表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アノニマスターオンライン  作者: 超電撃豚豚丸
第3章「魔者の大陸」
128/473

第128話「たけのこ森制覇を目指して」

 草原に帰ってきた。今回はちょっとした散歩程度で終わってよかった。薬草を全

然集めていないのに戻れなくなったらどうしようかと思っていたが、無事に帰って

これたので一安心だ。

 あれ、ちょっと待てよ。考えてみると私って、ちょっと散歩した程度で何か不思

議な出来事に巻き込まれやすくなっているってことか? そういうことだよね。軽

い気持ちで森に出かけただけで、これまで一回も出くわしたことが無かった巨大黒

豚と戦う羽目になったりって運が悪かっただけだと思えないな。

 

 この間、魔者の称号を得たけれど、この称号のせいでトラブルに巻き込まれやす

くなったとかじゃないよね。どこか出かけるたびに何かあるとかそんな面倒くさい

ことになるならこんな称号やっぱりいらないなあ。何の役にも立たない称号があっ

てもねえ。それよりも、なんかもっといいものをくれと思う。


「無事に帰ってきたけれど、あれ? え?」

 遠くを見ると、丸太の家が出来上がっていた。おいおい、あれから一体何があっ

たっていうんだ。まさかあのリザードマン達が作ってしまったとか言うのか? ブ

ッチは知識があるわけでもないみたいだったし、それならすごいな。

 

 見た目的には何の変哲もない小屋だけれど、きちんと出来上がっているのは凄い。

ちょっと高さがあると思ったら、ブッチが身長2メートルはあるから、それに合わせ

たってところか。

 昔の家なんかは結構低くなっているから、身長が高い人は生活がし辛かったんだ

ろうなあ。


「凄いですね。ただの丸太を組んだだけだったのに一応それなりに家っぽくなった

っていうところが感動ものです。」

「丸太運びは、ほぼブッチ殿がやっているというのが凄まじいですね。」

「ブッヂどの、スゴイ!」


ブッチがこの場にいなくてよかった。いたらものすごく調子に乗って、もっと褒め称

えろ的な発言があっただろう。すごい面倒くさい。


「あの丸太の家があれば、私達がいない間、たけのこ達は安全に待機できるね!」

これで一安心だ。ログアウトしている時は、どうなっているのか分からないけれど、

この家の中にいれば、ひとまずは安心だろう。

 そもそもみんな野生で生きていたかもしれないけれど、こういう安心できる場所が

あれば、私が落ち着く。肩の荷が下りたというか、ログアウトするたびに、たけのこ

たちが消えていたらどうしようかなんてことを思っていたので、すっきりした。


「ねこますサマ。ワタシタチノコトシンパイデスカ?」

「あー。弱いとか思っているんじゃないからね? はっきり言って私よりずっと戦力

として役に立っていると思う。ただ、私がいないときに何かあったら嫌だなあって思

っているだけなんだよ。」


万が一にでも、いない間に消えていたら嫌だ。昔プレイしていた育成ゲームでは現実

と同じように時間が流れていたのだが、ある期間プレイができなかった結果、そのキ

ャラが死んでしまったというのがあった。その時は結構きつかった。

 たかがゲームと言われてしまえばその通りなんだけれど、いつもお世話していたの

に、プレイできなくなってあっさりと消えてしまったというのが心に残っている。


そういう経験をしてきたからこそ、なるべく安全を確保できるようにしたい。丸太の

家程度、簡単に壊してしまう敵がいるかもしれないし、ここが目印にされて狙われる

危険性もあるが、それでも何もしないよりはいいだろう。

 まぁ、目立たない場所に隠れるほうがいいというのであればそっちがいいんだろう

なあ。


「姉御~! そういうのは過保護って言うんやで!」

突然後ろからだいこんの声が聞こえた。過保護だって? こっちは死なれたりしたら

目覚めが悪いからな。


「えー。過保護じゃないし。」

「ワイが見る限り、このわんころとか猿は、結構強いんやで。だからな、過保護にす

るのはワイだけにするんやで! この家をワイ占用するとかどうや!?」

あっ、なんだいつものボケだったのか。多少真面目に話すんじゃないかと期待した私

が馬鹿だったか。


「だいこんちゃんって、口を開かなければって思いません?」

エリーちゃんがひそひそと私の耳元で疑問を口にした。白くて綺麗な蛇だからねえ。

にも関わらず、こんな話し方とやけに臆病な面が目立つせいで、へたれって感じがし

てならない。私と同じくらい小心者な気がする。調子の乗ったりするのも私と似てい

たりするなあ。飼い主の私に似たという事なんだろうか?


「エリーネキ。聞こえとるんやで! あのな、ワイだって強い所を見せつけたいと思

うんやけど、ワイ、あんまり強くないんや! だからもっと守ってもらわないとだ

めだと思うんやで!」


移動面では役に立っているというのは分かるが、かといって、それだけやっていれば

いいという問題ではないからな。だいこんだって戦うことができるんだし、まだまだ

強くなれると思うから頑張ればいいのになあ。


「だいこん、アマエルナ。オマエモキタエレバツヨクナルノダゾ!」

「ゲェーッ。わんころ、そんな着火したかのような顔でこっちを見るんやない! こ

れからまた修行言うて連れ出すつもりやろ! そうはいかんのやで! ワイはここで

だらだら過ごした後で、移動手段として使ってもらうつもりなんや!」


考え方が後ろ向きすぎるぞこの白蛇のだいこんは。私だって後ろ向きになる事は多い

けれど、最初から諦めるようなことを言うのは、もっと頑張れよと言いたくなる。だ

いこんだってやればできるんだよ。


「みんなでだいこんを鍛えようツアーでも開催してみるか?」

「なんやと?」

「ねこますサマ。ソレハイイカンガエデス! だいこんノヤツヲテッテイテキニキタ

エマショウ!」

「ほんげぇ。なんでわんころはそんな戦いが好きやねん! ワイはそんな野蛮な事を

しない派なんやで!」」


見た目的にはクールで理知的な感じがするのに、こういう言い方で格好悪さが目立つ

んだよなあだいこんは。なんだか勿体ない気がする。


「お、ねっこちゃん。今回は早かったね! 森の中で迷子にでもなってたかと思った

よ。あはは。」

それは、半分くらい冗談ではないので辞めてくれ。森が広いんだから迷ってしまって

も仕方がないだろう。それにあの森はなんか不可解な現象がおきるわけだし。


「迷子だったというか彷徨っていたのはエリーちゃんだった気が。」

逃げ回ってばっかりだったもんね。

「あれは鬼ごっこみたいなものじゃないですか! 迷子じゃないです!」


「え!? 狡い! 鬼ごっこやったの!? たけのこ森で!? うわぁくだらなさで

爆発するくらい面白そうじゃん! なんでそういう面白いことを俺がいない時にやる

んだよ!」」


仲間割れイベントがあったわけなのでしょうがないだろう。というわけで仲間割れイ

ベントについてはさくっとブッチに説明しておいた。これでいいだろう。


「俺も、ねっこちゃんと喧嘩して、仲直りとかする流れをやりたい!」

「いつも喧嘩しているだろ。私に挑発しまくったり、煽ってきたり!」

「えー。冗談だよ。」

「さーて、みんな、これからやることだけれど、私は、薬草集めを終えた後でこの魔

者の大陸を制覇しようと思うよ。とにかくひたすら歩き回って、それっぽい情報を手

にいれようかなって。」


魔者が作った大陸なのだから、新しい魔者である私が何も知らないままっていうのも

ちょっと嫌だなと思うので調べていきたい。行き先はどうするかな。


「私は、たけのこ森を探索しきりたい。今さっきもちょっと不思議な事があったんだ

れど、何かあると思うんだよね。」


たけのこ森の最奥まではいまだ行けてないのだから、そこを目指したい。前回ブッチ

と一緒に行ったときも、不思議な現象まで確認した程度だ。その現象が起きる原因は

魔者が関わっていると思っている。


「んー。そうか森かあ。なら全員で行こうよ。何が起こるか分からないって言うのが

毎回発生するっていうのが面白いし。」

「さっきは、大きな黒豚が出てきましたよ。私も面白そうなので行きたいです。なん

だかローグライクゲームみたいな感じがいいです。」


よく知っている場所だけれど、それでも行く時々によって変化が楽しめるもんなあ。

ローグライクは、毎回地形が変わったりレベルがリセットされたりっていうのがと

ても面白いが、確かにたけのこ森はちょっと似ているかもしれない。


「ところで、気になっていてツッコミ入れなかったんだけれど、人面樹達はどこに

いったの?」

「森の中に行ってくるって行ったきり戻ってこないよ。探しに行こうとしても、そこ

ら中に木ばっかり生えていて探すのが大変だから放置した。」


なんだ、そういうことだったのか。あいつら態度が大きかったし、生意気な発言も多

かったので、放置でもいいか。この森に吸収でもされたんじゃないかとも思うがそこ

はもう気にしないほうがいいだろうなあ。


「で、早速行くチウ?」

おおっと、ねずおもそこにいたのか。いやー仲間が多くなると誰がなんなのかこんが

らがってくるときがあるね。参った参った。


「薬草集めをしてからだよ。準備を徹底的にしてから、運が悪いとここに何十日も戻

れないかもしれないしさあ!」

「分かるぅ! ねっこちゃんは厄介事に関わることが多すぎてここに二度と戻れない

みたいなことになるかもしれないし!」


不吉な事を言うなっての。そんで、そういう最悪の事態を想定しているからこそ毎日

楽しみにしている草刈りをやっていくんだよ。事前に徹底的に。そうして何個も集め

た先に、大冒険が待っているんだ。


「まじかいな。ワイもまたその手伝いをしなきゃあかんのか?」

「頼りにしているよだいこん!!!!」

「ファー!!!?」

だいこんの目が急に泳ぎだした気がするけれど、どうしたんだ。


「だいこん。ヨカッタナ。シュギョウガデキテ。」

「なんやみんな。可哀そうな目で見るんやない! くっなんでや。ワイは関係ないや

ろ!」


よく分からない態度だったが無視することにした。よし、そんじゃまあ草刈りオンラ

インを始めるとするか。

今日もぎりぎり投稿でした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ