表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

71/87

#70

 彼は「瞬間移動(テレポート)」で友梨奈達が通っている学校の食堂に到着した。


「バッドタイミングでしたね……」

「ジャスパー先生!」


 ここまでの経緯(いきさつ)をタブレット端末からリアルタイルで見ていたジャスパーは彼女の前では()()()()()()をしなければならない。

 一方の友梨奈にとってはグッドタイミングである。

 なぜならば、彼は時間を止め、ぬっと現れるため、「野澤 結衣」という架空の人物から本来の「木野 友梨奈」に一時的に戻ることができるため、つかの間の休憩時間となるからだ。


「まるで修羅場みたいだ……」

「そうですね」


 ジャスパーは普段の生活で話している口調なのにも関わらず、彼女はそれに気にせずに、普段通りに相槌(あいづち)を打っている。


「友梨奈さん、ちょっと……」

「はい?」

「彼女はおそらく()()()()()()()を持っていらっしゃると思いますよ?」

「篠田さんですか? やっぱりそう思いますよね!?」

「さぁ……それはどうでしょう……」


 彼は先ほど推測してきたことを彼女に告げた。

 その時、ジャスパーと友梨奈は同じ考えを持っていたとは思っていなかったため、少し驚いた模様。

 彼女は最近の彼は酷く、少し矛盾していると感じていた。

 友梨奈はやはり、エリカが絡んでいたのかどうかは曖昧(あいまい)なところである。


「僕はあなたにヒントを与えただけです。それを見極めるのは友梨奈さん。あなた自身ですよ?」


 しれっと彼女にそのように言うジャスパー。

 友梨奈は「……そうでした……」と少し落ち込んでしまったようだ。

 このことについて彼が何か重要なことが分かったとしても彼女に()()()()()を教えることができない。

 今後は友梨奈がその答えを見つけ出さなければならないのだから――。


「あっ、変な質問をしてもいいですか?」

「どうぞ?」

「……やっぱり、いいです……」

「……いいのですか?」

「はい」

「さて、僕もそろそろ()()を始めなければ……」

「解析?」

「……いえ……友梨奈さんのことではありませんので、ご安心を」

「はいー!?」


 彼女は悩んだ末、ジャスパーに質問することを止めてしまった。

 なぜならば、「もし、目的が果たされたらどうなるのか」が気になり、その瞬間に到達した時には()()()()()()()()()()()()()()()と不安になったから――。

 彼が話していた「解析」は友梨奈の今後の人生に関わってくることであるため、彼女が不安になることは仕方がない。

 友梨奈にとっては「えーっ!? 何それー!? 私にとって、それは()()()()()ですよ!」と言いたくなるのかもしれない。


「あははは……それだから友梨奈さんは面白いのです」

「それはどうも」


 ジャスパーは先ほどの彼女が言った「はいー!?」が面白かったため、つい笑ってしまっていた。

 友梨奈は彼に対し、適当に相槌を打つ。

 周囲は時間が止まっており、二人だけで話している状態のため、変な空気が流れていた。


「ところで、話は変わりますが、昼食後の友梨奈さんのクラスは体育なのですね?」

「そうですよー」

「急がなくていいのですか?」

「うっ……ちょっとヤバいかもしれません!」

「その通りですね。お友達も移動や授業の準備などの時間がありますので、急いだ方がいいと思います」


 彼女は食堂にある壁時計を見て焦りを感じ始めている。

 時計の針は十三時十分を指しており、五限目が始まるのは十三時三十分からのため、急がなければならない状況だ。


「ですよねー」

「さて、僕は戻りますかね……」

「もう戻るんですか?」

「ええ。一応はこちらも休憩時間ですので、少し様子を見にきただけです。では」


 ジャスパーは緊急手術を終え、リアルタイムで現在の様子を確認し、友梨奈のところにきているため、昼食は残念ながらまだ取れていないのだ。


「早く戻らなければ、午後の診察が始まってしまう……」


 彼は「瞬間移動」で速やかに診察室へ戻る――。


 一方の友梨奈は心中でいろいろと揺らいでいた。

 本当にエリカ達が張本人なのかどうか。

 他のクラスの生徒なのかどうか――。


 ()()が正しいのか、()()が正しいのか……といろいろと考えているうちに、頭がこんがらがってしまっている自分がいる。


 その解答(こたえ)を出すその時まで――。

「【原作版】」の「#33」と「スピンオフ」の「#39」をベースに改稿。


2018/11/22 本投稿・修正


※ Next 2018/11/23 0時頃更新予定。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小説家になろう 勝手にランキング

その他の作品はこちらから(シリーズ一覧に飛びます。)

cont_access.php?citi_cont_id=137134310&size=200
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ