてこないが常に一定の距離を保ってくる。何か狙っているようで違う。ま

るで監視されているかのような気分になってくるのだが、何か目的があってそんな

ことをやっているんじゃないかと思う。


「つまり、隙を見て、いきなりあいつに向かって投げつけてもいいってこと?」

「それもありだね。」

「ねこますさん。無茶しすぎなんじゃないですか。一応私、飛べますし私がやった

ほうがいいのでは?」

「それもいいかなーって思ったんだけど、翼があると警戒しているだろうから、回

避行動に専念しそうなんだよねあいつ。」

「ねこますさんも、その蜂女王の羽あるじゃないですか。」

「見るからに飛べなさそうな感じがする・・・ね。」


というか本当に飛べないんだけどね。羽があるのに飛べないなんて情けないよなあ。

それとも、いつか飛べるようになるんだろうか。


「それで、結局ねっこちゃんは一旦引っ込むことにするの?」

「うん。ああ、ブッチの気分次第で、いつでもご自由にあいつにぶん投げちゃっ

ていいよ。任せる。」


 いつ投げられてもいいような心構えはしている。咄嗟に投げられても、すぐに反

応ができるだろう。というかそれくらいじゃないとあの青い鳥に警戒されて攻撃が

かわされてしまうだろうし。

 丸太を持ち続けなきゃいけないブッチが大変だろうけれど、修行みたいなものだ

と思うのでなんとかしてくれるだろう。


「いやぁ俺、ねっこちゃんが直前になってびびっちゃったんだと思っていたよ。違

ってたみたいで悪かったね。いやーごめんね。まさかねっこちゃんがびびるわけな

いよねえ。」


空中に投げ飛ばされるのが怖いという感覚は全然ない。むしろ今はあの青い鳥が邪

魔なことに対して若干苛ついている部分があるので、怖いなんてことが一切ない。

あっ。待てよ。やっぱり怖い。


「きゃーブッチさーん。私、か弱い般若レディだから、ブッチさんを頼りにしてい

ますよー!」

わざとらしくブッチに話を振る。


「か弱いとか・・・。どうして、そんなこと、思っているの?」

「般若レディだよ私は。どう見たって弱そうでしょ。」

まさか、ブッチだけ私の姿がムキムキのマッチョに見えてしまっているというわけ

じゃないよね。

「流石にマッチョには見えないよ。」

「ならばほら、か弱く見えるでしょ?」

「かよわ…。いやいや、ねっこちゃん。この際だから言うけれど、ねっこちゃんは

こう、無敵と言うか、強いって印象があるよ。」


まじか。こんな細くて弱そうな般若レディに対して無敵とは何なんだ。全然無敵な

んかじゃなくて、いっつもボロボロにさせられて大変だったよ。ここからは、いつ

も通りの雑談を繰り広げながら、森の奥深くを目指し続けた。


「あの青い鳥、付かず離れず付いてきているみたいですよ。」

「うわぁ面倒くさいなあ。」

「というわけで投げるっ!!!!!!!!」


やると思ったタイミングで、ブッチは青い鳥目掛けて、私とだいこんが乗っかった

丸太を投げつけた。うおおおお。い、勢いがやばいなこれ。しかしなんだか気分爽

快になってくるな。早い。早い。よし、大分上がったな。けどゲームの設定向上は

嬉しいだけに、今後そのご家族が大変なのが可哀ってところだけ気になるなあ。


「真空波!!!!」

かなりの高度まで上がり、青い鳥に近づいたので、ここで真空波で攻撃をしてみた

がやはり当たらない。くそう。たやすくかわしやがった!


「電撃の鞭!」

ここで隠し持っていた鎌の出番だった。青い鳥目掛けて撃ちつけた。さぁ鳥野郎。

私はお前を倒すために逃げも隠れもしながら倒してやるから逃がさないぞ!」


「グイ!?」

おっと、初めての鳴き声だ。なかなかいい声をしているじゃないかこの青い鳥。

攻撃を受けたことから、少し高度も下がったみたいで良かったな。


「グイイイイイイイイ!」

 はい? うるさい。なんだこいつ、急に叫び始めたぞ。何をするっつーんだ。

ああもう。なんなんだ。というか私とたけのこが落ちてしまうぞ。ならば。


「浮遊!」


浮遊を、丸太に向かって使ってみた。すると、ゆっくりと地上に吸いこまれるよ

うに落ちていく。この使い方はありだな。自分が飛べないなら他の物を飛ばせる

ようになればいいというのは良い考えだし。


「グイイイイイ!」

 おっと!? 攻撃を当てられたことがくやしくてブチ切れているのか!?

 この青い鳥、ダメージを受けていない時は慎重だけれど、追い詰められると弱い

ってことなのかもしれないなあ。いやあいい情報が入ってきて大助かりだ。


「グィイイグ!」

青い鳥が嘴から冷気を吐き出した。うががが、寒さが…。あるぞ。くっそ寒いじゃ

ないか。げげげげ。これ結構やばいかもしれない。そういえばフロストジャッカル

の耳飾りって氷耐性ってあるけど、冷気はまた別なものになるってことなのかな。

うーん悩むなあ。

「重圧!」

今度は、たけのこが青い鳥に向かって重圧を放つ。体に重りを乗せられたような感

覚が残るというがここではそれを無視しておく。


「グギギギヒュウウウ!」

げっ!? 小さい氷の刃のような物を飛ばしてきている。諸にくらったらやばいん

だけど。


「狐火!」

少しでも氷の刃から身を防ぐために、狐火を使った。

「あぶないじゃないか。ってあああ。高度がどんどん下がっていく!」

浮遊の効果が薄れているのかもしれない。これについては、少しだけ検証している。

先に使ったスキルのほうが色々と優先されることが多いみたいなので、

順番についても調べないといけないなあ。


「浮遊!」

まだ結構高い位置にいるけれど、もうこれを、青い鳥に使って体制を崩す!

「グギグギグギ!?」

「重圧!!」

たけのこがもう一回重圧を放つ。そして私とたけのこは、そのまま地面へと、まっ

さかさまに落ちていく。これ、耐えきれるよな。そうじゃかったら結構嫌なんだけ

れど。


「キャあああっち!?」

「またカッコいい所で来るヒーロー気取りめ!」

「えええええええええ!? ちょ! 助けてやったのに!」

「うん。ヒーローありがとう!」


 ブッチはこういう時本当に頼りになる奴だ。そんでもって青い鳥はどうなったん

だろうか。お、お、こっちに向かってきている。よし、やっぱり怒らせるって言う

のがいいんだな。よーし、この戦いの続きが出来るぞ。逃げないんだったら、これ

はもう絶対倒せる。


いいか、青い鳥! 必ず倒してやるからな!

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