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アノニマスターオンライン  作者: 超電撃豚豚丸
第1章「般若レディと仲間たち」
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第12話「定番のうさぎ」

川を渡り切ったのは良かったけれど、ジャージが水浸しになって気持ちが悪くなった。

悪寒がするとまではいかないし、そこまで酷い感覚ではないけれどこういうところも流石VR

だなぁと感心させられる。

でも乾かすためとはいえこんなところで脱ぐのは恥ずかしいし、そういうタイミングでこそ

ばったり人と遭遇してしまいそうなのでびっちゃりしたジャージを装備したままだ。

というかいい加減ジャージ以外の装備が欲しいんだけどないもんなのかな。

キャラクタークリエイト画面では一応和服みたいなの着てたんだけど、なんであれじゃなかったんだ。

言っても始まらないけど、何か別な装備が欲しい。

初期装備の鎌とジャージに、ソルジャーゼブラの杖、そして獣の骨と薬草。

もっとこう華やかなアイテムが欲しいんだけどどうにかならないかなぁ。ため息しかでないよ。


そうそう、たけのこは体をぶるぶるっと震わせてたら、あっという間に体から水を弾き飛ばしたよ。

羨ましい。ちょっと悪戯したくなったけど可哀想だからやめた。私は優しいのだ。

「それにしても、こっち側も特に何もないね~」

「ワタシモハジメテキマシタ」

「そっかぁ。まぁ確かにわざわざ渡るようなことしないよねー。」

私はやったけどな!長年の夢をかなえるために!そしてかなったわけだ。

やり遂げたときは最高の気分だったね。


ガサガサッ。

そんな時、草むらで何かが動くのを見た。モンスターか。できれば雑魚にして欲しい。

ここで強敵が現れてもまだジャージが乾ききってないので動きづらい。頼む。

息を吞む。獣の骨を投げつける準備をする。オーケイ。行ける。


「みゅー!!!」

何かが飛び出してきた。先手必勝!くらえっ!

「っりゃあああああああ!」

獣の骨を思いっきり投げる!鈍い音が聞こえる!命中だ!

「み”うううう!」


あ・・・。茶色い。茶色い兎だ。何の特徴もない兎だ。どうやら頭に思いっきり当たったようで

痛みで喘いでいる。


「ねこますサマ。アレガヨクモリニイタウサギデス!」

「へぇぇ。これが・・・。」

「サッソクタベマショウ!」

「え!?」


たけのこってば、また食べることにしか目がないのか!食いしん坊か!

「たけのこみたいに仲間になるかもしれないじゃん!」

「アノヨウナ、ナンジャクモノハヤクニタテマセンヨ!」

確かに獣の骨一撃で動けなくなってるけどさぁ、ほら、可愛いし。ちょっと話しかけてみようか。

「大丈夫?」

優しく声掛けしてみるが、ちゃんと鎌を構えている。ギャグかよ。

「み、み。」

「ん?」

兎が上目遣いで私の顔を覗き込む。

「ミアアアアアアアアアアア!?????」

「おおおおおおおお!?」

突然絶叫をあげる兎にたじろいでしまう。なんだなんだ!?

「ミアアアアアアアアアアアア!????」

・・・・。そしてそのまま兎は倒れて動かなくなった。え?どういうこと?気絶した?

まさかそんなことは。私を見て気絶したってことは。般若レディか!この顔か!

この顔を見て気絶したのか!どれだけ虚弱体質なんだよ!いや兎って臆病とは聞くけど。

あんまりじゃないか!全く失礼な兎だ!


「もう。ほら起きなよー」

軽くつついてみる。起きない。どうしたんだこの兎。

「おーい怖くないよーほらー起きてー。」

とても嫌な予感がする。

「朝だよー兎くーん。おーい!」

ありえないよね。まさかだよね。いやいやちょっと、獣の骨の当たり所が悪かったんだよね。

きっとそうに違いないよね。そうだ、絶対にそうなんだ。


「アノ・・・。ネコマスサマ」

「なーにたけのこ?」

たけのこが、うさぎの前に来る。

「コノウサギ・・・・」

「言うな!言うんじゃない!その先は言ってはいけない!」

いや、私も分かってるよ。分かっちゃいるけどそんなの納得できるわけないじゃん!

こんなのでそうなったら逆に私がショックだっつーの!ねぇ!

「デスガ・・・・。」

たけのこが涎を垂らしている。分かっている分かっているんだけどねえ!

言葉が出てこないよ!いやもう言いたくない!あああああああもう!なんで!

「うんまぁその。ね?」

「コノウサギ…シンデマスヨ」


どうしてこうなったんだ。いや、明らかに私の顔、つまり般若レディの顔を見て絶叫していた。

つまり、何か特別なことをせずとも威圧したことになってしまったようで、その結果

うさぎはショック死してしまったということだろう。多分獣骨だけでは死んでいなかっただろう。

あまりの出来事に私のほうがショックを隠し切れない。

目の前で可愛い兎がショック死とかありえん。

般若レディってそんな怖いかよ!いや怖いか。すみません。

誰に謝っているのか分からなかったけれど、兎に角、いやとにかく兎は死んでしまった。

モンスターと言えばそれまでだけど。


「じゃあその…食べよっか。」

いつも通り生でな。こんちくしょう!!!

「ハイ!」

またそんな大喜びしてええ!たけのこは可愛い奴だな。ショック死しないし。

やっぱりこのくらいイキのいい奴じゃないと仲間にできないってことか。

やれやれ。

昔、ダイ○ーで売ってたホラーなお面かぶってコートのフード被ってたら絶叫された思い出があります。

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