表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アノニマスターオンライン  作者: 超電撃豚豚丸
第3章「魔者の大陸」
122/473

第122話「試行錯誤の家作り」

「ふと思ったんだけれど、丸太をただ組み合げていくだけだと、耐震性だとかそう

いうの全然だめなんじゃないのかな。」

 工事現場でも最初は穴を掘ってからそこで基礎の土台を作っていたような気がす

る。素人の私達はそれがどんなものなのか全く分からないので、どうしようもない

と言えばそうなのだが。


「ここ、地震なんてなさそうだし、そのまま作っちゃえばいいんじゃないかなあ。

そもそも地震ばっかりあるのなんて世界でも日本だけだし。」

海外じゃ全然地震がないとは聞くなあ。日本が特別と言えばそうなんだろうな。建

建築物というか構造物は、耐震性だけじゃなくて色んな災害対策をしなきゃいけな

いだろうし。

 それを考慮するとこの草原で何か災害が起こるとは考えにくいので、とにかく丸

太の家を作ることだけを優先しようと考えた。私としては、最終的には何が起こっ

ても壊れない家を作りたいけど現状難しいんだから見送るしかないだろう。


「じゃあ組み上げてくよー。おおりゃっ!」

 窪みについた丸太を組み上げていくブッチ。というかこんな作業ブッチにしかで

きない。私達でもやろうと思えばやれるだろうけれど、一本動かすだけで重労働だ。

それを軽々しく持ち上げてしまうブッチはすごいなあ。重機並みの力があるという

ことか。力士というのは半端ないなあ。


「ブッチさんって力だけは強いですよね。」

エリーちゃんがさくっと毒を吐く。その通りなので頷く私だった。力だけは強い。

頭はちょっとアレな気がする。アレとしか言い表せないと思うのでアレだ。全てを

きっと力に振り込み過ぎてしまったんだろう。だけど頼りにしているぞブッチ。そ

れが取り柄という物なんだからと、私は後ろからじっくりと眺めていた。


「そうやって力だけと思い込ませる策なのかもしれないけど、どう思うねっこちゃ

ん?」

「聞こえていたかブッチよ。そうだな。ブッチは実は頭がすごくいいのかもしれな

いな。頭突きとかその角で当てられたら痛そうだし。」

 サイコロの角あたりで頭突きされたら痛いだろうね。あんなので頭突きなんてさ

れたくはない。痛くて転がるよ。


「そういえば俺、全然頭突きを使ってなかったなあ。今度やってみるかな。」

これからやられる奴が気の毒だが、ブッチに新たな技が加わったのは喜ぶべきか。

こんな感じで冗談を言いつつ、ブッチは、どんどん丸太を組み合わせていった。

そして、ようやく。


「ふぅ。なんとなくの部分までやってみたけど。これの屋根ってどんな風に作れ

ばいいもんかな。あと、出入り口の扉とか、いやぁさっぱり分からないね。」

 私もそういうの素人なんでさっぱり分からない。今、作られているのは、単純に

丸太を積み上げた状態になっているだけだ。一応出入口部分の空きはあるものの窓

が作れるような構造にはなっていない。このままだと本当にただの小屋と言うか物

置みたいな場所にしかならないなあ。


「頭の良いと思うエリーちゃんさん! 家を作る魔法とかないっすかあ?」

へらへら笑いながらエリーちゃんに聞くブッチ。どうやらさっきのお返しのようだ。

「そんな便利な魔法があったらとっくに使ってますよ。もし私が使えていたら、立

派なお屋敷を建ててますね。」


お屋敷。私達が住んでいたらお化け屋敷なんて扱いになるんだろうか。呼び鈴を鳴

らして出てきたのがサイコロプスのブッチだったら、叫ばれて逃げ出されてしまう

だろうな。


「俺らが住んだらお化け屋敷になるかもねえ。そんで、チャイム鳴らして出てきた

のがねっこちゃんだったら、みんな一目散に逃げだしそうだなあ。」

 また私と同じような事を考えるんじゃない! というかなんで私が出たら逃げだ

すんだよ。ブッチじゃあるまいし。私はか弱い般若レディなんだよ。


「私のようなか弱い者に向かって何を言うのブッチ。」

「絶対弱くないから! あ、ちょっとほら! 鎌を持って、そんなにたにた笑って

いるのが怖いよ! ね? ね? エリーちゃん?」

「え? えーっと。ちょっとなるほどと思いましたけど、いえ違います! ねこま

すさんは、そんな怖くありません。」


全くもう。それでこれからどうするかなあ。ひとまずここで中断して、みんなで家

の作り方とか調べておくとかそんなんでいいのかなあ。


「あ、丸太の部分をちょっとずつ短くして三角屋根になるようにすればいいんじゃ

ないのかなあ。」


なんとなく頭の中で思い描いたものを説明してみる。短辺となる方に丸太を組みあ

げる。それが終わったら、天辺に一本丸太を乗っけて接続して、後はその天辺の丸

太に寄っかかるようにやれば。ってこれで合ってるんだろうか。


「あーなんとなく言いたいことは分かった。やってみるかな。」

こんなんでよく伝わったなあなんて思ったが、ブッチならなんとかしてくれるかも

しれない。けど、ブッチに頼ってばかりも何なので、私も調べておかないとな。っ

てゲームをやっているのに建築の勉強なんかをするって変な話でもあるけれど、こ

うやってゲームが学習の場になるって言うのもなかなか面白いものだなあ。

 

 あれ、でもそうなると本職の人がアノニマスターオンラインをやっているなんて

こともあるかもしれないのか。ああ、そんな人を仲間にしたいなあ。どこかにいな

いもんかな。こういう街づくりができそうな貴重な人材が、って思ったけれどそれ

は違うか。

 だって、仕事で家を作って、ゲームでも仕事のように家を作るなんてことになっ

たら、それこそ一日中仕事をしているのと変わらないだろうし。そこまで家を作る

のが生きがいなんて人がいるとは到底思えないしなあ。いてくれたら嬉しいという

のはあるな。


「おっ。ねっこちゃん。ちょっといい感じになったかも。これで後は屋根の部分を

作っていけばいいと思うけど、ここって多分丸太で重ねたりはないよね。」

 屋根の天辺に置いたら危ないんじゃないかと思う。普通に木の板というかそうい

のじゃないといけないんじゃないのかなあ。ああ、答えが分からないなんてもどか

しいなあ。


「一旦ログアウトして見てこようかなあ。」

 なんて思ったんだけれどこういう時にログアウトって正直あまりしたくない。こ

れまでもログアウトして調べればいいというようなこともあったけれど、短時間で

のログアウトは非推奨となっているからだ。

 

 なぜそうなっているのかというと、VRと現実では脳への負荷が違うため、それを

短時間で繰り返すことで悪影響が発生するかもしれないとのことだった。私として

も、それは避けたいことだったし、何よりいちいち調べ物に行くというのがなんか

面倒くさいというのがある。


 あと、まるでゲームの攻略本を読みながらプレイする感じがあまり好きではない

から。じゃあ後でじっくり調べるのは良いのかと言うと、それはいいと思っている。

私が嫌なのは攻略本を読みながらゲームをするということだから。

 

 他には事前知識を身に着けておくのもあまり好きじゃないなあ。今回みたいに建

設についての知識がないからという理由で調べるのはいいけれど、最初から攻略情

報を蓄えておくのは嫌いだ。

 行き当たりばったりで困った! って時に極力自力で調べていくのが好きなんだ

よなあ。こう、謎を解いているみたいで。


「ねっこちゃん。木の板とかイッピキメとニヒキメに任せて作ってもらうしさ、わ

ざわざログアウトまでしなくていいよ。」


そうか、じゃあそうするか。

「ねこますサマ。ヒサビサニブタヲカリマショウヨ!」

「ほら、たけのこちゃんもこういってるし、こっちは任せて生豚じゃなかった焼豚

を味わってきなよ。」

「おい、今のわざとだな。」

「ここは、俺に任せて先に行くんだ!」

「おう、じゃあな。」


 というわけで、丸太の家作りの進行はブッチに任せることにした。私だって一応

参加していたんだし、一応ログアウトしたら勉強だけはしておこうと思う。時間が

あればだけれど。一朝一夕で身につくとは思えないから広く浅くが基本かなあ。


 そんなこんなで、次はたけのこ森で豚狩りをすることになった。こういう久々に

来た時に限って、新しいイベントが発生したりするんだろうなあ。見たことのない

モンスターが出てきて、なんだこいつは、なんてなるんだ。


「はぁ、ここがたけのこ森ですか。うう、塔以外が見られるって幸せですねえ。」

エリーちゃんとくろごまもついてきた。美味しい豚肉が食べられると説明したら、

どちらも参加しますとのことだった。やはり美味しい物は正義だ。

 

 それにしてもたけのことは最近あまり遊べていなかったから、もっと一緒に遊ぶ

ように心がけないとな。私はこの手のゲームでは、初期の面子というのを一番大事

にするので、たけのこと疎遠になったのがちょっと悲しいと思っていたのだった。


最初に仲良くしていた相手と距離が出てきてしまうというのが好きじゃない。だか

らもっとたけのこと色んなところに行きたいと思っている。


「たけのこと久々に豚狩りで嬉しいなあ。」

「ねこますサマ!ワタシモデス!」

お~。よしよし。もふもふもふもふ。可愛いなあ。この狼のふさふさ感は最高だ。

これをえこひいきと言われても私はやめるつもりはない。最初に戦って仲間にした

のがたけのこなんだから、思い入れがあるに決まっている。


「ふぅ。それで、このあたりに結構でてくるんだけどなあ。黒豚。すぐに出くわす

と思ったいたんだけれど、出ないな。」

「マスター。もしかするとマスターの威圧の効果かもしれません。以前よりも出す

威圧が大きくなっている気がします。」


え!? 嘘でしょ!? レベルアップしたからとか? そんなのなしにしてくれ。

威圧がレベルアップするとモンスターが逃げ出してしまうとかデメリットじゃない

か。黒豚も狩れなくなるし、いいことなしじゃないか。


「と、すれば、威圧のコントロールをしていくしかないですね。」

「そんなことができるの?」

「マスターの意識次第ですよ。心を落ち着かせることで威圧の感覚を覚えて威力を

自由に操れるようになるはずです。」

「そうか。じゃあ練習しないとなあ。」

 たけのこと一緒に豚が狩れなくなるのは辛い。だから絶対にやらないといけない

な。


「でも、威圧って私には何の影響もないみたいなんですが。」

「仲間には効果なしらしいよ。っってああああ! 黒豚も仲間だみたいに思えば威

圧の効果も薄れるかもしれない。エリーちゃんナイス!」


 黒豚は友達。友達。友達と、私は何度も念じることにしてみたのだった。

私も、専門的な知識が無いので、色々調べながらこうして作品を書いています。

家の資料が欲しいです・・・。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ