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#61

 結衣に転生した友梨奈は目覚まし時計が鳴る前に目を覚ました。

 彼女は速やかに私立花咲大学付属中等学校の制服に袖を通す。


 今までは本棚の上に伏せてあった友梨香と友梨奈の写真が入った写真立てを見ていると、なんだか複雑な気持ちになる。

 結衣は()()という設定なのに、今まで通り話しかけてもいいのだろうかと――。

 友梨奈が生きていた頃は写真の向こうにいる友梨香に毎日のように言っていた「おはよう」や「行ってくるね」、「ただいま」、「おやすみ」などの日常生活で使われている言葉を彼女が言う資格があるのか否かを悩んでいる間も時は確実に流れて行く。


 結衣は「おはようございます。学校へ行って参りますわ」と言い、写真立てを再び伏せる。

 彼女は鞄を持って部屋を後にした。



 *




 結衣は自室からリビングに下りてくると、彼はコーヒーを飲みながら新聞を読み、彼女は朝ご飯を作っている。


「おはようございます」

「おはよう、結衣ちゃん。昨日は眠れたか?」


「おはよう。今日から学校だね」


「えぇ、眠れました。新しい学校ですので、凄く緊張していますが、早く慣れるよう頑張りますわ」


 結衣は友梨奈の父親と母親に挨拶を返すと、定番の転校生らしく発言をした。


「制服、似合うなぁ」

「そうね。友梨香が着てた制服だけど、サイズも何から何までピッタリ!」

「ありがとうございます」


 彼女の母親からそのように言われ、自分の制服姿を確認してみる。

 制服は結衣の体型に違和感がないくらいサイズが合っていたため、ジャスパーは制服のサイズとかも考慮してくれたと思っていた。


「ところで、部活はどうするの?」

「……いろいろな部ところを見て選ぼうかと……」

「あと3年間あるものね……自分がやりたいものをやりなさい」

「もし、やりたいことがなかったら吹奏楽部に入ってもいいしな」

「分かりました。ありがとうございます」


 友梨奈の中では吹奏楽部は続けたいが、せっかく自分以外の人物に転生することができたのだから、他の部を見学してみたい。

 どうしても入りたいところがなかったら、吹奏楽部を続けようと思ったやさき、友梨奈の母親が朝食を作り終えていた。


「「いただきます」」

「結衣ちゃん、お口に合うかな?」

「えぇ。とても美味ですわ」


 今までは病院食を中心に食してきたが、久しぶりに食べた母親の食事は彼女の口に合っている。

 

「――――ごちそうさまでした」


 結衣は身支度をしたり、鞄の中身を取り出して、忘れ物がないかの最終確認をし、玄関へ向かう。


「行ってきます」

「「行ってらっしゃい!」」


 彼女の父親と母親が見送ってくれ、結衣は学校へ向かって一歩ずつ歩み始めた。

「【原作版】」の「#25」をベースに改稿。


2018/11/16 本投稿

2018/11/24 最後の場面のみ改稿


※ Next 2018/11/17 0時頃更新予定。



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