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アノニマスターオンライン  作者: 超電撃豚豚丸
第1章「般若レディと仲間たち」
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第11話「川と挑戦」

私は何をやっているんだろう。唐突にそう思ったのだった。

アイテム欄に薬草が1500個溜まっているのを見て満足したのと同時に

薬草オンラインと言っても過言ではない状況に違和感を覚えたからだ。

確かに私は薬草を集めなきゃいけないと思っていた。

薬草を集めれば何かが変わると思っていた。だが何も変わってはいない。

森の探検にはほとんど行かず、たまに出くわす黒豚を狩るだけ。

最近では黒豚も楽に倒せるようになってきた。そしてそれが終われば草原に戻り

ひたすら草刈りして薬草集め。最後に川で水を飲んでのんびりする。

平和な日常と言えばそうかもしれないが、代わり映えが全くしていない。


あと実は今はかなりの異常事態ではないのかと思っている。

この<アノニマスターオンライン>は世界中の人間がプレイしていると言われているゲームだ。

それなのに、全く他のプレイヤーと出くわさない。それだけフィールドが広大なのかもしれない

というのはあり得るかもしれないけれど、どうなんだろうか。

実はここは辺境の惑星で、たまたま私だけがここにいることになってしまったなんて

そういう設定になっていたなんて妄想までしてしまう。


こうしたことについては恐らく、攻略Wikiやら、掲示板などで情報が掲載されていると思うが

私はそれらが嫌いなので一切使うつもりがない。

最初から他者の情報をあてにしてゲームをプレイしていたら、面白くもなんともないし。

だから例えどれだけ困っても情報は調べないでプレイするのだ!

あ、でも現実世界では色々なところで紹介されているからふとしたきっかけで情報を得てしまう

可能性はあるよね。それに関しては仕方ないと思うけど。


とにかく現状は誰とも会わないままという奇跡的展開だと思うことにしている。

ああでも、たけのこには会えてよかったな。プレイしてすぐに戦って勝てて本当に良かった。

話し相手がいなくてやる気がでなくなっていたかもしれないし。


さてと、とりあえずそろそろどこかに行こうと思うけれど、実はもう行先は決めているのだった。

「たけのこ、そろそろ新しいところに出かけよう」

「ワカリマシタ。ドチラニマイリマスカ?」


どちら、そう、私が行くのは…川だ。行き先を


「イツモノトコロデスカ?」

「違うんだなぁ。まぁ行けば分かるよ。」


ふっふっふ。私にいい考えがあるのだ!

とりあえず今は薬草があるので、お出かけをしても安心なのだ。

いつでも回復しまくれるというのは最高だ。

強敵がでてきても一安心だ。最悪前回のような戦い方もできるようなので

多分、あの馬より一回りくらいでかい奴でも倒せる気がする。

口とか鼻があればだけどね。




というわけで、川に来た。いつも通りだけど。

「ねこますサマ。どうするのですか?」

「川を歩いて渡るよ」

「エ?」

「川を泳いでも渡るよ」

「エエ?」

「向こう岸まで泳いで渡るよ!」

「エエエ?」

「いいから行くよ!!!!」


私が今までプレイしてきたゲームでは、橋が壊れているから向こう岸までいけないんだとか

軟弱なことを抜かす主人公たちばかりだった。私は違う!

お前このくらい泳いで渡れよこのへたれやろうが!

お前は氷系魔法を使えるくせにこの水を凍らせるとかできないのかよ!

なんてツッコミをいったい何度してきたか分からない。


これまでたまりにたまった不満を今この瞬間にぶつけるのだ。

私は絶対に川を渡るぞ!いいか!どんなことがあろうが川を渡るぞ!

たった1マスだろ!1マス渡るだけなのを諦めるんじゃない!やればできるんだ!


ちなみに向こう岸までは多分50メートルくらいある。

これくらいなら絶対余裕だ。川の流れも見た感じでは遅いし。

当然、私が渡っている最中に急に早くなる可能性もある。

そういう意地悪なゲームも今までたくさんやってきた。


だがしかし!私はこの川を渡らなければいけないんだ!

それが私の夢だからだ!さぁ行くぞ!たけのこも諦めるな!

これくらい泳ぎ切れないなら狼としてやっていけないぞ!


「おりゃああああ」

「ワォオオオン!」


私とたけのこで川を泳ぐ、最初は底が浅く平気だと思ったのだが


「ぶえっ!急に深くなりやがった!やっぱりトラップか!!!」

実はここを渡る前一応遠くまで石ころでも投げていたのだがどぼんと沈んだのを見て

もしかしたら途中深いかもなと思っていたが、ふっ深い!

私のキャラの身長は多分160cmあるかないかくらいだけど、底に足がつかない。

うぉおおおこれは、何かモンスターでもでるんじゃないのか!?

川の主みたいな!

いやそんなこといっちゃだめだ。フラグになる!だけど、だけど私は渡るんだ!

ってたけのこ!犬かきめっちゃはえええええ!もう向こう岸までたどり着くじゃん!

わ、私も行くぞおお!平泳ぎでな!クロールなんて邪道なんだ!うぉおお!

あと少し!あと少し!あと・・・うおおおおお!


「はぁ、はぁ。渡り終えた!!やったぞ!」

「ねこますサマ、オツカレサマデス!」

「あ、ありがとう。へっへっへ。案外疲れたねぇ。」

意外と無茶をしたかもしれないがなんとか渡り切ることができた。

私は、念願の川渡りをすることができたのだ。

やはり、今までのゲームキャラたちはみんな根性なしだったということだ。

やった、やりきったぞ!

私も川渡りをしたことがあるんですが、びしょびしょになって母に怒られました。

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