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アノニマスターオンライン  作者: 超電撃豚豚丸
第3章「魔者の大陸」
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第124話「巨大黒豚戦」

私達は巨大黒豚と対峙した。そして次の瞬間にはもう動き出していた。

「みんな、正面には立たないで、こいつの背後とか真横に移動して戦って!」

 突進が怖いが、背後や真横なら大丈夫だろう。バック走をしてきたり横走りして

くるなんてことはないと思いたい。


「ブゴゴゴ!」


早速私に向かって突進してきた。私を最優先に狙ってきたという事は、もしかする

と一番弱そうとでも見えたんだろうか。般若レディを舐めてるなこいつ。私だって

一応色んな連中と戦ってきたんだから、そんな簡単にやられるわけはないんだ。


「ブゴゴゴ!」

「浮遊!」


巨大黒豚が浮きあがり、体制を崩す。あれ、今3秒くらい浮き上がってなかったか。

もしかして浮遊も成長しているなんて隙を逃しちゃいけないな。まずは攻撃だ。私

は鎌から真空波を放つ。それが黒豚の体を切り刻む。はずだったのだが、頑丈だか

らなのか、ほとんど切れていない。軽い擦り傷が出来ている程度に見える。


こいつ、頑丈なタイプか。それとも真空波に耐性があるだけなんだろうか。ここで

狐火を使うこともできるが、安易に使うと出火するので軽々しく出せない。なんて

私は今甘いことは言わないのだ。


「狐火!」


燃えようが何しようが、ここはどのくらいこいつに効くのを確かめるのが先だ。火

が有効であるなら、たとえこの森が燃えようが構わずこいつに連発だ。蜂女王の時

なんかも出し惜しみしたせいで苦労した気がするし、危険は承知だが、ここで使っ

ておく。どうせこの森は復活するだろうし


「ブゴゴゴぅううう!?」


おっと、かなり苦しんでいる所を見ると火が弱点というわけか。簡単に弱点が分か

ったのは良かったけれど、今度はこいつが逃げ出したりしないかということが不安

になってきた。

 たけのことは久々の狩りなんだから、逃げられたなんてことにはなりたくない。


「たけのこ! 噛みつき! くろごまも逆側から噛みつき!」


この二匹はどちらの牙も鋭い。全くダメージにならないというわけはないだろう。

真空波が効かなかったとは言え、噛みつき続けられたら、分厚い皮膚にも攻撃が通

るのではないかと予想している。ああ、今はちょっと焼けているし、肉が柔らかく

なっているなんてことはないかなぁ。


「ブゴッ! ブゴ!」

齧りつく二匹を振り払おうと必死に暴れだす巨大黒豚。これは、楽勝、ではないな。

いつもいつも、こう思った時になんか嫌な事が起こるんだ。そんなあっさり終わる

わけはない。


「おりゃっと。」

私は、巨大黒豚の背後から鎌で斬り裂いてみたが、やはり攻撃が通る様子はない。

ここからどうするか。二匹は巨大黒豚に引っ付きながらも齧りつくことを辞めない

ので、狐火が使えないし、電撃の鞭もこのまま使ったら感電しそうで使ないな。う

うん。私、攻撃手段少なすぎだなあ。

 ここで雷獣破を撃ってもいいかもしれないけれど、消耗が激しいのでできれば使

いたくないなあ。それにこいつがまだ奥の手を隠しているかもしれないし、こんな

状況で使うのは良くない。


「浮遊!」


 たけのこととくろごまをかなり強引に引き離そうとしたときは浮遊を使って動き

を乱してやる。これで暴れる力も軽減されるので、良い感じだ。私はこのまま二匹

の補助として戦うのがいいだろうな。なんだか仲間と一緒に戦っている感がでてる

しこれはいい。

 

「ブゴゴゴーーー!」

「グアッ!?」

「ぬっ!?」


何て言ってたら、二匹が吹っ飛ばされたぞ。これは、見えない衝撃! 最初に使っ

てきたきりだったのを何で突然使って。


「ぐっ!?」


私にもその衝撃が走り、後方に吹っ飛ばされた。まずいなこれ。さっさと薬草を

取りだして食べる。更に、いくつか取り出しておき、床に置いておく。

「二匹とも! ここに薬草置いておくから食べて! 私がこいつを引き付けておく

からよろしく!」


 私は、巨大黒豚の真正面から襲い掛かった。これでまた吹っ飛ばされるかもしれ

なかったが、どんな攻撃なのかよく分かっていないので、分かるまでまずは食らっ

てみるしかないとも思ったからだ。

 恐らく、超能力的な何かだとは思うのだが、確証は持てない。この力が、ただ吹

っ飛ばすだけだったらいいんだけれどね。そうでもない気がするし。ただこいつな

んでこれを最初から連発してこなかったのかは不思議だな。

 こちらの出方を伺っているのと、もしかしたら結構消耗が大きくて多用できなく

なっているんじゃないのかなぁ。

 

「ブごごっ!」

「げっ。今度は普通に突進。」

 寸でのところで浮遊を使って回避したが、これはなかなかうざいな。超能力を使

ってこいと思えば使わないし、超能力が無いと思って踏み込めば使われる。くそう。

なかなかいやらしい攻撃をしてくるじゃないか。


「狐火!!」

さっきのでその辺の草が燃えていたりするが、無視する。ここで弱点を狙わなかっ

たら、倒すまでに日が暮れてしまう。これは仕方がないことなんだと、自分に言い

訳をして、狐火と更に火薬草も使うことにした。


「ブグァァアア!」

巨大黒豚が叫ぶと同時に、火が消えた。これは、やっぱり超能力か。この黒豚め。

これを沢山使わせて消耗させ、そこで一気に攻撃したほうがいい気がしてきた。自

動回復とかそういうのがあって延々と使われたら嫌だけれど。


「ブゴッ!」

「んげげっ!?」


黒い靄みたいなのが私の体を包み込んだ。これ、重たい!? つまり浮遊の逆じゃ

ないか。つまりこれは、重力を強くしている? う、動けない。おい、この黒豚野

郎。何、足で何度も地面をけり上げているんだ。この野郎。


「ブゴゴゴゴ!」

「伸びろ黒如意棒!」


くろごまの黒如意棒が、巨大黒豚の横っ腹に命中した。想定していなかった攻撃に

巨大黒豚は、のたうちまわった。はっはっは。ざまあみなさいってんだ。

 すかさず、たけのこが角で巨大黒豚の横っ腹を突く。これは、かなり痛そうだ。

たけのこも結構成長しているってことなんだなあ。すごいな。このままじゃ私は

ご主人として、やっていけそにない気分になる。


「重たい。けどっ!」

なんとか電撃の鞭を取り出して、巨大黒豚に叩きつけようとするのだが、体だけ

じゃなく、全てが重く感じる。ちょっと! これ効果時間どれだけだよ。何でそ

んな長時間発動していられるんだ。ずるくない!? 私の浮遊なんて持って精々

数秒なのに、こんにゃろおお。


「んぐぐぐぐぐぐ!」


最近いいとこなしというか、こう、モンスターのほうが自分よりもかなり強そう

な事も多いせいで、自信を無くしているような気がしていた。私はもうちょっと

やれる奴なんだよ。般若レディなんだよ。こんな巨大黒豚に苦戦しているようで

はあの毒狸の母親も、将来的に戦うであろうレッドドラゴンにも勝てないままに

なっちゃうじゃないか。


 ゲームの設定的に、こういう攻撃食らったら動けないってことなのかもしれな

いが、もう、そういうのはいいんだよ。ちょっとそのあたり根性と言うか何でも

やれるブッチを見習って私も気合い出していかないと。


 最近の甘ったれた根性を私自身が叩きなおさないといけないんだあああああ!


「狐火!!」

地面に這いつくばりながらも、攻撃を加える。そして、なんとしても起き上がろ

うと言う不屈の意志で超能力に抵抗する。うおおおおおお。


「威圧!」

 思いっきり、巨大黒豚の奴を睨みつけてやる。狐火で苦しんでいるが、火が消

えたら私に攻撃しようとしているのか、私を睨み返しているようにも見える。上

等だよコラァ! 私とお前で決着つけようじゃないかあああああ! なんて嘘だ

けどな!


「ダアアアア!」

「とっりゃああああ!」

 たけのこと、くろごまの斬り裂く攻撃。へっへっへ。泥臭い戦いは好きか? 

お前に対してダメージが通っていなくてもだ。こちとら何十回でも何百回でも攻

撃をし続けるぞ。薬草で延々と回復しながらなあ!

 これぞ薬草の力だ。私は、薬草の力を信じている。これがあればこいつも勝てる。


「んがっがああああ!」

 私は起き上がった。重力の影響が消えたようだ。いや、あまり消えている気がし

ないな。無理矢理抵抗しているような感じがする。が、そんなことは関係ない。こ

の巨大黒豚に一泡吹かせてやるんだ。


「電撃の鞭だ!」

宣言しておくことで、二匹に当たらないようにする。私は全力で鞭を振るい、巨大

黒豚に叩きつけた。これでどうだ。


「ブゴゴゴゴ!」

「くっ。馬鹿の一つ覚えみたいにその重力攻撃をやめろ・・・!」


 何度やれば気が住むんだこいつ。その攻撃は私に効くんだからやめろよ。ああも

う。また重たくなってる。しつこすぎる! もうイライラしてきたぞ。 これがき

れたと同時に、雷獣破を叩きつけてやるか。目にもの見せてくれる。


「マスター。私達が足止めをしますので。」

「ソノスキニ、アイツニコウゲキヲシテクダサイ!」


 頼りにしてるよ二匹とも。私はこの忌々しい重力攻撃に耐えてみせるよ。いや重

力とかいうものを超えてみせる! そんな簡単になんとかなるような世界じゃなく

とも、動けないのが憎たらしいからね。

 

「ねこますサマノ、ヤクニタツンダアアアアア!」

突如たけのこの体が青白く光った。え、進化か? それとも何かスキルを習得した

とかなんだろうか。青白く光ったまま、たけのこは、巨大黒豚に向かって突進。そ

の角が、巨大黒豚の脇腹に、大きな穴を開けた。


「ゴハッ!? ハッ!?」

吐血する巨大黒豚。何が起こったのか分からないようだ。私もまさかあの角一発で

そこまでなるとは思わなかった。かなりのダメージが入っているようだ。


「ウォオオオオン!」

「グオハ!?」


え、もう一発? そこは、あのさ。一発やって力尽きる的な流れだよね? 漫画的

な展開で。ん? 更にもう一発? えっと。たけのこ。巨大黒豚の体にいくつ風穴

開けるんだい。うわ、まだやるの。なんか血飛沫上がっているんだけど。うわぁ。

これはやばい光景じゃないのか。ま、まだやるのか。た、たけのこー!?


こうして私は、雷獣破を使うことなく、ただその光景を呆然と見つめるのであった。

くろごまも、呆気にとられて、巨大黒豚が、たけのこの猛攻に沈められるところを

見つめるのであった。


この作品は主人公だけが活躍する作品ではないのです!

ありきたりな戦いの終わり方をしないのです!

ご興味のある方は、評価、ブックマーク等よろしくお願いいたします。

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