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アノニマスターオンライン  作者: 超電撃豚豚丸
第2章「般若レディと優雅な目標(仮題)」
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第113話「でかい鳥」

 結構長いことだらだらと待っているが、みんなは頂上までたどり着けたのだろう

か。というかもしかして私に自力で這い上がってこい的なノリになってしまってい

るわけじゃないよね。

 頂上まで行けたら誰か戻ってきてなんて話はしなかった私も悪いのだが、このま

まだとここで置いてけぼりになってしまう。それとも何だろうか。誰が私の所に戻

るのかで揉めていたりするのだろうか。

 

 出会ってから仲間になるまでそんなに経過していないのでそういうこともありそ

うだとは思うが、ブッチ辺りが率先して来てもいいような気がしていた。だけど、

なかなか戻ってこないところを見るに何かあったと判断していいだろう。こんな所

で燻っているのもなんだし、そろそろ登ってみるとしよう。


 坂道は何の変化もなかった。ただの面白みのない坂道だ。ちなみに単純に真っ直

ぐ坂道が続いているわけではなく、曲がりくねったり、石ころが多い場所もあった

りとそれなりに変化はある道だ。最初に登ったときそのままだ。

 登って下ってまた登ってを繰り返しているのが馬鹿馬鹿しく思えるのだが、謎が

解けないのだから仕方がない。


 もういっそボスでも出てきてそいつを倒せば先に進めるなんて仕掛けだったらい

いのになあなんて思い始めてきた。そんな都合よくいかないんだろうけど。


「んん?」


 そういえばちょっと風が強くなってきた気がするな。こういう気象の変化もある

のは面白いな。いきなり雨が降ってきたりしたら嫌だけど、今のところ天気は晴れ

のようなので急激に変化することはないと思われる。

 天候まで変化させてしまうモンスターなんていうのがいたらなんて想像してしま

った。大抵その手のモンスターは強敵である可能性高いから、こんなところに一人

で襲われたらたまったもんじゃないな。うう。悪い予感がするなあ。


 最初に登ったときには風が強くなるなんてことはなかったんだから、それが発生

しているということは、何かが起きていると推測していいだろう。気配感知を使っ

てみる。反応は、小さいがある…!

 風を操るモンスターなんだろうか。実はここが縄張りで、タイミング次第で戦う

ことになるという設定と見たぞ。もうちょっと登ればこの反応が発生している所に

行けるな。戦う準備は整えておくとするか。

 

 それにしても、風か。厄介だなあ。火薬草を投げつけても吹っ飛ばされるだろう

し、私の攻撃も弾かれるんじゃないだろうか。弱い奴だといいなあなんて願う。絶

対そんなオチは無いだろうけど。風使いだったら浮いているかもしれないのか。私

が飛べないのに相手だけ浮いていたらキれよう。

 

 徐々に反応に近づいていく。なんか、急に反応がでかくなった!? 後ろか!?


「グエエエエエエエエエエエ!」


 で、でかい鳥だ! かなりでかい。明らかにボスだというのが分かるのと、こっ

ちを威嚇してきているようでびりびりとくる。なんだこいつ。まるで雛を失った親

鳥のような感じがするぞ。そういう展開はよく見たことがあるからそうじゃないか

と思うんだけど。でも私、そんなの知らんしな!


「威圧!」


 威嚇してくるならこっちは威圧だ。舐められっぱなしは嫌だし。というか雛鳥が

云々も所詮私の考えた妄想に過ぎないかもしれないし、私にいけしゃあしゃあと叫

ぶのもむかついたので反抗的になってみた。

 

「グエエエエ! グエエエエ!」

 

 なんか語り掛けてきているんだろうか。何を言ってるのかさっぱり分からない。

それにしてもこいつ、間近で見ると結構かっこいい鳥だな。茶色と白が入り混じ

ったな体をして眼つきは鋭い。こういうのって猛禽類って言うんだっけ。

 

 あれ、もしかしなくてもこれ、グリフォンとかロック鳥とかの類か? うっわ。

結構強いモンスターの代表格じゃないかこれ。やばい奴に喧嘩を吹っ掛けてしま

った気がする。

 くっ。でもなんでそんなのがここにいるんだ。ふざけてる!

 

「私はこの先に行かなきゃいけないんだから、邪魔しないでねっと。」

 とりあえず、無視して坂道を登ろうとすると。あっさりと回り込まれてまた威

嚇された。何なんだよ。お前の番が今、出産しているところだから邪魔するな的

なノリか? それならそんな鳥語を喋ってないで私が理解できる言葉で喋ってく

れないと分からんぞ。


 じゃあちょっと戻ってみるとするか? 背を向けないように後退してみる。ゆ

っくりと。おお。攻撃してこないな。つまりこの先に進むんじゃないってことな

のか。けどそれじゃいつ私はここを通れって言うんだよ。


「グエエエ! グエエエ!」


 腹が立ってきた。なんで私がこんなでかい鳥一匹に足止めされなきゃいけない

んだこの野郎。それと、ここにブッチ達がいないってことはこの先を通したって

ことなんだろう? 私だけは通せんぼしやがって! 何がだめなんだよ! 般若

レディは通さないとかそういうオチか。 


「狐火!!!」

「グエエエエ!」


 むかっときたので狐火を口から吐き出したが、翼を羽ばたいた発生した風でか

き消されてしまった。うぐぐぐ。私、こいつとの相性悪いぞ。嫌になってくるな

もう。


「真空波!」

「グェグエグエグエ!」


私の鎌から放たれた真空の刃がでかい鳥が放った羽で防がれてしまった。しかも

そんなの簡単に防げるって感じで。なんだよそれ。こいつかなり強いんじゃない

かあああ。どうしろってんだ。火薬石弾はないし。電撃の鞭はきっと弾き返され

る。使えそうなのは照眼か。これで隙を作って、攻撃するしかないけど、有効打

になりそうな攻撃なんて覚えたばかりで使い方が分からない忍術と、トラゴンの

腕輪で覚えた雷獣破か。


 切り札は、時間凍結。確か魔者が1秒間なら使えるみたいな事言ってたけど、

その1秒を使ったら私が動けなくなるなんてこともありえそうなの怖いな。くそ

う。今回草原に帰ったらじっくりと確認しようと思っていたのに、ここで危険を

冒してまでやらなきゃいけなくなるとは。このでかい鳥め。


「そこをどけでかい鳥!!!」

「グエエエエエエエエエエエエ!」


おっ。私はこいつの言葉は分からないが、向こうは私の言葉が分かっているよう

な感じじゃないか。でもどけと言ってもどかないってことはつまりどくつもりは

ないってことだよね。


「私はこの上に行きたいんだよ。だからどいて?」

「グエエエエ!」


何なんだよこいつ。わ、私が何をしたって言うんだよ。なんで私だけここで置い

てけぼりにされた挙句の果てにこんな奴の相手をさせられなきゃいけないんだ。

くっそブチ切れた。もうなるようになれ!


「雷獣破!!!!」


左手に腕輪を付けていたので、拳を前に立てて叫んでみた。だが、何もおき、い

やこれ。なんか手がバチバチいい始めた。げぇえええ!? これもしかして、接

近戦用の技じゃないのか!? なんかエネルギーでも放ちそうなスキルじゃない

のかななんて思い込んでいたけど違うみたいだ!

 う、うおおおおおだめだ。これはもう特攻しかない。ま、間に合え、とにかく

切り札っぽいスキル! もう発動しそう!


「グエエエエエエエ!」

 私はでかい鳥に向かって走り出した。が、グ突風を発生させてそれを妨害しよ

うとしてくる。ま、まずい、おさ、押されない!? うわ、左手がグリフォンの

突風を吸収している!? 私の左手は電気と風を纏っている。これならいけるう

うう! 多分! もうやるっきゃない!


「グエエ!?」

「今度こそこらああ! 雷獣破あああああ!」

「グェェェェエ!!」


私は、でかい鳥の顔面を左手で思いっきりぶん殴った。それと同時にでかい鳥の

爪が私の顔面を切り裂く。うっげ。クロスカウンターかい! うぐぐぐぐ。ここ

は堪えて、堪えて。


「んぎぎぎぎぎぎ!」

「グゲグゲグゲグゲ!!?」


 き、効いてる効いてる! でかい鳥に命中した雷撃破は全身に衝撃を走らせて

いつようだ。苦しそうな悲鳴が聞こえる。けどこれ一発でこいつを倒しきれると

は到底思えない。それにこれ、多分もう一発とか撃てないんじゃないのか。

 

「狐火!」

私の口からは火が放たれる。よし、こっちはなんとか使えたようだ。電撃と風に

合わせてさらに火だ。燃えろ! 燃えてしまえ! 焼き鳥にしてやる! ここで

お前を地獄に送ってやるぞ!


「グギアアアアアアアア!」

「うぐっ。」


でかい鳥はが突進してきて私は吹き飛ばされた。くそぅ。そう簡単に倒れてはく

れないってか。こっちだってくたくたな中で戦っているんだからさっさとくたば

ってくれよ。うぐぐ。ひとまず薬草を食べて体制を立て直す。


「グガアアアアア!」

んげっ。こっちに向かってきた。ついに動いたか。ここで誰か助けには、来てく

れないみたいだな。都合のいいことなんてそう起こるわけないか。


「照眼!」

目くらましとして照眼を発動。でかい鳥は、一瞬怯んだがこれだけでは甘いだろ

う。更にここで、けむり草を使う。煙が発生しても多分風で吹き飛ばされて終わ

るだろうが、時間稼ぎだ。

 蜂蜜を飲む。飲む。飲む。喉に詰まりそうだが、たくさん飲む。確かこれも色

々と回復したはずなので飲む。ドラゴンフルーツを食べるのは難しいがこれなら

いけるはずだ。


「グエエアアアア!」

風が煙を吹き飛ばしていく。その瞬間に、また新しいけむり草を使って、煙幕を

発生させる。そして錬金術士の杖を取り出す。時間凍結の後に雷獣破を打ち込む

しかない。狙うはあいつの嘴の中だ。そこに腕を突っ込んで、ぶっ倒す!


なんとかでかい鳥の視界を遮る。些細な効果しか期待できないだろうが、それが

勝機につながるはずだ。私は、でかい鳥の懐まで接近した。ここだ!


「雷獣破!」

発生まで少しタイムラグがあるので、先に発動させておく!


「グエエエ!」

煙幕が消え、でかい鳥は、また爪で斬り裂いてこようとする。そうはいかないっ

てんだよ!


「浮遊!」

でかい鳥の体がぐらつき、姿勢が崩れる。よっし、ここだ。私は左手を嘴まで当

てる。あと少しだ、ぎりぎりまで引き付けて!


「グエッ!」

私の左手を啄んできた。よし。予想通りだ。ここだあああああああ!


「時間凍結!」

世界が真っ暗になったような感覚が私の全身を襲った。何もかもが凍り付いた世

界。だが動ける。私は腕をそのまま嘴の奥深くまで突っ込んだ。後はもうなるよ

うになれだ。

そして、時間凍結が解除される。いやこれ、1秒も持たなかった気がするんだが。

刹那の瞬間と言ってもよかった気がする。が、それについて深く考える余裕など

一切ない。


「いっけえええええええええええ!」

「グエエエエエエエエエエエエエエエエエエエ!?」


体内に直接攻撃されるというのは思った以上の威力を発揮するはずだ。私はもう

攻撃する手段を持たない。これで倒れなかったらある意味おしまいだ。

倒れろ!倒れろおおおおおお!!!

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