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アノニマスターオンライン  作者: 超電撃豚豚丸
第1章「般若レディと仲間たち」
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第13話「うさぎへの威圧」

兎はあまりサイズが大きくないので、たけのこに食べてもらうことにした。

私のショックが大きいので食欲が失せたというのもあったので丁度よかった。

たけのこも最初は遠慮がちだったけど、がっつりむしゃむしゃ食べている。

大分見慣れてきたけど、やっぱり生食だけあってちょっとグロテスクだ。


たけのこが食い終わると、食べかすが残っただけで、何かアイテムが落ちたりはしなかった。

そう考えると、しまうまの時に杖が落ちたのは幸運だったのかもしれない。

ご飯を食べ終わった後のたけのこは非常に元気になった。

私も気を取り直して、そろそろどうするか考えてみた。


遠くを眺めてみるけれど、この先も草原や木々が生い茂っている。

このあたりの調査をしながらのんびりとやっていこうと考えている。

現在は、このゲームの右も左もさっぱりよくわかっていない状況なので

冒険者というよりは、気分的には漂流者のような感じだ。

サバイバル訓練をやっているのではないかと言う錯覚も覚えた。


「たけのこ、ひとまず、このあたりをだらだら探索するよ」

「ワカリマシタ!」


たけのこの散歩が今日も始まった。何か変わったことがあるわけでもないけれど、こういう草原を

のんびり歩くなんてことは、現実では無縁なので落ち着くというのがある。

現実なんてコンクリートジャングルの中で仕事しているわけだしね。


人ってたまに大自然に身を置くほうがいいんじゃないのかな。野生の感というか、危機意識が欠如しそうだし。

このゲームをプレイしていると、何か起こるかもしれないってことで常にハラハラドキドキするね。

それもこれも私が今までプレイしてきたゲームの展開がこの世界で実際に起こるかもしれないからだ。


いきなり落とし穴に落とされて死ぬことやブロックが突然現れて上手く移動できなかったり

丸い岩が後ろから迫ってきたりなんてことも起こりうるだろう。疑心暗鬼になっても仕方がない。


そうして今日もいつも通りの日常が過ぎていくと思ったら、

「み”ぃいい!」「み”ぃいいいいい!」

沢山の兎の集団が現れて、すぐさま私とたけのこを囲んだ。20匹ぐらいいるかもしれない。


「おお。なんて可愛いんだ。癒されるねーたけのこ?」

「ねこマスさま。コイツラハテキデスヨ!」

「まぁそうなんだけど、可愛いじゃーん」

兎可愛いなぁ。ってこの集団は私を見てもびっくりして死なない!つまり、あの兎が特別臆病者だったのかもしれない。

それにしてもこんなに集まってどうしたんだろう。まさか敵討ちじゃないだろうね。


「み“ぃいいい!」

1匹が私に飛び交ってきた。キャッチ!!!!

おおっ!!!やったぁ!兎を抱っこしたぁ!もふもふだぁ!

「よしよし、いいこだからねぇ。」

ふふふ。可愛いなぁ兎。

「み”み”!?!?みぃいいいいいい!????」

「は!?」

突然兎が泡を吹き始めた。な、何事だ。いやちょっと待って下さいよ。

この異常な光景に周りの兎も動揺しているようで、後ずさりをしている。


「この子、気絶しただけだよね?」

すぐ隣にいるたけのこに聞く。

「イイエ。シンデマス。」


シンデマス。じゃないんだよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!

兎を愛でたいだけなのに何故死ぬの!?そんなに般若レディが怖いか!おおい!怖いか!

私は周りの兎の集団を凝視する。


「み”!?みぃ!?」

どうしたの!?ねぇ!?なんか兎みんな風邪を引いているかのように震え始めたんだけど!


「サスガねこますサマです。「イアツ」ガキイテマスネ!」

「え?いあつ?威圧?」

「ねこますサマのスキルではないですか!」


な、何なのですかそれは。そんなスキルがあったのか。威圧だと?

そんなもんは知らないっての!そうか、それで、最初の兎も、近くによって効果を発揮したから

死んでしまったのか。


「そ、それどうやって止めればいいの!?」

「ワタシニハワカリマセン。」

「えー!!?」

大変だ。それじゃあこのままだと、兎を愛でることができないじゃないか!どうすればいいんだ。

私は混乱した。


「ねぇうさちゃんたち!私はほら、般若レディだけど、みんなのことが好きだからね!?」

両手を開き、受け入れるポーズでアピールする私。

これならきっとわかってくれるよね。分かってくれるよね!!?


「み”ぃいいいいいいい”!」

ドタッ、バタッ。数匹が気絶したのか死んだのか分からないけど倒れた。そして残りは。

悲鳴をあげて一目散に逃げて行った。そしてその場には私とたけのこが佇んでいた。


「たけのこ!?たけのこは威圧が平気なの!?」

「ハイ!キタエテイマスカラ!」

「そう、そうなの!うわーーーーん!」

たけのこを抱きしめる私だった。本当にもう、なんでこんなことになってしまったのか分からない。

分からないけれど、たけのこがいてくれたことが嬉しかった。

それにしても威圧か。常時起動しているとなるとそれも困りものなので

なんとかしたいとは思ったけれど、今日はちょっと疲れたのでそれは明日にすることにした。

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