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アノニマスターオンライン  作者: 超電撃豚豚丸
第3章「魔者の大陸」
131/473

第131話「今回こそは」

 景色に何も変化はないが、同じ場所を繰り返しているということは無かった。と

いうかそんなことが毎度毎度起こってたまるかと思っている。

「昔のゲームってさあ、クリアしてもまた最初のステージに戻って、ずっと繰り返

し続いていくんだよねえ。」

「それを経験した人が、そういうマップを作ったかもしれないですよね。」

「俺、アクションゲーム好きだから、それでどこまで行けるか頑張ったなあ。」

ゲーム談義をしつつ前に進んでいく。この手の話をしている時は、たけのこ達から

何の反応もなくなるのは、そういう用語が理解できないようになっているからなん

だろうか。一応たまには会話に混じることはあるけれど、ゲームの話題から少し離

れたような時だ。


「前回ってこのあたり通ったとか覚えてるブッチ?」

「いや~。全然覚えてないなあ。似たような所ばっかりだし。あの時もただひたす

らまっすぐ突き進んだ記憶はあるんだけどねえ。」

「ねこますサマ。ワタシハオボエガアリマスヨ!」

「なんだって!? ブッチよりずっと記憶力がいい!」

「なんてことだ。ねっこちゃんの記憶力は低いことが判明した!」

ええい。余計な事を言う出ない。たった一回来ただけの場所を覚えているわけがな

いだろうが。こんな広い森だぞ。迷ってもおかしくないような場所だし。


「気配感知では、何も出てきてない。前回とは違うようだよ。」

「前回はどんなだったんですか?」

「一匹蜂を倒したらその後やたら襲い掛かってくるようになったんだっけ。」

「そうそう、そこから蜂に囲まれて散々だった。」

が、今回はその蜂が全く出てこないし感知もされない。この間、絶滅させてしまっ

たということなんだろうか。

「あー。ねこますさんの背中のそれが、その時手に入った物なんですよね。」

「そうそう。この自分は飛べない羽。」

「面白いよねーその羽。」


 自由に飛べないけれど、他の物を浮かせることが出来るからいいよもう。これさ

えあれば、戦闘はかなり有利になるし。

「飛べれば移動が楽になるんだけどなあ。後、だいこん以外の移動手段も欲しい。

このままだと、移動だけで一日のゲームプレイが終わるなんてことになるだろうし。」

「ワープできるアイテムとか魔法は多分あると思います。移動についてリアリティが

あるっていうのは大事ですけれどゲームとしてはよくないですし。」

 ゲームは、リアリティを強くすれば強くするほど、面倒な手順が増えるので、それ

に対してはバランスが重要なんだよなあ。現実の物理と同じように考えたら大変だし。


「マスター。何か気配を感じませんか?」

「ん? あっ。大きい反応がちょっと遠いけどあるね。なんだろう。」

 集中していなかった私と比べて、くろごまはしっかりしていたようだ。確かに大き

な反応が現れてきた。反応の大きさ的にボスというのは分かるけれど、どのくらい強

いというのは分からないので、戦ってみるしかない。


「どうするみんな? このボスと戦ってみる?」

「俺はやりたいなー。ここ最近なまってきている感じがするし、そろそろ強敵と戦っ

ておきたい。」

 ブッチを筆頭に、みんなが戦うことに賛成したので、ボスらしき存在に喧嘩を吹っ

掛けてみることにした。奇襲を仕掛けるため、ゆっくりと近づくことにする。逆に相

手に気づかれて攻撃されないようにも最善の注意を払う。

 無視して突き進むことも出来るが、反応があってどこかに逃げ出さないのであれば、

相手も自分の実力に相当自身があるってことだろう。だったらここは戦って思知らせ

てやるべきだ。私達ももりーずは、実力行使に出るのだ。


「さぁて、何がでるかなぁ。」


 あれ、ちょっと待てよ。威圧で逃げ出さないってことは、威圧を受けていることに

気が付いているってことだよな。それとも、威圧自体の効果がないから何ともないと

いうことなんだろうか。

 あまり気にしてもしょうがないとは思うが、相手は、私が近づいていることを理解

ししているはずだ。それでもどこか遠くへ行く気配がない。するとなんだ、こいつは

私達に勝つ自信があるってことなのか。

 

 強敵だからといって私達をなめているのか。悔しく思った反面、ものすごく倒した

くなってきた。そういう強敵を倒してこそ達成感があるわけだし。ただ、心配なのは

この正体不明の敵を倒すのにどれくらいかかるのかってところだ。

 超強力なモンスターだったとしたら、苦しい戦いになるだろう。そうなってくると

今回も折角ここまできたのに消耗の激しさから戻らなきゃいけなくなる。

 それはごめんなので、無傷とも言えるような形で倒したい。

 

 予想以上に強いモンスターだったらどうしようかなんてことを考えながら進む。近

づくにつれて気配感知での反応が多きくなる。これは、強そうな気がするなあ。なん

かこっちまで緊張するような感覚があったんだけれど、これは相手の威圧なのかな。

私にこんな感覚があるってことは、ボスとやらも同じ状況ってことか。


「ねっこちゃん。どんな感じ?」

「結構強そうな奴がでてくるかも。」

「マジで!? かなり燃えてきた! ドラゴンとか出てこないかなあ!?」

「序盤のマップのようなこの森に出て来たら嫌だよ!」

ドラゴンがいきなり出てきたりしたらそりゃ困る。ゲームでは大抵強力なキャラクター

として人気が高いけれど。仲間にする手順が面倒くさかったりするんだよなあ。


「ムゥ。オレタチモ、ドラゴントタタカウコトニナルノカ?。」

「当然頑張ってもらうよ。ここでビシッと言ってあげてね。」

ドラゴンが出て来たら、同じような種族なので簡単に話を聞いてくれそうだし。

「ソンナコトニハナラナイトオモウゾ。」

「ドラゴンケイトウカモシレナイガ、カンゼンニドウシュデハナイカラナ。」


 リザードマンとドラゴンだもんなぁ。細かいこと言うと違うっちゃ違うなあ。


「はいみんなストップ。」

大分近づいてきたので、一旦立ち止まることにした。何がでるか分からないの

で、薬草を全員に配った。あと、蜂蜜については、ブッチとエリーちゃんに渡

しておいた。ついでにけむり草を渡しておく。


「ここから後少し歩けば、そこにはもう敵がいるからね。強い敵ということし

か分からないけれど、前に進もう。

 反応がとても大きくなった。一体どんなモンスターがいるんだろうと期待と

不安が入り混じる。


「あれは…。」

 ボスらしい敵の姿を発見した。とても大きな鳥だった。全身が青く、眼つき

の悪い鳥。なんなんだこいつは。また十二支に関係しそうなモンスターが出て

きたじゃないか。これは、まさか仲間になる奴じゃないだろうなあ。もう仲間

が増えすぎてきたしこれ以上はいらないんだけど。


「ところで、青い鳥って幸せを呼ぶなんて聞きますね。」

「よし狩ろう。」

幸せなら鳥を狩ろう。幸せの強奪だ。

「青い鳥かあ、なんだか強そうだね。燃えてくるぞ!」

「空飛んでいるし、強敵だろうなあ。嫌だなあ。」

「え?どうして?」

「あの鳥でかいんだから、空から魔法放ってくるだけでこっちは消耗激しいよ。

使ってくるかどうかは分からないけれど私の勘は当たる!」


空飛んで遠距離から魔法を連発されたらたまったもんじゃないなあ。それに加

えて動きも早かったら倒すのは大変だ。飛んでいる敵って本当に厄介なんだよ

なあ。


こちらに向かって滑空してきた時だけが攻撃のチャンスっていうモンスターが

他のゲームでいたけれど、いざ現実で相手にしてみると大変なんだろうなあと

いうのが実感できてきた。


「青い鳥、冷気を吐く魔鳥、というのを聞いたことがあります。」

 たけのこが少しばかり解説してくれたがそれだけだった。というか魔鳥か。

名称としては魔者と関わり合いがありそうだし、魔者のペット的な感じがして

くるので、とても気になる。

「魔鳥、魔者、つまりねこますさんが飼い主になるってことですね。」

「俺もそう思うよ。似た者同士だし。あっでも俺にも戦わせて!」


当然みんなで戦わないとダメだろう。私一人で戦うように仕組まれない限りは

私はボス相手に一人では戦いたくない。魔鳥なんて強そうな感じがするし油断

したら即死なんてこともありえるかもしれないじゃないか。

 

うわー。絶対に死にたくない。この青い鳥を倒したら何かいいことあるのかは

分からないけれど、邪魔なので倒しておきたい。こういう奴を放置していると

後で何かのきっかけで襲い掛かってくるようになるので、そうさせないために

も倒しておいた方がいい。

 単刀直入に言うと、私の邪魔をするな、消すぞということだ。


「ねっこちゃん、火薬草俺らにも分けておいてくれない? あいつの冷気対策

になると思うし。」


・・・。あの青い鳥、本当に冷気を使うか微妙だよな。青い炎を吐いてくる可

能性だってあるだろう。あるいは火も氷も何でも扱えるのかも。となると。

「属性を変化させるとかあるかも。」

「味も何種類もあるってことかもしれないな。」

「ブッチどの!? ソレハマコトデスカ!?」


話に食いついてくるたけのこだった。あの青い鳥、美味しいのかな。一度くら

いは食べてみたい気がするけれど、仲間になるとかいうなら食べないな。だけ

ど、たけのこが狙っているような気がするので、この鳥が仲間になる前に食べ

られるということもあるだろうなあ。


「で、みんな準備はオーケイ? 口の中に薬草含んでおくのオーケイ?」

「ふぉぃ。うぉっくーです。」

「頷くだけでいいよ。」

口の中に含んでおくんだからやむを得ない。さて、私は本当に直前で食べるよ

うにしておかないとな。青い鳥と会話ができるかもしれないし、戦うというの

もそれからでいいかな。


問答無用で襲い掛かってくるかもしれないので、その場合についても想定して

いる。あともう少しだ。こっちからは見えているぞ、青い鳥。お前は倒すぞ。

私の邪魔になるものはみなすべて闇に葬り去ってやる!


「闇に葬り去ってやるぞ! 青い鳥!」

「うわっ。いつもの悪役ごっこか。」

「ねこますさんちょっと引きます。」


青い鳥のせいで馬鹿にされた気分になったのであの世に送ってやることを決意

したのだった。

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